2024/06/20 のログ
ご案内:「第二教室棟 屋上」にポーラ・スーさんが現れました。
■ポーラ・スー >
「――『はるちゃん』も『りんちゃん』も、残念ねえ」
屋上の鉄柵に寄りかかり、遠く――街の方を眺めている。
その蒼い色には、なにも映らない。
「『はるちゃん』に絆されそうになっていたのに、惜しかったわぁ。
今度、お見舞いに行ってあげないと。
――あら、それくらいいいでしょう?」
髪に隠れた右耳。
埋め込むように取り付けた通信機から聞こえる声。
ポーラ・スーの飼い主たちだ。
「おかしいわぁ、どうしてそんなに警戒するのかしら。
顔見知りの生徒のお見舞いに、教員が行くだけでしょう?
――なぁに?
なにかしても、いいのかしら?」
通信機からは何時ものように聞き慣れた怒鳴り声。
それを聞いても、けらけら、と笑うだけだ。
「やぁねえ、冗談に決まってるじゃない。
この学園は生徒たちの、子供たちのものよ。
罪も、痛みも、後悔も、苦しみも――そうそう、悪意も憎悪も狂気も――。
ぜぇんぶ、あの子たちのもの。
――そうでしょう?」
そう独りの屋上で、心の底から愉快そうに笑う。
――笑っている。
――あまりにも無邪気に。
■ポーラ・スー >
「でもねえ。
わたしは、『りんちゃん』が追い詰めると思っていたのよぉ。
それが『はるちゃん』に先を越されちゃって――ふふ、あんなになっちゃうなんて、ほんっとに、かわいいわぁ」
風紀委員の姉妹を想いつつ。
身を挺して『怪物』に向き合った妹は、不幸にも重傷を負い。
その知らせを聞いた姉は、その妹への愛情を溢れさせてしまった。
「――期待?
ええ、してたわあ。
もちろん、『りんちゃん』ならできると思っていたから、お手伝いもしたのだもの。
でもこれで、わからなくなっっちゃったわねえ。
分署の愛らしい『つーちゃん』は、どうするのかしら」
くすくす、と笑いながら。
目を細めて、街を眺める。
「『つーちゃん』は追い詰めるのかしら?
それとも――ふふ、どちらでも愛おしいわねえ。
とぉっても愛らしい『ぽんこつつーちゃん』
あなたは、『誰』に会うのかしら。
――ああ、ふふっ、そうねえ、もう」
――誰だかわからないかもしれないけれど。
「あは、それはほんとうに――なんて愛おしい結末かしらねえ」
――狂っている、と。
そんな声が通信機から流れる。
けれど、ポーラはただ、純粋に、楽し気に笑うばかり。