2024/07/22 のログ
水仙 倫太郎 >  
「うーん、そういうモンか?
 なんか単純な力押しでどうにかなる感じにもみえねーけど……。」

怪異とは文字通り人智を超えた(なにがし)だ。
伝承から噂話、何からに至るまで畏れが形を成したもの。
妖怪、幽霊、それこそ倫太郎から見れば"何でもあり"の印象が強い。
確かに腕っぷしには自身があるが、それだけでどうにかなるのか。
専門家である彼女が言うならそうかもしれないが、何ともしっくりこない。
うーん、と唸り声を上げながら懐をチラリと目線を配る。
何時も肌見放さず持っている、古ぼけた刀の鍔だ。

「まぁ、(コイツ)があれば大抵触れたりはするけど、威力か。
 破邪の……なんだって?そういうのって売ってたりするのか?」

そのへんの感覚は一般人。
イメージとしては破魔矢とかそういうのらしい。
今の御時世、何でもありだからついつい売ってるものだって思っちゃう。
格好をつける必要のないと言うが、人差し指を立ててち、ち、とゆっくり左右に振った。

「何言ってんだよ。カッコいい方が、お前にとってもお似合いなんだ。」

可憐な美女にはかっこいい男とそう決まっている。
恥ずかしげもなくこういう事を言うタイプの男だ。

「(────……何よりも……)」

これは、胸中に秘めておく。

「(いざ俺が強くならねぇと、どっか行っちまいそうだからよ……。)」

彼女の過去と、その生業。
普通の世界にいる自分とは余りにも住んでいた世界は違う。
だから常に隣にいるために、いたいという我儘のため。
彼女と立ち並ぶ為に、隣にいたいんだ。

じ、と彼女の顔を見る視線は真っ直ぐで、固い決意のようなものも見え隠れ。

竜胆 襲 >  
「最近夜間の校内に出現している黒い影の怪異については、
 そこまで強力な怪異はまだ私は見かけていませんから…」

動物型の影などが殆ど…。
時折現れる人型は……恐らく害意が強い。
ミコちゃんが怪我をしたのも記憶に新しい。
あまり、無茶をしてほしいわけではないけれど。

それ以上に──怪異を殺さねばならないという意思が強い。

「祭祀局なんかに道具を卸している部活の生徒さんなら、
 そういう祓道具も工面できそうですけど…秘密裏に入手するには確かに難易度が高いでしょうか。
 私でよければ、真似て作ってみましょうか?」

あらゆる魔術に精通して、凶祓いの血を継ぐ少女。
魔を祓う道具についても多少は覚えがある。
完璧とはいかずとも、模倣品くらいならば、と。

「…………」

視線をあげる。
真っ直ぐにこちらを見る眼と、視線が交差して。

言わずとも、伝わってくる、強い意志。
どこか安堵するのは、守られているという安心感からか、あるいは。

「じゃあ、しっかり格好良く私を守ってくだしね。倫太郎くん」

ふわりと、柔和に微笑んでそう告げる。
この言葉が呪いにはならないといいな、と内心少しだけ、思いながら。

水仙 倫太郎 >  
「でも、何時か出てくるいかも知れねぇからな。
 それなりの準備は……え、作れんの?多才すぎだろ……。」

流石は退魔師。そういうのには精通してるらしい。
驚きに目こそ丸くすれど、すぐに彼女の前では笑みを浮かべ頷いた。

「おう、頼むわ。襲が造ってくれんなら、どんなモンでも百人力だ。」

性能よりも彼女が造ってくれたという事実が大事だ。
屈託もなく言ってのければ視線が交わる。
まるで血のように赤い視線と、黒の視線。
柔く微笑んだ彼女に任せとけよ、と自信満々に答えた。

前々から、その顔付きは美人で可愛げもあると思っていた。
最初見たときは辛気臭いな、とは思ったけど、今はそれさえ愛おしい。
何気なく視線が交わっただけなのに、目が逸らせない。
好きな彼女が目の前にいて、静かな二人きりだけの空間。
邪魔するものだっていない。だから、それはごく自然な動きだった。

何気なく彼女の肩を抱いた。
太く、硬い男の腕。振りほどく事自体は簡単な程度の力だ。
交わる視線が、より近くなっていく。もっと彼女を近くで見たい。
彼女が欲しいから、近くなるのは当然だ。そう、ごく自然な事。
だから、互いの吐息が重なり、やがて唇が────────……。

水仙 倫太郎 > \ゴトッ/
水仙 倫太郎 >  
「おわーっ!?おっ!?お、おぉ……落ちただけかよ、ビックリさせやがって。」

……とはまぁ、上手くいかないようだ。
落ちてきたネコマニャンのクッションにビックリして離れってしまった。
ともかく、誰かが入ってくるわけじゃなくて助かった。
これにはふぅ、と安堵の吐息を吐いたが自身の行いを思い返せばちょっと気まずい。

「あー……っと、悪い。ちょっと何かヘンになっちまったし、外いかね?
 その、道具造るのにも材料とかいるだろ?突発だけど、二人で歩こうぜ。」

なんてちょっと誤魔化しついでだが、いい口実にはなる。
ちょっと引きつった笑みを浮かべながら、そっと大きな手を差し出した。

竜胆 襲 >  
「見様見真似ですよ?退魔の術具なんかは、使っているものも多いですか、ら……」

言葉尻が窄む。
視線を交えていた彼が、自然な動きで自分の肩を抱く。
年齢を考えれば、随分とがっしりとした、自分とは真逆の体格。
彼からすれば折れそうなほどに細い肩…。
自然、互いの顔は近づいて。

「…ぁ、えっと……」

わずか戸惑うように少女の瞳が揺れて。
数瞬後には、ゆっくりとその瞳が閉じられてゆく。
二人きりの空間で、二つの影が重な───

───る直前に、離れた。

棚の上に置いてあったネコマニャンのクッションが二人の間に落下。

「………」

ふぅ。とこちらもため息。どこか、とても残念そうである。

「…外、暑いですよ?
 いいですけど、日陰を選んで行きましょう」

肝心なところで締まらない彼に少しだけ肩を落として。
差し伸ばされた大きな手に、細い指先を重ね、漸く少女は炬燵から這い出るのだった──。

水仙 倫太郎 >  
「大丈夫だって。学園で配られてる冷却用の札?みてーなのあるしよ。
 それと合わせてバイクと一緒に走るとすげー気持ちいいんだよ。」

いい感じに風が冷やしてくれて心地が良いのだ。
彼女の手を取り、ゆっくりと一緒に歩いていく。

「(……ん、つか……。)」

あの一瞬、凄い残念そうな顔をしていた。
もしかして失望されたのか。それとも本当に期待して、どっちだろうか。
当然そんな事面と向かって聞けるはずもない。

「(ネコマニャンめぇ~~~~~~~!!)」

ギリギリと奥歯を噛み締めて落ちてきたネコマニャンを睨んだ。
おのれネコマニャン、覚えていろネコマニャン。
一人勝手にマスコットを敵視しながら、暑い夏を二人で行く。

まだまだ、お互いの歩み道はこれからだ。

ご案内:「占星術部部室」から竜胆 襲さんが去りました。
ご案内:「占星術部部室」から水仙 倫太郎さんが去りました。