2024/06/12 のログ
■深見透悟 > 「そりゃあ胸肉に軍配が上がるってもんすわ。
たんぱくに見えて侮れないボリューム、病み付きになるのも已む無しと言うか……!」
この状況で何たる問いを投げ掛けるか、と思いながら答える。
状況にだいぶ引っ張られたコメントだが、敢えて多くは語るまい。
「ケバブ? ……ッ、ああ、はい!オッケー!
もう気の済むまで行っちゃってくださいセンパイ!」
これは最早理性に対する挑戦か、ならば受けて立つしかあるまいよ。
勝手に勝負を始めながら、幸せそうな桜の食べ歩きにとことんまで付き合ったテディベア。
クレープ屋に辿り着くころには、すっかりヘロヘロのメロメロにされていたとか、いないとか―――
ご案内:「商店街」から桜 緋彩さんが去りました。
ご案内:「商店街」から深見透悟さんが去りました。
ご案内:「商店街」に桜 緋彩さんが現れました。
■桜 緋彩 >
「――では、ありがとうございました。
当日はどうかよろしくお願いいたします」
放課後の商店街。
肉屋の入り口で店員にびしっとしたお辞儀をしてから通りへ出る。
店員からはこちらこそありがとうね、なんて声を掛けられた。
「ええと、食材はこれでよし。
あとは炭とグリルと……」
スマホをたぷたぷ操作し、Todoリストを呼びだす。
週末の懇親会の準備に向けて、協力してくれる店を回っているのだ。
既に話は通っているのだが、数や搬入時間など、間違いが合っては困る。
なのでこうして実際に店を回って、挨拶を兼ねた最終確認に周っているのだ。
「ふむ、残りはキャンプ用品のレンタル業者で揃う訳ですね」
リストによると残りの資材や機材などは一店舗で揃うらしい。
食材や飲み物は既に全部回ったので、そこに行けば終わりだ。
スマホをしまって歩き出す。
ご案内:「商店街」に橘壱さんが現れました。
■橘壱 >
商店街を歩く少年の顔は酷く退屈そうだった。
歩きタブレットは言われたから出来ないし、AFを動かせない日常は退屈だ。
特に、此処最近どうにも魅力的な連中と戦う機会も多かった。
あの高揚感と比べれば、なんと退屈なんだろう。
「…………そういえば。」
なんだか学園イベントとか色々あったな。
とこコレだの、風紀委員会の某とかも。
興味がないから全部スルーしていた。
そもそも、自分には関係のないことだと思っていたのだ。
ああ、退屈だ。つまらなそうに歩いていると、正面から歩いてくる見知った人影。
「あ、ゴリ……────。」
げふん。3F咳払いキャンセル。
「桜先輩、どうも。」
軽く頭を下げ、ご挨拶。
挨拶と同時に、手にぶら下げていたトランクも揺れた。
■桜 緋彩 >
「おやこんにちは。
今日は歩きながらタブレットを使っていないのですね。
感心感心」
一度立ち止まり、お辞儀をしてからからかうように笑いながら彼に返事。
ちゃんと注意したことを聞いてくれているようだ。
「退屈そうな顔をして、お暇そうですね」
あからさまにつまらなさそう顔をしていた。
暇なのだろうな、と思いながら笑いかけてみる。
■橘壱 >
タブレットの事を指摘させると少し顔をしかめる。
注意されなければ今も弄っていたので、言われても仕方ない所はある。
「そうですね、"お陰様"で退屈です。」
悪いことではあるので悪いのは自分だが、揶揄されると反抗したくなる少年。
ちょっと嫌味っぽく言ってやればふん、と鼻を鳴らした。
「暇ですよ。AFを動かしてない時は、退屈で仕方ない。
そういう先輩はおいそがしかったり?それとも、買い物でも?」
AFを動かし、それを運用する瞬間。闘争こそ楽しくて仕方ない。
それ以外は虚無だ。闘争のために食いつなぐいらない休息。
そう言えば、前あったときも買い物中だった。此処は商店街だ。
存外、色々買い物好きだったりするのだろうかと訪ねてみた。
■桜 緋彩 >
「ふふ、四季の変化やそれに伴う街並みの変わりようを感じ取れる様になれば、退屈などしませんよ」
むすっとしている彼にくすりと笑いを漏らす。
周りの様子を注意深く観察していれば、多様な変化があって退屈はしないのだ。
「私ですか?
ほら、土曜日に懇親会があるでしょう。
それに協力して頂ける店舗を、最終確認も兼ねて回っているのですよ」
なんせ懇親会の実行係の一人だ。
これもしっかりお仕事である。
■橘壱 >
「……そんなものを見て、何が楽しいんすか?僕にはわからねっす。」
見てくれが変わった所で何が楽しいのか。
17年間の大半をバーチャル世界で生きてきた狭い世界の少年。
言われた通りにぐるりと辺りを見渡しても……なんというべきかな。
細かな変化を楽しみには、まだまだ感受性が足りないようだ。
「あー……懇親会。」
そう言えばお知らせに来ていたような気がする。
いろんな所で仕事したりなんだったり、何より興味がなかったからチェックしていなかった。
どうやら彼女はそこに一枚噛んでいるらしい。ふぅん、と適当な相槌を打てばじ、と碧色の視線が彼女を見据える。
「先輩は出るんですね。その、懇親会とやらに。」
■桜 緋彩 >
「季節の細かい変化を感じ取れるようになるとわかりますよ。
ほら、コンビニだってポスターが先週と変わっていますから」
コンビニを指し示す。
先週までは冷やし麺のポスターが貼ってあったが、今はドカ盛りフェアのポスターになっている。
「ええ、海辺でバーベキューですね。
私はホスト側で参加いたします」
肉やら野菜やら海鮮なんかを焼いて提供する係である。
生徒たちの交流の場を作る、名誉ある仕事だ。
■橘壱 >
「そうですかね。……ポスター……ああ、そういえば……。」
「先輩、大食いだったりします?」
生憎と未だそういうのに感覚が入ってこない。
だが、コンビニのポスターくらいは合点がいく。
大盛りだのドカ盛りだのだったか。そういう話題で女性にそういう話題を振るのが、コミュニケーション能力の低さを物語っていた。
「主催側っすね。なんか、結構似合いますね。」
きっちりしてるイメージはあるし、率先して動いてくれそうなイメージはある。
成る程、バーベキュー。頭の中で海をバックに弾ける料理とそのたわわの山が脳裏をよぎった。
17歳だもん、それくらい妄想することはある。しかし、風紀の懇親会か。
何とも言えない顔で黙り込み、少し眼鏡をくいっと上げた。
「あー……。」
少し、悩んで。
「……僕も、出たほうが良いっすかね?」
思わず、聞いてしまう。
■桜 緋彩 >
「まぁ、人よりは食べる方だとは思いますよ」
なんせ動ける時は常に動いている。
登下校は「走り」だし、放課後は風紀の仕事が無ければ鍛錬。
休みの日も予定が無ければ鍛錬。
授業を受けているか食べているか寝ているか動いているかと言う勢いだ。
「そうですか?
人をおもてなしするのは嫌いではないですが」
そんなに似合うだろうか。
確かに世話を焼くのは好きだけれど。
「どちらでもいいと思いますよ。
実行係は有志で集まった人員で、風紀委員全体の行事と言うわけでもありませんし。
参加者側として参加することも可能ですが、都合が悪かったり別の用事があるならそちらを優先しても何ら問題はありません」
結局自分が参加したいかどうかである。
そもそも「懇親会」なのだから参加を強制されるようなものではない、と思っている。
■橘壱 >
「……成る程。」
成る程。合点がいった。何処がとは言わない。
そりゃそんだけ食べてりゃそうなるよな、うん。何処がとは言わない。
この前注意されたばかりだし、これ以上はやぶ蛇だ。
視線も下には落とさない。但し、不自然にちょっと上むいたりはした。
「……まぁ、僕みたいなのに構ったりする辺り、そういうイメージありますよ。」
自分で言うのも何だが、ろくでもない人間の自覚はある。
そんな自分を無視せずに無駄に世話を焼いてくれたのだ。
その件についての感謝もある。それに、おかげで視野が広がった。
同時に、苦しみも胸にある。
どちらでもいい、その通りだ。人に聞くべきことではない。
まぁ、そうなんだろうけど、と後頭部を軽く撫でながら何とも言えない表情。
別に都合がつかないわけじゃない。寧ろ、絶好の機会ではないだろう。
他人に興味を持ち、視野を広げる為のチャンスだ。
「まぁ、桜先輩には世話になりましたし、お手伝いも兼ねて参加はしようか、と……。」
何処となくぎくしゃく、馴れない感じが出まくりだ。
ちょっと落ち着かない雰囲気で、おずおずとそう申し出た。
■桜 緋彩 >
「ふむ」
手伝う。
その言葉に、真っ直ぐ彼を見る。
何かを確かめるような視線。
「――手伝いを申し出てくれたのはありがたいと思います。
壱どのがそう言うことを考えてくれた、と言うことも含めて」
真剣な顔で、そう告げる。
申し出はありがたい。
ありがたいのだが、一つ確かめておかないといけないことがある。
「ですが、ホストは参加者の皆さんをおもてなしする立場です。
私に恩を返したい、と言う気持ちはありがたいのですが、今回の場合その気持ちを向ける相手は私ではありません」
彼の態度に不安がある、と言うわけではない。
正直なところないわけではないが、今言いたいのはそう言うことではなく。
「参加者の皆さんを本気でおもてなししたい、と言う気持ちはありますか?
懇親会に参加してよかった、と喜んでもらいたいと言う気持ちはありますか?
あるならば、私は喜んでお願いしますよ」
最後ににっこりと笑う。
自分への恩ではなく、自分がそう言うことをしたい、と言う気持ちがあるか、と問う。
■橘壱 >
「…………。」
視線はそのままで黙り込む。
ホストと参加する以上は当然の心構えだ。
客商売とはちょっと違うが、店員がいきなり客に中指を立てたりはしない。
その"おもてなし"とやらはを他人に向けれるのか、至極当然の質問だ。
「あー、と……。」
答えづらいが、此の人に嘘は吐けない。
自分でも知らない内に、結構信用はしてまっているようだ。
だからこそ、目をそらさずにいた。
「正直、"わかんない"すね。他人に興味を持とうと努力してますけど、中々。
最近漸くルームメイトの一人に"初めて"雑談したくらいで、全然……。」
名も知らない、顔も覚える気もない連中をおもてなしできるのか。
そもそも、見ての通り態度も言葉も悪い有り様だ。
"おもてなし"が出来るかもわからない。失礼を働くのではないか。
胸中の不安も、その人に失礼ではなく、桜緋彩に失礼にならないか、という気持ちが強い。
申し訳無さに眉が下がるも、それでも、だ。
「……まぁ、ちょっとは先輩に言われた通り興味を持ってみようかな、と。
正直至らないとこばっかだと思うし、役に立つかわからないけど……やれるだけやってみたいっつーか……えー……。」
「ちょっと、厳しいっすかね……?」
上手く出来なくても"そうしよう"という気持ちはある。
自信はない。不安げに訪ねてみるが、返事は……。
■桜 緋彩 >
「なるほど、正直で良いですね」
嘘を吐くぐらいは出来ただろう。
いや、嘘とまでは言わなくても、多分出来ると言うぐらいは出来たはず。
それでも正直に言ってくれた事が嬉しい。
「であれば、ホスト側ではなく参加者として参加しては如何でしょう?
元より交流のための懇親会ですから、人に興味を持つと言う目的は達成できると思いますよ?」
今まで人に興味を持てなかった人がいきなりホスト側に周るのは中々難しいかもしれない。
であればもてなす側でなく、単純に誰かと交流するために参加する方がより目的に沿うだろう。
指を立ててそう提案。
「大丈夫、不安なら私がフォローしますので。
いかがです?」
人差し指を立てたまま、ウインク。
■橘壱 >
まぁ、そうだような。
いきなりホスト側というのは難しいだろう。
少し落胆して頬を掻いた。彼女の役に立ちたかった。
……と、言うのがそもそもの間違いなんだろう。
「参加者側、すか。…………。」
確かにそっちもありではある。
しかし、少年は17歳の齢を引きこもり生活に費やしていた。
そう、会話はできてもコミュニケーションは下手だし、"陰寄り"である。
いきなり大勢のいる場所に行くのは、こう、なんだ。気が引ける。
しかし、それでも、彼女の言葉があれば勇気が湧く。
「……それ、可愛いと思ってやってるんすか?
まぁ、先輩がそこまで言うなら、ちょっと参加させてもらうっす。」
減らず口は相変わらずだが、気の抜けたように頷いた。
知り合いにフォローしてもらえるなら、これほどありがたい話はない。
■桜 緋彩 >
「そんな落ち込まないで良いんですよ。
そもそも壱どのはまだ一年生でしょう?
こう言う面倒なことは先輩に任せておけばいいのですよ」
笑顔でくるくると人差し指を回す。
懇親会に参加してくれると言うだけでも十分役に立っている。
参加者は一人でも多い方が良いのだから。
「む、凛霞どのがやっている時はとてもかわいらしかったのですが……」
可愛くないと言うような言葉に、難しい顔。
友人がやっていたのを真似してみたのだが、彼女のようにはいかないようだ。
■橘壱 >
「……一年生であっても、やれる事はやれる内にやっときたかったモンで。」
年齢の問題ではない。何時まで生きているかはわからない刹那的考え。
特に、自らが望むやりたいことを考えれば何時生きているかもわかったものではない。
まぁ、そういう感情を抜きにしても彼女の役に立ちたかったのは事実だ。
今はどちらかといえば、そういう面での残念さが大きい。
くるくると回る人差し指を目で追いながら、ふぅ、と一息。
「凛霞……ああ、伊都波先輩か……。」
あの乳がデカい先輩。偶然であったが覚えている。
どうやら顔は広いらしい。まぁ、あの先輩陽キャっぽいしなんとなくわかる。
難しい顔をする先輩をじ、と見ながら、少年は真顔で言い放つ。
「いや、先輩も全然可愛いですよ。
言っといてなんすけど、二人が同じことしてても僕断然先輩の方が可愛げあって好きっすね。贔屓目なしに。」
─────こういう事は真顔で言うタイプ。
■桜 緋彩 >
「その心構えは大事だとは思いますが、今しか出来ないことを楽しむのも同じぐらい大事ですよ」
焦りは禁物だと言い聞かせるように。
先輩のお世話になるのは、先輩がいる時しか出来ないのだから。
「おや、凛霞どのをご存じで?」
どうやら知り合いらしい。
同時に失礼なことを言っていないかな、とちょっと気になる。
「――可愛いと言ったり可愛くないと言ったり、どっちなのですか?」
じとっと見る。
しかしよくよく考えてみれば、彼がさっき言ったのは「可愛いと思ってやっているのか」と言うだけであって、可愛くないとは言っていないのだが。
■橘壱 >
「今しか出来ないこと……、……。」
視線は自然と、自らの手元のトランクに落ちる。
自らのAFを動かす此の瞬間以外、それで頂点を取る以外必要なのか。
それが最もの目的であり、今もそれは変わっていない。だからこそ、"苦しい"。
世話を焼く彼女。道を示す彼女の先は、余りにも目的から"乖離"しすぎているから。
嘘を吐くのが下手なのか。その時の表情は苦しげだったが、先輩の話なればああ、といつもどおりの無愛想だ。
「まぁ、顔を合わせた程度で、まぁ……。」
ちょっと目をそらした。間違いなくしている。した。
なるべく言及されないようにこほん、と咳払いで誤魔化してジト目と視線を合わせた。
どっちなのか、と言われればかちゃりと眼鏡を上げた。
■橘壱 >
「先ず、どちらかと言えば"間違いなく可愛い"一択だと思います。
顔立ちも女性として間違いなく可愛らしく、同時に男子としては非常にちょうどよい身長をしています。
髪の毛も艶があり、女性らしさを全面に出し美しさと可愛げを兼ね揃え、何よりも体型も素晴らしい。」
「プロポーションもそうでしす、胸も素晴らしいのですがそれに負けじとしたお尻。
何よりも訓練で味わった剣の冴え渡り。その可愛らしさとはギャップで凛々しくも───────。」
■橘壱 >
オタクに迂闊なことを聴くと10倍になって返ってくるコミュニケーションの無さ。
本人的に何方かと言われた答えを言っているだけなのだが、余りにも色々余計が付きすぎている。
此の早口を、天下の往来。商店街で言ってるのだからもうタチが悪い。
悪意はゼロだし、適当にどついたりすれば途中で止まるぞ☆オタクの視線には参っちゃうネ!
■桜 緋彩 >
迷っているのがありありとわかる。
わかるからこそ、そこには口を挟まない。
道を示しはするが、それを選ぶのは彼なのだ。
明らかに間違った選択をしていないのであれば、向こうからの相談が無いなら口を出すべきではない。
と、悩めよ少年とにこにこしていたら、
「――ちょっ、まっ、す、すとっぷ!
そん、わかった、わかったから!!」
なんかべらべら語り出した。
顔を真っ赤にして彼の両肩を掴んでゆさゆさ揺する。
天下の往来で何を恥ずかしいことを。
■橘壱 >
すん、止まった。本人がそういうなら当然止まる。
至って真顔。ムカつくほどに真顔。だって本当なんだもん。
「どっちと付き合いたいっつったら桜先輩でもありますね。」
追☆撃。
こういう所が無駄に素直な少年であった。
一方でこんな場所で語るんだから真っ赤な先輩。
そりゃもう言われた当人からすればたまったものではないが、少年はそこまでわからない。
「顔赤いとこも可愛いっすね。所でなんで赤いんすか?熱中症?」
訝しげにぬけぬけと訪ねてきた。
■桜 緋彩 >
「~~~~!!」
追撃を受けてとうとう言葉が出なくなる。
顔を真っ赤にして、頬を膨らませながら彼の背中をバシバシ叩く。
バシバシ。
バシバシバシ。
バシバシバシバシバシバシバシバシ。
■橘壱 >
過ぎたるはなんとやら。口が軽い報いを背中が受ける────!
「ちょ、いた……。」
バシバシ。
「先輩、ちょ…力…!」
バシバシバシ。
鍛えてはいるが一般少年。背中にダメージが蓄積する。
「お、ぐおおおお……!?」
バシバシバシバシバシバシバシバシ
顔に苦悶が浮かび上がってきたぞ!
■桜 緋彩 >
「そう言うことは、あんまり人のいるところで、言うもんじゃ、ありません!!」
べしべしと彼の背中を叩きながら。
顔は耳まで真っ赤だし、なんならちょっと涙も出てきている。
恥ずかしいったらありゃしない。
「――もう!
私は行きますからね!」
しこたま彼の背中を叩き、くるっと背を向けてすたすた歩きだした。
かと思えば十メートルほど歩いてから振り返り、戻ってくる。
すたすたすたと足早に彼の近くまで来て、
「――壱どののせいで方向を間違えました!!」
もう一度背中をべしん、と叩いて今度こそ目的地の方へ歩いて行った。
ご案内:「商店街」から桜 緋彩さんが去りました。
■橘壱 >
な、なんという力だ。武術者パワーたるせいなのか背中に跡ができてる。間違いなく。
何ならこの前の落第街の負傷に響く。洒落にならん!涙出てきた。
「だ、だって先輩が…あだだだだだ!?」
何を言おうにも痛みが勝つ。パ、パワーちがいすぎる…!
漸く開放された頃にはぜぇ、ぜぇ、と息を切らしながら死に体だった。
じんじんする背中を抑えながら、とりあえず何か言おうとするも…。
「あ、先輩。ちょっと!……行ってしまったか……。」
行ってしまったなら仕方ない。はぁ、と溜息。
本当のことを言っただけに何が悪いのか。
というか背中マジで痛いなコレ。立てないんだが。
なんというゴリラパワー。クソ、やっぱりゴリラ女じゃないか。
歯を食いしばってちょっと暫く耐えるしか無いようだ。……ん?
「あれ、先輩。何か忘れ……うわーっ!!」
バシーン!情けない悲鳴と共に最後の一撃がトドメとなった。
そのまま倒れ伏した少年の目が覚めたのは、数分後だとか…。
ご案内:「商店街」から橘壱さんが去りました。