2025/04/19 のログ
■霞流 周 > 「…いいんですか…?」
確かに、自分も含めてちょくちょく生徒がここを訪れているのは知っていた。
少女も、風紀や先生の目を盗んでこっそり何度か訪れている――今回見つかってしまったが。
「……あぁ…はい…ちょっと…生活費とは…別で…お金が…入用なので…。」
バイトは既に幾つかしているが、その内実は流石に風紀の人には話せない。
とはいえ、何か良いアルバイトが彼女との会話の中で見つかるかもしれない。
大人しく立ち去るつもりだったが、折角なので方針転換という事にする。
■東雲アリス >
「いいんじゃない?
こんなとこめったに見回りも来ないし、そうそう下から見えるようなところじゃないし」
立ち入り禁止と言うのも殆ど建前みたいなものだ。
見付かったとしてもすぐ立ち去ればいいだけの話。
「ふうん」
生活に困窮していると言うわけではなさそうだ。
彼女の姿を上から下までじろじろ見まわし、その視線が刀で止まる。
「――貴女、戦える人?」
■霞流 周 > 「…風紀の方が…そんな事を言うとは…思いませんでしたが…。」
勿論、風紀にも色んな人が居るだろうし、彼女はその辺りは臨機応変な人なのかもしれない。
取り敢えず、厳しく説教や詰問をされる事が無いだけ有難いと思うべきだろう。
何やらじろじろと観察されるように見られているが、少女はぼんやりした表情で大人しく見られるがまま。
…だったが、唐突な質問に首を緩く傾げてみせて。
「…まぁ…一応は…刃物の…扱いなら…それなりには…。」
逆に言えば、それ以外は魔術を独学で幾つか身に付けている程度。
そして、ふと思い出したように付け加える。相手が風紀だからというのもあるが。
「…ちなみに…刀剣の…携帯許可は…一応…取ってますので…。」
■東雲アリス >
「そりゃ風紀としてはさっさと降りてって言うのが正しいんだろうけどさ。
でも貴女困ってるんでしょ。
そっち解決した方がいいじゃん」
困ってたからここに来たと言うことは、ここで追い出してもまたそのうちここに来る可能性があると言うことだ。
ならばその大本をどうにかした方がいい。
――と言うのは半分建前で、残りの半分は面倒くさいから。
「ふぅん、そう?
――あぁ、そこは別にいいから」
刃物の携帯許可がどうとかは今はどちらでもいい。
確かめたかったのは「彼女が戦えるかどうか」と言うこと。
「私、風紀の特別攻撃課ってとこにいるんだけどさ。
人足りないから協力者探してんの。
お給料も出るし、戦えるんなら、どう?」
早い話がスカウトである。
■霞流 周 > 「……はぁ……成程…?」
よく分からない、という感じで少々生返事になってしまった少女だが。
…あぁ、何となくだけどこの人は割と情に厚い人なのでは…?と、ふと思った。
見当違いかもしれないが、あくまで少女はそう感じたというだけ。
「…あ、いいんですか……風紀の…特別攻撃課…?」
聞いた事が無い部署だ。そもそも、風紀委員会についてはそこまで詳しくはない。
そういう部署があるという事なのだろうが、名称からして…特殊な専門課なのだろうか?
「…それは…つまり…私に…その…特別攻撃課に…入れ…と…?」
スカウト、というのは少女も察した。だが風紀委員会に入るのは少し抵抗がある。
給料がきちんと出るのは魅力的ではあるが…。
■東雲アリス >
「――とにかくいいの」
ふい、とそっぽを向く。
「そ。
風紀の、戦闘特化の課。
人足りないからさ。
嘱託って形にはなるけど」
風紀に所属するのではなく、予科隊員と言う形になる。
「嫌なら別に断ってくれてもいいけど。
怪我もするだろうし、もしかしたら死ぬかもしれないから」
その分給料は良い。
■霞流 周 > 「……???」
そっぽを向く彼女に、何が何だか、といった感じで不思議そうにしていたが。
「嘱託…予備人員…一般協力者…みたいな…位置付け…ですかね…。」
成程、と少し黙り込む。風紀に所属する訳ではない、というなら一考の余地はある。
そして、怪我もするし死ぬ可能性もあるが…おそらく、そういう危険手当込みで給料は悪くない…と、予想する。
(…風紀委員会…特別攻撃課…予科隊員…うん…。)
危険性はさて置き、真っ当な形で金銭を稼ぐならばうってつけだろうか。
「…怪我は…慣れてますし…死ぬのは…まぁ…誰だって…何時か…死にますので…。」
遅いか早いか、そのくらいの違いしかない。その辺りは少女はドライだ。
決して死にたがりではないが、死ぬ時は呆気なく容赦なく死は訪れるもの。
■東雲アリス >
「そ。
じゃあ今度風紀の本部行って、特別攻撃課の予科隊員申請しといて。
誰から言われたか聞かれたら私の名前出しといていいから」
このまま本部に行って申請するのが手っ取り早いが、なんせめんどい。
今日は帰ってダラダラすると決めていたのだ。
「風紀の協力者っつっても行動制限されるわけじゃないし。
なんなら二級学生でも協力者いたりするからあんま気負わなくていいと思う」
彼女が二級学生だ、と気付いたわけではない。
ただ風紀の名前を出した時、彼女の空気がちょっとこわばった様な気がした。
カマかけみたいなものである。
■霞流 周 > 「…分かりました…えぇと…そちらの…お名前を…お伺いしても…?
……あ…私は…1年の…霞流…周と言います…アマネで…構いません…。」
風紀の本部に出向いて、特別攻撃課の予科隊員申請…今日はもう遅いから明日辺りに出向こうか。
まさか、こうも唐突に真っ当な金銭を稼ぐ仕事に就く事になるとは思わなかったけど。
「……それは…有難い限り…ですね…。」
カマを掛けられた、と察したのか小さく吐息交じりにそう呟くように。
行動制限をされないのは助かるし、何より二級学生だからと変に肩身が狭い思いをしないのも助かる。
(…まぁ…二級学生なのを…選んだのは…私自身だけど…。)
そんな心中の呟きはさて置き。仮に二級学生と気付かれても、この人は気にしなさそうだから良いとしよう。
■東雲アリス >
「あれ、名前言ってなかったっけ。
二年の東雲アリス、よろしく」
壁から背を離し、彼女に近付いて。
左手はポケットに突っ込んだまま、右手を差し出す。
「――ホントに二級学生だったんだ。
別に誤魔化してもよかったのに」
カマを掛けた事に気付いた上でその返答。
少し驚いたような顔。
■霞流 周 > 「…東雲…アリス…先輩……。」
覚えるように名前を呟く。きちんと先輩の呼称を付ける辺り、最低限の礼儀はある。
と、凭れていた壁から背を離し、こちらに歩み寄って右手を差し出してくる先輩へ意識を戻し。
「…まぁ…一部には知られてますし…アリス先輩は…あまり気にしない人だと…思ったので…。」
自分から吹聴はしないし、一応誤魔化しも隠しもするがバレたら割と潔いタイプ。
少女も刀を左手に持ち替えてから、右手を差し出し返しながら。
「…それじゃあ……予科隊員として…今後…お世話になります…アリス先輩…。」
■東雲アリス >
「よろしくアマネ。
なんか、先輩って呼ばれるの恥ずかしいな……」
返された右手を握って握手。
先月まで一年生だった身としては、先輩呼びされるのが恥ずかしい。
そのうち慣れるだろうけれど。
「ふうん?
一応聞いておくけど、なんで正規学生ならないの?」
ちょっと首を傾げて尋ねてみる。
嫌なら答えなくていい、と言う様に、割と気軽な声色。
■霞流 周 > 「…でも…先輩は先輩なので…。」
握手を誰かとするのも何か久しぶりな気がした。
少女からすれば、特に先輩呼びに抵抗も無く自然体。
「…幾つか…まぁ…理由は…あるんですが…。」
若干、途切れ途切れの話し方が常なので少し分かり辛いがやや言い淀む形。
言えない事は無いが、なるべくならば言いたくはないといった感じか。
「…一つだけ…端的に…言うなら…私の…無意識の行動で…相手に…怪我をさせそう…なので…。」
不意打ちに自動的に反射行動を取る。意識せずとも勝手にやってしまうソレ。
正規学生の身で、それで誰かに怪我をさせたら問題にもなろう。それが訓練などではなく日常で、だ。
何気ない悪ふざけの延長のような攻撃の真似事すら、少女はそれに対して自動的に斬り殺しに行く。
だから、敢えて二級学生の立場に甘んじているのも…理由の一つだ。
■東雲アリス >
「ああいや、別にいいよ先輩で。
私が慣れてないってだけだから」
慌てて手を振る。
慣れの問題だろうし、呼ばれて嫌だと言うわけでもない。
「ふうん?」
彼女の途切れ途切れの言葉に耳を傾けて。
優しい理由を聞きながら、うんうんと頷きながら。
「なるほどね。
でもそれこそ多分正規学生になった方が良いと思うけど。
二級学生が人に怪我させたってなると、正規学生より処分重いよ、多分」
ただでさえ二級学生と言うだけで色々違反しているのだ。
その上で人に怪我をさせたら尚更だと思う。
異能の制御に関するサポートも、正規学生の方がやりやすいだろうし。
■霞流 周 > 「…そう…?ですか…じゃあ…一先ず…アリス先輩…で…。」
慌てて手を振る彼女に、少し瞬きをして眺めつつも頷いて。
確かに、彼女の言うように正規学生の方が今の立場よりもまだ処分は”軽い”かもしれない。
「…他にも…理由があるので…少なくとも…私は…自分で…今の立場を選択した…ので…。」
決断をしたのは自分。茨の道ではあるがそれこそ自己責任。
目立たず過ごしていれば、それなりに正規学生に近い生活は出来る。
「…一応…嘱託とはいえ…予科隊員になるので…アリス先輩に…迷惑が被らない…立ち回りは…しますので…。」
と、スカウト相手でもある先輩の顔に泥を塗らない程度には問題行動を起こさないように気を付ける、という宣言。
■東雲アリス >
一応彼女が初めての直接の後輩になる。
直接の後輩ってなんだ、と言われればそうなのだが、まぁとにかくそんな感じである。
「ふうん?
まぁ別にアマネがそうするって決めたなら私は何も言えないけどさ」
彼女が決めた事ならば口を出すこともないだろう。
「あー、まぁ別にいいよ。
あんまり気負わず適当にいこう」
余程風紀そのものに迷惑を掛けるようなこと――それこそ風紀に直接気概を加えると言ったような――をしなければ別に迷惑とも思わない。
異能での事故があまり目立つとそれはそれで監視対象とかになったりするだろうけど、別に自分に何か迷惑がかかるわけでも無し。
ひら、と手を振って。
■霞流 周 > そういえば、明確に学生の先輩の知己になるのはこの人が初めてになるのかもしれない。
少なくとも、年齢や学年が近い先輩は彼女が初めてだろう。
「…そう言って頂けると…助かります…。」
軽く会釈を一つ。あまり根掘り葉掘りされないのは色々と有難い限りで。
「…気負ってるつもりは…無いんですが…。まぁ…私も…別に…風紀に…喧嘩を売るつもりは…無いので…。」
落第街でもバイトをしているので、そこで彼女と鉢合わせしてしまったら、まぁちょっと問題になりそうだが。
(…落第街のアルバイトは…一先ず辞めて…こっちに集中する…べきかな…。)
と、そこは打算も色々と。とはいえ、アリス先輩に迷惑をあまり掛けたくないのは本音。
そういう所は意外と真っ当な感覚、というか二級学生としてはむしろ珍しいかもしれない。
「…あと…アリス先輩…可能なら…一つだけお願いが…。」
そろそろ良い時間になってきたが、駄目元で一つだけ先輩に頼みたい事がある。
■東雲アリス >
「人間知られたくない事のひとつやふたつ、あるからね」
自分もあんまり名前の漢字は知られたくないし。
「私はどっちかって言うと後方支援タイプだから、直接カチあうことはあんまりないと思うけど」
スナイパーなので、見るからに近接要員の彼女と直接退治することは少ないだろう。
もし仕事で対峙したら、まぁその時はその時だ。
「ん?
なに?
お金貸して欲しいとか?」
そんなことを考えていたら、お願いがある、と告げられて。
首を傾げて、冗談めかして聞き返す。
■霞流 周 > 「…隠し事が…無いに…越した事は無いんですけどね…。」
とはいえ、人間生きてれば誰にだって秘密や言えない事の一つ二つはあるだろうか。
「…アリス先輩は…後方支援…そうなると…射撃…魔術…狙撃…?」
その辺りだろうか?と首を傾げて。と、冗談めかした先輩の言葉に違います、と律義に首を横に振って。
「…初任給の時は…金銭はいいので…刀を一振り…私にくれるよう…上の人に…提案して貰えたら、と…。」
左手の刀を軽く示して。「…そろそろ…使い込み過ぎて…限界近いので…。」
と、理由も簡潔に示す。実際、この刀は手入れをしてもそろそろ折れてもおかしくない。
■東雲アリス >
「うん、狙撃手」
今は持ってきていないけど、専用の狙撃銃がある。
厳密に狙撃銃と言っていいのかどうかわからないが、役割としてはそれだ。
「あぁ、なるほど。
それなら普通に経費で落ちると思うよ。
専用兵装になると正式な所属じゃないと難しいかもだけど」
予科隊員とは言え、武器の支給ぐらいはあるだろう。
専用兵装とまではいかずとも、任務に耐えうるレベルの武器は申請すれば用意してくれるはずだ。
■霞流 周 > 「…成程…。」
――私と特に戦闘の相性が悪いタイプだ。
魔術も使えるとはいえ、少女は近接メインで中距離までが限界。
遠距離攻撃手段も無い訳ではないが、狙撃手相手となると分が悪い。
まぁ、アリス先輩と戦いたくはないが。その可能性がゼロではない以上は考えもしてしまう。
「…経費で…落ちるんですか…。ああ…そこまで…凄い武器じゃなくても…いいので…。」
切れ味がある程度あって、そこそこ頑丈なら無銘でも何でも拘らない。
ならば、予科隊員の申請をする時に刀を一振り、支給をお願いしてみようか。
「…ありがとうございます…懸念が…一つ…消えました…。」
代わりの刀を用意する事は、割と切羽詰まった事情だったので本当に助かる。
そして、ふと景色と空の暗さに目を向けてから。
「…先輩…私は…そろそろ戻りますが…アリス先輩はどうします…?」
■東雲アリス >
「だからもしバディ組むとしても、見える距離で立ち回ることはあんまりないかも」
組むかどうかで言えば前衛とサポートなので機会は多いかもしれない。
まぁ彼女は二級学生だし、監視の意味と勧誘した責任の都合でも組まされるかもしれないけれど。
それは口には出さず。
「仮に正規学生になって、丸特に正式採用されたらそう言うのもあるかもね」
あくまで可能性の話。
話している間に、だいぶ時間が経ってしまった。
うーんと伸び。
「じゃあ私も帰ろうかな。
アマネが帰るならここにいる意味ないし」
残っていたらそれこそ立ち入り禁止違反だ。
くるりと向きを変え、入り口まで歩いて行き、
「ほら、帰るよ」
そこで一度振り返り、彼女を促す。
■霞流 周 > 「…私としては…むしろその方が…助かります…。」
自身の”無意識の行動”は敵味方関係ないので、近くに味方が居ないのはむしろ好都合。
(…ただ…アリス先輩は…勧誘した手前…あと…私が二級学生だから…監視目的で…組む事も…ありそう…かな…)
彼女が口に出していない事を、奇しくも心中でそう予想する。
そこはあくまでそういう可能性もある、と視野に入れているだけだが。
「…今は…正規学生に…なる気は…無いので…。」
この先、そんな時が来るかも分からない。先の事を考える事はあまりしたくないから。
「…そういえば…元々…私に注意をしに…来ただけです…もんね…。」
そうでなければ、先輩はここに立ち寄ってすらいなかっただろうから。
これもまた”縁”というもの…なのかもしれない。
「…あ…はい…。」
と、彼女の声に我に返り、緩やかな独特の足取りで彼女に続いて時計塔を下りていく。
道中、別れる間際までは他愛もない会話でもした…かもしれない。
ご案内:「大時計塔」から東雲アリスさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から霞流 周さんが去りました。