2024/08/19 のログ
ご案内:「第三教室棟 教室」に奥空 蒼さんが現れました。
ご案内:「第三教室棟 教室」にDr.イーリスさんが現れました。
■Message > Dr.イーリスのお手製スマホに、
蒼色のアイコンのアカウントから、連絡が入った。
『今日七夕の授業するから、なんか七夕っぽいメカ作って持ってきて!』
『授業手伝ってね!』
『人に"仕事を全うしろ"って言ったんだから、やるよね?』
『ね?』
『大丈夫、お礼はするから』
最早、脅迫である。
この間のちょっとした意趣返しだった。
■奥空 蒼 >
「今日は七夕だよ」
やたらデカい竹飾りが教室においてある。
■男子生徒 > 「違います」
■女子生徒 > 「日付感覚狂ってるだろこの鬼教師…」
■奥空 蒼 > 「破壊神が七夕だと言えば、七夕だよ。」
「まあ、一歩譲って八夕という事にしてやってもいい。」
「以降、七夕であることを否定した者は"消す"のでヨロシク!」
意地悪な笑顔。理不尽なヤツである。
「そういうわけで今日のテーマは、星、祈り、魔法。」
「そして―――今日は特別にお手伝いしてくれる子を呼んでるんだ。」
「イーリス、お願いしていい?」
それはあまりにも
あまりにも酷い―――
■奥空 蒼 >
無茶ぶり、であった―――。
■二時間ぐらい前のイーリス > 『いや、普通に考えて授業に合わせて即日メカを発注されても難しいでしょう!? といいますか、作成にかけられる時間は一時間といったところですね!?
分かりました……私なので普通に考えなくていいです、急いで造りますよ!
それと、この時期に七夕はおかしいでしょう!』
とお返事。
ぎゅいいいいいいいいいいいいいいいん!!!
《常世フェイルド・スチューデント》アジトのラボで機械が激しく動いた。
「……一時間で完成しました。我ながら、自分を褒めたいです。試験運用は全く行っていませんが、時間ないのでそのまま学園に持っていくしかないですね!」
そうして、欠落だらけのメカが完成したのだった。
そこにいたのは、完璧に機械感を出している織姫一号と彦星三号。
織姫一号と彦星三号はなぜか笹を立たせる形で背中に背負っていた。
■Dr.イーリス > そうして、授業。
今、到着したところであった。
「はぁ……はぁ…………」
メカを開発して急いで来たので、息を切らしている。
カート型メカで運ばれてきた織姫一号と彦星三号が地面に降りた。
「……授業始める前に、休み時間にしてほしいです。疲れました……」
■Message > 『天才かよ』
もはや、ツッコミはパーフェクトだった。
蒼いのは多くは語らずに彼女を強く賞賛した。
■奥空 蒼 > 「天才かよ」
やってきた少女を見て、蒼いのは目を丸くして驚愕した。
なんと、驚くべきことに―――
この子、あの短時間でやりやがった。
我ながらとんでもない無茶ぶりを投げつけたのはわかっているのだが。
本当に作って来た……やっばいなこの子!
な、なんだこれ。
めっちゃメカっぽいな……?!多分これ、織姫と彦星なんだろう
……それはちょっとわかる。
「おおう……お疲れ様。後でジュース奢ってあげるー。」
「まぁいいや、10分自習で!休憩っ」
授業中だけど、自習が始まるのもいつもの事。
休憩を要請されてとりあえず間を置くことにしてみた。
■Dr.イーリス > 「お褒めいただきありがとうございます。ぜぇ……はぁ……」
物凄く息を切らしていた。
連絡を受けて二時間足らず。
『数ある事務所』から《常世フェイルド・スチューデント》アジトに向かい、一時間で織姫一号と彦星三号を開発製造。
そこからカート型メカと共にトラックに乗せて、学園に来たわけである。
「……自習にしていただけてとても助かります。やすみます……。ジュース奢ってくださり感謝です……」
空いている最前列の席にぐったり座る。
「ところでどうしてこの時期に七夕なのでしょう? 時期外れでしょう」
こてんと小首を傾げた。
■奥空 蒼 > 「……ああ、あれだね。移動か。」
距離って概念に縛られてると、大変だ。
私はそういうのないから自由なんだけど。
そう、だからこんなこともできる。
教室から一瞬で消えて、
すぐに戻る。
片手にはジュースのボトルを握っていた。
何かめっちゃシュワシュワする黄色いビタミンなんとかだ。
「どうぞ。教室でジュース飲むなとか固い事は言わないからさ。」
にこやかに。それを差し出した。
「少し、想うところがあってね。」
「お空の星に祈るってのがどういう事か、そういう話をしてみたくなったんだ。」
さっき凶星を降らせて、オススメしただけなんだけどね。
「……段々と、忘れられて、遠ざけられているようだからさ。祈る事って。
それに―――いや、まだこれはいいや。」
ちょっと、邪神として思うところがある。少しだけ聞いてもらおうって思っただけ。
■Dr.イーリス > 「移動距離、結構長いんですからね……! 私のお家、落第街なので!」
物凄くとばした。
イーリス、無茶振りされてちょっと不機嫌。
一瞬消えた蒼さんに目を丸くする。
戻ってきた蒼さんからボトルを受け取った。
「ありがとうございます」
ごくごく、とボトルを口につけて喉を潤わせる。
「生き返ります。お星様に祈る……なるほど、そういう事でしたか。私、昔に願い星にお願い事した事があるのですが、全然お願い叶わないですよ」
昔々、イーリスがまだロクにメカも造れなかった頃。
イーリスの前からいなくなってしまった義母が帰ってくるようお星様にお願いしたのに、未だ叶っていない……。
「て、ああぁ! こけちゃったじゃないですか! 一時間で造ったから!」
彦星三号ががしゃんとこけて、頭がぴかっと光り出した。
教室がとても眩しくなり、目も開けていられなくなる。
「ま、眩しいです!」
■奥空 蒼 > 「ああうん…そう。ごめんね……」
色んな意味で申し訳なくなった。
ついでに今さっきその辺にデカい隕石一個落したわ。
ごめんね。
あんま多くは言わない。
「結局のところさ、願いが叶わないから、みんな祈るのやめちゃうよね。」
「……それで、何を願ったのさ?」
「今日は祈りと魔法―――ひいては、祈り、神についての話でもしようと思って、さ。」
星神ねえ。
いるとしたら、随分薄情な神じゃないか、って笑っちゃうよね。
…お?
「んふっ、あっはっはっはっは!!」
「なんだそりゃ!」
「面白いなぁ…っ」
失敗作だった、とは言わないけれど。
そのあたふたする素振りがもう本当に面白い。
めっちゃくちゃ光を放った。
他の生徒の次週の迷惑にならぬように、指を鳴らすと―――
彦星三号が、消えた。
「5分だけ、消しといたよ。」
何とも限定的な手品。
■Dr.イーリス > 「いえ、その、謝られる程の事ではないです! 大規模な攻撃の影響で通行止めくらいました。それに関しては、蒼さんは関係ない事ですけどね」
その大規模な攻撃(隕石)をした人が目の前にいた。
ちょっと不機嫌だったけど、別に謝られる程のものではないと両手をぶんぶん両手を振る。
「……叶わないから、祈るだけではなくて自分から頑張ろうとするのだと思います。空を飛びたいと願ったから、人類は熱気球や飛行船、飛行機、さらにはロケットまで造ったのです」
祈るだけでは叶わない、だからイーリスは科学を学んだ。
「願い事……。私の前からいなくなってしまった大切な人が帰ってくるようにと、そう祈りました。ずっと待ち続けているのに、その人はまだ帰ってきません……」
悲し気に、イーリスは視線を落とす。
「祈り、魔法、神様についでございますか。やっている感でも、なんだかんだで授業やっているのですね」
感心しているのか感心していないのか微妙に分からない褒め方だけど、イーリスなりになんだかんだで真面目であると褒めているつもりだった。
「彦星三号おぉおぉぉ!!」
消えた彦星三号に驚いて、声を上げる。
造ったメカが謎に消えってしまったので焦ったけど、蒼先生の説明を聞いて落ち着く。
「五分後に戻ってくるのですね。今の内に遠隔操作で光をオフにしておきましょう」
スマホを取り出し、彦星三号の頭の光を消す。
■奥空 蒼 > 「へえ、そう。落第街で通行止め喰らうくらいのデカイ影響の大規模攻撃かー…」
……いやそんなまさか。あははは。
いや、まさか。ね?
真っ蒼なクレーター作っちゃったけど、大丈夫色には言及されてないしきっと別だろう。
自己顕示の為に私の髪色とほぼ同じだけどなアレ!
「だねえ…」
「今の時代さ」
「個人で出来る事が増えてきているって思うんだよな」
「情報が増えた」
「異能が現れた」
「魔術が顕れた」
「こうして便利になるたびに、祈ることが減るのは。」
ちょっと寂しい。ま、それは―――破壊神が言うまでもない。
だって、こうして、まさに一人で出来る事を増やし、祈るだけから脱却した子がいるんだもの。
けれど。
同時に―――諦めもあるように、感じた。
「大事な人。大事な人か―――」
(そういう願いってさ。)
(もう二度と取り返しがつかない状態になってるってことが往々にしてある。)
上手い言葉が思いつかない。
私は破壊の邪神。
救済の神じゃない。
彼女に救いの手を伸べられるのは、もっと別のモノだろう。
「星に祈って得られる力、誰かから、神から得られる力って、話をね。
まぁ、去年やったときは"そんなの星に祈らなくても光属性魔法で良いでしょ"って笑われたし、
実際その通りだけどさ。―――個人で出来ることが増えるってのは、良い事なんだろうけど、ね。」
「―――はい。ところで三号って何さ。えっもしかしてコレ、作成段階で2回失敗してるの?」
「……ソレ、織姫?」
まるで手品のように蒼いのの手に彦星三号が乗っていた。
既にあの眩しすぎる光はない。
■Dr.イーリス > 「最近、白黒の仮面のマークを掲げた人達が落第街で暴れていますので、多分その関連でしょう」
通行止めをくらっただけで詳しい状況をイーリスは把握してなかった。
クレーターがつくられた事ぐらいは聞いてる。
戦慄ものである。この戦慄は知らず知らずの破壊神への恐怖になるかな。
イーリスのかつての不良仲間も暴動に関わってしまっており、内心全く穏やかではない状況。
「祈る事が減ってしまったのは、人類の進歩によるものでしょう。蒼さんとしては、確かに思うところは……あるのですね」
蒼さんは邪神として、“恐怖”や“承認”を喰って生きている。
科学や異能、魔術の発展は人類が神から自立していく過程をとらえる事も出来るだろう。
「それでも、私はその人がいつかは帰ってくると信じています。祈っても願いが叶わないから頑張る、と言いましたが頑張りながら願いが叶うのを待つのもいいですよね」
そう口にして、にこっと笑みを浮かべてみせた。
「光属性魔法で良いでしょう……ですか。どう……でしょうね……」
イーリスは天井の証明に右手を伸ばす。
「先程の話の続きですが、人類はロケットで宇宙まで行けるようになりました。しかし、お空に浮かぶお星様にはまだロケットではとどきません」
照明を星に見立てて、イーリスは空を掴み、とどかない事を示す。
「“光属性魔法でいいでしょう”、そう線引きしてしまった時、もうお星様には何もとどかなくなってしまいます。お星様の願いで得られる神の力は通常の光属性魔法よりも魅力的なのかもしれないのに、そこに到達できなくなります」
天井と証明を見上げ続ける。
その瞳に映るのは、今よりももっと成長を遂げた人類の技術。
イーリスの純粋で底のない好奇心は、とどかないものに頑張って手を伸ばしも満たされない。
「彦星一号は、身長三十センチぐらいでしたがとてもよく出来たメカでしたね。彦星二号は……お空に飛んで行ってお星様になりました……。織姫一号です! 織姫を造るのは初めてだったんですよね。彦星三号が消えたから泣きそうになっていた織姫一号が笑顔になりましたね!」
表情なんて設計できる時間がなかったので、織姫一号の表情なんて何も分からない。
■奥空 蒼 > 「ああうん、多分それだね~。ゴミ処理係としてはやってる感出して対応終わってる~。」
それの屯する地域を吹っ飛ばした事は、知る由もないだろう。
なんというすれ違いであろうか。
お互いに!
この事実の主犯と!
被害者であることを!
認識していないのである!
「でも―――祈ることが減ったのは、悪い事だけじゃないさ?
存在する価値のない神共が消えてくれるからね。…ああごめん、今のはナイショ話。
でも、少し…ね。」
何か、少しだけ…本性を吐いてしまった。
―――どうもこの子の前では、色々と吐き出したくなってしまう。
「――ああもう。……眩しいね。……頑張りな、よ。」
懸命に何かに祈って、
願う事を目指す姿は―――眩い。
そして、続く言葉も、そうだ。
「へえ」
「神の力。」
「魅力。」
「普通では得られない。」
「到達、かあ。」
「良いね。」
「キミにこの話をしただけで、今日七夕の話をしようと思ったかいがあった。」
「落第街で暮らしているキミが、そんな魅力なんて事―――何で思考できるの?
ゴミを漁るほど明日に困っていたはずの、キミが。
……大切な人が帰ってこないで、なお眩く笑えるんだろう……?」
それは。
純粋な疑問だ。
邪神には理解できなかった。
理解できず―――その、空を仰ぐ素振りを、
とても…とても、眩しく思った。
本性が邪悪だからこそ、その光は自分が照らされるようにすら感じた。
そのくせ―――
「んふ、そう―――」
「いやあ…」
「彦星一号はどこいったの、とか、二号はなんで空飛んでったの?何?ロケットでもつけようとしたの?とか。
織姫を作るのは初めてってむしろそれ以外初めてじゃないの?!とか。
絶対織姫もこれなんかの危険な不具合あるだろ?ワキからビームとか出さないでしょうねコレ。」
そのくせ、
こういうおちゃめなところもあるんだから。
(はー……ほんっと……面白い子。)