2024/11/25 のログ
ご案内:「委員会総合庁舎 カフェ」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
仕事の合間、たまにはカフェで小休止

「──んー…とりあえずこんなんでいいかな…」

ぴ、とペンで(したた)めたのは一枚の書面
それにいくつかの資料らしき書類をピンで纏め、大封筒へとしまい込む

夏の一連の事件に噛んでいたこともあって資料を纏めるのにも少し時間がかかった
そうして用意されたのは、とある抗議文である

伊都波 凛霞 >  
「──そんな話、私聞いてない」

それはまだ夏の中頃…第一級監視対象であり私が監視役を担当する彼にとある命令が下った
とある命令、なんてボカシても…監視対象に下る命令なんて風紀委員なら誰でも内容は理解る
彼の監視役である自分を通さずに下された命令に対して抗議の声を挙げるも、その時点では封殺
理由は理解る──ターゲットである彼女が私の親友であったからだ
理解はしつつも、納得なんかが出来るわけもない
今年の夏は…とにかくあらゆる"感情"を抑えなきゃいけない時期だった


───トン、と封筒の底をテーブルで叩いて中身を揃える

これを提出してどうなるかは理解らない
監視役として不適当…不十分であるとして私を通さず指令を下したのであれば、改めて見極めてもらう必要もある

封筒をしまい、少し温くなった珈琲を口に運ぶ
今日はブラック。良い酸味と苦み、香ばしい香りが広がる

「………?」

ふと、なんか名前を呼ばれた気がした

気のせいだった
 

ご案内:「委員会総合庁舎 カフェ」に紫陽花 剱菊さんが現れました。
紫陽花 剱菊 >  
空音(そらね)と気取られたほんの暇、何時しか男は傍にいた。
衣擦れも無く、静寂の中に黒糸を揺らす(うろ)の双眸。
胸襟まつろわぬ少女の傍らにひっそり閑と、佇んでいた。

「……凛霞」

静寂に波紋描くばすずろの声音。
根の底めいた仄暗い(うろ)は只々、少女を見据える。

「何ぞと、思う所があるようだな」

封筒を一瞥し、言問う。

伊都波 凛霞 >  
どうやら気のせいじゃなかったみたい
ぽつりと名前を呼ぶ艶黒の髪の彼はいつも通り、いつの間にかそこにいる
なんかもう慣れたし、一々驚くアクションもしなくなった少女である

「思うトコロなんて、いつでもいくつもあるんですー。特に人生の今の時期は、きっと」

立ってないでどうぞ?とテーブルの向かい側を掌で促す
同時に店員さんに声をかけて、温かいお茶を一つ注文するのだ

「でも思うところがあるだけで、思い悩んでるわけでもないので、今回は平気」

そう言って、恐らく自分のことを心配して出現したのだろう公安の彼へとにっこりと笑いかけた

紫陽花 剱菊 >  
気遣い無用。申し立てより一手早い。
珍しく剱菊の表情に困惑が見える。
然れど、好意を無碍にするのもまた反する。

「然らば、失礼する……」

二本指を立て、一礼。染み付いた故郷の作法。
ゆるりと腰掛ける動作一つとっても音もなく。
静寂、凛然。竹のように背は一直線。

「幾度か相まみえた時は随分と思い悩んでいたようだが、左様か。
 其方(そなた)自身が言うのであれば私から申し上げる事も無し」

当人が言うなら事も無し。
机に置かれた茶を一瞥。湯呑み、とは違う。
然れど染み付いた作法を未だ直せぬもの。
底を持ち、湯呑みと変わらぬように茶器(カップ)を手に持つ。

「だが、其方(そなた)の"平気"は存外信用成らぬな。
 何事も一人で咀嚼しようなどと思ってはおらぬか?」

じ、と(うろ)は心底事見据えるかの如し。
思う所有り、と言わんばかりだ。
音も立てず、僅かに茶を啜る。知らない味を舌が滑る。

「……茶、か?知らぬ味だ」

伊都波 凛霞 >  
「若者なので、そりゃあ悩むことも多かったりしますよ?」

ちょっと夏からこっち、悩む暇もなかった気はするけど
とりあえず行動できたことは、きっと良かったに違いない

眼の前でなんか凄いぴっしりした作法でお茶を飲む彼
一応道場の娘なのでそのへんはそういう場ならしっかり作法は心得ている少女だけど
こういうカフェでまでそんなお作法に倣うことはなかった
なんという場違い感…いやいつものことかも

平気という言葉が信用ならない、なんて言われてしまえば困ったように苦笑
まぁ、そういう"きらい"があるのは多少なり、自覚しているけれど

「大体一人で解決しちゃうクセはあるかも。
 でも悩みこんじゃうくらいのことなら、ちゃーんと周りに相談してるので心配ご無用!」

そう言って、胸を張ってみせよう

「お茶、はじめてなの? 普段何飲んでるの……?」

この男の私生活、謎過ぎる

紫陽花 剱菊 >  
封筒を一瞥し、躑躅へ。

「斯様、其方の身に起きた事は存じている。
 ……今めかしと私から何か言うことも無い。
 私も人心(じんしん)(かい)すには至らぬ身」

「然れど、若人を支える支えには成れよう」

先人と奢る気も無し。
然れど、先行く者として若人を支える。
本質は戦人成れど、男もまた自らの居住まいの在り方を確立していた。
泰平を愛し、泰平に馴染めぬ男成れど、礎には成れるとも。

「相談相手がいるので在れば、良い。
 が、時折増上慢(ぞうじょうまん)で無いかと心配にもなる」

「時に、其方(そなた)は単独行動も多かろう。
 何時か痛手を負い、周囲に気配りをさせかねん」

一重に、驕りでは無いかと窘めた。
影の者。諜報機関公安委員会。
宵闇の瞳は如何なる闇だろうと見透かさん。
斯様立ち振舞い程度、耳朶に染み付いている。
張り上げる胸を(うろ)はしかと見ていた。たわわ也。

「……、……やはり、変か?」

自らの作法に疑念を抱かれていると感じた。
此れしか知らぬ。が、迎合できぬが故の、困惑。
続く言葉にはすずろと首を振る。黒糸がざっくばらんとしなやかに揺れた。

「私の知る茶の味とは違う。故郷の味は、もっと青臭い

「……水を少々」

実に、味気ない。

伊都波 凛霞 >  
「私が単独で動いてると、心配ですか?」

くすり、笑みを浮かべて

「でも、実際になかなか私と一緒に動ける委員の子っていなくって、
 一応そういう(単独行動)時はすぐ近くに仲間に張ってもらってたりもするので、いざという時のことも考えてはあります」

それが万全だ、と言い張るつもりもないけれど
リスクの高い行為をする上での最低限の予防線は張っている
風紀委員で、この島を守る立場である以上、身の危険は多少なりついて回るものだし

「なんだったら剱菊さんが守ってくれてもいいですけど」

なんて、冗談めかしてそう口にもしたりして

………水…
喉を潤す以上を必要としていないのか興味がないのか…

「あおくさい…緑茶とかお抹茶とかのほうがいいのかな…ドリンクバーにあるかも」

紫陽花 剱菊 >  
「率直に言えば、腕前に不安を」

一個人の武力に非ず。戦地、戦の立ち振舞い。
即ち凛霞の言葉は武術家成れど戦術家に非ず。
如何に優れた個成れど、"余程に"吐出せぬ限りたかが知れている。
いみじくも嘘を吐く程器用では無い。
言の葉一つに歯に衣着せる事も無し。

公安(われら)風紀(そなた)の領分は違えど、
 其方の身に何か在れば私とて気が気でない。
 其方が望むのであれば、我が刃がその身を護ろう」

故に、冗談一つ真に受ける。

「否、此の茶のが美味い
 あの茶の味は苦いだけだ。美味いとは言わん。
 然るに、常世学園(こなた)の食事はどれも頬が落ちると思った程だ」

然るに、剱菊の居た世界は斯様食文化は栄えていなかった。
ふぅ、と安堵めいた吐息を一つと、茶器を音もなく手元に置く。

「……して、そのどりんく?ばー?とは?」

じぃ。さながら(わらべ)のめいて興味津々。

伊都波 凛霞 >  
「それなら、もっと安心して大丈夫です」

腕前に不安を口にする彼にはさも当然のようにそう応えていた
古流武術の家の娘である故に武術家としての側面をもつ凛霞
しかしその本質は、男の想う戦術家にほど近い
戦いになる前に終わらせる、全てをコントロールし、詰みに導くのが本領
伊都波凛霞という人間の単体の性能は、それを悠に可とする

──もし、男が見立てが確かであり…目の前の少女に不足を感じたとするのなら

「冗談ですってば。忙しいでしょ?」

そうやって花咲くように笑う少女が、余りにも"殺意"というものから…
他人に躊躇なく死を運ぶ行為からかけ離れているからかも知れない

「度々想いますけど、食事環境凄かったんですね…。
 ドリンクバーっていうのは、お金を払って飲み放題なんです、珈琲とかお茶とか」

そういってカフェの一角を指差す
様々な絵柄図柄の並ぶドリンクバー、ジュースだけでなくお茶の種類も豊富に見える

紫陽花 剱菊 >  
「───────……」

非情、冷徹。
朗らかに咲く花には余りに似つかわしくない。
斯様、一介の武芸者としての腕前は信用している。
然るに此の、然とて戰場に似合わぬ華やかさ。
何を言わんや。剱菊が険しく顔を顰めるのも必定で在った。

「……常々、其方(そなた)は至宝を授かり、
 家庭を築くのが似合っていると思うほどにな」

故に心配なのだ。
此の花が散ってしまわぬか、と。

「味に拘りは無い。身体を動かすための栄養に成れば良い。
 娯楽らしい娯楽は……舞踊と、音曲(おんぎょく)程度だ」

即ち此度の基準に合わせれば食事というより投薬。
何時如何なる時でも"万全"に戰場に望むための身体維持行動。
混沌とした乱世に味を楽しむ(いとま)等有りはしない。

「…………」

凛霞が指差す、謎の箱。
言わんや、随分と物々しい。
おぉ、と漏らす声音は得も言われぬ。

「……あの箱から?一体如何なる絡繰りを?」

伊都波 凛霞 >  
「言いたいことは、なんとなく判りますけどね。
 まぁ、不殺を貫きつつ無力化、制圧するのも腕の見せどころ…ってことで」

ただ命を奪うより圧倒的に難解となるだろうことも理解っている
そうあろうという意思はある意味、少女の意地のようなもの
それを決して軽んじて見ていないことは、きっと目の前の彼には伝わる筈だ

「家庭は、いずれ、です。
 今は、学生のうちにしか出来ないことを、しっかりと」

笑顔で、そう答えて見せれば

「でも、美味しくないより美味しいほうがいいでしょ?」

娯楽などが乏しい世界から来た男の言葉にはそう問いかけつつ、

「いかなる絡繰り…と言われてもそういうモノとしか…」

説明する難易度高すぎである
厳しめのアルバイトよろしく見て覚えろと言うのが一番早い気すらする…