学生街の中にある大きめの公園。「常世公園」と名付けられている。
普通の公園にありそうなものは基本的に存在する。遊具なども存在している。
遊具のほかに自動販売機、池などもあり、住民の憩いの場となっている。
参加者(0):ROM(1)
Time:20:56:37 更新
ご案内:「常世公園」から上下院 禰喪さんが去りました。
■上下院 禰喪 >
「いえ、いえ、違います。そうならぬために、考えるのです。自分が強くなりたい理由を……これは、成長のために必要な工程であります!」
弱気なのは、一瞬だけ。ふるふると首を横に振れば、勢い良く立ち上がる。まだ夜は始まったばかり、体力も回復した。
頑張るぞ、と言わんばかりに片手を上げれば、走り込みを再開するのだった。( ↓ )
■上下院 禰喪 >
走り込みを終えた頃、以前来たことのある公園に行き着いた。何気なく公園の門を跨ぎ、ベンチに腰掛ける。
ぼうっとしていると、夜闇に溶けていくようだ。冷たい外気を吸い込んで、トレーニングで火照った体を冷やす。そして、思考を始める。
「どうして強くなりたいか、どうして強く在りたいか。」
先日、先輩から伝えられた言葉。それを反芻する。その問いかけを受けた時、真っ先に考えたのは自らの両親のことだった。
自らに異能を与えた両親。とても痛くて怖かったけど、何度も自分を「愛している」と言ってくれた両親。その両親に報いるべく、強さを求めること。これは筋が通っていると思う。
しかし、それ『だけ』ではまるで……。
「意思を持たぬ、人形ではありませんか。」
小さく、ぽつりと呟いた。
ご案内:「常世公園」に上下院 禰喪さんが現れました。
ご案内:「常世公園」から佐々木伊織さんが去りました。
ご案内:「常世公園」からセツリさんが去りました。
■セツリ > 「そんなたいそうなもんじゃないよ、ボクはどこまでもただの忌み嫌われる者なだけ」
死神、なんて呼ばれるとつーんとした態度で答える。
「んーん、言ったでしょ、ボクは……何もしないよ。」
「キミはハッピーエンドまで足掻けるだけ足掻いたらいい。」
「ボクは、キミの行く末を見守っていたいな」
「……同じ、意図せず人を傷つける者同士。」
「キミが足掻くところを、見届けるからさ。」
「それじゃあ、ね」
彼を見送ると、
彼女も逃げるように、消えるように。
深夜の闇の中へ歩いて行った
■佐々木伊織 >
「君は」
顔を拭う。
どう足掻いても、僕に朝は来ないのに。
「死神みたいだね」
人が傷つき果てた時に、正しい終わりを与える。
そんな……死神だった。
「セツリさん」
「話せてよかった……僕は行くよ」
「君がそうしたいと思ったら、僕の名前を出して風紀に通報して欲しい」
そう言うと幽鬼のようにゆらりと立ち上がり。
夜の闇に歩を進めていった。
■セツリ > 「そっか。そっかそっか……うん。教えてくれてありがとう。」
すこし、にこやかなものに変わった。
「キミは、希望を捨てきれずにいて、誰かを加害しながらも、救われたいと思っているんだね。」
「……だから、消えたくない。どうしても消えたくない。」
「そう。」
「よくわかっているね。」
深夜の薄暗い気候は更に冷え切る。
「泣けるだけ、良いじゃないか。」
「明日に希望を持ち、」
「ハッピーエンドを望める」
「涙が枯れないって、良いね」
彼が泣いた時に抱いた感情は、自分にもあんな頃があったなという、
みっともなさよりも先にある、どうしようもない絶望の先から見た初々しさだった。
「なら」
「この意地悪な話は、おしまい。ごめんね。」
優しい声色。
「キミは、ハッピーエンドを求めて、希望に向かって生きていきなよ。」
「それで、どうしようもなくなって心変わりしたら、その時は消えたいって泣きついてくれたって良いからさ!」
■佐々木伊織 >
「僕が」
顔を手で抑えるのを止める。
涙で汚れた顔で虚空を見る。
「死んだほうがよくて」
「消えたほうがいいのに」
「どこかで予定調和のハッピーエンドを望んで問題を先送りにしてる」
汚い。
生き汚い……最悪な、最も醜いケダモノ。
それが僕だ。
カタストロアが棲み着いても仕方のない社会の敵。
「パブリックエネミーだからだ……」
心が何かに食われていく。
足元には赤い砂の幻影が堆く積もっていた。
■セツリ > 「そう。」
すん、と感情が引いたようだった。
微笑みと、悲しみの入り混じった顔で。
「そこはボクと、違うんだね。」
「キミはまだ、絶望しきっちゃ、居ないんだ。」
ゆっくりと腰を上げる。
「ふふ、……ふふふっ」
「凄く意地悪な事聞くけど。」
「制御しきれなくて、他人を傷つけてしまうかもしれないのに。」
「それでも生きようって思うのは、何故?」
「親しい人がまだ傷ついていないから?」
「単に死ぬのが怖いから?」
「それとも……どこかで助かると期待しているから?」
「参考までに、聞かせて欲しいな」
ゆっくりと、ゆっくりと。言葉を向ける。
けれどそれは、相容れない者に対する興味であり、
他を傷つけてまで生きようとする者への、憎悪にもにたものだった。
「何故なのかな。」
■佐々木伊織 >
消えてしまいたいのか。
そう聞かれて思考に空白が生まれた。
ここで消し去ってもらえたら。
彼女の異能ならできるだろう。
ここで……手の中にサビのような感触だけを残して崩れ去ったペンのように…
僕自身が消える。
もうカタストロアは現れない。
誰も傷つかない。
少しずつ忘れられ、いつしか話題にも上らなくなる。
僕もだ。行方不明者として親は探すかも知れない。
でも、いつか忘れられて。
僕が育てたニワトリたちだけが適当に残って。
ニワトリ……夢…僕の、夢。
「嫌だ……」
顔を手で抑えた。
泣きながら、みっともなく呻いた。
「夢と命を諦めるしかないのに」
嗚咽が声を絞る。喉を絞めるかのように。
「諦めたくない……!!」
■セツリ > 「嫌だよね」
それも、分かる。
分かってしまう。
「どうしようもない過去の記憶が、ずーっと苦しめ続けてきて。」
「それでも自分じゃどうにもならなくて」
「自分が望んだわけじゃないのに。」
「キミも……」
嫌だと、逃げたいと、終わりにしたいと。
どれだけ望んだことか。
「――ね。」
「キミはさ、……今、死にたい?」
「いや。」
「消えてしまいたい?」
「何もかもを手放して。」
「跡形もなく消え去って。」
「そして最後は消えたって事さえ、なかったことになりたい?」
何故、そう思うのか。
自分がそう思うからだ。そして、そうは成れないからだ。
苦しくて、苦しくて、苦しくて、苦しくて、苦しくて、苦しくて、
そうであるなら、いっそ。
彼はそれを望むだろうか。
「誰かを傷つける事でしか生きる事が出来ないのなら。消えてなくなってしまいたいと。消えた方が良いと思うなら――」
■佐々木伊織 >
思ったより同情的な言葉が出てきた。
いや、言葉じゃない。
彼女は本心で言っている……ように…感じた。
「異能のプラスの面しか欲しがってなかった僕が言うのも烏滸がましいけれど」
「そして、それを君の前で言うことは露悪的で無神経なのかも知れないけど…」
「僕は……」
涙が溢れた。
みっともなく。
2メートル離れた彼女に見られるのが無性に恥ずかしかった。
「こんなのもう嫌だ……」
「起きた時にカタストロアの記憶が流れ込んでくるように脳を侵すのも」
「自分が傷つけた人の悲鳴が脳裏を過るのも」
「もう嫌なんだ……」
彼女はただの学生だと僕と彼女自身を定義した。
だから、二人のマイナスの側面も含めて。
異能者でもなんでもない。
ただの佐々木伊織と、ただのセツリで。
泣きながらその言葉をただ噛み締めた。
明日、涙を流せなくなっても。
後悔しないように。
■セツリ > 「……酷いね。それ。」
奇妙ないきさつで異能を押し付けられたらしい。
なんだか、よく物語に出て来る迷惑な悪魔に似ているような気がした。
神を名乗りながらに、相手の失言に付けこんで押し付ける態度。
ずっと話している間、黙り込んで聞いた後、
呟けるのは一言だけだった。
だけどそれは、酷く同情的な雰囲気だった。
他人事だと思えないような。
「つまりキミは、……破壊も殺しも望んじゃいないのに、勝手に成されるようになっちゃった、訳だね。」
「……望まない破壊を齎すところは、ボクと同じかも。」
「ある程度、意識があってコントロールしていて、それで。出たりでなかったりもするのか……。」
「いつ目が覚めてあんな凶行に走るともわからないなら……そう、だよね。」
「キミの中のカタストロアが、風紀委員に追い詰められて大人しくなってる……か。」
「あはは、あの大男がそんなことになってるなんて、ちょっとおかしいね。」
眠れなくなるのだって、よくわかる。
「不安で不安で仕方なくなったりするし、眠れなかったりするし、不可抗力なのに自分がやった事だと思うと嫌で嫌でたまらなくなって。」
「次は何が起こるのかなって考えると、不安に塗りつぶされそうになったりする。」
「無意味に起きちゃうと次第に生きる意味とは何かとか、死んじゃったらどうなるのかとか、そういう事考えて。」
よくわかるから、それは鮮明に思い浮かぶ。
自分が体験したような、不安を抱えて生きていた日々を零す。
「取り返しのつかない過去を想起して、知りようのない未来を夢想するんだ。」
彼が座ったところから、凡そ2mほど離れた位置に腰を落とした。
それは心理的な距離を示すのではなく、
単にこの距離を取る事が当たり前になっちゃってるから。
「ボクは公安のお手伝いをしてるけど、ボク自身が誰かを裁くなんて、そんな大層なヒトじゃない。……それに、ボクがキミを『悪党』だって決めつけちゃったら、――後味が悪すぎるもん。」
「佐々木伊織くん。」
「ああ……道理で。お日様と草の匂いがしたわけだ。」
足元の影が、ゆらりと揺れる。
「良いんだよ。」
「今は、これで。」
「キミもボクも、ただの学生。今はきっとそうだから。」