2024/07/20 のログ
黒羽 瑠音 >   
「えへへ……」

思わずかわいい、という言葉が漏れたのが聞こえてしまったようだけれど、結果オーライみたい

「本当暑いですよね、この前は最近出来たスパとかにもいきましたけど……」
「もう、建物を出て5秒で暑さが襲ってきましたもん……じゃあ、お言葉に甘えて」

なお――学校に来たついでにプールで泳ごうと思っていた私の服の下は学校が用意してくれた水着だったりする
なのでなんなら本当に泳ぐことも出来たのだけど――それは取りあえず伏せておこう、うん

「わっ……わぁ……」

何だろう、凄い早着替えだ、本来はこんな場所で裸になった事に対して何かリアクション取るべきなんだろうけれど
余りに堂々としてる上、吃驚する程早着替えなのでそちらに意識を持っていかれてしまったのは仕方ないよね

「凄い手慣れてますね……って結局水着は着るんですね!」
「おぉ、和装……常世島の人って、みなさんお洒落というか、服装の拘りが強そうな人が多いというか……」
「おこん先生もとってもお似合いです、そういう服って売ってたりするんですか?それとも特注だったり?」


椅子に座って足先をプールに浸しながらしげしげと服装を見る
同じルームメイトにも服装が特徴的な……というか、コスプレイヤーの子もいるし
全体的にお洒落な子多いよね、そりゃとこトレも最終的に会場爆破でうやむやになるよ、何て思いつつ

「ふぁ~~~生き返るぅ……」

冷房とあわせて完全に『涼!』といった所だ

「そうなんですか?何だか悪いような……でもせっかくですしお願いします!」

お話が用意されていると聞いてぱぁ、と思わず笑顔になる
なりながらも視線は明らかにもふもふしている尻尾にちらりちらり
狐の尻尾って動物園で遠くで見たりした事しかないけれど……
私の知っている其れよりももっとふかふかで触り心地良さそうに見える
やっぱり、こういう尻尾とか生えてる人たちは手入れとかもちゃんとしてるんだろうか?
そういえば大きめのお店なら尻尾用石鹸みたいなものが売ってたような気もするし……

おこん > 「ウム。 学ぶにも何をするにも良い環境は大事じゃ。
 集中できん環境はよくないからのう。 ワシの服は~…。
 島にある服屋で頼んだり、服飾研究部に頼んだりしておるのう。
 無茶が聞くから部の連中もなかなか良いぞ。 行事があるときは
 死ぬほど忙しくて相手してくれんがのう!」
のんびりした調子で答えながら、涼しさに嬉しそうにする相手を見る。
立ち上がってイスをずるずると相手のとなりに運び、座り直した。

「では一席打つとしようかのう。
 例えばじゃな…おぬし、かわいい子供を見たら頭を撫でるじゃろ。
 でも、インドでは頭を撫でるのはあんまり良くないとされとるんじゃよ。
 特定の宗教では豚を食べるのがだめじゃったり、あるいは牛を食べるのがだめじゃったりする。
 理由は様々じゃが、人間ですらこれだけ差があるわけじゃな?

 では。 異世界の人間や、あるいは物の怪の類、宇宙人に異次元人…。
 それらとワシらの常識はどれだけ違うか?
 『降参』の意味であげた白旗が『お前ら絶対ぶち殺してやる』と取られるかもしれんのじゃ。」
そこまで言ったところで、相手に尻尾を差し出す。ちょっと湿ってるけど。
触りたそうにしている人に触ってもらうのは大好きだ。 

黒羽 瑠音 >   
「ですね、辛い状態で勉強しようとしても頭に入ってこないですし……」
「運動とかだとまた別かもしれませんけど、それはそれでしっかり水分と塩分取らないと危ないですからね」
「服飾研究部……私、まだ部活は入ってないんですけど、本当にいろんな部活があって目移りしちゃいますね」

成程成程、と何度もうなずきながらゆっくりと水をかき回すように足を動かす
ゆるゆると動く水がくるぶしからすねにかけて当たってきて心地いい

「へぇ、左手が不浄っていうのは聞いたことありますけど、撫でるのもダメなんですね?ふむ…ふむ」
「それで戦争になったりまでしてますもんね……常識や価値観の違いで」

そして続く言葉に対してごくりと息をのむ
そう、この場所はまさしく、そんな人種を超えた世界の坩堝のような場所な訳で

「そんな全然違う常識を持った存在同士で出会ったら、ちょっとどうしたらいいか分からなくなっちゃうかも」
「何をしたらいいか、或いはダメなのかで身動きが取れなくなりそうで少し怖いですね」

自分になりに真面目に考えて返していると、ふわりと心をくすぐる尻尾が目の前に
一瞬きょとん、となって顔を見上げると、おこん先生が無言でうなずいた気がした、いやしてないかも
でもでも、こうやって綺麗に『梳いた』尻尾を出してくれるという事は……

「……  おぉぉ」

すっ、と触ると思わず声が出る
そういう事だよね、焔城先生のあの時の強制授業で聞いた、据え膳、ってやつ!!!
すいません取り乱しました……ともあれ、ありがたくもふらせてもらう
ちょっとだけ湿っているけれど、上等な羽毛布団にも勝る感触に私の手は埋もれていて

「おぉお……  」

再度もふぅ、とすれば思わず声がでる私りたーんず
……くっ、先生の授業に集中できなくなるかもしれない、気を付けてもふらないと……!

おこん > 「ウム。 部活は勝手にやってる連中も多いしのう。
 ワシみたいにロケット打ち上げようとしとるやつもおるしな!
 まあ、何かしら入っておけばいざというときには便利かもしれん。」
視線を下に向ける。 細い足が水面を動くたびに、小さな筋と波紋を作る。
なかなかに風流である。見ているだけで涼しげで…良い。

「そういうことじゃな。 人間で”すら”おぬしのいうようなことが起こる。
 そう考えてしまったら、おぬしのいうように、あらゆる行動が怖くなってしまうことじゃろう。
 とはいえ、じゃな。 それはお互いを知ることで解決できる。 そうじゃろ? んおお…」

尻尾に触れられる心地よさにぶるっと震えるも、すぐにリラックスする。
とっても幸せそうに撫でている様子を見てから、話を続けることにした。

「人間以外のものとコミュニケーションを取り、お互いに誤解なく対話をして
 よりよい共存共栄の未来を目指す…。 それがワシの教える学問の目指すところというわけじゃな。
 簡単ではないかもしれんが、なによりこの常世島におればいくらでも『体験』はできるじゃろ?
 例えば…でっかい狐の尻尾を撫でるとか!」
彼女の手の感覚に目を細めながら、彼女に笑いかけた。

「どうじゃ、わかりやすい話だったかのう?」
ちゃんと確認。 なにしろ今の話を聞いてくれた生徒第一号なのだ。
フィードバックは大事である。

黒羽 瑠音 >   
「顧問の先生もいたりいなかったりなんでしたっけ……ロケット?」
「つまり、常世学園宇宙進出部、って事です……?」

思わず天井を見上げる、知らない天井だ――いや当たり前だけど
それにしても部活でロケットだなんて、常世学園という場所の何でもありさを改めて思い知った気がする

「お互いを知る……ずばり、コミュニケーションって事ですね」
「備えあれば憂いなし、確かに、色んな人と触れ合うにはもってこいの場所なんだなぁ、常世島」

もふぅ、もふっ、尻尾の先っぽをさわさわとすると、上等な筆をそのままクローズアップしたような心地よさだ

「共存共栄……大変だと思いますけど、素敵だな」
「私ももっと色んな人… ううん、人じゃなくても仲良くなってみたいです、此処に来たからには」
「だって、機会があるのに引きこもってたら『勿体ない』ですもんね」

「えへへ、堪能させてもらってます♪」

にへら、と笑う私の顔は尻尾もふもふの心地よさでだーいぶだらしなくなっていると思われる
それはそれとして、おこん先生の言葉は分かりやすく私に染み込んできて
やっぱり、この講義は受けてみたいなと改めて確信した、今後を考えると習っておいて損はなさそうだし
何より、こんな先生に教えてもらうなんてご褒美では!

「とっても分かりやすかったです、体験……というか、実践もこうやってさせてもらってますし」
「私は『大変容』については詳しく知りませんけれど、之からの世界では絶対必要になる考えですよね」
「誤解のないコミュニケーション……とっても奥深そうです、私、絶対この講義とりますね?」

おこん > 「うむ、ロケットじゃよ。 よくいえばそうじゃが、実際はロケット開発にかこつけて
 ワシが色々やらせとるところもあるが…目的は月じゃな。」
一緒に天井を見上げる。 その上のさらに上の成層圏の上、さらに38万キロいったところが
目標なのだ。 彼女がどう思っているかは知らないが、少なくても自分はそうなのである。

「うむ。 お互いに知ることができれば、避けられる困難は対立以外にもたくさんある。
 あらゆる存在のるつぼと化した今の世界では、明示的にお互いを理解することが 必要というわけじゃな。
 んふふ…尻尾気持ちいいじゃろ? ワシも気持ちいい!」
撫でなれているといわんばかりの相手の手つきに、時折小さく震えたり、
狐耳をぴくぴくと震わせたりする。 まだ若いのにこの手つき…できる!

「そうじゃな、もったいない…。 もちろん、対立もコミュニケーションのひとつではあるがのう。
 ただ、そこに至るまでをきちんと理解することは必要じゃとワシは思っておる。」
真剣な内容を話していたけれど、彼女の顔はすっかりとろけていた。
尻尾が気持ち良いのだろう。 自分も嬉しい。

「うむ、そう言ってもらえるとワシも嬉しい。 おぬしらがワシらを深く知らぬように、
 ワシらもおぬしをきっと深く知らぬのじゃ。 そういう意味でもじゃな、
 こうして触れ合うことが必要というわけよ!」
ずりずりと動いて、彼女の身体に自分の身体を擦り寄せる。
まるで犬か猫みたいなじゃれつき方だが、懐いていることはわかってもらえるだろう。

黒羽 瑠音 >   
「月……昔の歌で、月に言ったロケットを歌ってる奴があったなぁ……」
「行けるといいですね、月、私はまだまだ地に足つけて習わないといけない事も一杯ありますけど……」
「でも、此処まで来たら宇宙人にはあってみたいかも」

そういってくすくすと笑って見せる

「そうですね……そういう意味では、常世財団様様って所はありそうです」
「でも、それに甘えてないで私たち一人一人が『知る事』を良く知っていかないといけないんでしょうね」
「……おぉ、ついついずっと触っちゃってましたけど、気持ちいいんですか?」

手梳きでさらさらと絹糸のような尻尾を撫で上げる、根元の方になるにつれしっかりとした手触り
何となく触っているとお日様のような香りも鼻をくすぐって、体が自然とリラックスしていく気がする
うーん、癖になりそう、それに言われてみると、上手に障るとおこん先生が耳をぴこぴことさせている
こうリアルタイムに反応を返されると、何だか嬉しいと同時にちょっとだけいたずら心も沸いてきてしまったりして
ともあれ先生にとっても心地よいみたいなので手梳きをゆっくりと続行しちゃうのです

「そうですね、結果は兎も角、過程も大事って奴だと私も思います」
「そうじゃなきゃ、次に生かせませんし……もし、『その時』は対立してしまっても、諦めなければ終わりじゃないですから」

「それこそ、相互理解、ってやつですね?……わっ」

流石にくっついてきた先生に少し目を丸くするけれど、此処までの尻尾梳きで私の心もきっとガードが降りていたんだろう

「ふふ、そうですね、直接触れあうのは一番身近で簡単にできる交流」
「コミュニケーション学の先生だけあって、おこん先生はその道のプロ、ってことですね?」

すりついてくる先生をそのまま受け入れてしまっている自分に流石にちょっと吃驚する所も無いでは無いけれど
きっとこれもおこん先生の人心掌握術、というものなのだろう、相手が先生というのも忘れてしまいそうだ
――焔城先生に対してもそーいうのはあったけど、焔城先生はまた何というか、大分タイプが違うというか……

とにかく先生って凄い、私はそう思いながら、傍にいる先生をリラックスした目で見下ろすのだった

おこん > 「ウム。 まあ宇宙人もおるかもしれぬからのう。
 ワシらも生徒たちの情報は持っておるが、それが正しいとも限らんからな!」
相手に答えるところころと笑った。 自分たちとも異なる存在はたくさんいるのだ。
知らないうちに宇宙人ぐらい紛れ込んでいるかもしれない。

「うむ、そうじゃのう。 少なくても自分が、んおー…。
 自分がきちんと知るようにすれば、誤りにも気付けるはずじゃしな。
 心地よいぞ! ワシは撫でられるのも触れられるのも大好きじゃ。
 じゃれ合っているだけに思えるかもしれんが、ワシにとっては栄養補給なんじゃよ。
 ホントじゃよ~?」
ゆっくりとした手櫛が心地よい。 ご満悦な表情で相手に答えながら、
鷹揚に頷いて見せた。

「対立が手だとしても、なにか手があるかもしれん。
 相手の目標達成に、自分たちの壊滅は実は関係ないかもしれん…。
 そういうことを考えるためにも、知らねばならぬというわけじゃな~・
 ほれ、ワシの体温と柔らかさも知るんじゃよー!」
ぐりぐり。 身体を擦り寄せて思いっきり甘える。
これだけでも十分にエネルギーが回復できるし、そうでなくてもじゃれつくのは楽しいのだ。

「うむ。 話して、触れる…それだけだって十分に効果はあるからのう!
 ほれほれ、ワシの匂いをマーキングしちゃるぞー! あっ、でもアレか、
 プール入ったばかりじゃから匂いせんな…。 まあ良し!」
思いっきり何度もじゃれつく。有望な生徒が表れたのも嬉しいし、撫でる手もベテランである。
ワシの生徒じゃ!と言わんばかりのアピールをしつつ、ふすふすと鼻息を荒くした。

黒羽 瑠音 >   
「もう既に会ってるかも……?なんて、それもちょっとロマンかも!」
「私が知ってる宇宙人とかだと、古い番組のグレイとか、たこみたいな火星人とか……」

割と知識が古いなぁと自分でも思いながらも頭の中に浮かぶのは普通に学食を食べているグレイだったりして

「そうすれば、自分も教える側に回れるし……その輪が広がっていけば……きっといい世界になりますよね」
「栄養補給……なんです?ならもっとがんばらないとですね」

ほんとか冗談か、ともあれ先生が心地よさそうなのは間違いないので、膝に尻尾を乗せさせてもらって
バッグから取り出した櫛ですっ、すっ……すっ、すっ、と本格的にブラッシングしてみる
昔飼っていた子にしてあげたことはあるけど随分久しぶりだし、上手にできているかは少し不安だけど

「そうですね、ラノベとかでも戦闘狂でも戦う事が好きな人と、相手を殺すことが好きな人とかいたりしますし」
「そういった違いから打開策が見えたりする可能性も……」
「っふふ、先生、体温高いんですね?」

話ながらも抱き着いてくる先生の柔らかな暖かさに思わず目を細めちゃう
まるで小さい子供にじゃれつかれてる……いや私も子供なんだけど
とはいえ、おこん先生の外見を考えると傍から見ると実際そんな感じになるよね、これ

「マーキング……は分かりませんけれど、いい匂いはしますよ?何だかちょっとお日様みたいな匂いかもです」

あんまり目立ったところが無い私の体だけど、抱き着いて楽しいならきっとそれはそれでいいんだろう
尻尾を櫛で梳きながら、じゃれついてくる先生に此方からも少しすり、と体を揺らせてお返しして
ふふ、となんだかくすぐったくなってまた笑ってしまいつつ

「……そういえば、おこん先生って狐なんですよね」
「だったらやっぱり、お稲荷さんとか好きだったりするんですか?」

ふと、そんな事が気になって聞いてみたり

おこん > 「そうじゃのう、映画とかに出てくるあんな感じのな!
 『宇宙人でございます』という見た目なら、まだわかるんじゃがな~」
腕を組んでうーむ、と唸る。 人ならざるものが人に化けたりするのだから、
もしかしたら彼らも人間に化けたりするのかもしれない。

「うむー。 栄養補給じゃよー。 ワシは触れ合うことで回復するんじゃよ。
 こうしてグルーミングしてお互いが仲良くなれれば楽なんじゃがのう!
 おっ、櫛とな!? お”おー…いいのう、それ…あ”~…。」
温泉に浸かっているような声をあげて、尻尾を梳ってもらう心地よさに身を委ねる。
すっかり緩みきった表情でのろのろと頷いた。

「そういうことになるのう。 いずれにせよ、相手を”知る”のが大事というわけじゃな。
 ふふん、こう見えてもボディはぴちぴち?じゃからな!」
身体を触れ合わせるだけで嬉しくて心地よい。 嬉しそうに声を弾ませながら、
彼女に思い切りじゃれついて甘えるのだった。

「まあ獣臭いよりはよいか! ウム、ワシは九尾の狐というやつなんじゃよ。
 そうじゃなー。 油揚げに納豆挟んで焼いたやつとか好きじゃよ。
 普段は生姜って使わないんじゃけど、あれはおろし生姜と醤油でやるといいんじゃよ…。」
すっかりくつろぎのブラッシングタイムである。緩みきった状態で問いかけにつらつらと答え、
脱力してすっかり相手に身を委ねるのであった。 すっかり蕩けたとけきつねである。

黒羽 瑠音 >   
「それこそ地球に来れる技術力があるなら、人の恰好の真似とか……調べてもそう簡単には人には分からないとか」
「或いは、人間そっくりの姿の存在を送り込んだりとか」

色々考えられますよねー、といいながら片手で尻尾を下から優しく支えながら櫛を通していく
何だかとっても落ち着いた時間が流れている気がして、少しくすぐったくなる
プールに漬けた足がゆらりと動いて、ぱちゃぱちゃと涼やかな水音を立てた

「ふふー、家にいた子のブラッシングは私の仕事でしたから、ちょっとくらいは……」
「先生たち皆、夏休み前はとってもお疲れだったみたいですから、少しでも疲れが取れてくれればうれしいです」

コミュニケーション学のレポートがどうだったかは分からないけれど、大変だったのは間違いないだろう
緩み切った顔のおこん先生を見て、少し緩んだ顔になる私なのであった

「ぴちぴちですね~~しょーじき、私よりずっと若く見えますもん」
「九尾の狐……って、ちょー有名な奴じゃないですか、漫画とかゲームにも引っ張りだこの……」

「――  後でサインとかもらってもいいです?」

マジの超大物だった、いや、他の狐のネームドを良く知らないのもあるんだけれど
それにしたって九尾の狐、日本だと知らない人の方が少ないんじゃないだろうか

「成程~~私、一人の料理はこっち来てから始めたくらいですけど、それは結構おいしそうですねぇ」
「油揚げに納豆、それにおろししょうがと醤油……今度作ってみようかな」

その後の返答はやっぱり私のイメージする九尾の狐とは違うけれど――
……あ、今気になって数えたけど尻尾九本ある、わぁ、通りで凄いボリューム……

全部ブラッシングするには時間がかかりそうだね!!

「よーし……」

謎のスイッチが入った音を耳の奥で聞きながら、私は腕まくりしつつ九本の尻尾へと挑みかかるのだった

おこん > 「そうじゃなー。 もしかしたら鉄塔に住んでるかもしれんしのう。
 おお…それじゃ、尻尾持ってもらって梳られるのはたまらんのう~。
 ワシ接待されとるのう! いやあ、疲れもなにもこれは心地よい…。」
すっかりリラックスして、相手のブラッミングを受け入れる。
相手の手腕たるやおこんも舌を巻くレベルであった。
もし自分が動物だったら、たまらずにお腹を見せてすっかり懐いていただろう。

「そうじゃよ~。 ほれほれ!」
1本の尻尾が一瞬のうちに9本にまとまり、また1本へと変化する。
9本の状態に広げてから、相手に見せびらかせた。

「ワシは長生きじゃけど、色々あってこんなお子様ぼぢーじゃからのう。
 まあワシ以外にもおるんじゃろうけどな、九尾なー。
 サインなんていくらでも書くんじゃよ! なんか呪詛とか込めた方が良いかのう?
 それとも居酒屋とかの壁に飾ってある感じのサインとかのほうが良いかのう?」

驚く彼女に対してのんびりしたものである。 小首をかしげ、身体を擦り寄せて甘えながら
相手の希望に応じようとするのであった。

「うむ、そんなに難しくないし米にも合うんじゃよ。 いなり寿司も好きじゃが…。
 おっ、気合をいれ…気合をいれたのか?」
おこんは気付いた。 1本でアレだけトロトロにされてしまう手腕の持ち主である。
1本の尻尾であの威力で、それが9回? 果たして耐えられるのか?
彼女がブラッシングに満足したころには、自分はなんかでろでろになっていないか?
一筋の汗が頬を伝った。

黒羽 瑠音 >   
「えへへ、といっても私よりたまーにやる母さんの方が上手だったんですけど……年の功ってやつでしょうか」

それでも褒められると嬉しいもので、ぶわぁっ、と広がったおこん先生の尻尾をもふぅ、としながら笑顔を見せて

「って事は九尾って個体名じゃなくて種属名だったんですねえ、初めて知りました」
「でも、おこん先生の姿、かわいくって親しみやすい感じですし、私は好きかもです……あー」
「うーん、こう、それっぽさを出しつつも怖くなりすぎない感じの……」

ろくろを回すような仕草をしつつびみょーに注文を付ける私
嫌だって、呪詛とかはやっぱりちょっと怖いし、興味はあるけど、うん
魔術以外にもそういうのを学べる講義とかもあるんだろうけれど、今のところは門外漢なのである

「はい、教えてもらったお礼に、私でよければたーっぷり、先生を癒させていただきますね!」
「久々ですし上手くできるか分かりませんから、嫌だったら言ってくださいね?」

ふんす、と大きく息を吐いて気合を入れながら二本目の尻尾に着手する
あ、これも微妙に手触りが違う……別々に動くだけあってやっぱり状態も変わるんだなぁ、と妙な納得
すり寄ってきたおこん先生の頭……は子ども扱いみたいで流石に失礼だろうし
腰あたりに手を添えて尻尾の位置を調整しながら、すっ、すっ、とまた櫛を通していくのであった

おこん > 「なるほどのう…。 かかさまか、うむ…!」
かかさまという言葉にグッと来るのは、彼女の優しさとあどけなさが
庇護欲を刺激するからだ。 尻尾を楽しんでいる彼女に
どこか優しげな視線を向ける。

「そうじゃな。 一応複数おる…おったと聞いておるが、その数は少ないじゃろう。
 ワシもどれぐらい残っておるのかはわからんがな!
 ふむふむ…褒められたことだし、ちょっとかわいくサインするとするかのう。」
相手の要求は難しいが、おねだりされたら応じてしまうのがおこんである。
よしよし、と頷いてから、相手のブラッシングに自分を委ねた。

「うむ、ワシも覚悟ができた…遠慮なくやってくれい!
 おっ、お”お…!! これは…! 一本めとは、異なる…ん”ん!!」
先ほどとは異なる尻尾であるから、感じ方も若干異なる。
つまり、残り七本、新鮮な心地よさを堪能できるという事実に気づき、
はひゅ、と小さく息を漏らした。 そうしている間にも櫛が優しく
尻尾の毛並みを整え、そのたびに心地よさげな、情けない声を上げる。

黒羽 瑠音 >   
「ふふ、自慢の母さんです、櫛とかの美容品もこっちくる前に母さんと一緒に選びましたし」
「父さんのセンスは微妙だから任せられないわーって」
「その間父さんの姿は見えなかったんですけど、合流した時に私が欲しかったゲーム機用意してくれてて……」

嬉しかったなー、と此処に来る前の事を思い出しながらくすくすと笑う

「うーん、あってみたいような、ちょっと怖いような……」
「かわいいのお願いします、きっと友達も驚くと思うので!」

まぁ信じて貰えるかというものはあるけれど、その時は写真の一枚でも撮らせてもらおうかなぁ何て考えたり

「……大丈夫ですか?でも、本当に触り心地、いいですね、狐の尻尾って触った事無いですけど」
「はい、三本目も行きますね、おぉ、何というかこっちは少し凝ってる感じというか……」

一本一本違う尻尾を簡単に品評の真似事何てしながらゆっくりと梳いていく
手で撫でるように状態を確認し、櫛でゆっくりと梳いてさらさらの尻尾からほつれを取って……
うん、結構……こういうの楽しいかも

おこん > 「よいご両親じゃな。 おぬしの声色から良く伝わってくる…。」
幸せな家族のことを思い出して離す彼女の声に、どこか遠くを見るような色が混じる。
穏やかな調子で彼女に答えながら、のろのろと手を動かした。
「と、とりあえずサインの話しはあとじゃあ…まずは尻尾を終わらせんとなるまい…!」
1本1本丁寧に尻尾をブラッシングされたのでは、心地よさにこちらがもたない。
彼女を促すようにしておねだりをしてみせた。

「ふふふ…尻尾には自信があるのじゃ。 狐は人を誑かすからのう。
 この辺もきちんとしておらんとならんで…お”お”お”」
3本目の尻尾に優しく触れられると変な声が出た。
人間でいえば、肩こりをほぐされているような…指圧でも受けているような心地よさである。
「おぬしは…慣れておるのう、本当に…!」
恐ろしい腕前である。 はるか昔の記憶の中で侍らせていた人間たちも、
ここまで心地よい触り方をしたものはいなかったように思えた。

「…ど、どんどんやってもらってよいぞ…!ワシはタフじゃあ…!!」
絶対に生徒のブラッシングに負けたりなんかしない!
頑張って彼女に笑いかけるも、その顔がとろとろに緩みきっているのは明らかだった。

黒羽 瑠音 >   
「はい、私が此処に来ることを決意した時も、快く送り出してくれた自慢の両親です」

はっきりとそう言い切りながら満面の笑みを返す、それが多分、私が一番誇れる事の一つだから

「狐と狸といえば化かすってイメージが強いですよね」
「こう、昔の有名なアニメ映画にも化かしあいみたいなのがありましたし……」
「おこん先生もやっぱり凄いんですか?っと……次は四本目……」

すっ、すっ…  すっ、すっ………  すっ、すっ……………

「そんな事無いですよ~~私よりブラッシング得意な人はきっと幾らでもいますし」
「よし、っと……五本目、あ、ダマになってる所ありますね、これくらいなら指で……はい、とれました」

すっ、すっ…  すっ、すっ………  すっ、すっ……………

「この櫛だって髪の毛用ですから、尻尾につかうやつとは勝手が違うでしょうし?」
「六本目…… もうちょっと根元の方までやっても大丈夫ですか?」

すっ、すっ…  すっ、すっ………  すっ、すっ……………

「七本目……ふぅ、外はまだ日差しが強いみたいですね、あっ、一人倒れて……運ばれていきましたね」
「帰る前に飲み物買っておこうかな……こういう時はポカリがいいそうですね」
「よっと、此処は結構……ならコームで毛玉をほぐして、っと、痛くないですか~?」

すっ、すっ…  すっ、すっ………  すっ、すっ……………

「八本目……ふふ、何時もは自分でやってるんですか?それじゃあきっと大変ですよね、一本ごと趣も変わりますし」
「私、先生のブラッシングするの楽しいです、よければまたやらせてくださいね」

すっ、すっ…  すっ、すっ………  すっ、すっ……………

「九本目、最後です、最後ですし念入りにやりますね?」
「楽にしてて大丈夫ですから、夏休み明けからお世話になるお礼の前払いって事で一つ」
「いやでも、私も楽しいからお礼になるかといえば微妙な気も……?」

すっ、すっ…  すっ、すっ………  すっ、すっ……………

「よし、っと――」
「はい、終わりましたおこん先生、おつかれさまでした♪」

「えへへ、色々教えてもらってありがとうございます、本格的な講義は夏休み終わってからですけど」
「よければ、また会えたら色々教えてくださいね?」

名残惜しそうに全ての気をブラッシングし終えて、私は満足げに満面の笑みで先生にお礼を言う
日差しは暑いけれど、心は別の嫌じゃないぽかぽかした暖かさに包まれていて
こんな暖かさなら年中歓迎なんだけどなぁ、何て思うのでした

おこん > 「うむ…きちんと送り出してくれる親というのは良いものじゃ。
 ワシはなかなかそうはいかんくて…おっお”ぁお…!!」

「わ、ワシも昔はのう、人間を侍らせてえ”えぇ…!!
 色々悪いことをしておったんじゃよ、うぅぅぅ…!
 っふっ、んっふ…うむ…!!」
1本ごとに感覚が変化し、彼女のブラッシングを毎回新鮮な心地よさとして叩きつけられる。
妙な声を上げ、反射的に小さく腰を浮かせて尻尾をブラッシングしてもらう感覚に酔いしれる。

「ほっ、はぁっ…はふー…お、おう、付け根か!付け根も頼むとするか…ん”っ…!
 う、うむっ、全然、痛くない心地よいぐらいじゃ!! っはひ、はぁっ…はっ…!!」
自分の指を噛んでこれ以上の声を防ごうとするも、吐息と声を隠し通すことはできない。

「いつもは誰かにたのんだり、ぃ…じぶんでぇ…やってて…う、うむ!!
 おぬしにも頼もうかのう! っはっ、あっ、念入りに”い!? ま、まっ…
 あお”ぉぉぉ…!! んお、う―――っ…!!」
8本の尻尾へのブラッシングでヘロヘロになっているところに、トドメとばかりに”丁寧な”
ブラッシングが開始される。 耐えられる理由はなかった。 温泉に入って寝入ってしまうかのような、
魂がずるずると沼に引きずり込まれて溶けるような感覚に、最後に断末魔の声を上げた。

「…う、うむ…たすかっ、た…また今度、たのむ…」
ずるずると床にへたりこみ、イスにもたれかかるような姿勢になりながら、
手の代わりに尻尾を振って彼女に答えた。 もし彼女が9本の尻尾を”丁寧に”
ブラッシングしたのならば、この程度では絶対に済まなかっただろう。
安堵のため息をつきながら、口を開いた。
「おぬしの名前を受講者に入れておくから、新学期、たのんだぞ…!」
授業にきてねというつもりだったが、彼女にはブラッシングを頼むという意味に聞こえたかもしれない。
いずれにせよ、立ち去ろうとする彼女を見送ることしかできないのでした。

ご案内:「第三教室棟 職員室」から黒羽 瑠音さんが去りました。
ご案内:「第三教室棟 職員室」からおこんさんが去りました。