部屋説明一覧はこちらからもご覧になれます。
概要(クリックで展開/格納)
概学生街にグランドオープンした地上・地下合わせて22階建ての百貨店・オフィス複合施設。円柱状の高層建築であり、百貨店部分は地下2~13階までとなり、14階以降は商業系部活のためのオフィスエリアである。
一部警備や施設保全のために各種委員会の支部や部署の別室等が置かれている。
これまでの常世学園での研究成果に基づき、高度な科学や魔術、異世界の技術がふんだんに用いられた最新の施設となる。
高層建築ではあるが、科学・魔術技術により学生街などにほとんど影を落とさないような工夫がなされており、日照権の問題はほぼ解決している。
階層の移動については、従来の機械式エスカレーターやエレベーターのほか、魔術的な転移システムも用意されており、移動手段は自由に選択可能。
なお、商店街の商店・部活との競合を避けるために、施設内の上層の店舗・レストラン街は比較的高級志向(ただし、学生の手が出せないほどの価格設定ではない)である。
それに加え、商店街の支店エリアも存在しており、そこでは一般の学生も利用しやすい雰囲気が保たれ、安価な価格設定がなされ、上層階との差別化が図られている。
異能や魔術、異邦人の将来の進路を模索するための実験的な施設という側面があり、魔術や異能、異世界の技術や能力を用いて作成された商品や料理も出されている。
ただし、まだまだ研究途上の分野であるため、必ずしも全てが理想的に利用できるわけではなく、何かしらのトラブルが発生することもある。
従業員は商業系部活の部員以外の学生・教師も広く募集しており、アルバイトとして勤務することも可能。
戦闘等以外に、自身の異能や魔術、能力、出自をどう活かしていくか、あるいはそれらを持つものにどう対応していくかをを考えるきっかけにもなるだろう。
「扶桑」とは中国の古代文献に登場する伝説的な巨木の名称である。東方海上の日の出ずるところに存在したとされ、十の太陽が順次この木より天に昇るとされた。
「扶桑百貨店」の外壁には十個の太陽を模した巨大な照明が取り付けられており、毎日それぞれが一つずつ光り輝く。これは上の「扶桑」の逸話を元としている。
フロアガイド
B1~2 地下食品市場
1~3F 商店街支店エリア/催事場エリア
4~6F ファッションエリア
7~8F 異能・魔道具エリア
9F 久延毘古書房
10~11F レストラン街
元祖本格握り寿司専門店「常世鮨」(回転寿司エリアあり)
展望レストラン「エンピレオ」
12F 映画館「キノトロープ」
13F 展望温泉「少名の湯」
14~19F オフィスエリア
20F 展望台エリア
屋上天文台
プラネタリウム
【PL向け情報】
商店街との著しい競合、商店街の店舗の経営悪化などは公式としては設定いたしません。
既に商店などを持っているPCへの悪影響を目的とはしておりませんのでご理解いただければと思います。
ただし、デパートの出現により経営状態が悪化したという設定・ロールプレイを行いたいという場合はこの限りではありません。
レストラン街は学生の手が届かないようなものではないとしていますが、一般学生が手の届かないような高級な店舗の存在を創作していただくことは可能です。
レストラン街全体がそういった場所となるわけではありませんのでご注意ください。
従業員として店舗で働く、もしくは自身の店舗を持つなどもご自由にどうぞ。扶桑全体の営業が行えなくなるような店舗の創作はご遠慮ください。
概要(クリックで展開/格納)
概学生街にグランドオープンした地上・地下合わせて22階建ての百貨店・オフィス複合施設。円柱状の高層建築であり、百貨店部分は地下2~13階までとなり、14階以降は商業系部活のためのオフィスエリアである。一部警備や施設保全のために各種委員会の支部や部署の別室等が置かれている。
これまでの常世学園での研究成果に基づき、高度な科学や魔術、異世界の技術がふんだんに用いられた最新の施設となる。
高層建築ではあるが、科学・魔術技術により学生街などにほとんど影を落とさないような工夫がなされており、日照権の問題はほぼ解決している。
階層の移動については、従来の機械式エスカレーターやエレベーターのほか、魔術的な転移システムも用意されており、移動手段は自由に選択可能。
なお、商店街の商店・部活との競合を避けるために、施設内の上層の店舗・レストラン街は比較的高級志向(ただし、学生の手が出せないほどの価格設定ではない)である。
それに加え、商店街の支店エリアも存在しており、そこでは一般の学生も利用しやすい雰囲気が保たれ、安価な価格設定がなされ、上層階との差別化が図られている。
異能や魔術、異邦人の将来の進路を模索するための実験的な施設という側面があり、魔術や異能、異世界の技術や能力を用いて作成された商品や料理も出されている。
ただし、まだまだ研究途上の分野であるため、必ずしも全てが理想的に利用できるわけではなく、何かしらのトラブルが発生することもある。
従業員は商業系部活の部員以外の学生・教師も広く募集しており、アルバイトとして勤務することも可能。
戦闘等以外に、自身の異能や魔術、能力、出自をどう活かしていくか、あるいはそれらを持つものにどう対応していくかをを考えるきっかけにもなるだろう。
「扶桑」とは中国の古代文献に登場する伝説的な巨木の名称である。東方海上の日の出ずるところに存在したとされ、十の太陽が順次この木より天に昇るとされた。
「扶桑百貨店」の外壁には十個の太陽を模した巨大な照明が取り付けられており、毎日それぞれが一つずつ光り輝く。これは上の「扶桑」の逸話を元としている。
フロアガイド
B1~2 地下食品市場1~3F 商店街支店エリア/催事場エリア
4~6F ファッションエリア
7~8F 異能・魔道具エリア
9F 久延毘古書房
10~11F レストラン街
元祖本格握り寿司専門店「常世鮨」(回転寿司エリアあり)
展望レストラン「エンピレオ」
12F 映画館「キノトロープ」
13F 展望温泉「少名の湯」
14~19F オフィスエリア
20F 展望台エリア
屋上天文台
プラネタリウム
【PL向け情報】
商店街との著しい競合、商店街の店舗の経営悪化などは公式としては設定いたしません。既に商店などを持っているPCへの悪影響を目的とはしておりませんのでご理解いただければと思います。
ただし、デパートの出現により経営状態が悪化したという設定・ロールプレイを行いたいという場合はこの限りではありません。
レストラン街は学生の手が届かないようなものではないとしていますが、一般学生が手の届かないような高級な店舗の存在を創作していただくことは可能です。
レストラン街全体がそういった場所となるわけではありませんのでご注意ください。
従業員として店舗で働く、もしくは自身の店舗を持つなどもご自由にどうぞ。扶桑全体の営業が行えなくなるような店舗の創作はご遠慮ください。
参加者(0):ROM(1)
Time:05:03:32 更新
ご案内:「扶桑百貨店 展望レストラン「エンピレオ」」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「扶桑百貨店 展望レストラン「エンピレオ」」から鶴博 波都さんが去りました。
■橘壱 >
「警察的な目線……って、島外的には言うのかな?
誰も彼も疑ってたらそれこそキリないですけど、そういう感じ」
「……良くも悪くも"学園"って体裁ですからね。
ある意味ではこの島って、常に人材不足なのかも」
此処は時代の最先端の都市でもある。
だが、体裁としては"学園"の名を関する以上、卒業生がいる。
島の外に出る義務はないが、唯の島民になるケースだって存在する。
誰も彼もが学園関係者、とまではいかない。
そもそも、流れ着く異邦人の教育とか、そういう問題もある。
引き抜きがどう、というのもさもありなんだ。
何気なく眺めた夜景はとても綺麗だと言うのに、
一つ皮を剥けば意外と問題だらけ。
島だけというわけでもなさそうだが、何とも。
思わず溜息なんて漏れてしまった。ちょっと憂鬱だ。
「(まぁでも、1生徒が考える事でもないか……)」
気持ちを切り替えよう。
「……物資って、波都先輩が思うより重要ですよ?
この前の戦い、砂蟲相手に質量の問題もありましたけど、
弾薬問題もありました。もし、仮に無限に弾が供給されたら、押し勝ってた」
おまけに弾幕における衝撃、制圧に押される相手なら、
それだけで圧殺できるほどの理不尽さが目に見えている。
彼女の異能がどれほどの精度かはわからないけれど、
戦いに身を置く壱からすれば、此れほど頼もしい支援者は中々いないと思っていた。
「ぼ、僕が悪かったですって。
確かに毎年大変だな、とは思いますけどそんなに……」
その苦労は慮るところはあれど熱気が凄い。
思ったより圧の強い説明にたじたじとしながらどうどう、と宥めてみる。
「と言っても、相手も商売ですからね。
前回の時もそうですし、自己責任ですよ。
けど、僕の名前を使う以上は、そうですね。
僕が直々に訓練をお手伝いするのも楽しそうだ」
「波都先輩、扱きがいありそうですから」
ふふん、とちょっと得意気に笑ってやった。
結局、AFも道具だ。ある程度申請許可は必要でも、
余程の理由でもない限り、Noとはこないはずだ。
自分の名前を使えば、尚の事。それにちょっと興味がある。
波都の動かすAFが、何処までやれるのか。自分の良きライバルになるかもしれない。
笑顔の裏では、自分の中の獣がほくそ笑んでいたのは内緒だ。
「お、ホタテ?凄いいい匂い……。
うん、そうですね。頂きましょう」
「こういう時、キミの瞳に乾杯、とか言うんですかね?なんて」
冗談交えて、料理に舌鼓だ。
夜の一幕。日常の風景がこうして通り過ぎていくのであった。
■鶴博 波都 >
「……前線って、いろいろと大変なんですね。
別管轄との折り合いの難しい話だと……
半ば引退状態となった上級生の風紀委員会の委員を鉄道公安局に引き抜くことも昔流行って、
そういった問題を防ぐために「出向」という形が積極的に取られるようになったって話を聞いた事があります。」
話が飛んだついでに、話題を流す為に先輩から聞いた小話を話題に挙げる。
とは言え、詳しい話は知らない。雑談の時に挙がった程度の深度だ。
ただ、それはそれとして常世学園の前線や暗部は色々あるらしい、と言う事を頭の片隅に入れる。
「ふふ、私が言うのもしゃかさんに説法な気もしますけれど……
それならぜったいに、大丈夫ですね。」
冗談交じりの言葉ではあったものの、
唯一無二と言いながら頬を掻く橘壱の仕草を認めれば、嬉しそうに微笑む。
「弾を込め続けるだけで強いんでしょうか……でも、やってみますね。
練習は大事ですから頑張ります。壱さん。」
リロード不要の恩恵を理解しない彼女だが、
良い練習にはなるのかも、と、肯定的に頷いた。
しかし、郵便に触れるとなるとちょっとだけ仕事の顔を見せる──。
「むっ、壱さん。郵便は物量と人手です。前提として、大量の郵便を捌く輸送能力と人手って大変なんですよ。
絶対に届けなきゃいけない重要文書や資材なら話は変わりますけど──年賀状なんかはアルバイトを雇う位ですから。」
年末年始の郵便は戦場だ。
異能を抜きに郵便の過酷さを知る鉄道委員としては、
絶対に届けなきゃいけないもの以外は物量と人手になる事を知っている。
年末商戦からのお年賀は、日常に於ける鉄道委員と生活委員の戦場。
「有名な人のお墨付きがあった方が、通り易いと思って。
理由はあるとは言っても、素人がいきなり借りる訳ですから。」
彼の名前を借りた方が、スムーズに手続きが進むだろう。
AFは企業から学園へ提供されているものであり、その看板である彼の名前があった方が話が通り易いと考えたらしい。
「……あ、魚料理の方のメインディッシュが来ました。
帆立貝のオリーブオイルグリルです。」
配膳される帆立貝のグリル。
オリーブオイルで混ぜ込んでしっかり焼かれた帆立貝からはいい匂いがする。
「この後は常世牛サーロイン肉のステーキのハーブバターソースが来るみたいです。
今焼いていて、程なく来るみたいなので、冷めないうちに食べちゃいましょう!」
魚介料理に肉料理。そしてこの後はデザート。
一品一品は少なく見えても、フルコースとして積みあがるとそれなりの量。
■橘壱 >
「今のうちに頭の片隅にでもおいておくといいですよ。
別にことの事件っていうのは、何も前線とかばかりじゃないですし」
飽く迄学生街も歓楽街も、他と比べれば治安が良いだけだ。
特に住民の目があるかどうかは大きい。
情報社会、監視力も大きく発展したが、その分隠蔽する力だってある。
存外、日陰者だってたまに学生街にいるってのもわからないものだ。
立て指先を軽く折り曲げ、"とはいえ"、と言葉を続ける。
「……けど、ちょっと風紀委員の視線も強いか。
ごめんなさい。ちょっと話が飛んじゃいましたね」
秩序機関の目線だ。
常に犯罪者を追う彼女には過ぎた考えだ。
「いやノンデリって……そんなにかな……。
こう見えて結構、唯一無二の相棒だとは思ってるんだけどな」
それこそ一蓮托生の気持ちだ。
なんだか姑みたいだなぁ、って頬を掻いた。
「生憎僕は、波都先輩と似た異能の人は知らないですね。
けど、それこそ使い方を見つけるための訓練や努力じゃないですか?
例えば……そう、僕ならずっと兵装の弾を込め続けれるように特化させる、とか」
「後そうだ。郵便屋さんとか?手紙、必ず届けられそうだし」
なんて、面白半分に言ってみた。
けど実際使い方としては適材適所だ。
飽く迄自分なら思いつく範囲を口にして、きょとん、と。
「僕の名前?別にいいですけど……どうしてですか?
申請するだけなら、波都先輩の名前だけでも出来ますよ?」
■鶴博 波都 >
「うーん。よくわからないです。
キリがない話も気がします……。」
状況や相性の話は、イマイチ理解できずに首を傾げる。
そもそも、自分の異能の使い方すらわかってない。
才能の方は兎も角として、あればあるだけ有利なのは当然で、どこか机上の空論の様に思えてしまう。
実際としてはそれらは机上の空論ではないとしても、日常のものとしては実感が湧かないらしい。
「それなら尚更、その子が拗ねちゃいますよ。
見出してくれたのにへりくだってちゃ、その子に対してノンデリです。なんて。」
銀色のトランクに視線をやって、ちょっとからかうように笑ってみせる。
その後に告げられた言葉からは、ちゃんと前向きな自負心が感じられた。
「んもう……壱さん、意地悪です。
持っていても使い方のわからない、宝の持ち腐れですけれどね。」
現状、コントローラブルに運用することは出来ていない。
如何に手札を持っていようが、使えなければ無いのと同義。
「似たような異能を持っている人が居れば、色々聞けるんですけれど……
……壱さん、私のような異能を持っている人に心あたりがありませんか?」
赤い髪の少女が、お返しとばかりに栗色の瞳でじっと見つめる。
そもそも自分の異能の使い方が分かってないのだ。
「大丈夫です。過度な負荷なら運転の一環で体験していますから!
そして鉄道委員だって体力勝負です。"それくらい"なら、なんとかなると思います。」
にっ、と笑ってみせる。
異能はともかく、操縦に関してはそれなりの自信があるらしい。
前回の一件にしても、自信を持つだけの才能があることは伺えるかもしれない。
「AFの手配の申請、してみますね。
壱さんの名前、借りてもいいですか?」
■橘壱 >
唇に指を当てて、クスクスと笑みを浮かべる。
まぁなんとなくだけど弱気におどおどするタイプじゃないよな。
そうでなきゃ、あんなに運転席で覚悟を決めちゃいない。
けど、そう見えるらしい。異能者には。
軽くナプキンで口元を吹けば、人差し指を立てた。
「……もし今テロが起きたとして、
仮に僕がトランクを持ってなければ、多分太刀打ち出来ない。
相手が異能者ともなれば、多分グンと勝率は下がる。訓練はしてますけどね」
「それに相手が暗殺のプロとかなら、Fluegeleを付ける前に終わりだ」
それでも数と手札の数は絶対だ。
舐めちゃいけない。例えその辺りのごろつきでも、
異能者という札が付いてくるだけで勝てるかどうかも怪しい。
此れは異能に限らず、現役時代にも思っている。
それを埋めるためには、努力を重ねるしか無い。
どれだけ果てしなくても、埋まらないかもしれない間でも、
勝ち星がほしいというなら、尚の事。
「それに、"逆"ですよ。
僕がFluegeleを見出したんじゃないか。
Fluegeleが僕のことを見出してくれたんだ。
非異能者が出来る唯一の才能、AFの操縦技術を、ね」
起きたこと自体は偶然だ。
それでもあれは、今でも運命だと思っている。
じ、と彼女を見据えていたと思えばはぁ、と気の抜けたように肩を竦めた。
「……とは色々いいましたけど、どんな状況でも負ける気はないですよ。
すみません。先輩だって色々持ってるのにそんな事いうから、意地悪したくなっただけです」
そんな弱音を吐くなんて格好悪い。
もし仮にこの鋼鉄の翼が砕けたとしても、最後まで足掻くつもりだ。
そう語る壱の顔は清々しく、軽くぶどうジュースで口を潤した。
「勿論乗れますよ。僕の企業は、常世学園に提携してるし、
風紀用の専用カスタムだってありますから、手配はされるはずです」
それこそ備品と変わりないんだ。
申請すれば、委員会所属なら問題ないはず。
「ただ……僕は軍隊式の訓練を受けてます。
"それくらい"やらないと結構キツいですよ?操縦。
僕も初めて乗った時やばかったですからね。こう、ね?」
色々濁して苦笑い。
流石に食事どころでゲロの話はしない。
■鶴博 波都 >
「そういうこともあったんですね。
うん……何となく納得です。」
上質な素材のポテンシャルを最大限に引き出す。
食べるものの舌と腹を満足させるための最大効率の配膳。
細やかなサービスやホスピタリティ。
大量生産される一般的な外食ではなく、
予算を掛けた上で最大効率で美味を目指す高級料理。
前者に慣れた波都の舌では細微なものは感じ取れないものの、
これがより美味しいものであることだけ理解できる。
「でも、壱さんはすごいですよ。
プロゲーマーとしてチャンピオンになることも、あの子を駆って私を助けることも、そうそう出来ません。」
いじわるそうな口ぶりなので、あまり重くは受け止めずに頬を膨らませる。
綺麗な青いカクテルドレスの装いとハムスターのように膨らんだ頬がちょっとしたギャップの愛らしさを産む。
「壱さんのことを何も持ってないって言ったら、あの子が拗ねちゃいます。
なので異能がなかったとしても、壱さんのことは非異能者風紀委員じゃなくて頼れる風紀委員さんでーすっ!」
そうでなければ、目の前の橘壱はいない。
鶴博 波都の目から見れば、持たざるものと呼ぶにはあまりにも眩しすぎる。
「真面目に受け取ると、私も壱さんみたいに努力と経験を積むしかないのかもしれません。
そうですね。物資を届けることや輸送からは、少しはずれちゃいますけど……
……AF、申請したら借りれるものでしょうか?」
小首を傾げる。
目の前の彼がどうあれ、今自分に出来ることをするしかない。
たとえばの話として、共通の話題で身近な兵器の名前を口に出した。
目の前にいる彼が非異能者風紀委員としてAFを使って戦場に出るなら、
それに倣って同じ様に歩むのも一つの手。
からかい目的の言葉であるとは理解しているものの、
目の前の彼が取った選択肢が魅力的に映った事は確かだ。
■橘壱 >
正直に言うと、一般的な料理のが食べ慣れている。
油!カロリー!そんなのが好きなの若者舌。
だが、これはこれでそれとは違う旨味がある。
なんというか、さっぱりした上品さと言うべきか。
美味いものとりあえずぶちこみました、という足し算より掛け算。
何をかけ合わせれば上手くなるか。科学的とも言える。
んー、思わず舌鼓。ちょっとほっこり満足げ。
「此方こそお願いしますね、先輩。
……食べたことあるって言っても、現役時代の付き合いですよ。
本当に昔過ぎて、ちょっと曖昧なんですけどね。お店も違いますし」
それこそ味は店の持ち味だ。
おいそれとどう、と言えるはずもない。
ちょっと気恥ずかしげに頬をかき、するすると食べ終わる。
結構食べるのは早い方だ。フォークの背を下に置き、
静かに彼女の言葉に耳を傾けて、ふ、と口元が緩んだ。
「……今、先輩の目の前には非異能者風紀委員がいますよ?」
なんてしれっと言い放つ。
この手の話、少し思うところはあれど慣れてきた。
せっかくだ。自らの心構えもかねて、"意地悪"することにした。
じぃ、と何というのか今か今かと碧の双眸が彼女を見ている。
■鶴博 波都 >
「はい。宜しくお願いします。
確かに何度お礼しても足りなくなっちゃいますから、
今日のお礼はこれからの分も含めてってことで、お願いしちゃいますね。」
会話を中断して、食事に勤しむ。
大まかなマナーは読み込んで来たけど、実際にやると少し戸惑う。
けれど食べてみると、爽やかな白ブドウのジュースがマリネやパテによく合う。
「すごく……美味しいですね。慣れていないので、上品とかは分からないですけど……。
何年ぶりってことは、壱さんは食べたことあるんですか?」
彼女にとっては初めてのこと。
食にこだわるようで拘らない彼女も、味を表現する語彙力がない。
橘壱が呟いた言葉を拾って、何気なく尋ねてみた。
「えっと、それで……よくあることなんですね。乗り越えないといけないけど、怖いです。
私にできることは物資確保の異能と操縦全般の才能ぐらいですから。」
何でもありで見えない凶器が飛び交う無法地帯。
そのことに恐怖する彼女は、自分の持ち物にはもっぱら無自覚だ。
「橘壱さんみたいに、戦えませんから。
自分の仕事を果すためには、どうしたらいいか悩んじゃいます。」
■橘壱 >
「別に綺麗なものをそうだと言ってるだけですよ。
波都先輩こそ、そういうその、話題とか無いんですか?」
色恋沙汰的な。
何を言おうと花の学園生活。
そういう話題の一つや二つ在ったって良い。
何処かリラックスした風体で、軽く白ぶどうのジュースを口に含む。
す、とした爽やかな感じ。お酒は飲めないけど、食前酒ってこういうのかな。
「……そうですか。先輩自身が決めたなら止めませんよ。
僕も同じ場所で仕事する時は、先輩も皆さんの事も前みたいに助けますから」
本人至っての意思なら止めるつもりはない。
こうして誰かがやると言ってああ言う場所に染まっていく。
出来れば日常にいてほしいなんね願いは飲み込んだ。
決めた以上はそれを出来る限り助けるだけ。
先輩を支えるのもまた、後輩の努めだ。
何とも言えないけど、せめて微笑んでは見せた。
「あの時は色々ありましたけど、転移荒野なら"よくあります"よ。
……転移荒野じゃなくったって、この島で言う違反性とっていうのは、
多くの場合が異能者とか、超常的なモノを持ち歩いてるんです」
「こっちが望んでなくても、使えるもの使うんですよ皆。
ホラ、足が速いから走ることにしたとか、そういう感じです」
今や幻想や神秘は当たり前となり、一種の才覚、技術に当てはまった。
つまり、そういう日常的なものに挟まったからこそ、
そんな画面の中みたいな事が簡単に起こりえる。
ただ使える才能を、能力を違反行為に使っているだけ。
大変容前と比べたら、常識のレベルがおおらかになってしまったのかもしれない。
「ありがとうございます。そうですね、頂きましょう」
確かテーブルマナーは……外側からだっけ。
並ぶ料理はどれも妙にきらびやかで一種の芸術性を感じる。
今から此れを食べると考えると、ちょっと躊躇してしまいそうだ。
「(無駄には出来ないよな、どれ……)」
音は立てず、力は抜いて、前菜を軽く切り取って口の中へ。
口に広がる表現するのも難しい複雑な旨味に目を見開いた。
「(……!なんかこう、凄いな……"品位"って感じだ)」
「何年ぶりだっけ、こういうの。
上品というか、こういう感じだった、かな……」
己の語彙力不足が悩ましい。
美味いを美味い以上に表現する言葉が見当たらない。
■鶴博 波都 >
「そうかもしれません……でも、命を救われたのは事実ですから。
お洒落はお店の人に任せちゃいました。可愛く見えるのはお店の人が上手だからですから、ほめ過ぎですよ、壱さん。」
橘壱の指摘に尤もだと感じ、言い淀みかける。
ただ、それでも割り切れない感情を素直に口にした。
二人がオーダーした白ブドウのジュースと、前々菜としてのサーモンのマリネが届いた所で一度会話が途切れる。
配膳が終わった頃に、思考を纏めて口を開く。
「……それだけ、命のやり取りをしているんですね、前線の皆さんは。
私はこれからも続けようと思ってますから。慣れないといけないのかもしれませんね。
後輩さんに大変な思いをさせたくないですから。」
"1"が当然の様に消える。
ロベンツの観察眼通り、鶴博 波都は降りる気がないらしい。
自分がやらなければ、別の誰かや後輩がやることになる。
もう守られているだけの一年生ではないのだから、二年生として、"危険な道を拓くのも務め"と認識した。
身を以て危険を感じたからこそ、やらないといけない。
務めへの使命感が、彼女の強く働いている。
「でも、中々大変な道のりになりそうですね。
ゲーム動画でしか見たこともないモンスターに、いきなり飛んでくる光線。
おまけに音もなく転移してくる大きな怪物……転移荒野を走るだけで、あんなに危険があるんですね。」
続いて、前菜としてパテ・ド・カンパーニュ類。
捏ねた肉に香草等を混ぜて容器に詰めて成型してじっくり焼いたものが届く。
パテに使われている肉や香草は、異世界の畜産物を品種改良した高級品らしい。
「あっ、料理も届き始めました。
話題はともかくとして……お礼ですから、遠慮なく美味しく食べちゃってください。」
■橘壱 >
『命いっこぶんの対価』
そのための礼なら安いものだと彼女は言う。
「寧ろ間に合ってよかったと思ってますよ。
不手際で言えば僕の方だし、お礼を言われるほどじゃないですよ。
それに、気にしてたら多分、お礼だらけになっちゃいますよ?」
不意の事態なんて言い訳する気はない。
あの時は突発的事象だらけだったが、
護衛対象を護るのは仕事として当然であり、それをこなしてこそ意味がある。
そうでなければ、わざわざ請け負った意味もない。
彼女の言う"1"を軽視したのではない。
その"1"が簡単に消えかねない場所だと言うことを、
改めて認識すべきだと言っている。
此れに凝りて身を引いてくれたらとは思うが、
ロベンツさん曰く、『かなりキマってた』らしい。
「(と言っても、人の事言えないよな……)」
勿論請け負う仕事はキッチリこなすが、望むべき心を満たすのが本心だ。
これ以上何か言う事はない。せめてもの、今一度の"警告"だ。
そうこう言ってる内にキッチリエスコートし、席についた。
向かい合わせ。何処となく明るさ控えめのおしゃれな雰囲気。
名前通り、ガラス張りの外壁からは、常世島の夜景がよく見える。
ネオンライトと月明かりが宵闇に瞬く光景は、壮観だ。
「オシャレに目覚めましたか?
……って、僕もあんまりオシャレ得意じゃないんですけどね」
未だ基本白衣姿。そういうのとは程遠い。
外壁を一瞥し、彼女の瞳を碧が見る。
「けど、波都先輩は可愛いからきっとモテますよ。
僕も少しはそう言うの勉強しようかなぁ……。
ん、せっかくだし僕も同じモノにしようかな。お願いします」
そんな会話の間にウェイターに注文。
何処となく"こなれ"感がある。緊張がほぐれればこんなもんよ。
■鶴博 波都 >
「えへ。ありがとうございます。
なんとなく良い感じのものがあったので、それに合わせてコーディネートとして貰いました。」
素直に言葉を受け取り、嬉しそうな声を響かせる。
着飾ることに興味は持っていなかったけど、褒められるとそれはそれで嬉しくなるもの。
「いえ、はじめてです。
お店にもそう伝えてあります。……『命いっこぶん』の対価なら、高いに越した事はないと思いました。」
苦笑気味にそう伝える。
日常を生きていた彼女にとって、命を救われることは自分の命一個、生涯ひとつ分に相当すると思っている。
だから、想像しうる限りのお礼として高いお店を選ぶことにした。
……命のやり取りとは無縁であった故の、彼女の選択。
「嬉しく思ってくれたなら幸いです。
私もこういうものを着るのは始めて着るので、ちょっと慣れませんね。
でもちょっとだけお洒落が好きな同僚さんの気持ちが分かった気がします。」
自分が変わるような感覚と、お洒落な雰囲気。
鉄道委員の制服とはまた違う、独特な空気感。
「あっ……、よろしくおねがいします。」
さりげなく出された手を受け取る。
迷いなく差し出された手を、当たり前の様に取ってエスコートして貰う。
ヒールでもこけることなく、歩きやすい。
店内に入れば名前と予約の不調を伝え、席へ案内される。
席へ着けば、ノンアルコールの飲料が記されたボードを差し出されただろうか。
「飲み物、どうします? 私は白ブドウのジュースを貰うつもりですが……。」
■橘壱 >
彼女の弾んだ声にびくっと肩を揺らした。
間違いなく波都先輩本人だが、間近で見ると思わずどきまぎ。
女性は着飾るとどうたらとは聞いたが、此処まで変わるか。
「……綺麗ですね」
なんて、思わず口にしてしまった。
レンズの奥でじ、と碧の双眸が彼女を見やる。
緊張こそしていたが、すっかりその明るさにほぐれてしまった。
ふふ、とはにかみ笑顔を浮かべるとカチャリと眼鏡を上げる。
「此方こそお誘いありがとうございます。
結構お礼の規模が大きいっていうか……こういう店、結構来るんですか?」
実は高級志向だったりするんだろうか。
各種委員会とは、委員会と言う聞こえだが事実上常世島公務員である。
時には命をかけるような現場もあり、そういう事もあって払いは良い。
おまけに単位まできっちりと取れる上、学生としてのフォローに余念がない。
敢えて"留年"を選択肢、事実上の永久就職する人間もいる位だ。
そういう意味では彼女も意外とそういう趣味なのはおかしくない。
何なら女性は結構お金がかかると聞いた。
「(環菜ちゃんも結構オシャレさんみたいだしなぁ……凛霞先輩も)」
ドレスも食事も自分磨きも、なんだかんだ費用が嵩む。
そういう意味でもおかしい話ではない。
「負担なんてそんなの思ってないですよ。
ちょっと驚いたけど、お誘いして頂けただけで嬉しいと言うか……」
「まぁ、ハハ……あんまり着慣れないですけどね?」
燕尾服、後にも先にも今日だけかもしれない。
ちょっと苦笑いを浮かべては軽く自身の首を撫でる。
「ありがとうございます。せっかくなので、堪能させてもらいます。
ええ、行きましょう先輩。さ、今日は素敵な思い出にしましょう」
そう言ってさり気なく手を取り、軽くウインク。
こういう事はしれっとするタイプの男だ。
しっかりエスコートして、歩調を合わせて店へと入っていく。