2024/06/07 のログ
■焔城鳴火 >
「熱心さの種類が違うって言ってんの。
隠すつもりがないんなら、事情くらい言いなさいよ。
お前がこうして、学園に居座ってるのにも関係してんじゃないの?」
シガチョコを手に取ったのを見て、箱を白衣のポケットに押し込んだ。
それっぽい仕草を真似るところにクッと小さく喉を鳴らすように笑う。
「可愛い顔してる癖に、意外と様になるじゃない。
――ああ、静岡の秋葉神社。
ついでに言うと、母親の実家、所謂本家なんだけど、そっちも千葉の神社。
穂宮神社って、それなりにでかい神社。
主祭神は神吾田鹿葦津姫――コノハナサクヤビメって言った方が分かりやすいか」
シガチョコを咥えたまま、そんな風に親戚事情を話す。
シガチョコを咥えている様子は、やけに様になっているだろう。
これが本物の煙草であっても、恐らく違和感がないようには見えに違いない。
■風花 優希 >
「事情も何も、こうしてるのには今言ったこと以上のものは無いですよ」
涼しい顔であっけらかんと。
ともすれば本当に、そこに隠すものも秘めているものもないかのように。
あから様に”居座っている”と言い放つ言葉には、ほんの僅かに肩を竦めて。
「そりゃどうも、自分で言うのもアレですけど整ってますからね、顔」
その上で、冗談めかしてそんな言葉で返す。
「またそれは、結構有名なとこの産まれだったんですね。
そこまで詳しくない人でも、秋葉山は東海と言えば、じゃないですか。
でも木花咲耶姫ですか、あそこの御神体と言えば火之迦具土神って感じですけど」
■焔城鳴火 >
「ハ、やっぱりお前、色々と知り過ぎ。
今時の十代の学生が、そこまで知ってるわけないでしょうに」
今度はこちらが肩を竦める番だった。
「秋葉山の祭神はご存じの通り。
コノハナサクヤはあくまで母親の方ね。
ただあんまり、偶然には思えない組み合わせだって思わない?
秋葉神社の宮司の家の末っ子が、コノハナサクヤを主神にする家の娘とくっついたわけだし。
出来過ぎてるって言われてもおかしくない話よ」
そしてそのハイブリッドである鳴火が『鳳凰』と称されてるのだから、出来過ぎという次元ではないかもしれない。
「で、私はあんたが仕事をしてるって事自体はどうでもいいんだけど。
風花が興味を持っているものには、興味がある。
お前、なにか目的でもあんの?
――ああ、別に悪だくみしてるだろう、って勘ぐりしてるわけじゃないから」
ひらひらと手を振りながら、単純な興味なのだろう。
探りを入れるような回りくどさはなく、率直に訊ねるのだった。
■風花 優希 >
「そっちの方には詳しいもので」
そういう生徒の一人や二人、居るものでしょう?とでも言わんばかりの物言いであった。
「ああなるほど…神社同士の所縁…そりゃあお見舞いか家同士のアレじゃあないですか?
出来過ぎてるというか、普通ならそう思いますよ、それ」
どちらも火に連なる、所縁のある神である。
其処から産まれた彼女が鳳凰というのもまた、必然だろうとも少年は感じていた。
「そんな大したものではないですよ、ボクの目的何ていうのは。
図書委員の本来の役目と、大よそは変わらないですし……。
しいて大きく言うのであれば、天下泰平の為…ってやつです」
■焔城鳴火 >
「ノータイムで出てくるのは、専攻でもしてなかったらレアリティ最上位でしょ。
レジェンダリレア、ってところじゃない?」
昔から腐れ縁に付き合わされて触れていた、TCGに例えて表現する。
まあ、今であればアプリケーションゲームの方が思い浮かぶ言葉だろうけれど。
「純粋な恋愛結婚。
医学部で偶然出会って、結婚を決めるまで互いの実家を知らなかった。
ハ、そう考えると私も相当なレアものね」
肩を竦めながら首を振った。
「ふうん、なに、禁書の処分でもしたいの?
まあ、正直、学生が閲覧できるような、その気になれば忍び込めるような場所に置いておくようなもんじゃないとはおもうけど」
禁書がなぜ禁書と呼ばれるのか。
その理由を知っていれば、なおさらこんな場所に保管するべきではない――と、魔術に医者として以上の興味がない人間としては思うである。
魔術に手を出して大やけどをした患者は、飽きる程度には診察してきたのだ。
■風花 優希 >
「レジェンダリ…なに?」
逆にそっちの方面には疎いような反応を返す。
まあ、そういう生徒も居るにはいるだろうという範疇ではあるが。
「そりゃあまた、因果か神のお導きって奴でしょう。
縁っていうのもは、やっぱりありますからね」
巫女さんだったりしたらなおさらじゃないですか?
等と、冗談めかして笑いながら語り。
「ははは、処分何て逆に危ないですよ。
下手に藪を突いて大蛇がでてきちゃ世話無いですし。
ああいうものは、しっかりと封じておくに限ります」
「だから、ですよ。
下手に藪を突く輩が減る様に、仕事を果たしてるってわけです」
彼は真っすぐに視線を見返しながらそう語る。
そこに少なくとも、嘘は無いのだろう。
けれども、すべてを語ってもいなかった。
■焔城鳴火 >
「なんだ、サブカルには疎いのね。
あんた、実はすごいジジイだったりすんの?」
大方予想しているとはいえ、シンプルに暴言と取られてもおかしくない言葉選びだ。
「運命ってヤツなのかもね。
ま――私に飛び火しなけりゃなんでもよかったんだけど。
私もどうやら『ご寵愛』を受けてるようで、ほんっと迷惑だわ」
『巫女ねえ』なんて言って苦笑する。
この不遜とも言える女医が、本職巫女の資格があり、仕事にも駆り出された事があると言えば。
相手によっては笑えるようなギャップだろう。
「藪蛇って言うけど、手順さえ踏めばやれるもんでしょ。
別に一度に燃やすってわけでもないんだし。
それに、封印するならこんな場所はどう見ても不適切だと思うけど?」
それこそ、一般学生や教員に触れられない場所に置くべきである。
この島にある事自体は自然――つまり、外界に置くよりは安全だとは思うが、それでも違和感、矛盾を覚えるには十分だ。
「まるで、読ませたいみたいだと思わない?
――お前が正体を完全に隠蔽しないのと同じで。
ほんとナニモンなのよ、あんた」
先日話した通り。
鳴火の興味は目の前の少年『風花優希』にしっかりとフォーカスされているようだった。
■風花 優希 >
ピチピチの高校生の筈なんだけどなぁ…等と嘯いて肩を竦める。
何より嘘ではないのだ、少なくとも身体は若い筈なのだから。
「ははは…神の悪戯、ではないですけど…。
それこそ昔から、神のやることなすことで人は振り回される側ですからね。
それでも、巫女なら守られる側だからまだいい方かもですが」
致し方がない、と苦笑する。
見初められた人間の末路など、大体は散々だ。
「手順も分からぬものだって、山ほどあるでしょう?
触らぬ神に祟りなしと言うように、封じて収容する方が管理するだけなら確実です。
……まあ、ちと手の届く場所すぎるのは否定しませんが」
管理が杜撰…と言えばそれまでであるが。
その為の図書委員ではあるのだろう。
「ただ、この学園が何故そうしてるかの理由は、分かりますよ。
禁書とはいえそれは本、読むこと、用いられることで意味を持つ。
人には過ぎたるものであっても、中にはそれに耐えうるものも居る。
結局は、そういう手合を探したいんでしょうね」
その上で、そうしているのは恐らくはそういう事だろうと。
断定はしないが、ただそういうものだと思っていると、私見を述べる。
「……しかし、何者…と来ましたか。
困ったな、ボクはボクでしかないからなんといえばいいのやら」
■焔城鳴火 >
「確かにまあ、私の方はまだマシかもね。
私の従妹なんかは、気まぐれで体に『降りてくる』もんだから大変みたいだし」
神が気まぐれで人間を振り回す存在なのは、古来からそういうもの。
だからって大人しく振り回されないのが鳴火なのだが。
「ハ、冗談。
本気になれば手順なんか置き去りで処分だってできでしょうよ、この島なら」
それだけ、禁書以上に危険な存在すら抱えているのがこの島だ。
だから猶更、そういう連中に手を出されない様にも、こんな場所に本来あるべきではないと思うのである。
「やっぱりそういうモン、って思うわけね。
強靭な肉体か、精神か、魔力か。
結局のところ、この島の人間はモルモットと大差ない。
いい趣味してるわ、ほんと」
実験都市と言えど。
話題の禁書ほどあからさまだと、不愉快にも感じるのだ。
「お前がお前である事は、その通りなんでしょうよ。
私が訊いてんのは、『ただの人間』じゃないでしょって事。
ちょっとは聞かせなさいよ、お前の物語ってやつ。
もしかしたら、お前に協力だって出来るかもしれないでしょ」
そう、今日はシガチョコで少年を示しながら言った。
■風花 優希 >
「霊媒体質ってのもまた、大変ですよね。
味方になれば、これほど頼もしいものは無いですけど…」
神は気まぐれで、なにより贔屓をしがちなもの。
そう上手い事、やはり人では扱えない。
「さてどうでしょうね、下手な処分が出来ない書物なんて幾らでもあると思いますけど」
まるで確信を得ているかのように、そう語る。
その気になればどうとでもなる力があるとしても、その確実性は無い。
なれば、下手に触れないようにしているのだろう…と。
「中には使い手を探しているのもいるでしょうしね。
まあ、毒を以て毒を制す…ではないですが、毒を薬にしたいんですよ、人というのは。
それに、委員会なんてセーフティと名目上の秩序が機能してるだけマシですよ。
少なくとも強制的にモルモット実験されてるわけじゃあない」
良いように使っているのは否定しないが。
それも含めて”そういうものだろう”と、まるで気にしてもいない様に。
「して……ただの人間じゃあない…ですか。
……否定はしませんけどね、あまり公衆の場では口にしたくはないかな」
そうして、続く言葉にはそう返して。
視線を軽く、周囲に向ける。
今でこそ人こそいないが、ここは人が通りすがる場所だからと。
■焔城鳴火 >
「私も一回だけ経験があるけど、二度としたくないわね。
ま、助かった側の口から言うもんじゃないんでしょうけど」
そういう意味では正しく『寵愛』を受けているんだろう。
今だって、その『寵愛』の一片を道具の形で扱う事が出来るのだから。
それが鳴火の唯一、特異な部分と言えるかもしれない。
とは言え、鳴火自身はそう言った道具の使い方を知っているだけの、『非能力者』でしかない。
幼馴染の中で独りだけ浮いていた、被差別側の人間だった。
閑話休題――
「モノは言いようって知ってる?
とはいえ、お前の言うことにも理はあるわね」
毒を薬に――医学者としては馴染み深い。
そもそも、医学自体が無数の人体実験から成り立っているのだから、建前が整っていれば十分ではあるのだろう。
そして。
「――ふうん。
それは、邪魔ものが居ないなら、話してくれるって意味?」
少年と同じように視線を休憩室に巡らせる。
確かに踏み込んだ話をするには、少々オープン過ぎるシチュエーションであることは同意だ。
鳴火であれば根掘り葉掘りされても気にもしないところだが、それは鳴火の精神性が少々尖っているからにすぎない。
■風花 優希 >
「モノは言いよう。万物万象は捉え方次第。
なぁんて、言ってしまえば屁理屈かもですけど…
つまりはそうした事柄が減るための、仕事であり委員会なんですよ」
そう、当然の事実である事柄のように少年は語る。
その上で、続く言葉には軽く背を向けながら、肩を竦めて。
「……ええまあ、これでも一応? 一般生徒で通ってるので」
変な目を付けられたくはないんですよ、と。
ちょっとバツが悪そうに笑うのだった。
■焔城鳴火 >
「立派な図書委員さんですこと」
言いながら華奢な背を見て――
「ハハ――」
肩を揺らして笑い。
「私に目を付けられたのが運の尽きね。
でもよかったじゃない。
『霊亀』の方だったら――話を聞かせろ、じゃ終わらないわよ、絶対」
そう言って、少年の華奢な背を軽く小突いた。
「今度、私の部屋にでも来なさいよ。
話のついでに、美味い物でも食わせてやるわ」
『ビーフシチュー美味かったでしょ』と言いながら誘う。
■風花 優希 >
「……ポーラ先生だったらどうなるって言うんです?」
怖いもの見たさなのか、或いは念の為の確認なのか。
どうにも苦い顔をしながら、そう尋ねる。
少年の華奢で小さな身体は、こん、と軽く小突かれるだけでも大きく揺れる。
「はぁ……そうですね、ビーフシチューの礼もありますし。
その食事分くらいは、ボクも口を割りますよ」
「隠し続ける程のモノではない、筈ですしね」
■焔城鳴火 >
「『霊亀』だったら――あー――悪い、言っておいて不愉快になったわ」
突然、声のトーンが下がって真顔になるのだった。
「ハ、気分のいい返事じゃない。
じゃ、委員会の仕事がない時にでも来なさい。
これ私のプレイべートの連絡先」
そう言いながら私用の電子端末を手に取って、連絡先を表示して少年に見せた。
■風花 優希 >
本当に、一体何をされるというのか。
まあ既に着せ替えにされているが、それはそれとして、だ。
興味が湧かないかと言えば、嘘にはなる。
……主に、今後の為に。
「…おっけー、じゃあ近いうちに連絡しますよ。
でもいいんです?先生が生徒に連絡先渡して」
ともあれ、冗談めかしながらそう返し、電子端末に連絡先を保存。
長椅子から立ち上がって、本格的に仕事に戻る仕草を見せる。
■焔城鳴火 >
「この学園で、教員と生徒なんて大した違いなんかないわよ。
それに、お前の話を聞きたいのはあくまで私のプレイべートだからね」
そう言って連絡先が伝わったのを確認すると、端末をポケットに押し込んで。
「――それじゃ、連絡を楽しみにしてるわ。
お前もせいぜい、仕事に気合を入れすぎないようにしなさい。
やり過ぎても、良い事なんて案外ないからね」
そう言いながら、手をひらひらと振って休憩室を後にするだろう。
■風花 優希 >
「はは…それは、違いない」
それじゃあまた、と彼もまた手を振り返し。
去り行くその姿を見送ってから、仕事に戻るのだった。
ご案内:「図書館 休憩室」から風花 優希さんが去りました。
ご案内:「図書館 休憩室」から焔城鳴火さんが去りました。