2024/06/04 のログ
ご案内:「禁書庫」に風花 優希さんが現れました。
風花 優希 >  
僅かに仄暗く、重々しい空気を纏う禁書庫の中。
一部の許可を受けた生徒、或いは教師しか入れぬそこを見回る人影が一つ。
図書委員を示す腕章を嵌めた少年は、生徒の中でも細身な体軀と端麗な顔立ちから、良くも悪くも映えていた。
さりとて、図鑑サイズの本を片手に、蒼銀の髪を揺らす彼の姿は周囲に異様なほどに馴染んでいた。

「……ここも異常は無し、かな」

大棚の間を縫い、時に書籍を手に取りながら淀みの無い足取りで進む足運びは足音一つ漏らさず、書棚に収められた本の位置を把握する眼も確かなもの。
単に見回りをしているだけではなく、紡ぐ言葉もまるで封じられているものを点検するかのような物言いであった。

風花 優希 > 時折、書棚から本を抜き出し、頁を捲ればすぐに閉じる。
それから背表紙を軽く指先でなぞって…微かに言葉を少年は紡ぐ。
だがそれに明確な音は無く、ただ唇が微かに動いただけだ。
書庫の静けさに陰り無く、ただ静かに本を戻す音だけを鳴らして、少年はやがて別の書棚へと足を向けていく。

その足取りに淀みは無く、また迷いも見られない。
日頃のルーチンであるかのように、決まった道筋を彼は歩んでいた。