2024/06/21 のログ
ポーラ・スー >  
「ふふふっ、あはは――っ」

 両手を広げて、大きく声を上げて笑う。
 狂っている――本当にそうだろうか。

「――別に、わたしが片付けてもいいのよ?
 でも、そんなの、なぁんにも面白くないわ。
 だって――こんなにドラマチックで、ロマンチックなのに!
 deus ex machina.(かみさま)の出番なんて、あったらいけないわ!」

 高らかに、謡うように笑い、踊る。

「あぁ――なんて愛しい子たちなのかしら!
 みんな、みんな、みんな――わたしが愛してあげたい。
 わたしの手で、抱きしめてあげたいわ!」

 それは紛れもなく、愛情だった。
 ほんの一欠けらの曇りも、打算もない、純粋な愛情。
 今、この島で、苦しみ、悩み、痛みを抱えている子供たち、その全てを愛していると――。

「――でも、ダメなのね。
 ああ、わたしはこんなにも、あなたたちを愛しているのに」

 その蒼色には何も映らない。
 壊れた愛情だと、愛に狂ったと、本性を知る者は言うが。
 ――それは本当に狂気なのだろうか。
 

ポーラ・スー >  
「Ah――ego Desidero amplec est.(いつまでもだきしめていたい)

 通信機の向こうから、音が消える――

「――ああ、未来を求める新芽は、光の様に輝いて。
 ――ああ、遠いあの日の涙は、川底に広がり荒野に注ぐ。
 ――ああ、花が敢えて枯れる時、新たな物語が幕を開ける」

 その声は朗々と――悠々と――

「――ああ、一つの終わりは、いくつもの始まりに。
 ――ああ、ありのまま終わり、ありのまま始まる。
 ――Ah」

――dilecti filii aeternus et ego nomen vocat.(いとしいこどもたち、いつまでも、わたしのなまえをよんで)


 ――世界に、『愛』(呪い)を謳い続ける――
 

ご案内:「第二教室棟 屋上」からポーラ・スーさんが去りました。