2024/06/11 のログ
ご案内:「第三教室棟 ロビー」に伊都波 悠薇さんが現れました。
■伊都波 悠薇 >
「…………」
こそりこそり。
見つからないように、終わりのチャイムがなってから、そーっとやってきた。
手にはとある、紙。
中を覗かないようにして、持ってきた。
「ふー…………」
席に着いて一息。
さて、なんの紙かというと。
さっき渡された今年初めての小テストの答案。
とある事情で、テストが受けられなかったため、今日が初。
「……き、きんちょー、してきた」
その答案を誰にも見られないように持ってきた。
しかし、その行動は不審者すぎて、逆に目立っていた。
■伊都波 悠薇 >
テストの点数でここまで緊張するのは初めて。
しかもたかが小テスト。
でも、それでも自分にとってはおっきなテストだ。
「…………」
ぴらっとちょっとめくったあと。
「ぴゅっ」
ぱっと離れる。やっぱ見るのをやめてしまう。
通りすがりの、生徒が、なんだ、あれと不思議そうに通りすぎていっても気にしない。
「うぅ、ちょ、ちょっとお水」
自販機にいき、水を買おうとする。
「あぅ」
小銭をいれようとして、落としてしまった。
だめだめである。
「ぅぅ……」
小銭を拾おうと、かがんだ。
■伊都波 悠薇 >
(なにやってるんだろ)
自分で自分を笑ってしまうけれど。
それも仕方ない気もする。
少しだけ。落ち着いて、小銭を自販機に入れて、水を買う。
パキャッと、音をたてキャップを開けてこくりと水を一口飲んだ。
■伊都波 悠薇 >
「よし」
落ち着いて、紙を見る気分になった。
意を決して、見た。
点数は、63点。
「わ……」
なんとも微妙。
でも、その点数に。
「~~~~ーーっ!!」
じたばたと地団駄を踏むほどに、声にならない喜びが、溢れた。
ーー端から見るとやはり、なんとも、オカシナ、光景だ。
ご案内:「第三教室棟 ロビー」に風花 優希さんが現れました。
■風花 優希 >
ごくごく普通に教室までの道のりでその場を通りすがる最中。
少年がふと見ると、なんともおかしな様子をする同級生らしき姿が見えた。
「……なにしてんの?」
このままスルーしておくのが優しさかな、とも思いつつ。
無言で通りすがる方が返って不誠実かと声をかけた。
少年の表情はごくごく平淡な素の表情。
純粋に、地団太を踏む様子が気になったかのような雰囲気であった。
■伊都波 悠薇 >
ぴたり。
ぎぎぎ、と声がしたほうを向く。
そこには、美人がいた。
(…………美人だなぁ)
なんて、呑気なことを思ったのも束の間。
ぽんっ。
頭から湯気を出して顔を真っ赤にする。
「あ、え、あ。そ、その、きゅ、きゅ、きゅ…………きゅうけい?」
誤魔化すように絞り出すような小さな声でそう告げて、すとん、椅子に座った。
■風花 優希 >
臆病な小動物みたいだ、と。
どもるような小さな声を呟きながら、赤面して座る少女に抱いた印象はそれだった。
「まあうん、休憩するとこではあるけども」
だから、口にしていたそれが咄嗟の言い訳だったのが分かってしまう程の拙さに、苦笑を浮かべる。
「やけにその、嬉しそうな感じだったからさ」
視線はちらりと、手にしている紙を一瞥する。
テストの用紙だろうかと、その紙面を見て思案する。
■伊都波 悠薇 >
「あ、う、うん」
見覚えと聞いたことは、ある。
これだけの容姿。目立つところでは目立つ。
あくまで耳にしたことくらい。相手が自分のことを知っているかはわからないが、陰キャの自分には、ちゃんとお話しそるのは今日が初めてだったから、緊張し。
「て、てすとけっか、をみて、ちゅい」
噛んだ。
■風花 優希 >
「あー……」
これが可愛い生き物ってやつなのだろうか。
思わず噛んだ姿を見て、一瞬、何とも言えぬ間が出来る。
「舌、大丈夫?」
なので、とりあえず心配をしておいた。
ともあれ大よそ、浮かれていた理由は納得できた。
「テストの点数、よかったのかな?」
■伊都波 悠薇 >
「ぅぅ……らいじょうぶ、です」
恥ずかしくて呂律が回っていない。
そして、いい点数かと言われると。
「わ、私に、しては」
そう、返した。
「でも、もっと、たかいひと、いっぱい、いそうだけど」
■風花 優希 >
大丈夫ならよかった、と軽く口角を緩める。
まあ、仮にそうじゃなかったとしても、出来る事はそんなにないのだが。
「そりゃあ、上を見たら幾らでも点数がいい人はいるさ」
その返答にはくつくつと、自然に笑い。
「いつもより良い点数だったなら、よかったね。
勉強の成果とか、でてたんじゃない?」
そう続ける。
「ちなみに、何のテスト?」
■伊都波 悠薇 >
「そうなんだけど、ね」
この学園には、より才媛に恵まれた人達が多いからと、心のなかで思いながら、こくりと水を一口。
「えっと、数学、の小テスト」
なんの、と聞かれれば、答えたものは。
別段大したことない、ホントに普段勉強していれば満点を取れる人も多いであろう、小テスト、だった。
■風花 優希 >
「ま、ついつい比較しちゃうのはわかるよ」
少し離れた位置から、少し歩いて座り込んだその隣に。
そのままテスト用紙を肩越しに覗き込もうと。
「どれどれ…数学の……ああ、ちょっと前のアレか」
それなりに真面目な子なら満点を取るのもわけない程度の小テスト。
そのテストで小躍りするくらいだとしたら、普段からあまり点数は取れてないのだろう。
ふむりと、どんなものかを確認し軽く思考を巡らせる。
「数学とか苦手な感じ?」
■伊都波 悠薇 >
「……勉強は、好きだよ」
苦手かどうかと、聞かれたのに好き、嫌いで答えた。
「あなた、は? 数学、得意?」
恥ずかしい姿を見られたあとだから、いつもより、口が動いて。
話が続くことに、ほっとしながら、会話ん続けて。
■風花 優希 >
「へぇ、嫌いな人も結構いるのに、好きなんだ」
珍しい、とまでは言わなかったが少しだけ意外な顔。
嫌々やっている、だとかそういう感じではないらしい。
「うん、ボクは得意な方かな。
ただ計算が早いだけ、かもだけど」
流石に演算機能があるから、などとは言えはしまい。
なので計算は得意だ、という事にしてそう答える。
■伊都波 悠薇 >
「うん。好きだよ」
そこだけ、聞けば告白のようだけれど。
他意はない。
「速いだけでもスゴい。フラッシュ暗算、とか、もしかして出来る?」
今日は調子がいい。すんなり、会話できている。
■風花 優希 >
「…フラッシュ暗算ってどんなのだっけ?」
こてりと、苦笑しながら首を傾げる。
どうやら少年は、計算は出来るが妙なところで知識が欠けているらしい。
「まあ暗算なら、たぶんできると思うけど…」
機能の範疇なので、自慢するようなことでもない。
あまり、目立ちすぎるのも本意ではなかった。
「キミが得意な事って、それだと何がある?」
■伊都波 悠薇 >
「ぴぇ」
じゃあと、スマホでフラッシュ暗算のアプリを出そうとしたら変な声が出た。
「わ、わたしが、とくいなの?」
言葉に詰まったあと。
「と、とくい、なのはない、かなぁ」
力なくぽそりと。
■風花 優希 >
小鳥のさえずりみたいな声が聞こえた気がした。
ちらりと顔を一瞥、どこか生温かに目を細めて。
「うーん、そうかぁ。
あんまり自信持てる事がないんだね」
なんとなく、言葉の節々から感じていた事を口にする。
言わない時は口を噤むが、言葉にはあまり葉を着せなかった。
■伊都波 悠薇 >
「ゔ……」
ぐさり、なんにも包まれていない言葉が心臓にささる。
三つ編みの髪をいじいじ、して。
「まぁ、その。比較、できるほどでもないし。いとわ、っていったらだいたい思い浮かぶの、私では、ない、でしょ?」
自信があるはずもない。
例えそれが過去、なにかの要因で、出来ていなかったとしても。
「あなたはある? 自信が持てること」
■風花 優希 >
「いとわ?」
どこかキョトンと、紡がれた言葉に小首をかしげる。
本当にその単語に、覚えがないような反応。
「よくわかんないけど、ボクは今ここで観たキミの事しか知らないしなぁ」
その上で、彼はそう続けた。
比較をするその以前に、恐らくは彼は本当に知らないのだろう。
その名前の事も、比較している相手の事も。
「自信と言えるものかはわからないけど、得意不得意の自覚はあるよ。
自分が何が出来て、何が知らないかはよく知ってる」
■伊都波 悠薇 >
「え」
びっくり。知らない人がいるのは、久々だ。
いや、でもそういう人はいる。当たり前だ。
「姉、いとわ、りんか。知らない?」
わかってはいるが、ほんとに?なんて、疑ってしまう。
「…………なにが、できるの?」
■風花 優希 >
「知らない、初耳」
記憶を良くたどれば、聞き覚えくらいはあるかもしれないが。
とはいえ、教師以外で名を覚えているものは実のところ、あまり多くない。
ルームメイトと、友人。クラスメイトに関しては少し怪しい。
関わった相手以外の名前は、いちいち記憶していないのだ。
「そういうキミの名前は?」
だからこそ、この機に尋ねておく。
その名前を。
「計算と、暗記と、分析。
勉強以外なら魔術とかかな、大したものは使えないけど」
■伊都波 悠薇 >
「……ソッカ」
思ったよりダメージが大きい。
自慢の姉を知らない人がいる。こんなにもショックなものだったのか。
「いとわ、はるか。あなたは?」
いちおう、確認も含めて尋ねて。
「すご」
純粋に、称賛。
「やっぱ、組み立てる系、なんだね」
■風花 優希 >
明らかにショックを受けている様子。
もしかして、シスコンとかそういう感じなんだろうか、と密やかに。
「風花 優希、優希でいいよ」
ともあれ、彼女の名乗りには名前を返す。
なんとなしに軽く、ウィンクを向けて。
「昔からそういう感じのことはやってたからね、出来ないと困る。
まあ、代わりに他はそんなに、って感じだけどさ」
運動とかそこまでだね、などと冗談めかして続ける。
■伊都波 悠薇 >
「はゃ」
ウィンクされると、ぶわっと頬が熱くなるのを感じて。
前髪をささっと弄り視線を隠して俯いた。
「か、風花さん、ね」
膝上で指をいじいじしながら、ちらりと様子を伺い。
「でも、できること、あるのすごいよ。ひとつでもそういえることがある、の」
■風花 優希 >
名前の方でいいといったのに、名字で呼ぶ様子に苦笑する。
まあ、控えめな性格なのは分かっていた。
その事をわざわざ追及するほど、意地悪ではない。
「キミにも何かしら、在ると思うけどね。
あんまり自信なさげだから、気付いて無さそうだけど」
だから、俯いて顔を隠す様子も突きはしない。
ただ、少年は変わらず素のままに言葉を続ける。
「キミを見てる人が居たら、何かしら上げてくれるんじゃないかな?」
■伊都波 悠薇 >
「どう、かな。結果は、でてないから」
一番それに当てはまるのは姉だ……
でも、褒めてくれても、いつも何処か影が出てしまう。
もう、癖になっているのかもしれない。
「でも、とりあえず。今日の小テストの単元は、できたことに、できるかな」
なんて。
少し冗談っぽく、口にしてにへらと笑った。