2024/06/14 のログ
ご案内:「風紀委員会・本部//小会議室」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
「借りますね、30分ほど」

風紀委員会本部、いくつかある小会議室に現れたのは、両手いっぱいに紙束を抱えた凛霞である。

「よいしょ、っと…」

どさ、と長机にそれを下ろし。
パイプ椅子を引いて、掛ける。

伊都波 凛霞 >  
長机の上にいくつかの報告書を印刷したもの。
そして風紀委員会のデータベースにあるありとあらゆる異能・魔術の情報を記した大量の資料。

「さて……」

データで見るよりも、こうやってずらりと並べて見るほうが効率が良い場合がある。

情報処理能力と把握能力の高さは自身の最も誇るところ。
ずらりと並べられた紙資料を同時に読み込み、頭に入れてゆく。

脳内で並列化した情報から必要なものをピックアップできる環境を作る。
コンピュータのような作業を自力で可能にする。天才であるとか、神童であるとか、そう言われる所以。
なぜあえて生身でそんなことをやるのかといえば、単純にコンピュータよりも処理速度が速いからだ。

伊都波 凛霞 >  
別にこんなものは異能でもなんでもない。
生まれ持った、あるいは鍛えれば身につくもの。
最もこの少女の場合は、その性能が異能の役にも立っているが。

「………」

最新のファイル。
まだ暫定で提出されたそれに、眉を顰める。

とうとう、件の連続事件の被害者に知った名が書き込まれていた。
ふつり、と沸き立った感情に少し、情報の処理能力が鈍る。

伊都波 凛霞 >  
CPUの良いところは感情による処理能力の変化がないところだろう。
買ってきた缶コーヒーを開けて、一口。気持ちを落ち着ける。

人も命も当価値とは思っていても、
知っている人間とそうでない人間の名前では感じる重みが違う。

「ふぅ…事件自体の情報は意外に少ない…。目撃者は多いけど…割りとすぐに逃げちゃうから…」

そう考えれば直近、数時間前のそれは……大きな戦跡と言える。

これまでの事件を鑑みて、まず用意すべき対策①は…これで確定か。

伊都波 凛霞 >  
『逃走を防ぐこと』

そう考えれば"挑発"は正解の一つ。
相手の性格に寄るところも大きいが、現場に縫い留める効果はあったようだ。
けれどそれをより確実に効果的に行うのであれば…事前準備が必要。
逃走阻止に使えそうな異能者、魔術師を今しがた脳内に作り上げたデータベースから探し、ピックアップする。

では逃がした理由とは?
偏に言えるのは準備不足。これは偶発的な遭遇も含むため已むを得ない。
そして、単独で挑んだこと。
どの事件も風紀委員が到着する直前には逃げ出し、逃げ切っている。
逃げ出すのは兎も角、逃げ切っているのが妙。

「表の街を熟知してる…それに加えて風紀委員の移動するルートも」

──テンタクロウの正体は裏の人間ではない可能性が高い。

ご案内:「風紀委員会・本部//小会議室」に紫陽花 剱菊さんが現れました。
紫陽花 剱菊 >  
故に其れは影成れば、音も無くば必然也。
如何ばかりか凛霞が思案巡らせ折節(おりふし)、傍に佇む男が一人。

「……久しいな、凛霞。」

静寂よりて音に響かず、されど聞き覚えもあろう男の声。
此方(こなた)の影より垣間見るは公安(かげたる)男。
暇無く影より民草を守りし、刃成ればかかずらう機会も無く
然れど、図らずとも背を見かければ此の暇に声を掛け次第候。

「相も変わらず、根を詰めているようだな……"(くだん)の男"か……?」

即ち、怪傑テンタクロウの事成ればと男は静かに尋ね、其処には変わらずの仏頂面が有。

伊都波 凛霞 >  
「……?」

作業に集中していても、そこれは武術を嗜み実家道場の師範代。
気配を感じて振り返ろうとした刹那。

「え! 剱菊さん!? どうしてココ(風紀委員本部)に…」

そこは素直に驚いた。
別に公安の人間が入れないわけでこそないが。
会議室にいるのは流石に驚く。

…とりあえず、一通り驚いたあと、ふぅと一息を挟み。

「お久しぶり、です」

ふわりと微笑んで。

「そーです。最近お騒がせの。
 今日も後輩の子が一人、入院しちゃって」

問いかけを肯定して、根を詰めるのは得意だからいいんですけどと笑う。

「でもとりあえず連日の事件で見えてきたこともあるので、まずは対策案を、と」

紫陽花 剱菊 >  
隻手、目前と立てれば一礼。

「……逍遥(しょうよう)。影を歩みてつとに声を集めては幾星霜(いくせいそう)
 (つゆ)ばかりと其方(そなた)を見かけ、声を掛けた。迷惑であったか……?」

即ち、天手古舞(てんてこまい)の仕事三昧成れば、(ともがら)たる風紀に足を運ぶのも必定。
然るに、多忙はお互い様と成れば些か不安を一つ訪ねよう。

「左様、か。目下、敵は影も形も無く、思案に余る、と……。
 然るに其の口ぶり、其方(そなた)も光明が差したと見る。」

さやか、其の思案は如何にと事問(ことと)う。

伊都波 凛霞 >  
「いいえー。お友達とはどんな時に会ってもいいものですよー」

迷惑なんてとんでもない。
心が荒むような出来事があったばかり、むしろ嬉しいくらいだ。

「光明かどうかはまだわからないですけどね。
 ただ実行できれば彼に対する情報の多くを得られる筈。
 これまでの交戦での情報はどちらかといえば時間稼ぎであったりとかが多かったので──」

今日の一戦で一気に情報は膨らんだ。
それは、交戦した少年がしっかりと戦闘の準備を整えていたことも大きい。
奇襲かそうでないか…それだけで随分と変わるものだ。

「勿論、可能であれば捕縛しますけど。
 うーん…多分、一筋縄ではいかないんじゃないかな…」

細い顎先に手をあて、思案しながら言う言葉は、自分の力では完全解決にまで漕ぎ着けるのが難しいという分析。

紫陽花 剱菊 >  
冴ゆる心も、燦々と朗らかさに旨を撫で下ろす。
一人男児然たれど、手弱女(たおやめ)の如く柔く剱菊は微笑む。
友垣(ともがき)。彼方では手に入れられる陽の言葉が耳朶(じだ)に染みる。

「左様か……斯様に成れば私も救われるもの。
 兎角、其方達(そなたたち)も苦戦は必定か。」

光明見えども影法師は掴めず。鬼は未だ手の鳴る方へ。
事程左様(ことほどさよう)凛霞の言葉が全て也。
然れど、怪傑、悪鬼は如何様に此方(こなた)より湧き(いず)る。
剱菊も何を言わんや、静寂と腕を組み凛霞を見据える。
相も変わらず、鋭く射抜く底の黒也。

「何くれと、一度足を見せれば一所懸命(いっしょけんめい)だ。
 難敵たれど、(あやかし)に非ずんば必ずや辿り着くだろう。」

「……私も未だ多事多端(たじたたん)で有れば、手を貸せる事は少ない。
 然れど、何時でも其方(そなた)を案じている。私に出来る事より、其方(そなた)のが此の地では多いやもしれん。」

友垣(ともがき)成れば、何時でも其方(そなた)の下へ駆けつけよう。」

伊都波 凛霞 >  
「そうですね。特に制圧となれば…人間の出せる火力ではちょっと及ばないかも。
 でもそれも限定的に許可を与えれば、異能者や魔術師で対応できる部分…むしろ」

一息置く。
彼は公安委員会の所属。
ある程度情報の共有はされている筈ではあるけれど。
おそらく核心に迫る情報は秘匿がされている。
それ今尚、我々にとっても不透明な部分が多いものではあるが。

風紀委員が負傷したり、表での事件が目立つ今回の(ヴィラン)
それに囚われ、対峙せねばという気風が強くなりすぎている。…気がする。

「私は刑事課なので。犯人の正体に迫る方に動こうかと。
 一応、既に落第街やスラムの違反学生ではなさそうだ…というアタリはつけているので」

骨を砕きたいだけであれば騒ぎにならず都合の良い獲物(二級学生)が標的になっていないわけがない。
そして風紀委員が駆けつけてからの逃走の鮮やかさ。
表の街を熟知しているだけに留まらず、追う風紀委員の選ぶルートを知っているとしか思えない。

───さすがに、風紀委員が犯人かも、とまではこの時点では口には出来ないが。

「──ん。ありがとうございます。…剱菊さんはいつもそう言ってくれるなあ~」

頼もしい、そんな言葉がもらえるだけで気が楽になる気がする。

「剱菊さんも色々多忙な感じ、なのかな?
 私が言えたことでもないですけど、根を詰めすぎないようにして下さいね?」

疲れなど感じさせない笑みでにっこりとそう言葉を返す。

紫陽花 剱菊 >  
「……一気呵成(いっきかせい)(あまね)絡繰(からくり)を封ずれば、或いは……。」

とんと此方(こなた)の絡繰には些か疎き異邦の者。
然るに戦人。何をおいても戦と成れば思案も巡る。
如何に数多の手を用いようと、絡繰操者(からくりそうしゃ)は唯一人。
此方(こなた)の知識に疎くても、人の手で作りえし絡繰成れば対策は有りきでは、と提案せし。
些か気難しく寄る眉間の皺。戦人故の言の葉は呑み込んだ。
実行出来ぬ絵空事は、意味を成さない。

「…………。」

鋭き(まなこ)は、何よりも察する。

「……戦とは、武力のみ成らず。下準備が大勢を決める。
 其の成果は、時に端無くも攻勢をもたらすものだ。」

「光明足り得る成れば、いっそ踏み込んでみよ。」

其の顔付きは既に懐を覗いた者の顔。
勇み足は御法度成れど、疑念無くば如何様にでも踏み込めよう。

「私に出来る事など、たかが知れている。元より武芸しか取り柄の無い男だ。
 其方達(そなたたち)程でも無い。精々、此れ以上手を煩わせぬようするばかりよ。」

(はばか)り乍、言の葉のみと何と儚きものよ。
武芸者成り、影法師成れば人目に付くはずもない。
武芸ばかりとする自嘲するが、一入事実。剱菊も苦く、笑むのみ也。

伊都波 凛霞 >  
「──勿論。後輩が怪我させられてるのに何もしないわけにはいかないですよ」

踏み込んでみよ。と背を押す言葉…。
少しばかり、その語気と瞳の光には強い力が伺える。
普段温厚と愛嬌に彩られている女子にしては、であるが──(おこ)っているのだ。

「そゆことです。盤石とは行かないまでも──蜘蛛を蜘蛛の巣に捉えてやろうかな、とは」

長机に拡げられた紙束をザッと素早く重ね集める。
中身は既に全て、頭の中に入っている。

「今後も機界魔人(テンタクロウ)が現れれば必ず被害が想定されます。
 そういう時にも、公安委員の力を借りる機会は多いかと──その時は」

立ち上がり、男へと深く一礼。

「宜しくお願いします。剱菊さん」

紫陽花 剱菊 >   
「……怒髪衝天(どはつしょうてん)。尤も成れば気を静めよ。心は常に、()やけさ也。」

些か諄いかも知れぬが、他者の言の葉にのみぞ効果有り。
憤りに呑まれれば負け戦。明鏡止水。静寂が勝利の秘訣。

「其れに、佳人(かじん)たる其方(そなた)に鬼面は似合わぬ。」

一つ、筆を()く気で和やかに。
事実麗人也や、微笑みこそ宝也。
力なく微笑にて、戯けて見せよう。

「左様か。気炎万丈(きえんばんじょう)。然れど、足元を掬われぬようにな。」

一つ策を巡らせれば無数の糸。掛かれば重畳。
然れど、如何ばかりと囚われれば策に溺れるのみ。
斯様な愚策を取るとは思わぬが、忠告はしよう。

「……是非も無し。」

其の為の刃成れば、必然。
すずろのままに一礼を返す。

伊都波 凛霞 >  
「大丈夫。そりゃあ少しは思うところもありますよ」

一度だけ、此処のロビーで言葉を交わした。少し変わった子。
少しだけ尖った考え方や、生意気な物言いが印象深い。
そんな子が果敢に戦い、負傷した。
一方的にかもしれないけれど、仲間意識は勿論のこと…顔を知っている人間が傷つくこと自体に沸き立つものがある。

「ふふ。鬼面、ってほどでもなかったと思いますけどー?」

微笑みを見せる彼に、こちらも笑みを。

「勿論。可能な限り万全に。それから──」

言葉を止める。それは、一応のため。

「内容は秘匿します。…風紀委員の中に犯人がいないとも限らないので」

壁に耳あり障子に目あり。
此処は風紀委員のお膝元。罠を貼る以上、可能性が拭いきれない以上は浮かんだ策を触りとて口にすることを避けた。

「と…30分しか使用時間申請してないんだった…。
 ありがとうございます。元気づけてくれて♡」

束ねた紙束を抱え直して、よいしょとパイプ椅子は少しだけ行儀悪く、お尻で押して元の位置に戻す(両手が塞がってるんだもん)

「私はもう戻りますね。剱菊さんも、お忙しそうなのでお体お気をつけて!」

紫陽花 剱菊 >  
「……無用と判っていても謂わせてくれ。
 其方(そなた)は少し、危うき所が有る。卒爾乍(そつじながら)其方(そなた)其方(そなた)が思うより人を識らず。」

「私に言う資格無きは詮方無(せんかたな)き事。
 いわんや、獅子身中の虫を手繰る成ればな。」

純真無垢。穢れの問題では無く、心構え。案に違うなら其れで良し。
武芸以外に物を知らぬ剱菊から見ても、人を疑うには事足りぬ。
柳眉の麗人たるや、帳に潜るには心許ない。よしや、望むのであらば────。

「望むならば、其方(そなた)の代わりに虫を斬ろう。」

其れが刃の本来の有り用。
凛然、武人の顔付き也。

「……私は何もしていない。
 其方(そなた)の心持ちだ。」

「…………。」

斯様、剱菊も男成れば視線も自然と流るるもの。
臀部が気になる、詮方無き事。むっつりめ。
……更生の彼方より気を感ずれば、非ずもがな、と。咳払い。そういうんじゃないんです。

「……其方(そなた)も気をつけよ、凛霞。
 何時でも其方達(そなたたち)を見守っている。……行きずりまで共に行こう。」

小さく頷き、共に去りゆくのみ。

伊都波 凛霞 >  
人を買い被るところがあるところは否定できない。
所謂、性善説を信じてしまうタイプなのだ。
世の中そんなに悪い人ばかりじゃない、と。
こんな組織にいながら、思っている程なのだから。

「虫を斬らせるには剱菊さんの刀は勿体なさすぎですね」

凛々しい顔の男に苦笑する。

咳払いする男と共に、風紀委員本部の一階へ。
久しぶりの再開はそうして幕を閉じ──

「あー!ごめん剱菊さん!小会議室の照明落としてきて!」

───幕を閉じた。

ご案内:「風紀委員会・本部//小会議室」から紫陽花 剱菊さんが去りました。
ご案内:「風紀委員会・本部//小会議室」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「委員会街」にリョーガ・パレコルタさんが現れました。
リョーガ・パレコルタ > 「んー。
図書委員の本部に忘れもんしちまってたでい。」

そういいながら委員会街を歩く図書委員の男一人。
どうやら委員会の本部に資料を忘れてきてしまったようで。
のらりくらりと、ある委員会前に差し掛かる------

「…風紀委員会、ねい…」

ふと風紀委員会の本部前で何かを思い出したように。
同時に何か思うところもあったか。
本部をただ、見上げていた。

「…でもお誘いは柄じゃねぇんでねぇ。
いっつも連絡が誰かしら一回は来るのは嬉しいんだがねい。」

リョーガ・パレコルタ > そう、この男は。
風紀委員会や公安委員会からの勧誘を悉くすべてを蹴っている。
誘われる理由としてはその【異能】の実用性が高いこと。
そして彼自身も高い実力を持っていることからなの、だが。

それに対して蹴り続けている理由が。

「『柄じゃない』って毎回言ってるもんけどねぇい。
まー人材確保は何処も困っちゅうことでもあるんだがよい。」

はは、と微かに笑みを浮かべて。
誰か来てもおかしくはないだろうに。

リョーガ・パレコルタ > 「…っと。
こんなとこで立ち止まっちゃいけねぇや。
図書委員なのに怪しまれたくはないよい。」

はは、とその場を通り過ぎていく。
誰も声をかけなければ、のらりくらりと図書委員会の本部ビルに消えていくのだろうから。

ご案内:「委員会街」からリョーガ・パレコルタさんが去りました。