常世学園の象徴である「橘」が文字盤に掘りこまれた巨大な時計塔。
鐘がついており、学園内のチャイムはすべてこの時計塔のものである。
非常に高くそびえており、登れば常世島が一望できる。だが、危険のため基本的には生徒は立ち入り禁止になっている。
しかし、特に警備がいるわけでもないので入り込むのはたやすい。
参加者(0):ROM(1)
Time:08:04:42 更新
ご案内:「大時計塔」からギジンさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から伊都波 悠薇さんが去りました。
■伊都波 悠薇 >
「あえ?」
おもったことを口にしたら、そうだったらしい。
「え、え? そ、そういう異能とかですか? え? そういう、性格って?」
言葉に混乱させられて。最後の最後で、言葉の迷路にハマってしまった。
「あ、えっと……あ、はい。メリークリスマス、センパイ。『また、学校で』」
降りる姿を、見送り。
少しぼーっとしてしまって。気にしても仕方ないと、ぱんぱんっと頬を叩いて時計塔を、センパイより30分ほど経ってから、降りていく……
■ギジン >
口元に指を当てて。
「今、気づきましたか?」
「僕は詭弁遣いです」
「最初に貴女にタバコを吸わせようと言葉を弄したことも謝らないといけませんね」
空へ伸ばしていた手を掴むように握る。
「僕は一人っ子ですが」
「貴女たちのような姉妹を羨ましいと思う気持ちは少しあります」
「もらってまで、欲しいとは思いませんが」
クスクスと笑って。
「それでは僕は戻ろうと思います」
「働き者の風紀委員も結構ですが、体を冷やさないように」
降りる階段へ向かう前に、振り返って。
「メリークリスマス、悠薇さん」
その言葉を投げ渡して、去っていく。
■伊都波 悠薇 >
なんだか、おかしくて、笑ってしまった。
「詭弁ってわかっている、悪用をしているとわかっている。もうその時点で識者じゃないですか」
もしかして。
「それすらも詭弁っていうんです?」
そうだとしたら。
随分と‐‐
「戯言、使いますね」
言葉巧みに。そうやって、いろんなものと戯れているように見えたから。
面白いなって笑ってしまった。
「姉ですから。自慢の姉です。…………手を伸ばしても、あげませんよ?」
なんて、茶化すように。
少しは、寂しそうな雰囲気が和らいでくれたらいいなと思いながら。
■ギジン >
「……どうなんでしょうね」
「絶対は絶対にないのか」
「絶対はこの世界にもあって今も誰かの心に鍵をかけてしまっているのか」
「詭弁ですけどね」
こうして詭弁を弄する僕を。
あの人が笑って見てくれることはもう二度とない。
だから。
「噂でしか知りませんが、なかなか華やかな話を聞きますよ」
「どうでしょうね、色んなことを識っている風に見せる知恵を悪用しただけかも」
空に手を伸ばす。
どう足掻いても届かない、星。
■伊都波 悠薇 >
ぽくぽくぽく……はっ。
「ああああ、いや、そのですね。そういう意味はなくってですね!?」
ようやく気付いた。指摘されればすぐだった。それなりに本を読むのが仇となった。
「ええっと、間違えたとか、そういうのじゃ……ない……」
言葉を止めた。
その言葉は、『重く』感じたから。
「……絶対ってことはないと思いますよ」
出会いは唐突に。今日のように。
もうないと思っていても……あるものだ。
自分の、今の‐‐『異能』のように。
「……“花向こうの星鉄”? 姉はそんなふうに呼ばれてるんですか?」
よくよく見ると、色気もあるし、ウィンクもされるとドキッとする。
……美人だ。その人にここまで言わせる、のは。相当すごい、モノなのだろうなと思いながら。
「先輩は、いろんなこと、識ってるんですね」
■ギジン >
「ええ、とても面白いです」
「次からは大時計塔でタバコを吸っている不良は補導してあげてくださいね」
可笑しい。
小動物のような、そんな愛嬌がある。
風紀委員なのに。
「伊都波悠薇……姉?」
「ああ、風紀の。“花向こうの星鉄”の妹さんでしたか」
器用に片目を瞑って肩を竦めて。
「その言葉」
「次からは好意を寄せる相手に言ってあげるといいですよ」
そして挙動不審に空へ視線を切る彼女を見れば。
今度こそ笑みを隠しきれなくて。
「ふふっ……僕はまた会話の機微を間違えてしまいました」
「僕は……」
「もう人を愛したりしませんよ」
どうどう、と宥めるように手を振って。
■伊都波 悠薇 >
「うぇ!? お、面白いですか?」
そ、そうかなと、もじもじする。
そんなふうに言われた経験はあまりない。
「あ、えと……いとわ、です。いとわ はるか。えっと、もしかしたら姉と知り合いかもしれないですけれど」
18となると、姉と友人であってもおかしくない。
「……先輩は、優しいんですね」
なんとなく、そう思った。
人の子、と口にする眼の前の人は、とても人間らしい暖かさがあると感じた。
「……ん?」
…………今、興味を持ったと言われた?
なんかそれってくど……‐‐!?
いやいやいやいや。んなわけ。
「あ、えっと、ホシガキレイデスネー」
わかりきってることを、口にする。
ついに化けの皮が剥がれた。会話デッキなんて、ない。
この流れを変えられるものなんて、もっているはずなど、ないのだ。
■ギジン >
「気にしますよ」
ふぅ、と溜息。
白い息が空に散って消えた。
「僕だって人の子です、いくらでも無神経で、どこまでも悪辣ではいられません」
手すりを小さく撫でた。
凍てつくような冷たい感触だけがあった。
そして薄暗い中でもわかるくらい真っ赤になるのを見れば。
ふふ、と笑って。
「貴女は面白い方ですね、名前を聞いてもいいですか?」
「僕は。貴女に。興味を。持ちました」
■伊都波 悠薇 >
「え」
申し訳ないと言われると、目をパチクリする。
慌てて、手を振り。
「いえ、嫌味でもその……そう思わせてしまった、考えさせてしまったのは『私』の、不出来ですから」
そう、姉だったら。
きっとそんなふうにも思わせないのだろうから。
「むしろ、嫌味でも口にしてくれて嬉しい限りです。初対面の一風紀委員にも、そうやって言ってくれる人がいるからこそ改善点が見つかりますから」
だから気になさらずと、弱々しく。
ここで力強く言えないのは、そこまで姉の真似はできないから。
「…………え!?」
好きだった人、と言われると顔を真赤にした。
え、タバコ……? しかも、思い出すくらいの???
……ベッドの中、とか、なのでは!?
様々な想像をした。でも‐‐それは現実世界では2秒くらいの出来事。
妄想世界では何時間も経っているけれど。
「あ、えっと、その」
目を回す。耳まで真っ赤だ。きっとあなたも意図しない、趣向返し。
「ああああ、あの、その……おじゃまして、すみましぇん……」
ぷしゅーっと、湯気が出る。何を想像したのやら。
■ギジン >
顔を手で覆うと深く溜息を吐いた。
ここまでだとは思わなかった。
ここまで善良だとやりづらい。
「申し訳ありません、当てこすりでした」
「風紀委員に対する嫌味のつもりで話題に出しました」
「……本当は、昔好きだった人のことを思い出すためにタバコを吸っています」
「思い出の香りというものがありまして」
顔を上げると薄く笑って手のひらを見せる。
降参のサイン。
「貴女のような人を相手にする態度ではありませんでした」
「重ね重ね申し訳ありません」
苦笑して小さく頭を下げた。
■伊都波 悠薇 >
「え」
そう言われると。
少し、申し訳無さそうな顔をした。
「すみません、力不足で」
いいえと、首を横に振る。
このタイミングであえて出てきた言葉。
‐‐最初に抱いた、理論派であるという印象。
「不安にさせてしまって、申し訳、ないです」
それが原因である、可能性もある。
今こうしている、理由が。
自分は、話ができただけ。
それも一方的に。結局はなにもわからずじまい。
それを咎められても仕方がない。
「その不安、取り除けるように、がんばります。タバコ、すわなくても良い、ように」
おどおど、している様子は変わらない。
でも、ちゃんといえたのは。
‐‐どうしてだろう。自分はなんだか、眼の前の人が、『嫌ではない』
■ギジン >
「……どうでしょう」
真っ直ぐに踏み込んでくる。
そして真っ直ぐに見つめてくる。
少し語勢は弱いけれど、どこまでも気持ちの良い女性。
気に入らない。
少し腹を探ってやろう。
意地悪な言葉になるかも知れないけれど。
「凶星の名前は……テンタクロウ」
「かつてこの街を騒がせた悪ですよ」
「情報筋の話だと今、意識不明の重体のようです」
「すいません、風紀委員の前でする話ではありませんでしたね」
藤井輝は元・風紀委員。
言葉選びを間違えた振りで、その言葉をぶつけて。
■伊都波 悠薇 >
「いえ、その、ありがとうございます」
後輩に注意、されていい気持ちはしないだろう。
思い出すためと口にした眼の前の人は、その邪魔をされて大層、嫌な思いをしているだろう。
それでも、受け入れてくれたので。ありがとうと頭を下げた。
「……それはいいことですか? それとも願い事ですか?」
星を示されたので。
「流れ星、にしようとした」
そして思い出そうと、していたのは。
煙に巻かれたようで、そうでもない、言葉を返して