2024/07/29 のログ
ご案内:「大時計塔」に葉薊 証さんが現れました。
ご案内:「大時計塔」におこんさんが現れました。
葉薊 証 > 「…ぁ…寝てた…」

大時計塔の頂上。その内側の直射日光の当たらない場所。
とはいえ蒸し暑く、到底寝るには適さない場所だ。
だけど、少年は寝てしまっていたらしい。びっしょりと汗をかき、その表情は寝起きだというのに疲れが見える。
背中を預けていた手すりの痕が制服と髪に残っている。

「うぅ…何してたんだっけ…とりあえず時間は…あぁ、やばいな」

オモイカネを起動し時間を見る。
既に夕方。最後の記憶は昼過ぎに時計塔の階段を駆け上がっている記憶。
幸い今日は巡回ではない。ただ、授業を一つ完全に逃した事になる。
後で先生に連絡しなければならない。
ため息をつき、立ち上がろうとするも、手すりに押し付けられていた右腕がしびれて感覚がない。

「っとぉッツ~~~」

腕の感覚がないせいで転びかける。
横転はなんとか回避した代わりに手すりに頭をぶつける。
感覚の残っている左腕で頭を抑えながら苦々しい顔で時計塔の外の方へと視線を向ける。
綺麗な夕日に苦々しく唇を甘噛みして視線を逸らした。

おこん > 「残ってる生徒は皆帰るんじゃよー。 ワシのやや子にされたくなかったらのう!」
見回りである。 生徒たちは校舎のいたるところにいるので、
きちんとそれらをお家に返さねばならない。 そうしないと校舎が住処にされてしまうのだ。

「まあ今日はクソ暑かったから、ここで寝ていようものなら脱水症状一歩前じゃろ…。」
おこんは生徒たちのことが大好きである。 見回りをするのも生徒たちが大変なことになるのを防ぐためだ。
見回りの最終ポイントであるところの時計塔に登り、えいやとドアを開けた。
「……オワーッ!? 大丈夫なんじゃよ!? ほれ、これを飲んで一息つくんじゃよ!!!」
なんかフラフラになっている生徒を見つけて驚くと、尻尾がぴーんと伸びた。
大慌てで相手のところに近づき、ぶら下げていたペットボトルを開けて相手に差し出す。
水分補給は大事なんじゃよ。持っててよかった。

葉薊 証 > 「ぇ…ありがとうございます」

ぼんやりとした目つきで声の方に視線を向ける。
覚えのある声とシルエットだ。差し出されたものは飲めるものらしい。
右手で受け取ろうとするが感覚がない。仕方なく左手を差し出して受け取る。
長袖の先に見える透明の円筒形を受け取り、飲む。
口の端からちょろちょろと零しながらもしっかりと喉奥へと冷たいものが注ぎ込まれていく。

ぐずぐずの胃の中に冷たいものが注がれていく感覚に閉じかけていた瞼が僅かに開く。
円筒形…ペットボトルの中身を空にし、未だ朦朧とした思考で頭を憶えのある声の方に向ける。

「おこん先生…お久しぶりです」

安心感を覚えるその姿につい微笑みが零れてしまう。
疲れの見える微笑み。僅かにやつれ汗まみれの表情で挨拶した。

おこん > 「ウム、久しいのう! しかしおぬし、こんなところで眠っていてはならんぞ。
 身体を悪くしてしまうでな…。 あとで職員室で涼んでから帰ると良いじゃろう。」
汗塗れで疲弊した様子、そして勢いよくペットボトルを飲み干すさまを見て、
流石に心配になったので声をかけた。

「して、ここにおったというのは…何か観察でもしておったのか?
 用事のひとつでもあるというなら、ワシも手を貸すが…。」
時計塔の高さは群を抜いている。あたりを見下ろすにはちょうど良いのだ。
彼が昼寝をしていたのも…なにか理由があるのかもしれない。
一応確認。もしなにもないのなら、きちんとお家で休むようにいう構えであった。

「まあ~見晴らしもよいし日も長いしのう。のんびりしておるのも悪くないが…。
 日焼けとか水分にだけ注意じゃな。」
いうだけいってからその場にぺたんと座る。
日が完全に落ちてくれれば、まだ過ごしてはいられるだろう。

葉薊 証 > 「そうですね…ありがとうございます」

ペットボトルを足の間において苦笑いで応じる。
真っ当な指摘である事、気遣いをしてもらっている事は分かっている。
だが素直な表情を見せられないこの複雑な感情はなんだろう。

「用事…って訳ではないんです。ただ…ちょっと運動でもしようかなって
それで、疲れたから少し休憩しようと思ってたら寝ちゃったみたいで」

ただそれだけだ。特に深い理由はない。
それにしても、全身が熱い。やはりこんな暑い所で寝てしまったせいだろうか。
少しでも冷まそうと風紀の制服を脱ぎ、半そでの白シャツ姿になる。
そうして晒された右腕には…痛々しい裂傷。
傷は塞がっているが、比較的新しいものだ。そして、少し細く筋肉質な様子が見て取れるだろう。
それは、とても健康的とはいえないものだ。

おこん > 「ウムー。 安全第一じゃよ。 何でもないならいいんじゃがのう。
 運動! まあ確かに運動はしても良いかもしれぬが、もう少し環境っちゅうもんをじゃのう…。」
相手の言いように何度も頷くけれど、あまりにチャレンジャブルな精神の言葉に
流石にちょっと驚いた。 炎天下の中で運動はもってのほかだし、休憩もである。
「その様子ならあとでしっかり涼しくすれば大丈夫じゃろうが…。
 むっ、怪我をしておるではないか。少し見せてみい。悪いようにはせん。」
シャツ姿になったことで顕になった傷跡を見て、とうとう我慢ができなくなったのか、
手を差し出す。見せてみろと言わんばかりである。傷は塞がってはいるようだが、
労ってもバチは当たるまい。
そしてなにより、理由は問わない。 おこんの気の使い方であった。

葉薊 証 > 「次は気を付けます
…あぁ、これはもう傷跡は消えないみたいです。これで完治なんだとか」

素直に手を差し出す。
と言っても、何か出来るとは思っていない。とはいえ別に傷跡を誰かに見られる事は構わない。
それがおこん先生であれば猶更。なんなら、彼女に労わってもらえるのはうれしい。
あの手で触ってもらえると思うと、別の期待をしてしまうまである。

「前にちょっとぼこぼこにされちゃって。その時の傷なんです。
もうその犯人は捕まりましたけどね」

機界魔人テンタクロウ。名前は彼女も知っているかもしれない。
もう恨んでいない。というより、恨めない。
恨んだところで…捕縛された相手だ。もう、何も出来まい。
はははと、苦々しく笑うだろう。

おこん > 「そうか…。 それにしても、痛ましいものじゃのう。」
両手で相手の腕を捧げ持つようにすると、そろそろと傷口に顔を近づける。
そのまま傷跡にそっと口づける。ちょっと離して位置をずらしては口づけ。
傷跡は残るにしても、その奥…霊的な部分のダメージが薄れるよう、丁寧に慰撫する。

「ふむ…。 そうか、派手にやられたようじゃが…。
 あまり無理はしてくれるなよ。 ワシが悲しむ!」
明るく言ってはみたものの、相手の言葉が指し示す存在をおこんは知っている。
傷跡を小さな手で優しく撫でさすりながら、何かを考えているかのように視線を落とした。

「跡は残るんじゃろうが、この程度で済んでよかったのう。
 本当に、なにかあったらワシは悲しいどころではすまぬ。」
小さな声で言ってから、手のひらで傷跡を、さっきよりちょっとだけ乱暴に撫でた。

葉薊 証 > 「こんなものを見せてしまってすみま…え?ちょ、ちょ」

笑ってごまかそうとしたところで、口づけに驚く。
既に赤い顔を更に赤く染め、口元があやふやに緩む。
どんな表情をすればいいか分からなくなる姿はそういった事に慣れていない為だろう。
と言っても、ただ腕に口づけされただけではあるのだが。

「あ、ありがとうございます。気を付けます」

照れたように顔を若干逸らしながら、その心遣いに複雑な心情を抱く。
…もっと頑張らなくてはいけないのだ。その言葉には添えないかもしれない。
そんな内心に少し口元が歪む。

「…すみません」

だが、傷跡を撫でる少し乱暴な仕草から伝わってくる心配に心が痛む。
無意識に唇を噛んでしまう。なんとも言えないこのぐちゃぐちゃの心情に胃がむかむかする。

「…僕は…もっと頑張らないといけないんです」

熱の引かない脳で言葉を紡ぐ。

「僕は誰かを救わなければいけないのに、まだ誰も救えていない。
それどころか、傷つけてしまったんです。だから、こんな傷で…」

車椅子に座る少女の姿が脳裏に浮かぶ。
顔は見えないが、それが誰かはわかる。
先生は無理をするなというが…償わなければならない、贖わなければならない。
暗い表情で俯いてしまう。

おこん > 「まあいいじゃろって…どれ、すぐに良くなるじゃろ。」
手当を終えて口を離す。えいえいと手で撫でてから、相手の言葉に
狐耳をぴくぴくと動かした。

「それがおぬしの本当にやりたいことならばそうすべきじゃろうけど…。
 果たして本当にそうかのう? 義務感と願望が異なることを覚えておくのじゃな。
 おぬしは賢い。 取り違えはないと思うが…。」
 
腕を組んでウムーを唸る。そのまま相手に近づいて、小さな体をグリグリ押し付けた。

「誰かを救わねばならぬというのが使命だとして、故に自分を蔑ろにしてよいわけでもない。
 その使命を果たすまで、自分をきちんと良くしておくことも大事じゃよ?」
そのまま、動物が甘えるように身体を擦り寄せる。
あんまりこね回すのも良くないだろうから、という気遣いによるスキンシップだ。

葉薊 証 > 「…分りません
でも、そうしなければならない…自分からそう思います」

手を握り締める。嘘偽りのない言葉。
本当に、分からないのだ。何か理由があるのかもしれないが、その辺りのきっかけになりそうな記憶が抜け落ちている。
だから、しなければならないという強迫観念に押されて動いている。

「…ぇ…ぁ…
…確かに、おこん先生の言う通りですね…」

体を押し付けられ視線が泳ぐ。
照れているのだ。彼女の身体の柔らかさを全身で感じ、なにも感じずにはいられまい。
とはいえ、限界までは隠すが。
懐柔されるように、素直に彼女の言葉を聞き入れる。
確かに、もし死んでしまうような事があれば何も果たせなくなる。
それは、決して望んだ終わりではない。

「…僕の異能は凄く強いです。使いこなせれば、人を救える筈です。
…でも、制御しきれなくて…悩んでて…」

悩み事を打ち明けてみる事にする。
こんな思い詰めている理由は殆どこれに起因する。

「それで、危ないと思われて…最近巡回の頻度も減ってきちゃって
このままじゃ、何も出来なくなるんじゃないかって思ってるんです
…どうすれば…」

再び俯く。その瞳は答えを期待しつつも、希望を望んでいる。
希望の尽きかけた瞳だ。

おこん > 「ふーむ、ふむ…。 しなければ”ならん”ということなど、
 この世にはほとんどないと思うがのう。 ご飯食べたり寝たりするならまだしも。
 おぬし、なにか抱えておるんじゃなあ。」
小さな身体を相手に擦り寄せる。 少し汗の匂いがする、若いオスの身体だ。
よく鍛えられているのも、きっと彼の頭のなかにある”なにか”のためなのだろう。

「うむ、おぬしの異能はよく聞いておる。
 制御が難しいのもかくあれかしじゃろう。 触れる領域が領域じゃ。」
存在や認識そのものへの干渉は、物理的なものではない。
それのコントロールの精度を高めるとなると、
見えない計量スプーンでさじ加減を調整するようなものだ。
とはいえ、それがかれの悩みなのだとすると、悩ましいところである。
尻尾で相手の太ももや腰、お腹をくすぐりながらも、ううむと首を捻って考える。

「逆に考えてみるのはどうじゃ。 ”異能でなければ”だめな状況ばかりではなかろう。
 おぬしが誰かを救うのに、異能を使わなければならんのか?
 例えば、足の悪い人に電車の座席を譲るのに異能はいらんじゃろ?
 泣いてる人に声を掛けるのにも、異能はいらんじゃろ。
 …己のちからの使い所を、少し見つめ直してみるのはどうじゃ。
 あのほら、アレじゃよ…”どうにもこうにもならないそんなときに光の巨人がほしい”と
 ヒーローの歌でもあったんじゃよ。」
異能の暴走…パワーのコントロールもそうだが、適切なときに使っていないということもあるだろう。
少しでも相手にできることを示そうとして離しながらも、尻尾で身体をなぞる。
これはこれで楽しい。

葉薊 証 > 「それはっ…その通りですね…」

彼女の言う通りだ。
異能でなければならない、なんてことは全くもってない。
だが、の自分が持っている力はそれだけなのだ。
…くすぐったい。

「だけど、使おうとっしなくても暴走するときもあるんでぇ、す
せめて…それだけはどうにかしないとっ」

あの時みたいに、誰かを傷つけるかもしれない。
今度は、償いの機会すらないかもしれない。そう考えると、恐ろしいのだ。
くすぐったくて声が揺らぐ。

「別の方法は探してはいるんですっ。最近鍛えているのも、その為でっ。
そもそもあまりにも貧弱すぎたので、最近は鍛えてるんです」
だけど、いざって時に異能が暴走したら…台無しでっ…
せ、せんせい。くすぐぅ、ったいです」

ちょっと集中できない!
少々和らぎ、口角の上がった蕩け気味な表情で抗議してみせるが、それほど否定的な感じはない。
むしろ、物足りなさを感じている様子だ。

おこん > 「なるほどなるほど~? ふーむ、使おうとしてないのに…というのは困るのう?
 ほれ~、ここか~?」
尻尾が脇腹、おへそ、そして脇のあたりにするすると動いて柔らかくじゃれつく。
相手の話を聞きながらも、ちょっかいを止める気はさらさらなかった。面白いから。

「ワシの勝手な考えかもしれぬが、やはりおぬしの重圧…。
 ”救わねば”という強い意志がトリガーになっているのかもしれぬ。
 思うところはあるのがわかるが、気を楽に持つといいんじゃよ…。
 難しいのはわかっておる。 じゃが、まずは気の持ちようを…な?」
あくまでも優しく相手に語りかけるも、くすぐったいという言葉を聞いてにんまりとわらった。

「よしよし、ではこうじゃな!」
えいやと向きを変えて相手に抱きつき、胸板に顔をぐりぐりよ押し付ける。
さらに尻尾を使って、背中や脇腹を優しく撫でる。
完全にじゃれつくか前だった。