2024/08/09 のログ
カエルム > トントンと肩を叩かれる。
振り返ると困り顔の司書が時計を指さしている。


…ああ。もうそんな時間か。
読み切れなかった本の山から数冊を選び借りる手続きをして図書館を去った。

ご案内:「図書館 閲覧室」からカエルムさんが去りました。
ご案内:「図書館 閲覧室」にマトさんが現れました。
マト >   
図書委員のお仕事、常世学園におけるそれは、一般的なそれと比べても多岐にわたる、そして時には禁書庫がらみの危険なものもあるとかないとか――とはいえ

多くの仕事は利用者である生徒教員たちが心地よく図書館を使うための雑務であり、今日もそれに従事する図書委員たちの姿があった

そしてその中には薄水色のワンピースを着けたマトの姿も――

「ふぅ、夏休みでも……嫌だからこそ本を借りる人も多いものなんだね、それに態々寮から此処に来て勉強をしている人達の姿も結構見かけるし……ちょっと不思議かもしれないな」

何て小首を傾げつつ返却した本が山積みされたカートを押すマト、今日は先輩図書委員も一緒であったりするので、そちらにそんな疑問を投げかけてみたり

ご案内:「図書館 閲覧室」に風花 優希さんが現れました。
風花 優希 >  
「学校から離れる時期だからね。
 普段なら借りずとも、ここで読めば済むんだし」

軽く背を伸ばしながら本棚の上段に本を仕舞い込むのは風花優希。
図書委員にして先輩であり、マトの”友人”である。

「とはいえ、やっぱり全体的には暇なもんだよ。
 人の数だけで言えば、やっぱり少なくなるからねこの時期は」

本棚を整え終えれば息を吐き、マトへと振り向く。
次の本棚に向かうカートと、歩幅を合わせて

マト >   
「よいしょっと、次は……ここだね」

身軽、というより跳躍に適した得意な体を活かし
天井近い本棚へも脚立を使わず飛び乗って本を返したり

「人によっては何時もの数倍、まとめて借りていく子もいたね
あれ、ちゃんと忘れずに全部返せるのかな?」

すっと肩が当たりそうなくらいの距離まで戻ってきて
並んでまた、綺麗に整理された本棚の間を縫っていって

「そういえば、優希は普段どんな本を借りるんだい?」

暇と言えば暇なのは此方も同じ様子
仕事の間の雑談も増えたものだ、それだけ慣れたとも言えるけど

風花 優希 >  
「あまりぴょんぴょん飛ばないようにね」

怪我はおそらくしないだろうが、本が傷むからと。
苦笑しながら本棚に飛び乗るマトを軽く窘め。

「もちろん。返し忘れる人もいるよ。
 まぁそういう人は一冊しか借りてなくても忘れがちなんだけど…」

肌に触れそうな位置にいる後輩に動じることもなく。
世間話のような会話を交えて、また次の本棚へと。

そうして夏休みの間の日常となった、図書委員の仕事を続けていた。

「ボクかい?
 ふーむ…実のところ、本はあんまり借りてないな」

マト >   
「分かってるよ、ふふ、ちゃーんと加減はするさ」

ちなみにマトの体重は凡そ20㎏、平均的な本だと50冊分くらいだろうか

「一事が万事ってやつか」
「そういう時はメールとかも打ってるだろうけれど……
それも忘れてたらどうするんだい?家に取り立てにいったり?」

まだまだ仕事への疑問は尽きない用で……
或いは、ただただ『友人』と話したいだけなのか

「そうなのかい?ちょっと意外かもしれないな
それこそいろんな本をすらすら読めそうなイメージがあったよ」

風花 優希 >  
「トラブルがあるのは大体同じ人って奴だね」

肩を竦めてからからと。

「取り立てまでは稀だけどね。
 ま、先生を通して注意が行くのが普通かな」

それこそ禁書でも持ち出さぬ限りはそんなものだと。
かつての昔であればともかく、現代では本もまた消耗品。
案外とその手の『紛失』も珍しいことではない。

「必要性がそこまでないからね。
 それにボクは本ではあっても、読者ではないんだ」

本を手に取り、また一つを棚に戻す。
そうした仕草を見せる彼の動きに乱れはない。

実に定まった、どこか機械的な動作だ。

マト >   
「最悪『買い替えれば』いいって事か……
でも、出来ればちゃんと読んで、次の人に渡してほしいね」

何てあなたの答えを聞いて頷きつつ
それはきっと平和の証でもあるのだろうけれど
だからこそ『皆のルール』は守ってほしいね、と

「成程……」

そして続く、自身は読者ではない、という言葉
それに対し、少し何か考えるそぶりを見せつつも

「んッ、今度はこっちの……あ、この小説
新刊出てたんだね、知らなかったな」

何て棚に戻そうとした本に目を向ける
所謂ラブコメ系の小説の新刊のようで
今度借りてみようかな、なんて呟きながら棚に戻す

整然と本を返し続けるあなたとは対照的に
そんな感じにマトは度々戻す本に興味を向けている事だろう

風花 優希 >  
「予算も嵩むし、絶版の本だと変えも聞かないからね」

借りたものはしっかりと返してほしいものだと。
その言葉に頷くように同意する。

秩序というルールがあるからこそ、社会は機能するのである。

「……キミはほんとに色々と読んでるなぁ。
 知識本に飽き足らず、小説にまで興味を伸ばしてさ」

ともあれ、そうやって本に一喜一憂するマトを横目に作業を続ける。

本当に、彼女は日を追う毎に人間臭くなっていると。
ひそやかに思いながらも、カートを少しずつ軽くしていく。

マト >   
「そうだね、取り返しのつかない本も存在するし、出来るだけ大事にしてほしいね」

と、ちらっとあなたを横目で見ながら頷いて

「うん、他にも料理本も少しずつだけど読んでるし
まつりにおすすめされたファッション誌や……
魔術関係の勉強用の本も忘れず読んでるよ」

くすくすと笑い、かろやかに歩く姿は確かに人間らしいといえるのかもしれない
そしてその理由は……

「だって、沢山話題が増えたら、それで優希といっぱいお話出来るだろ?」

きっと"あなた"にもあるのだろう

「二人でやると整理も流石に早いね、この倍はあっても問題なかったかもしれないな」

ワンピースを揺らしながら、軽くなっていくカートを少し……
ほんの少しだけ名残惜しそうにしながら中をのぞき込んでいるだろう

風花 優希 >  
「料理にファッション、魔術や小説も…か。
 見境がないというか多趣味というか」

普通の人間でも、そこまで手広く興味の幅が広い者は少ないだろう。
或いはそれだけマトが多くの経験と出会いを培っているのだろうが。

「……それはキミがしたいって話じゃないのかい?」

なんにせよ、自分もまたその一助であるらしいのは違いなく。
微妙にそれがむず痒いのか、呆れているのか。

苦笑とも微笑とも判別の付かぬ顔を浮かべて問い返す。

「この分だと結構時間が余りそうだな。
 仕事が早く終わるのはいいけど、定時まではこれじゃ暇かな」

マト >   
「うん、今は『何でも楽しい』からね、或いは、此処から『特に好き』が生まれるのかもしれない
だけど、今のところはまだ色々試してる所だよ」

一応自分でもちょっとした分析はしているらしい
今の自分はとにかくいろんなものに手を出しているのだと
そしてその中から、特に自分に合ったものを見つけようとしているのだろう

「勿論ボクが一番したい事の一つだよ?…… 優希は違うのかい?」

二つ返事でその事を認めつつ
キョトンとした顔で首を傾げて今度は此方が聞き返す

「禁書庫の方の仕事も無いようだしね、後はパソコンの方のチェックくらい?」

図書館内の端末にバグや不具合が出ていないかのチェックも一応仕事の内だ
とはいえそれも座りながら出来る事であり……

「もっと多くても良かったなぁ」

何て贅沢な悩みを言ったりするのだ

風花 優希 >  
「まっさらなキャンバス故、か」

子供がなんにでも興味を持つように。
この世に生を受けて日の浅いマトが、多くに興味を抱くのも当然かと。

いずれはその数多の中から、特別が見つかるのではあるのだろう。
そのうちの一つが、芽吹いているのもまた、彼は知ってたからこそ、そう思う。

「そういう言い方は少し卑怯だな」

くつくつと笑いながら、されども答えは返さない。

「禁書子の仕事なんて、少ないほうがいいに決まってるさ。
 そうだねぇ、あとはそれと受付を軽く…」

残る仕事は殆どないよと。
そう返しながらぼやくマトを一瞥し。

「しかし、そんなに仕事をしたかったのかい?」

マト >   
「多分ね、そういう事だよ」

その言葉通り、会うたびに、日々を過ごすごとに
マトという存在に色づいているのだろう
そしてそれを、ある意味一番近くで見ているのは―――

「それ、優希が言えるのかい?」

ぶぅ、と笑いつつも答えを返さないあなたに対して頬を膨らませる
とはいえ、口元が緩んでいる辺り本気では無いのだろう

「うん、仕事は好きだよ、人の役に立ってるって実感できるし
それに、一緒にするのが優希だからやる気も更に倍って奴さ」

「後は――そうだね
この前も、仕事をしている間に新しい出会いがあったからさ
こうしていたら、また偶々面白い出会いとかがないかなって」

結局無かったけどね、なんて言いながら目を細めているだろうか

風花 優希 >  
「もちろん言えるさ。
 卑怯なことをしてるつもりはないからな」

さらりとそう言ってのけて涼しい顔で笑みを作る。
冗談なのか本気なのか、曖昧な形のままで空気を流し。

「後者はともかく、人のためにやる仕事でやる気が出るのは流石だな。
 なかなか常人は自分のためで精一杯になるものだが」

その辺りは流石に、ゴーレム故かと。

「なんにせよ、ここでの仕事に張りがあるなら言うことないさ。
 それに知り合いまで増えてるんなら万々歳だ」

「ボクはどうにもそういう出会いが少ないから、見習わないとな」

マト >   
「むぅ、この辺りはまだまだ優希に勝てそうにないな……」

飄々といいのけるその姿はちょっとだけ憧れだったりして

「海の家もだけど、実際にそこを使ってくれる人たちを見ると
がんばってよかった、って思えるよね、労働の歓びって奴かも」

それもきっと正しいのだが、あなたの思うようにマトの在り方にも影響しているのだろう
ともあれ、日々楽しく過ごしているようだ

「ふふ、なら今度一緒に学生街や……また一緒に海にいったりさ、出会いならそういう場所の方が…」

いいかけてから、はっ、と何かに気づいたように

「……いやごめん、やっぱなし、普通に図書館でお仕事してても出会いはあるよね」

風花 優希 >  
「素質があるねぇ、労働者の」

それが良いことか悪いことかは諸説あるが。
少なくとも当人にとってはマイナスではないだろう。

どこか義務的に仕事を果たす己よりは良き在り方ではある。

「学生街や海に行くのはいいけどさ」

そんなマトの言葉に口角を歪ませる。
マトと共にそうした場所に繰り出すのは楽しいことではあるだろう。
とはいえ、出会いが増えるかといえば…恐らく否だろうなと。

「キミを優先しちゃうからな。
 それじゃあちょっと、他の出会いってのは望み薄だしね」

マト >   
「実際、好きだからね」

労働、働く事、誰かの役に立つ事、バイト何かは典型であった

「……うん、ボクもそう思っちゃった」

少し、頬を赤らめる、同じ事を考えていたことが嬉しいのか、照れくさいのか
きっと両方なのだろう

「ま、今日の所はこのまま図書館でゆっくりするのがいいのかな
折角だし涼しいまま勉強……魔術だけじゃなくて、普通の勉強もしないといけないし」

マトも一応正規の学生のみである都合上、レポートや試験といったものはあるのだった

風花 優希 >  
そんなマトの返答を、笑みだけで頷いて返す。
そうした彼の顔もまた、薄っすらと朱に染まっているのは、きっと気のせいではないのだろう。

「真似をするなら、キミみたいに色々やるところからだろうな。
 とはいえどうにも…ボクは腰が重い方なのが如何ともしがたいが」

カートも会話の最中に空になる。
歩先もカウンターのほうへと転換して。

「それが良いよ。
 自習するにはちょうどいい機会だろうし、ボクも多少は教えられるしな」

「コツコツやってれば、休み明けには多分ずいぶん楽できるさ」

マト >   
「でも、そう思うようになった時点で一歩前進なんじゃないかな」
「やりたい、と思わなければ何も始まらないんだしね」

何てもっともらしい事を言いながらも……

「必要なら、ボクもお手伝いするからさ♪」

実際の目的は多分こっちなんだろうなぁ、という笑み

「なら頼むよ、優希先生?……  あぁ、それとさ」

「優希、ボクが色々本を借りてるねっていっただろう?
それは実際事実、何だけどさ――」


「ボクにとっての一番の愛読書は、きっと之からも一冊しかないよ」

何て言いながら、少し朱に染まった顔であなたに笑いかける

それがこんな場所で言える、精一杯のあなたへの"愛情表現"だった

風花 優希 >  
「それは確かに、違いない」

志さねば始まらず。
されども志すだけでも始まりはしない。

開始地点でスタートラインにやっと立てたというだけではあるが。
されども進歩には変わりなく。

「あははは…その時には君が先生だな」

そうくつくつと言い返し。
続く言葉に、ほんのわずかに目を細めて。

「…なら、一番の『愛読者』の為にも今は時間を有効に使わないとね」

どこかこの二人らしくもある、どこか遠回しな愛情を返しあうのであった。

ご案内:「図書館 閲覧室」からマトさんが去りました。
ご案内:「図書館 閲覧室」から風花 優希さんが去りました。