2024/06/07 のログ
ご案内:「商店街」に桜 緋彩さんが現れました。
桜 緋彩 > 昨日せっかくデパートに行ったのに私服を買い忘れた。
今日受け取ったばかりの制服を着て商店街を歩く。
サイズはばっちり、動いても押さえつけられたり突っ張ったりと言う感覚はない。

「今年はどんな服が流行りなのでしょうか……」

商店街の歩きながら、服屋があればとりあえず入って眺めてみて。
割と可愛い系が流行っているのかな、くらいはわかるが、自分にはあまり似合いそうにないなぁ、なんて考える。

ご案内:「商店街」に深見透悟さんが現れました。
深見透悟 > 「すいまっせーん、夏用のカッターシャツを配達お願いしたいんすけどーぅ」

制服姿の少女が服屋に入ってから数分後、店先から店内へと声が掛かる。
しかし声の出処は遥か下方、人の足元辺りからという珍妙な状況。
店先を見れば今丁度店に入って来たと思しき、テディベアの姿が見えることだろう。
然も当然の様に直立し喋るテディベアが、当たり前のように服を買いに来たのだ。

「いやー参っちゃうよなー、家を出て早々に足ぐねった挙句にスマホ落としちゃってお釈迦だもの。
 足もスマホも同じくらい釈迦釈迦チキン状態でもう目も当てられないっつーか」

とぽとぽ歩きながらレジへ向かうテディベア。
超常蔓延る常世島においても、そうそう見れないトンチキさがそこにあった。

桜 緋彩 >  
何の気なしに声のする方を見る。
そこにいたのはテディベア。
何の変哲もないテディベアが動いて喋っていた。

「――くまのぬいぐるみの生徒なんていたんですね」

しかしここは天下の常世学園である。
テディベアの生徒など特に珍しいモノでも――いや珍しいかもしれない。
ぽてぽて歩くテディベアの姿を目で追ってしまう。

深見透悟 > 至って普通のテディベア。リボンが誂えられた、多分女の子なのだろうと思われるテディベア。
けれども声音も口調も態度も、どちらかと言えば男子生徒のそれ。
カッターシャツをデリバリーして貰おうとしていたが、
人手不足のため店員から配達不可を告げられると、orz と分かりやすく落ち込んだ。

「マジ……かよ……
 少子化の影響がこんな商店街の片隅の服屋にまで……」

全く関係ない因果関係に愕然としていたのもほんの数十秒。
なら仕方ねえや、とさっぱり立ち直るとまた後で来よう、と気持ちを切り替えて。

「ま、せっかく来たんだし冷やかしくらいはして帰……お?
 わー、わー、綺麗なお姉さん発見ー。早速突撃しちゃいましょ。
 こんにちはー、お姉さんもお買い物ですかーっ?」

ふと見遣る視線の先、制服姿の少女と目が合った(気がした)。
わーい、と喜び勇んでペラペラ喋りながら近寄るテディベア。

桜 緋彩 >  
「あ、どうも、こんにちは」

話しかけられた。
随分と軽い感じのテディベアである。
ぺこりと一礼。

「そうですね、私服を選びに。ええと、くまどの?は制服を? 先ほどシャツをと言っておりましたが」

相手がテディベアでもいつもの通りに対応する。
誰であろうと礼は失してはならない。
店員とのやり取りを見る限り、何やら困っていそうではあったが。

深見透悟 > 「わあ、御丁寧に頭まで下げて頂いて、低いところからですみませんねえどもども。
 私服選びで商店街の服屋さんに? 中々良いセンスをしてらっしゃる。
 普通なら女子は百貨店とかトコ渋とか行くんだと思ってた」

一礼されればこちらもぺこりと頭を下げる。頭が重いので少しぐらついた。

「くまどの……ああ、俺は深見透悟っての。2年生の天っっっっ才魔術師!
 ちょっと夏用のシャツをねー、買いに来たんだけど。この体じゃあ引き摺って帰る事になるし、それならデリバリーして貰おうって思ったんだけどアテが外れちゃって。
 やっぱ地道に引き摺ってかなきゃダメかなー……お姉さんは?良い感じのお洋服、見つけられまして?」

自分の事情を説明した後は、陳列された服と少女とを交互に見る。
量販店には無い様な、掘り出し物とかお探しかしらん、と古典と小首を傾げて見せ。

桜 緋彩 >  
「いえいえ、どうもご丁寧に。本当は昨日デパートに行きましたので、その時に買おうと思っていたのですが」

ちょっと色々あって買えなかったのだ。
今日商店街に来たのは、こちらの方が近かったから。
それも「どんなものが流行っているのかな」ぐらいなもので、気に入ったのがあれば買う、ぐらいの感じである。

「私は三年の桜緋彩と申します。よろしくお願いしますね、透悟どの。――あの、宜しければ私がお運びいたしましょうか? 今日は特に用事もございませんし」

こちらも名を名乗り、しゃがんで右手を差し出す。
そしてやはりどうやらお困りの様子。
ならばお助けいたしましょうと申し出てみる。

深見透悟 > 「ほぉデパートには行ってたのね。
 お眼鏡にかなう服は無かった感じでして?
 それでしたらこのお店を選ばれて正解でしてよ、独自の入荷経路を持ってるのか、本土だけじゃなくて異邦人街での流行りものも時々並んでたりするから」

ただ見てるだけでも楽しいんですよぉ、ともふもふの手を擦り合わせながらまるで店員の様なトークを展開。
ついさっきまでテディベアも間違いなく客の一人だったはずだが。

「桜緋彩さん……あ、聞いた事あるかも!
 ええと風紀委員の、なんか滅茶苦茶チャンバラが強いって噂の……!
 わあ、噂で聞くより実物はだいぶ可愛らしい感じなんですなあ!……よろしくね桜センパイ!」

テディベアの耳にも少女の名前と剣の腕前くらいは聞こえていた。
あくまでも同級生がわいわい話しているのを聞いただけだが。クラスメイトに、彼女の稽古に参加している男子が居たとか居ないとか。
そんな噂の主が右手を差し出せば、光栄だなあ、とにこやかにモフモフの手でその手を取る。

「え?お運び?
 いやいや、知り合ったばかりの先輩をパシるなんて畏れ多い……!
 先輩の用事が済んでからで良いっすよん、俺も暇なんで!」

畏れ多くてもお断りはしない。厚意には甘んじて乗っかるタイプの天才だ。
とはいえ優先されるのは流石に申し訳ないので、彼女の私服探しを終えたら、という条件を付けた。

桜 緋彩 >  
「いえ、別の用事が入りまして見れなかったのです。
 ふむ、とは言え服に拘りがあるわけでもありませんし……」

たまたま会った友人と話しているうちに忘れていたと言うだけの話。
珍しいものがある、と言われても、あまり聞かあることに興味の無い自分からすれば何が違うのかよくわからない。
言われてみればあまり見ないデザインのものがあるなぁ、ぐらいである。

「これはこれは、名前を知って頂いて光栄です。 
 とは言っても私より強い方も沢山おられるでしょうし、まだまだ修行中の身ではありますが」

他学年にまで自分の名前が知られているとは。
名前だけが先行していることの無いよう、一層修行に励まねば、なんて考えながらモフモフのぬいぐるみと握手。

「いえいえ、私の用事など無いのと同じようなものですから。
 普段着が無いわけではないですし、困っている方の助けになるのも風紀委員の仕事ですから。
 すみません、先ほどのシャツのことなのですが――」

こちらもこちらで自分のことは後回しにするタイプ。
そうと決まればと言った感じで店員に声を掛け、あとは彼が会計を済ませるだけと言う状態にまで話を進めてしまう。

深見透悟 > 「なーるほど、そういう事ね。
 なんだか勿体無いなあ……」

素材は良いのだからオシャレしてみれば良いのに、と腕組みして思案に耽る。
ちなみに珍しい服は翼用に穴が開いてたり、多腕用に袖がいっぱいあったり、
サイケデリックな色調の猫がデカデカとプリントされたシャツだったりと多様多彩だった。

「まあ強い人はいっぱい居るだろうけど、わざわざ稽古場まで設けるのは桜センパイくらいじゃないです?
 そういう点から、馴染みやすいというか、噂しやすいんじゃないっすかね……?」

噂によれば、彼女の稽古は中々に苛烈を極めるらしく生半可な気持ちで参加すると泣きを見るとの評判だ。
では何故そんな目に遭いながらも参加するのかと言えば、参加した男子生徒曰く『稽古終盤に稽古着が着乱れてきた先輩がエッッッ』らしい。大変羨ましく思った透悟は、その生徒が次の稽古でしこたま絞られる事をひっそりと祈ったりもしたものだった。
とまあ、仔細はどうあれ彼女の噂はそれなりに耳にしていた透悟。
実物を見れば、ははぁなるほど、人気出そうな先輩だと納得した次第で握手を交わしたのだった。

「えぇ……いや、流石に滅私が過ぎる……
 とはいえお膳立てされてやっぱ良いです、も何か違うと言うか……」

あれよあれよという間に会計の段取りになってしまっていた。
しょうがないなあ、と何処からともなく巾着袋を取り出すと、シャツの代金を店員へと渡して。

桜 緋彩 >  
「これでも一応剣術道場の当主ではありますから。
 卒業後はこの島に支部を作りたいと思っています。
 その土台作りと言いますか、下準備みたいなものですよ」

後はまぁ、所謂不良と呼ばれる生徒たちの行き場の無い衝動の発散先になれば、と言うところもある。
更生なんて御大層なことまでは考えていないが、それで救われる誰かがいるのならばやらない理由はない。
因みに自身の稽古着が乱れることはほぼほぼ無かったりする。
全くないわけではないが、だからこそ見逃すものかと参加する男子生徒は多いのかもしれない。
しらんけど。

「――では透悟どの、参りましょう。
 お住まいはどちらで?」

シャツの入れられた紙袋を手に店を出る。
そう言えばこのシャツ、彼が着るのだろうか。
サイズがと言うか、そもそもテディベアがシャツ、着るのか???

深見透悟 > 「当主。……え、剣術道場の?普通そういうのって親の代がー、とかじゃないの……?
 ははぁ……噂よりも凄い人だったわけだ、将来を見据え過ぎている……」

感心し過ぎて開いた口が塞がらない気分になった透悟である。テディベアなので口は殆ど開かないが。
卒業後の目標まで聞けば、そりゃあ強くなる訳だわ、と納得せざるを得なかった。
機会があれば稽古の様子くらい見に行ってみるのも良いだろうかとすら思う。凡人並みの運動能力しか持たないので秒でダウンするのが目に見えてるから参加自体はしないだろうけれど。

「ああ、はい。なんか申し訳ないというかホントありがとうございます。
 住んでるのは男子寮なんで、そんな遠くはないんだけども。
 こういう時、ちゃんとした人間体のありがたみって痛感しますわなー」

あまり離れていない学生寮で暮らしてはいるが、ただテディベアの歩幅だと結構距離がある。
先んじて店を出た桜に続いて商店街へと出れば、それなりに人通りもあって活気を感じられる。
何か疑問でも沸いたのかシャツを見る桜を見上げ、

「あ、このシャツこのクマが着るんだろうか、って疑問に思ってらっしゃる?
 ふっふーん、俺が着るけどテディベアが着る訳じゃないんですのよ!」

何やらややこしい事を胸を張って自慢げに。

桜 緋彩 >  
「父上は自分を超えたと仰るのですが……。
 私としましてはまだまだ至らぬ点ばかりと思っておりまして
 どちらにせよ卒業するまでは形ばかりの当主ですよ」

父と言うのは偉大なものだ。
確かに剣の腕では勝てているのかもしれないが、それ以外のところはやはり父の方が上だと感じている。
道場の運営とか、人生経験とか。

「大丈夫ですよ、非番とは言え私も風紀委員に籍を置くもの。
 困っている方がいるならばお助けするのが当然です。
 ――ところでその歩幅で疲れませんか?
 透悟どのもお持ちいたしましょうか?」

男子寮へ向けて歩き出す。
が、せわしなく足を動かす彼が少し心配になる。
足の裏も汚れるだろうし、疲れる?だろうと、肩にでも乗りますか、と尋ねてみて。

「えっ」

彼が着るけどテディベアは着ない。
しかし彼はテディベアだ。
彼は着てテディベアは彼でシャツはテディベアではなく彼がシャツのテディベアの彼ではない……?
頭の上にはてなが沢山浮かんでいる。

深見透悟 > 「形ばかりでもその年で親から認められてるのは凄いと思うんだけど……
 まあ、そこで驕らないというか天狗にならないのがセンパイの強さの根源みたいなもんなのかねぇ。」

この分であれば卒業する頃には名実ともに当主となっているだろう事は想像に難くない。
先代の、特に身内に認められるというのは、武芸の道では贔屓も利かないことがままあるという。
自称天才である自分と違い、他から認められる天才なのだろうとぽぇーん、とクマ面下げて先輩少女を見上げるテディベア。

「いや、もうちょっと困ってる度合いを考慮した方が良いというか……ま、助かったっちゃあ助かったんですがね!
 うーん、疲れますよぉ。足の長さ、リーチがヒトとは全然違うんすもん。
 けどお気遣いなく、流石に荷物持って貰った上に自分自身まで運んで貰うというのは申し訳なさMAXにて。」

その代わり時々休憩を挟みつつで、とちゃっかり要求をするテディベア。
折角の縁だから、のんびりお話ししながら散歩気分で行きましょ、と提案して。
肩乗りするには流石にちょっと大きいのもあって、歩くのを譲る気はあんまり無さそうだ。

「ふふふ……突然何言ってんだ、と思うのも無理はないすよセンパイ。
 特に隠すつもりは無かったんだけども、実のところワタクシ深見透悟は……霊体なのでーっす!いえーい!」

更に重ねて意味不明なことを言うテディベア。

桜 緋彩 >  
「それはやはり人間と言うものは生きている限り未完成なものですから。
 自身の成長の余地がある限り、天狗になっている暇などありません」

実際この島に来て学ぶことは沢山あった。
人は完璧になれないからこそ、歩みを止めてはならない。
そう思っているだけ、と。

「うーむ。
 しかし本当に用事があったわけではないのですよ。
 無駄な時間、とまでは言いませんが、やることが無くうろついているよりは、人の助けになれた方が私も嬉しいので」

乗らない、と言われればそうですか、とあっさり引き下がり。
しかしぬいぐるみを肩に乗せたり抱きかかえたりしながら歩きたいと思っていたのも事実。
ちょっと名残惜しい雰囲気をほんのり漂わせている。

「ははぁ、なるほど、そう言うことでしたか。
 ――霊体でも衣服は必要なものでしょうか?」

なるほど霊体、それなら納得だ。
いや納得しかけたがそれはそれで別の疑問が出てくる。
霊体って物理的な服が必要だっけ???と。

深見透悟 > 「その考えに至れるとは、ホントに同年代か……と思いそうになるけど、言ってる事はホントその通りなんだよなあ。
 いやあ怖い、天才ってどんな分野にも居るもんなのね……」

全面的に桜の発言には同意せざるを得ない。
斯く言う透悟自身も、この常世島の存在する世界へと流れ着いてからというもの、新しい発見ばかりで日々学ぶことだらけだ。
人より秀でている事を誇りこそすれ天狗になる暇などまるで無い様に思うところまで。
得手とする分野が違えど、同じような心境に至る辺り、やはり彼女もまた天才なのだろうと認めるよりほかはない。

「んなら……じゃあまあ折角なのでセンパイさえ良ければこのままおデートに付き合って頂けません?
 俺もさっき言った通り予定も何も無くてですねえ、ただ買い物して帰るだけーってのも寂しくて困っちゃうな~と思いまして。
 ま、デートっつってもふらふら寄り道しながら帰るだけ、なんすけどね?
 ……いやまあそれこそ無駄な時間だろって言われたらぐうの音も出ないんですけどーしょぼーん」

どうせ人助けなら灰色な放課後を送る男子生徒に彩りを。
そんな寝言を言いながらも、透悟なりに妥協点を模索する。
模索する最中、名残を惜しむ様な気配も感じ取って、「それ(デート)ならまあ抱っこくらいならしても不自然ではないし……」と思春期男子の本音もぽろっと零れる。

「ふっふっふ、どうです驚いた……わけじゃなさそうね。呑み込みが早い。
 いや、霊体のままなら衣服は必要ないけど、普段は人に似せた姿の容れ物で活動してるから、その時に衣服が必要なわけで。」

おわかり?と首を傾げる。
だから透悟自身が着るが透悟自身が着る訳ではないという複雑なことになるのだ。

桜 緋彩 >  
「天才などとんでもない!
 私など剣しか振れない不器用な人間でしかありませんよ!」

ぶんぶんと両手を振って否定してみせる。
確かに剣の才能はあるかもしれないが、それでも他は人並だ。
少なくとも自分ではそう思っている。

「でっ……!?!?
 でーとというのは、あの、お付き合いをしている男女が愛を育み合うと言うあの……!?」

デート、という言葉を聞いてあからさまな狼狽を見せる。
男子生徒からのすけべな目線とかは平気なくせに、そう言う変なところで変に初心であった。

深見透悟 > 「謙遜しなさんなってぇ
 一芸でも多芸でも人より秀でた物が有り、それでいて尚先を目指そうとする意志がある者なら、それを天才を呼ばずに何と呼べば良いんで?」

少なくとも俺はそう思う、と真剣な声音で告げるテディベア。
剣以外の才が人並みでも、才能があってなお先を目指そうとするものこそ天才だろう。透悟自身はそう思っているうえで、自身を天才魔術師と称するのだ。

「あ、あー……そう、そういう認識なのねぇセンパイって。何時代よ。
 デートって言葉を使ったのが悪かったかな、ええと、ほら、夜までお気にのぬいぐる持ってのお出かけ、ですわ。客観的に見ても。」

急に狼狽を見せる桜に、透悟もまた動揺する。
今日びデートと言う言葉でこんなになる人居る?と一周回って物珍しささえ覚えた。

桜 緋彩 >  
「あ、そ、そちらでしたか……。
 いえ、その、確かにそう言う意味もあることは理解しているのですが……。
 どうしても男性からそう言われるとこう、身構えてしまうと言うかびっくりすると言うか」

女の子の友人同士で遊びに行くことをデートと言ったりはするが、どうしても男性からデートと言われるとなんと言うか、やはり驚いてしまう。
恥ずかしそうに笑う。

「ごほん……
 その、私は本当に人より剣の才が少しだけあって、幼いころから剣を振る努力をしただけだと思っております。
 しかし、まあ、確かに、人から見ればそれは天才と評するに値するのだろうな、と言うのも、理解はしていますが」

咳払いをして話を戻す。
個人的にはどちらかと言えば剣が好きで振ってきただけなのだ。
むーんとこめかみに指を当て、理解はできる、と。

「それで霊体、と言いましたか。
 なるほどそのくまのぬいぐるみも入れ物と言うわけですね」

深見透悟 > 「幾ら俺でも初めてお話しした相手にそんな無理難題引っ掛けることは……あー……無いと思いたい。
 ま、それはともかくいかがっすかね? これなら俺は罪悪感なく荷物を持って貰えるし、センパイも気兼ねなく非番を謳歌出来ると思うんだけども?」

そもそも非番を謳歌する気は無いと言われたら無念それまで。
でもまあ、折角なので学生なんだから休みは休みを満喫して欲しいものだ、と同じく学生の透悟は思う。満喫したい。

「そりゃーそうでしょ。俺だって魔術を扱うのが好きで年がら年中術式やらなにやら弄り倒してたもの。
 とは言え人より優れてしまったら謙遜しても嫌味になりかねないから、いっそ誇らしく胸を張るべきだと思うんだわ。
 ゼロから急にワープして今に至ったわけじゃないっしょ? 理由はどうあれ、積み重ねがあるわけじゃん。その積み重ねの集積場の名前が天才ってだけよ。」

だからって堂々と臆面も無く天才を自称するのも如何なものかと言われたら、それはその通りなのだが。
少なくとも、人より秀でた才を持つなら誇った方が才のためでもあると思うのだ、と力説するテディベア。

「へ?ああ、はい。
 そうそう、友達から譲って貰ったぬいぐるみなんだけど、もう超お気に入りで。可愛いっしょ?」

くるりとその場で一回転し、決めポーズまでばっちり決めつつ。

桜 緋彩 >  
「そう言うことでしたら、喜んで。
 差し当たってはどちらに行かれますか?」

微笑みを向け、どこに行こうかと尋ねてみる。
自分よりも相手、と言うわけではなく、本当に特に用事が無いだけだ。

「それは確かにそうなのですが。
 しかし、やはり自分で自分のことを天才だと語るのは……流石にそれは恥ずかしいと言うか」

私は天才なので、なんて流石にちょっと言えない。
過度な謙遜は確かに嫌味にもなるが、天才だと胸を張るのも恥ずかしい。

「リボンも付いて可愛らしいですね。
 ――ええと、一応念のために確認するのですが、透悟どのは男性、であってます、よね?」

名前とか、口調とか声とか。
多分男性だと思うけど間違っていたら申し訳ないので一応確認。