2024/07/06 のログ
深見透悟 > ――数時間後

「……なあ、やっぱ呼び込み効果無いんじゃないのこれ!?」

雑貨屋の前で懸命に呼び込みを続けていたテディベアはすっかり音を上げていた。
道行く人々はテディベアが呼び込みをしているという物珍しさに足を止めるものの、なかなか店の中へは入ろうとしない。
物珍しさが一周回って怪しさに転じているのだろうか、と訝しむ透悟。
……とはいえ人型で呼び込みをするよりは往来の関心は引けている気はしてるのだが。

「まあいいや、とりあえずいったん休憩しよ。
 ぶっちゃけ俺が居なくても看板くんがある程度仕事はしてくれるだろうし……」

そう言えば店内に引っ込んだっきり、店主の姿を見ていない。
大方ネットサーフィンでもしてるのだろう、文句の一つでも言ってやろうと決めて、テディベアは雑貨屋の中へと姿を消した。

ご案内:「商店街」から深見透悟さんが去りました。
ご案内:「商店街」にエルピス・シズメさんが現れました。
エルピス・シズメ > ある時刻。

大量の袋を機械腕で抱えながら少女のような少年。
様々な種類の店舗に出入りし、物色するように買い物を続けている様だ。

「たぶん、必要なものは……」

呟くことで思考を巡らせ、次の店に入る。
立ち入った店舗は医薬品を取り扱う店舗──薬局の類だ。

エルピス・シズメ >  
「すみません。消毒液と包帯とこれ……
 あとは強めの鎮痛剤と栄養剤もこれだけ。」

 買い込む量に訝しまれる。
 用途を聞かれれば、上手い感じにごまかす。

「あ、うん。ちょっとお友達のお見舞いに……
 ……うん、うん、そんな感じです。」
 
 販売員もそれで納得したのか、恙なく購入処理を終わらせる。

「……とりあえずこれだけあれば、当面は足りるかな。
 あっちに足りなくて、必要そうなものは多分清潔な資源だから……」

 荷物が増えてきた。
 荷物を持って道を歩くが、ちょっとだけバランスが悪くなってきた。

(腕を診て貰うつもりだったけど……あんなメールが来ちゃったら。
 うん。じっとしていられない。ただ、手ぶらで行くよりは……)

エルピス・シズメ >  
 路傍に腰を預け、荷物を降ろす。
 持ち運びやすいように組み直す。
  
「……ふう、ちょっと休憩。」

気を取り直して、スマートフォンを取り出す。
休憩がてらに弄り始めた。
 
 

エルピス・シズメ >   
 ざーっとSNSとニュースサイトを眺め、ついでに今後のスケジュールも確認しておく。
 余談だが、当然のごとくフォロワーはいない。

「テストもまだ残ってるんだよね……
 ……結局魔法まわりの実技は捨てる事にしたけど……」

 溜息一つ。
 未だに魔法が使えない理由は分かっていない。
 座学の方は問題がないのだが、どの履修している系統の魔法も発動までこぎつけられていない。

エルピス・シズメ >    
「あ、そのこともアスモディスさんに相談すれば良かったかな……」

 先日出会ったアスモディスを名乗る豊満な女性を思い返す。
 色々と凄かったが、持っている見識は確かなもののように思えた。

「まいっか。連絡先交換したし。
 ……そういえば最近連絡先を交換することが増えた気がする。」

"ちょっと嬉しい。" 
そう思えば口元が緩む。束の間の気のゆるみだ。

「……と、こうしてる場合じゃない。後必要なものを確認しとかないと。
 医薬品よし、栄養補給食よし、プリペイド電子クレジットよし。装備品よし。
 あとは……」

 指を折りながら買ったものを数えていく。
 この身体ならそれなりの量を持ち運べるとは言え、持てる量には限りがある。
 荷物の負荷具合と残りの必要物をゆっくりと計算し、綺麗にまとめてから立ち上がる。

 

エルピス・シズメ >  
(これもいるかな。余分、かもしれないけど……。)
 
 雑貨屋に立ち寄り、小さな短冊セットと線香の束を買う。
 これくらいなら荷物の隙間に入れられる。邪魔にもならない。 

「……買うものは買ったかな。
 どっちにしても荷物がいっぱいだし、一回戻らないと。」
 
 概ねの調達を終え、帰路に着いた。

ご案内:「商店街」からエルピス・シズメさんが去りました。