2024/07/30 のログ
葉薊 証 > 「それはっそうかもしれませぇ、んね
がんばってぇみまっす」

何故か暗い気持ちが晴れていくような気分であった。
こうして全身さすってもらっているからだろうか。以前手と手を触れあった事もあるだろう。
とても安心出来る。救う事への重圧を彼女の言葉と尻尾がほぐしてくれる。
そして、その笑顔に光が見えた。

「せ、先生?!おこん先生?!ちょ、やめっ…!」

柔らかい感触と彼女の控えめな重み、そして視線の先で左右に揺れる大きな狐耳に暗い気持ちなんて吹き飛ばされてしまった。というより、それどころではなくなった。
抗議こそするもその表情はすっかりほぐれ、拒絶などない。反射的に出ただけの言葉だ。
ふふ、ははと耐えきれない笑みが時折零れる。照れてはいるが、それでも逃れられない状況にちょっとした覚悟を決めて彼女を見つめて、その頭を撫でるだろう。

おこん > 「んひひ、どうしたんじゃよ~? 言葉に詰まっておるようじゃな!
 あれか? ワシの薫陶が染み入って言葉が出ぬみたいな感じか~?」
楽しげに相手にじゃれつく。 尻尾はますます巧みに動き、
小さな手が胸板を確かめるようにぺたぺたと撫で回した。

「どれ、ようやくワシに触れてくれたのう。 その顔でよい。
 おぬしは、できる分だけでできることをするんじゃよ。
 そしたらのう…そういうふうにきっと笑えるときが来るはずじゃからな! おらーっ!」
頭を撫でてくれる手に答えるように、自ら頭をぐりぐり押し付ける。
少しでも生徒が元気を、そして道を見つけてくれたのが嬉しくて、思いっきりじゃれつくのであった。

葉薊 証 > 「く、くんとう?」

言葉の意味はよく分からないがそれどころではない。
彼女の尻尾アタックはその激しさを増していき。

「ハハ、ハハハ!お、おこんせ、先生!くすぐった、ハハハ!」

耐えきれなくなった。ダムの決壊のように耐えていて笑いが溢れ出す。
こんなにいろんなところをずっと擽られたら、耐えられるわけがない!
久しぶりにこんなに笑った気がする。
腹筋がちょっと痛いけど、これは幸せな痛みだ。

「ハハハ、そうします、そうしますから!くすぐったいですって!」

ぐりぐり押し付けられる頭を撫でる手が笑ってるせいで乱れる。
わしゃわしゃと撫でた髪の感触がどこか心地よく、また違う意味でこそばゆい。
幸せな感触であった。

おこん > 「いひひ! よーしよし、やると言ってくれたのう!」
相手にいっぱい撫でてもらい、かつ約束まで得たのでぱっと両手と尻尾を離した。

「おぬしにも辛いことはあろう。特に思うがままにならん異能などその極みじゃ。
 じゃからこそ…そしておぬしが目指しているものがあるからこそ、
 前向きにどーんと構えておくことが必要じゃからな!」
相手を見上げて満足げに頷いてみせる。
生徒が少しでも元気になってくれたのが嬉しいのだ。

「さあて…このあとはどうするかのう?
 少し職員室で涼んでいくか? 冷たい水もあるんじゃよ。
 あのほら…なんていうんじゃ? うぉーたーさーばー?とかのう。
 あと梅干しもあるんじゃ。 塩分と水分は炎天下では大事じゃからな!」
親指でドアの方を指し示してニヤリと笑ってみせる。
せっかくじゃれ合った仲間に、そしてちょっとだけ元気になった生徒に
サービスしようという心意気だった。

葉薊 証 > 「わかりました、おこん先生。頑張ります。
いや、頑張りすぎないように…がんばります?」

ぐいぐり&くすぐりタイム終了に少々残念そうな表情を見せるが、表情はすっかり明るくなっていた。
すっかり解された様子だ。
彼女が嬉しそうにしているのも、少年はうれしかった。

「そうですね。ちょっと全身まだ熱いですし…そっちに…」

くらり。横転しそうになりつつも、なんとか耐えて。

「お、おもったよりだからい、急ぎましょう」

数時間こんな場所で寝ていた反動が来たか。
ふらふらしつつも立ち上がった。

おこん > 「うむ、適度にな。 悩んだらワシのところに来るんじゃよ。
 今日よりもーっといっぱい触ってやるでのう!」
指を器用に動かして見せながら相手にアピールしてみせる。
異能の制御は一朝一夕ではあるまいし、彼も何度も壁に当たるだろう。
だからこそきちんと受け止めようという決意を抱きつつ、ふらつく相手を見て
飛び跳ねた。

「だから言ったじゃろ! さっきの一本じゃ足りなかったんじゃな!
 ワシの頭に手ぇ置いていいから、倒れぬようにするんじゃよ。
 さ、悩んだあとは涼しい場所でクールダウンタイムじゃ!」
ドアを開けて校舎内に相手を呼び込みつつ、明るく声をかける。
少しだけだけれど、元気になってくれたのが嬉しくて、
大きな尻尾を左右に激しく揺らすのでした。

葉薊 証 > 「その時はお願いします」

微笑み応える。頼りになる先生だ。
心強い。この言葉を覚えておけば、思いつめる事もかなり減りそうだ。

「す、すみません。頭、失礼します」

言われたとおり頭に手を置いてついていく。
あまり体重をかける訳にはいかなかったが、それでも多少楽が出来た。
心の支えだけでなく、物理的にも支えられると更に頼りがいを感じた。

結局、熱中症一歩手前だったようだ。
水分補給を早い段階で出来たおかげだそうだ。保健室の先生にはおこん先生に感謝するようにと言われた。
ありがとう、おこん先生。

ご案内:「大時計塔」から葉薊 証さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」からおこんさんが去りました。