2024/12/06 のログ
■水仙 倫太郎 >
ぎくっ。
「い、いやぁ~~~……ど、どうかなぁ……」
へへへ、と何ともわかりやすい反応。
嘘は吐くのが下手くそすぎる。誤魔化すように頬を掻いた。
「心眼かよ本当に……。
でも、そうだな。勉強には、なるぜ……」
勘が鋭いと言うかなんというか。
ともかく、彼女の言うことには一理あった。
目前に存在するデッカいのが雄弁に語ってくれる。
ウンウンと頷くのはイマイチ頭に入ってるんだか入ってないんだか。
でもしょうがない。大きいとつい見ちゃう。
「そりゃ、こんなに可愛くて賢い彼女が隣にいるしな」
なんて、ちょっとからかうように。
「まぁでもそうだよなぁ、あんまりヘンに目ぇ付けられるとな……」
実際夜の活動内容は秘密だし、変に目をつけられるのも困る。
そうならないように自分だって同じだ。
やや揺らぐホログラムディスプレイをじ、と見つつ式を説いていく。
そう、この勉学も結局は通過点みたいなものだ。
「……なぁ、このまま進学してさ。卒業しても襲は続けんの?部活動」
将来的にはそうだ。どうするのか。
この勉学が全部将来のためなら、部活動はどうするのかは必然の疑問だ。
勿論この学園は各種委員会のように意図的に留年出来るようなシステムもある。
何処となく険しい顔で問いを投げかけた。
■竜胆 襲 >
しばらくすぐ隣で彼が勉強する様子を見ていた
すると、不意に質問が飛ぶ
学園にいる間は、とはじめた部活動
この学園は少し特殊な環境ではある
とはいえ、学生でいる時間が永遠に続くわけではない
「…そうですね。
少なくともそういった専門の機関に移ることはしないと思います」
濁してはいるが、祭祀局のことを口にしているのは明らか
彼らの活動の理念と、少女…襲の活動の理念は大きく異なる
怪異によって起こされる事件の解決や被害の抑止…それでは足りない
少女、竜胆襲に根ざした決意は怪異の根絶である
在る種尖ったそれは、公的な許可や理解を得られるようなものではない
故に私的活動…占星術部の夜間活動もあくまでその延長だ
「彼らが消えてなくなるまで、ずっと続けていくのだと思いますよ
部活動にいるうちも、部長を終えても。なくなっても」
明確な答えを口にする
まだうら若くも、決意が強く、固まりすぎている
「そんなことを聞く倫太郎くんこそ、どうするつもりなんですか?」
じ…と
険しい顔をする彼を見やる
■水仙 倫太郎 >
「……まぁ、そうだよなぁ」
そう頷けてしまったのは、案の定と思ったから。
共に歩むものだからこそ、彼女の内側に燃える仄暗いものがわかる。
全てを理解している、とだいそれた事を言う気はない。
だからこそ、複雑だ。その炎は、何時か己を焼き尽くさないか、と。
「余計なことかも知れないけど、結構襲の事考えてるんだぜ?
遊び気分で隣にいるんじゃねぇ。どんな時でも、一緒に歩きたいからだ」
それこそ学生気分でチャラチャラと付き合ってるわけじゃない。
彼女と本気でずっと一緒にいるつもりだった。
だから、将来のことだって考えたりしてるし、
学生なりに、未成年なりに将来の事を見据えていた。
彼女の幸せついて、本気で考えてる。
「……、……」
"途中で辞めるってワケにはいかねぇよな?"
というの言葉は飲み込んだ。愚問だ。
腕を組んで少し思考を巡らせれば、彼女の顔を見た。
「俺は襲の傍にいる気だ。
だから、お前がそうしたいなら、部活動が終わっても一緒に行く。
地獄でも炎の中でも、な。別に覚悟決めてるのは、お前だけじゃないって話だ」
だから最悪にさせない為に自分がいる。
ニィ、と笑みを浮かべれば人差し指を立てる。
「それに、"その後"の事も考えてるんだぜ?俺は。結婚とか」
■竜胆 襲 >
「わかってます。
倫太郎くんはいつも私のことを考えてくれてますから。
でなきゃ、この島にだって追いかけてきていない筈です」
彼が自分のことを考えていることなんて、ちゃんと判っている
それが彼の…男性としての矜持であるのか、もっと深いところにある決意なのかは、まだわからないけれど
「…ちょっと前までは、実は少し複雑でした。
倫太郎くんが私に感けて、自分の学生生活…青春と言い換えても良いかもしれません。
掛け替えのないものを犠牲しているのでは……なんて」
静かな図書館
声のボリュームは控えめだ、きっとすぐ近くの彼にしか届かない
「けれどそれは詮無きことだと、今日までの生活でもうわかってます」
「倫太郎くんは…その、男前ですので。
ちょっと、格好つけるところもありますけど。信頼しています」
眼が合う
蛍光灯の光を反射して金色に見えるその大きな瞳には彼…倫太郎の顔がハッキリと映っている
自分のために全てを賭けてくれる
そんな少年、世界中を探してもそうはいない
どうしてそこまでできるのか…その問いかけこそ愚問
彼からは堪らなく格好の良い答えが返ってくるに決まっている
ほら、こうやって、言葉一つでまた私の心を揺すって来る───
「……それは、ちょっと気が早すぎる気がします……」
大きな眼が更に丸くなってしまって、ほんのりと頬に朱が差す
思わず視線をテーブルの上へと逸らしながら
「勉強しに来たんですよ、倫太郎くん。
赤点で部活動にでれないなんてことは承知しかねますから」
■水仙 倫太郎 >
「丁度いい具合に俺も異能に目覚めたしな。
けど、俺は異能がなくったってきっと追いかけてたと思うぜ?」
飽く迄切り札はきっかけに過ぎない。
本気で惚れたんだ。そんな時に何もしないのは、カッコ悪すぎるから。
「心配してくれてありがとな。やっぱりいい女だよ、襲は。
勿論俺は自分の事も、襲の事も、皆の事だって考えてるつもりだぜ?
それに、それは襲にだって言われるかも知れねぇから、俺もいるつもりなんだぜ?」
犠牲にしている可能性があるのは、彼女だってそうだ。
ハッキリ言ってキリがない事に身を費やせば、
何時か何もかもが燃えてしまうかも知れない。
それくらい心配しているんだ。
自惚れであっても、未成年なりに出来る事をしているつもりだ。
「そうか?へへ、襲に言われると悪い気はしねぇ」
ホロディスプレイの向こうで微笑む倫太郎。
何気ない日常の彩りだ。気合も入ると言うもんだ。
「言っても6年?10年?結構あっという間かもよ。
だからそのためにも、今を頑張んねぇとな!」
「わ、わかってるって!見とけよぉ~……」
さぁて、と気合を入れ直して再びディスプレイと向き合った。
彼女が教えてくれたからもう百人力だ。
キリの良いところまで今日も苦手な数字と向き合うのだった。
■竜胆 襲 >
気合を入れて学習に取り掛かる彼
それを見て頬を綻ばせ、自分も自分の勉強を再開させる
───……
彼の心配は最もだ
どこまでもついていく
地獄までだって
その言葉は、私がこのまま怪異の根絶に全てを費やし続けた先を見通してる
この世の全ての怪異を殺す
そんなことが可能か不可能か、なんてことくらいは小学生でも理解ること
それでも、復讐の炎は消えない
誰が消そうとも、自分が消そうとも、奥底で燻り続ける
自身の紅い瞳に映る怪異を全て殺す
それを続けていけば、確実にその総量は減っていく
いずれ遠い未来、100年先か1000年先か10000年先か
気の遠くなる様な先の未来であっても奴らが死滅した時、自分の生は無駄ではなくなる
それが少女の復讐
それが、竜胆襲という少女だった
「倫太郎くん」
「見事赤点を回避したら、二人でどこかに遊びに行きましょう」
頑張る少年に向けて、少女は微笑む
後ろめたさがある
心配をかけたくないという思いもある
それでも、自分であることをやめるわけにはいかない
で、あるのなら…
せめて夜の世界以外では、普通の少女・竜胆襲として彼の側に居させてもらおう───
ご案内:「図書館 閲覧室」から水仙 倫太郎さんが去りました。
ご案内:「図書館 閲覧室」から竜胆 襲さんが去りました。