2024/08/12 のログ
ご案内:「図書館 閲覧室」に落花彩晴さんが現れました。
落花彩晴 > 既に季節は夏真っ盛り…思ったより長く入院してしまったが、右腕の包帯も取れて一先ずは全快だ。
とはいえ、体は鈍ってしまっているし、色々と取り戻さないといけない。

「…まぁ、その前にまずは”知識”ですよね。」

図書館の閲覧室の一角にて、本棚から書物を抜き出しては読み耽る。
わざわざどこかの席に持ち運ぶ事もせず、立ち読みという少々マナーに欠けるスタイルだが。

「…【紅き屍骸】の一角には苦戦しましたし、もう少し新たな戦術が欲しい所ですね…。」

自分の手札は非常に限られている。あれもこれも手を出すのは器用貧乏の中途半端になりかねない。
だが、手札を増やさなければ状況への対応能力が劣ってしまう。

(…目下欲しいのは矢張り遠距離攻撃手段ですね…私の魔術は偏りがありますし)

局所限定の結界、一時的な硬化、自己再生の劣化版。使えるのはたった3つだけ。
自分の戦闘スタイルや得意分野を考え、厳選してそれらを選んで突き詰めた結果だ。
だが、ここにもう一つ…遠距離攻撃手段かそれに準ずるものが欲しい。

落花彩晴 > あとは、新しい片眼鏡(モノクル)が欲しい。出来れば対呪効果が強いものが。
…ただでさえ、普通の眼鏡より流通が少なそうなのに、そういう効果がある物だと希少そうだけども。

(…正直、今付けている普通の片眼鏡だと不安でしょうがないですし。)

流石にずっと裸眼のままで人前に出るのは”怖い”ので、今は仮処置としてごく普通の片眼鏡。
けれど、それでは気休めにしかならない…今度扶桑百貨店や常世渋谷に行ってみようか?

(…案外、異邦人街とか落第街にあるかもしれないですけど…。)

悩ましいですね、と思いながらも色違いの視線は本の内容を目で追っている。
【呪い】の影響で、この少女は普通の人に比べて物覚えが悪い…副作用”記憶力障害”の影響だ。
勿論、それにめげずに頑張っているが、学業成績などは矢張りよろしくない。

「…今、こうして頭に叩き込んでも割と忘れがちなんですよね…。」

メモとか取るようにはしているけれど、それでも限度がある。

落花彩晴 > 「…私に合った魔術で遠距離攻撃に該当するもの…うーん…。」

中々候補が見つからない。単純な魔術では決定打が足りないし、高度な魔術はそもそも身に付かない。
そもそも、自分の適性を考えると遠距離魔術が向いていない可能性も高い。

既に何冊の本に目を通したか分からない程度には、あれこれと時間を忘れて読み耽るが…。

「…ちょっと知恵熱が…。」

若干熱っぽいしクラクラしてきた。…冷房が効いているので熱中症では無い筈。
手元の本を本棚へと戻しつつ、そのまま失礼ながら背中を本棚に預けて一息。

(…独学で魔術を覚えるとなると時間が掛かり過ぎますし、学園で教えている魔術を応用して自分なりに…いやいや)

そこまでの発想力や知識が有ればもう少し使える魔術が増えている気がする。

落花彩晴 > 左目に眼鏡越しに触れて嘆息。無数の呪いの集合体であるそれは、現時点では”解呪”の方法が無い。
物理的に左目を破壊しようとした場合は中の呪いがカウンターで災厄を齎し、ならば概念的には?
それこそ何が起こるか分からないので、実行したくても出来ない。

「…生まれてからの付き合いとはいえ、もうちょっと何とかならないものですかね…。」

これのせいで…いや、自分の未熟のせいだが祭祀局を除籍されてしまった。
当時の同僚や先輩達には未だに自分から顔を合わせには行けないし、”被害者”の事もある。

(…いけない、知恵熱のせいか少し弱気になってますね)

顔を緩く振って気を取り直す。呪いについては今は後回しだ。直ぐに解決する方法も無いのだし。
しかし、何か良い遠距離攻撃の魔術は無い物か…身近に魔術に精通した知り合いが居ないのが口惜しい。

落花彩晴 > 「…魔導具で補うのも…いや、でも高価なものだとお財布的に…。」

安価な物でも構わないと言えば構わないが、自分の事だから結構酷使しそうだ。
そうなると、矢張り一定の頑強さと信頼性が欲しい所。そうなるとお値段もそれなりになりそう。

(…アルバイトを掛け持ちして…でも式典委員会の仕事もありますし鍛錬の時間も…。)

時間が、時間が欲しい。分身とか使えればなぁ、と少し疲れ気味なのか他愛も無い事を考えてしまう。
頭を振って息を吐く。考えても纏まらないなら行動するしかないのだろう。

「…もう少し魔術の方を探ってみて、駄目なら魔導具に切り替えましょうかね。」

流石に今日はもうこれ以上読書をする気になれないが…頭の中が煮詰まってる。

ご案内:「図書館 閲覧室」に風花 優希さんが現れました。
風花 優希 >  
少年がその場でふと立ち止まったのは、この時期には珍しい生徒を見つけたからだった。
図書委員として、彼は返却された書物を元の本棚に戻している最中だった。
本の積まれたカートを押しながら、ゆっくりと作業をしている最中、背中を本棚に預けた少女の姿は特に目についたのだ。

「何やらお悩みの様子だけど…
 とりあえず、休憩するならここよりあっちで座ったほうがいいよ」

カートを一旦置いてから、少年は少女に声をかける。
軽い注意を兼ねた純粋な親切心。
如何にも疲労したた様子の彼女へ、苦笑を交えながら少年は声をかけた。

落花彩晴 > 「え?…あ、す、すいません…!!」

今更ながら、自分が本棚に寄り掛かっているのに気付いた。
慌てて声を掛けてきた人物に平謝りする少女。
その勢いで片眼鏡がズリ落ちるが、これも慌てて元の位置へと戻しつつ。
まだ知恵熱があるのか、少し熱っぽいがここで休憩したら流石に色々邪魔になる。

相手の姿を改めて見ると、女子…あ、いや男子?一瞬戸惑うが続いてカードが目に留まる。
おそらく図書委委員の方だろうか?恥ずかしい所を見られてしまったかも。

「すいません、ご迷惑をおかけしました!直ぐに移動しますね。」

基本的に表面上は礼儀正しいように頑張っているので、綺麗に謝罪の礼を何度も少年に。
そのまま、示された方角へと若干怪しい足取りながら向かう…危うくカートにぶつかりそうになったが。

風花 優希 >  
大丈夫だよと、慌てて背を起こして謝罪をする少女に微笑を浮かべて。
彼女が動きやすいようにカートを端のほうに避けて見送りの態勢。
そうしてそのまま、本来なら軽く「それじゃあ」などと言って作業を再開するところだったのだが…

「…ちょっとふらついてる感じあるけど大丈夫かい?」

若干とはいえ怪しげな少女の足取りと、その顔色を見て、少年は思わず声をかけてしまった。
少しお節介が過ぎるかもしれないが……と、内心で思いつつも、やはり気になるものは気になってしまう。
何事もなければそれでよし。あったら事後処理も含めて対応しよう……と。

落花彩晴 > 「…あ、大丈夫で――あ!」

ゴンッ!と、中々景気の良い音が響いた。
呼び止められのが予想外だったらしく、慌てて振り向いたのが悪かった。
結果、別の本棚に顔をぶつけてしまったらしい。…が、少女は割と平気そうだ。
問題はぶつかった本棚の方である…凹んだり破損していないだろうか?そうなったら修繕費用出さないと…!

「…良かった…。」

幸い本棚は頑丈なのか傷も凹みも無い。安堵したら熱がぶり返したのか、またフラついた…が持ち直し。

「…ハッ!?大丈夫です、ちょっと魔術関連の本を20冊くらい読んで知恵熱が出ただけなので…!」

全然大丈夫とは思えないが、取り敢えずそう親切な図書委員さんへと改めて頭を下げつつ。
…格好悪いというか恥ずかしい…!!乙女にあるまじき失態だ。

風花 優希 >  
「ちょっ…あぁいや、ホントに大丈夫?」
 
静粛な図書室に響き渡る、どこか心地の良い衝突音。
目の前で本棚に顔をぶつける姿を見れば、誰だって声をかけるだろう。
一見すると案外と平気そうな顔をしているが、流石に心配が勝る。
何よりそこから続いた言葉に、何とも言えない表情が浮かんでくる。

「……とりあえず、休憩所まで案内するよ。
 どうみても大丈夫じゃなさそうだし、倒れても困っちゃうしな」

少年はそう言うとカートを一旦通路の端に。
少女のそばまで寄ってから、先導するように手を差し出した。

落花彩晴 > 「え?あ、いや…その…えぇと………ハイ、重ね重ね申し訳ないです…。」

少女は素で肉体が頑強な為、本棚に顔をぶつけた程度ではダメージにはならない。
むしろ、本棚の方を心配していたのだがどうやら無傷のようでそっちに安心したくらいで。

そして、人見知りで控えめな所があるので少年の申し出に視線を泳がせて断ろうかと思いつつも…
結局、申し訳なさと恥ずかしさ、あと実際少し熱っぽくてフラつくのでお言葉に甘える事に。

(うぅ…絶対呆れられてますよねこれ…。)

知恵熱とは別の意味で熱が出る…恥ずかしい。
ともあれ、少年が差し出してくれた手をおそるおそる手を伸ばして重ね。
一先ず、先導される形で彼に続いて歩き出す。手を引いてくれているので、流石に今度はフラつきは無い。

風花 優希 >  
少年の手はひんやりと冷たく、そして柔らかくもほんのわずかに硬い男子のそれだ。
ともあれ、重ねられた手を軽く握って少年は自販機と椅子の並ぶ図書室の休憩所へと少女を案内する。
もちろんその道中の歩幅や歩みは彼女に合わせて。
少女の素性や事情を知らぬがゆえに、ごくごく当たり前の対応として彼は心配をしていた。

「ほらここの長椅子、とりあえず座りなよ。
 きつかったら横になっても大丈夫だからさ」

そう言って、休憩所の椅子へと少女を促し、自販機で適当にペットボトルの水を購入。
彼女の目の前に差し出すと、そのまま近くの椅子へと腰を下ろした。

落花彩晴 > (あ、女子と見間違えましたけどやっぱり男子なんですね…。)

見間違えるの無理はない容姿端麗さであったけれど、その手を握った事で改めて男子だと思う。
女子には無い男子特有の硬さみたいなものがある…それでも手指も女性並に綺麗な気がするけど。
ともあれ、少年に手を引かれて長椅子へと移動すれば、お礼を述べつつ長椅子に腰を下ろした。

「ありがとうございます…あ、流石に少し休めば大丈夫だと思いますので。
…ちょっと、一気に読破しようとしたのが悪かったですね…。」

あと、並行して色々考え事をしていたので頭もまぁ煮詰まりはするだろう。
椅子に座ってほぅ…と、息を吐いて楽な姿勢で休んでいたが、差し出されたペットボトルの水に身を起こして。

「あ、えぇと何から何まですみません…お代は後でお支払いしますね?」

そこは律義らしい。ぺこり、と頭を下げてからペットボトルを受け取り蓋を開けて水を一口。
自然と吐息が漏れる…自分が思っていた以上に色々詰め込んだり考え過ぎていたらしい。

「――あ、すみません自己紹介まだでしたね。1年生で式典委員会に所属している落花彩晴と言います。」

ハッ、とまた我に返り自分から自己紹介を。介抱してくれた少年にはきちんと名乗らなければ。

風花 優希 >  
「20冊も詰め込んだらそりゃ知恵熱も出るってもんだ。
 それも魔導書をだろう? ああいうのは結構じっくり、普通は読むものだしな」

構わないさと、お礼の言葉に軽く返す。
元より返礼のためにこちらも心配をしてここまで案内した訳でもない。
純粋な人として持つべき人道に沿った行動をしただけのこと。

「ボクは図書委員の風花 優希。一応二年だね」

名乗りにはそう軽く返して口角を緩める。
軽く見た感じ、この調子なら少し休めば彼女はたぶん大丈夫だろうと。

「しかしまた、あんなになるほど魔導書を読み漁るなんて、 何か事情でもあったのかな?
 ……あ、悪い詮索するつもりはないんだけどね、ちょっと気になってさ」

故にふと軽い思案をした上でそれを訪ねる。
純粋な興味半分、もう一つは自らのある使命から来る警戒故に。

落花彩晴 > 「…まぁ、多分その内の3分の2くらいは記憶出来ないんですけどね…一先ず読めるだけ読んでおきたくて。」

勿論、20冊も読み込んで全て内容を正確に暗記出来たら、それこそ秀才か天才だろう。
人の優しさが身に沁みますね…と、内心でしみじみ。基本ぼっちなので当たり前の人道も親切も有り難い。

「あ、先輩だったのですね。改めてありがとうございました、風花先輩。」

助けて貰ったしこれも何かの縁という事で。律義にまた会釈をしつつ。
水を頂いた上に座っている事で何だかんだかなり楽になった。

「あー…その……私、遠距離用の魔術が使えなくて。ちょっと自衛も込みでそちらを習得したいな、と。
ただ、中々私に使えそうなものがなくて…元々、使える魔術に少々偏りがあるタイプなみたいなんですが。」

何せ少女が扱える魔術はたった3つ。しかもどれも自分に合わせて調整した亜種術式だ。
ついでに、遠距離対応の魔術が無いのでその補強をしておきたい、と思ったのが今回の書物の読み込み。

…なのだが、根を詰め過ぎたのかこの有様である。集中力はあるからこそ、中々止め時の判断が出来ない。
少なくとも、彼が危惧を感じるような理由ではない…とは思われるが、さて。

風花 優希 >  
「そりゃあ普通に一冊読みこんでも、読み返さないと半分は忘れるものな」

むしろ20冊も読破して、三分の一も暗記できているなら記憶力はいい方だろうと。
くつくつと笑いながら、少女の語りに頷き返す。

「先輩だとかそこまで気にしなくていいよ。
 ここだと学年の差とかはそこまで大したものでもないし」

そう先輩と呼ぶ声に、少しだけむず痒そうに緩く首を振る。

「して…なるほど魔術の勉強ね。
 それも聞く限り戦闘用…その手の委員か何かかな?」

ともあれ話は自らが訪ねた彼女の事情のほうへと。
ふむりと顎に手を当てながらじっくりと傾聴する。

ひとまずは真っ当で納得の理由。
しかしてだからこそ、少々気にかかるもの。
もう少し深入りするべきかと思考を走らせる。

「どうしても確かに魔術は才が関わる部分もあるものだが…。
 どういう感じで向いていないんだい?
 それ次第では多少は取るべき方向性は提示できなくもないが」

落花彩晴 > 「あ、いえ…その、事情があって私は記憶力が悪くて…全部3回くらい読み込んでもこの有様で…。」

お恥ずかしい、と苦笑い。めちゃくちゃ量で何とかしようとしていた。
20冊もの魔導書を1回ずつではなく全て3回ずつ読み込んでいたらしい。
時間もそうだが、考え事を並行しながらそれだけ読むのは集中力もかなり要する。

「いえ、でも流石に先輩は先輩ですし…。」

お堅い、というより単純に先輩や目上の方に気軽に接する事に慣れていないだけではあるが。
なので、風花先輩を例えば苗字や名前で気軽に呼んだりとかは難しい。

「あ、いえ私は式典委員なので荒事とは無縁かもしれませんね…個人的な理由の方が大きいです。」

軽く首を横に振る。式典委員会で荒事の魔術が必要だったら、それはそれで大変だ。
ナノで、この場合は委員会は一切関係なく…あくまで彼女の個人としての事情が大きい。

「単純に言えば特化型に近いです。私が扱える魔術は…アレンジはしてますが現状3種類。
…結界、硬化、あと再生ですね。どれも自分自身に作用する補助的なものです。」

そもそも純粋な攻撃魔術が無い。そして見事に遠距離対応の魔術も習得していない。
勿論、学園で教える魔術関連の講義はきちんと受講しているが…。

「攻撃魔術が理想ではありますが、そうでなくても何かしら遠距離から使える魔術が一つは身に付けておきたくて。」

風花 優希 >  
「……いや、つまりはそれ実質60冊読破じゃないか」

呆れたように目を細めて彼女の顔を見やる。
普通はそんな集中力は持たないし、そもそも一日ではとても読み込めない。
少々異常な部類の人間なのだと認識を改める。

「まぁ、呼び方はこだわりもないしお好きなように。
 委員じゃなくて個人の事情ってことなら、ひとまず深くは聞かないでおこう」

その上で傾聴して判明した情報を己の内で纏めながら言葉を探る。
あまり諸事情を聞きすぎても警戒を抱かせてしまう。
ここは一旦、彼女の魔術周りの事情のほうを深堀して置いたほうが安牌だろうと。

「結界に硬化…再生…守りに趣を置いてるって感じの適正だね。
 どちらかといえば封術、陰陽術なんかのほうが馴染みがありそうな方面だな。
 それもあくまで自分に作用する補助的なものか…ふぅむ」

じっと少女に視線を向ける。
足元から髪の毛のてっぺんまでを、どこか探るように。

「それ、物体に作用はさせられるのかい?
 その場合の持続時間や、作用させる場合の接触の有無の必要性は?」

落花彩晴 > 「…”質より量”が私の基本方針なので…繰り返すようですが記憶力が悪いので、数で補うしかないんです。」

魔術に限らず、学問に関しては少女は全てひたすら数をこなす事でカバーしている。
そうしないと、そもそも記憶に定着しないのだからこうするしかない。
効率的なやり方では無いのは百も承知だが、こうして積み上げいかないと身に付くものも身に付かない。
――なので、異常という自覚がそもそも彼女には全く無かった。むしろ劣等と思っているくらいだ。

「…式典委員会事情となるとイベントごとになりますからね…流石にあまりお話しできませんし。」

小さく肩を竦める。あくまで魔術方面に関しては完全に個人の事情であると改めて強調し。

「…そうですね。特化型…と、言うにはまだ判断が早計かもしれませんが。
防御…ないし補助的な術式ばかりとは思っています。特に自分自身に作用するものが。」

「結界に関しては完全に自分限定ですね。硬化は物体や生物にも作用可能ですが、秒単位しか持ちません。
再生については…他者にも可能ですが、細胞分裂を促進して治癒を促すものなので応急処置に近いです。
あと、硬化は触れる必要がありますが再生は多少離れていても作用します。」

と、なるべく簡潔に現在扱える3種類の術式の内容を語る。

風花 優希 >  
「その量にしたって限度ってもんが普通はあるよ。
 やりすぎるとほら、今みたいになるんだからさ」

一旦はそう窘めるだけに留める。
恐らくは当人が自覚もなく、当たり前の事として行っているのだろう。
言うだけ野暮だし、止める理由も自分にはない。
故に今のように、身体を壊さぬ程度にほどほどにね?と釘を刺すのがせいぜいだ。

「結界・硬化・再生…それだけをみるのなら、補助だけには留まらないけどね。
 規模や範囲次第ではどれもそれを主軸にできる魔術だ」
 
「だから聞く限りのその術式の性質をみると……干渉範囲が基本的に自己を中心とした魔術適正なんだろう
 まぁ実際にどうなのかは適性判断なり、魔力解析なんかをしなければ断言できないが。
 
 ただ、仮にそうだとすると『自前の術式だけで遠距離に干渉する魔術』はそうそう扱えないかもしれないな。
 その手の魔術は星の数ほど存在するけど、それもある程度の適性が前提だ」

落花彩晴 > 「…ですよね、次からはもうちょっと控えるようにします。」

しゅん、となりつつ。自覚はある部分なのでもう少し程々で抑えないといけないかも。
だけど、ただでさえ記憶に定着し辛いのに、数で補えないとなると困った。
まぁ、でも今回は風花先輩に助けられたがそれもタイミングが良かっただけだ。一人だと倒れてたかもしれない。

「正直、規模や範囲はかなり狭いのであくまで基本は自己限定、に収まりそうですね。
…あー…簡易適性判定だけは受けた事ありますけど、同じような事は言われましたね。」

精密な適性判断ではないが、それでも少女の魔術干渉範囲はかなり狭いらしい。
と、いうよりほぼ自己限定に近い。改めて誰かから指摘されると本当なんだろうなぁ、と思いつつ。

「…成程。そうなると詳細な適性判断を受けてみないといけませんね…。」

まずはそこからか。もしかしたら、簡易適性判断では分からなかった遠距離に対応する適性が見つかるかもしれない。
だけど、ここまで自己限定に傾いていると望みは正直薄いとは思っている。

「――最悪、まぁ魔導具か何かで代替フォローしようかとは思ってます。」

むしろ、そちらの可能性の方が少々高くなってきた気がする。

風花 優希 >  
「ふむ、ならたぶんそういう体質、適正なんだろうね。
 精密に解析すればもしかしたら原因なり、他の適性も見つかるかもだが…」

そう安易に希望的観測をするものでもない。
現状ではそういうものだという前提で思案するほうが建設的だ。

「ま、ちゃんと検査をしておくのは悪い事じゃないと思うよ。
 その上で、まぁどうにもならない結果が出てくるかもなのはちょっと覚悟は必要だけど」

「適性をもし調べたいなら、強力くらいはするさ」

とはいえ、当人が調べておくべきだというのならば彼は頷く。
可能性がないわけではなく、己のスペックの把握は何時だって重要なことではあると。

「でもそうだね、仮にそういう適正だとするなら選べる選択肢はそっちになる。
 或いは魔導書の中でも詠唱と発動を代行する機構が搭載されてるやつとか、だね。
 そういう類なら、魔力さえ込めてれば扱えはする…
 魔導具みたいなもんだから、自身での規模やら威力の制御ができないのは難点だが」

落花彩晴 > 「まぁ、適性や体質はどうしようもないので、そういう結果が出たら潔く諦めますかね…。」

それでも、彼の言う通り精密検査をすれば自分が気付いていない別の適性が見つかるかもしれない。
遠距離、に拘り過ぎても結果次第では失望が大きくなりそうだし期待はあまりしないでおくべきか。

「――いえ、正直私自身も厳しいというか割と予想通りの結果が出る覚悟はしているので。」

精密検査でも似たような結果になったならば、それこそ魔術方面は”詰み”だ。
遠距離に関しては、完全に魔導具や魔導書の助けで何とかするしかない。

「そうですね…一度精密検査をしてみるつもりですが。
もしかしたら、風花先輩にも調べて頂くかもしれません。」

むしろ、それで両者の判定が一致したら完全に確定と見ていいだろうし。
己の魔術のスペックはいまいち把握しきれていない部分もあり、丁度いい機会だ。

「…魔導書…ですか。そちらもアリですね。…お財布大丈夫か心配ですが。」

どちらも購入して手元に確保しなければいけないのは同じだ。
まさかここや例の禁書庫から持ち出す訳にもいかない…悩ましい所。
そもそも貸出しでは意味が無いのでどちらにしろ図書館の選択肢は外れてしまう。

風花 優希 >  
「……流石に言うまでもないことだったかな」

20冊も読み漁るくらいの熱心さであった彼女の事。
自身の適性に関しても、ある程度は自覚的であったのは間違いない。

「了解。
 それなら連絡先、渡しておいたほうがいいかな?」

とはいえ、適性判断に協力するといった以上は必要なことだろうと。
スマホを片手にひらひらと降りつつ、そう尋ねる。

「あはは…まぁ、そこらへんは如何ともしがたいとこだな。
 自分用に常日頃から使うなら、手元に置いておきたいし…。
 
 とはいえ、もの次第だが手が出せない金額ではないよ。
 いくらかはボクの知ってるその手の本は紹介しよう」

落花彩晴 > 「…薄々そうではないかな、と。ただ、やっぱり望みは捨てたくなかったので。」

少々無茶をしてでも、かなりの数の魔導書を読み耽った。
だからこそ自覚も嫌でもする。自分自身の適性や扱える範囲についても。
諦め、とは少し違うが既に頭の中では魔導書や魔導具で補う方向性にシフトしつつあった。

「れ、連絡先…そ、そうですね!じゃあ、えぇと…お願いします。」

連絡先交換とか、普段ぼっちのせいで慣れていないので慌てて携帯を取り出して。
何せ、現状は友人がたった一人しか居ないので連絡先一覧はとても寂しい。
ともあれ、先輩が良ければ連絡先交換をしておこうかと。

「…それなりにコツコツ貯金はしてますので、ある程度の値段までなら手は出る…とは思いたいです。
…え、いいんですか!?じゃあ折角なので是非…!」

思わず顔を上げて風花先輩を見た。色違いの双眸が気のせいかキラキラしている。
先輩は図書委員だし、その手の本に強いみたいだから紹介だけでもとても助かる。

ちなみに、水分補給や先輩との会話で落ち着いたのか知恵熱も収まって顔色もマシになっている模様。

風花 優希 >  
「…そうだな、出来ないと諦めるには早いだろうし」

年齢的にも、状況的にも。
自分にはできないことを自らで認めるというのは、中々に難しいもの。
もしかして、と希望を見るのは致し方がないものだ。

「ん、それじゃあこっちのコードを……」

ひとまずは連絡先を軽く交換。
少年の連絡先がまた一つ増えたのを確認すればスマホをしまい。

きらきらとした眼差しが返ってくれば少しだけ苦笑を返す。

「図書委員だし、これでも魔導書に関してはそれなりに知見があるからね。
 適性をいずれ調べるなら、その中でもより適したものも選べるだろうしな」

「そこら辺をまとめて、今交換した連絡先にリストを後で送っておこう」

落花彩晴 > むしろ、出来ない事が多いからこそ縋りたくなる
だけど、それで期待した分、予想通りの結果になった時の失望感は大きくなる。
だから、一縷の望みは持つけれど…決して分不相応の期待をしてはいけない。

コードを利用して連絡先交換。一つ連絡先が増えた事に無意識に頬が緩む。矢張り交友が広がるのは嬉しい。

「風花先輩みたいに魔導書に知見がある知り合いが私にはほぼ居ないので…なので心強いです。」

まだ目をキラキラさせていたが、ハッ、と我に返る。
普段ぼっち属性が強いので偶にちょっと我を忘れやすい。
ともあれ、後でリストにピックアップして送ってくれるのは非常に有難いもの。

「…良かった…ひたすら本を読んでいたのも無駄では無かったです。」

まぁ、ずっと立ち読みみたいに読み耽るのはどうかと思うし、知恵熱でフラつきはしたが。
結果的に魔術方面や魔導書知識に明るい先輩と知り合えたのは結果オーライというものか。

「…ん、熱も落ち着いたので私はそろそろ一度戻ります。
風花先輩、色々とありがとうございました。」

体の調子を軽く確認してから、椅子から立ち上がりつつぺこりと彼に頭を下げる。

風花 優希 >  
「あははは……まぁ、次からはせめて座って読むといいよ」

そう軽く笑って。
顔色を今一度確かめて、その健康的な様子に安心したように息を吐く。

「それじゃあまたね。
 適性検査のほう、やるようなら何時でも連絡していいからさ」

ともあれ彼女が返るようならばそう告げて。
右手を挙げて軽く振り、そのまま見送る姿勢。

落花彩晴 > 「う…お恥ずかしい…次からは本当に気を付けます…。」

まず、その量と集中し過ぎて自分の調子に気付かない所を改めないといけなけれど。
軽く笑う先輩に、若干顔を赤くしつつ平謝りみたいにまた頭を下げて。

「ハイ、そう遠くない内に早めに受けようかと思います。」

風花先輩へと答えつつ、右手を軽く振る彼女に律義にまた会釈をしてから歩いて行く。
足取りはしっかりしており、少なくとも途中でフラついたり倒れる事も無いだろう。

図書館を出る儀間際にも、一度彼の方に顔を向けてまた会釈を一度してから少女は立ち去るのだった。

ご案内:「図書館 閲覧室」から落花彩晴さんが去りました。
ご案内:「図書館 閲覧室」から風花 優希さんが去りました。