2024/06/23 のログ
■伊都波 凛霞 >
言葉はなくとも、理解る。伝わる。
放っておけない人なんだろう。こういう時に。
「──…もう。不器用すぎますってば」
そう言って力なく…笑う。
花咲く…いつもの様に、とはいかないまでも。
「…常世の島には魔術医療もありますから。きっと妹は大丈夫」
「だから、あんまり色々考えないようには…したいんですけど、ね…」
自分が彼をしっかりと仕留めていれば。
後に被害が拡大すること想定し、非情になれていれば零さなかった。
その"想定"に、自分の"妹"が含まれえていなかったから。
詰めの甘かった自分への憎悪。
大事な大事な妹に、狂気を向けた彼への憎悪…。
それが混じり合って……とにかく気持ちの悪い感情となって、お腹の奥に在る。
まるで胃液が込上げるような不快さで、それは外に出ようとする……。
でもダメだ。
外に出せば、それは呪いになる。
「───……ひどい顔、してる? …私」
泣き笑いで、そう問いかけた。
■紫陽花 剱菊 >
「すまぬ、すげなく作法を知らぬ故…。」
慰め等と如くも無し。思案に余る。
然るに、有り体に然伝う経験不足。
すずろのまま、指先涙を柔く拭いては肯た。
刃成れば未だ心根の機敏には疎く、然れど故に、いみじくも心底爛れる気配。
幾度も戦で肌に纏わりついていたが故に勘づいてしまった。
険しき顔面一入眉間に皺寄せ、眼を覗き込む。目前、鼻先掠める距離。
「…うらぶれるな、其方が気負う事てまは無い。図らずして成った。…それだけの事。」
いとど、自ら花曇らせる泥土はお門違い也。
御為ごかしでは無い、凛然とした声音が雨音を裂いた。
■伊都波 凛霞 >
「……もう少しやさしい言葉、かけてくれません?」
なんて不器用な…思わず、苦笑い。
こちらを気遣い心こそ伝わるものの、淡と紡がれる言葉はまさに抜き身の刃そのもの。
余計な装飾も、なにもないものだから。
覗き込まれた鈍色の瞳。
顔を上げ、ややその昏さは薄れていた。
顔に張り付く髪を指先でそっと避ける。…少し切ろうかな、前髪。
「私、みっともない顔見られたくなくて一人にしてほしかったのに」
覗き込んで来るんだもの。
そんなのもう苦笑するしかない。
■紫陽花 剱菊 >
「……一重に、真成れば必定。私如きが烏滸がましいが、其方が気負う謂れ葉無い。」
「此処彼処、悪縁も縁成れば心ならずも相見えよう。斯様、容易く止められん。仕損じた其方が悪いのではない。」
「唯、不運に過ぎず、人は皆、何れ死ぬ。」
温もりも無くば慰めにも程遠い。
然れど流転、堂々巡り。術無き真実。
気色を変えず、せせらぐ雨音より染み渡り、空事に出来ぬが故に他意も無し。
故に、言わねばならぬ。再び縁が巡れば居畳まれぬが故に。詮方無き、と。
「すまぬ…ぞんざいなつもりでは無いが、他に言葉を知らぬ。故に、気負うな、と。」
「…何故そう思う?如何なる刻であろうと、其方は美しいままだ。私は今もそう思う。」
■伊都波 凛霞 >
こういう人。
思えば出会って間もない頃から、そうだった。
あの一件で縁が深まったのは確か。
随分優しく…気にかけてもらってる。
「本当にそういうの、下手ですよね」
貴方の言葉は抜き身の刃そのもの。
そこに鞘すらもない。ただ斬るのみの刀身。
だからこそ何の邪魔もなくその気持ちが伝わるのだけれど。
「…何故って」
眼も泣き腫らして、雨に濡れて。
今朝それを隠すためにした臼化粧も崩れて。
満足に眠れもしていない中、どう考えてもひどい顔、しているのに。
でも、この人のこと。
お世話時もきっと言わない。
「───はぁ」
溜息。
一人にして、も。今は顔を見られたくない、も。どっちも無視。
困った人。
「…じゃあ、こんな顔見せてられないじゃないですか…」
自らの指で、両目の目尻を拭う。
少し腫れぼったい感触。しょうがない。
ゆっくりと瞬き。…開いた鈍色の瞳に昏さは大分薄らいで。
「心配してくれてるんですよね。ありがとう、剱菊さん」
ほんの少しだけの笑顔を讃えて。
……気づけば雨足も弱まり、曇天には一差しの陽光が覗いていた。
■紫陽花 剱菊 >
抜身故に刃。行住坐臥、戦に定める故の生き様。
彼方よりの生き様、故に此方では無用の長物。
みだりに斬り裂く、鞘無き凶刃。
然るに自覚あり。表情に苦みが滲む。
「すまぬ……身につまされる気概を理解しているつもりだったが……。」
上手くいかぬものだ。互いに相好を崩す頃合い、雨足弱まり祝辞めいた陽光。
柔き頬に手を離し、すずろのまま顔を上げる。
「其方はいちじくも笑顔が似合う。…斯様、其方の妹君もそうなのだろう。」
遥か彼方、視線はただ彼方を見るように遠く、遥か遠く…。
「……兄妹、か。否……私にはもう過ぎたものであった……。」
懸想の如く、曇天遥か見えうるかつての景色に言葉が漏れる。
■伊都波 凛霞 >
仕方のない人。
あの頃から殆ど何も変わってない。
否、"変える筈だった"人が…隣にいないせいだ。
──誰かが鞘になってあげないと、いけない人なのだと思う。
「いいんです。伝わってますから。
でも、どうして私にいつもここまで…?」
思えば、そんなに親しくもない出会った頃からこうだった気がする。
そういう性分、優しい、放っておけない人…だとは思っていたけれど。
友人として、否、互いにそういう距離感でない頃もあった筈。なのに。
そんな疑問も、彼と私の持つ世界観の違いから来ているのだろうか。
遠くを見やる彼の横顔…どこか寂しげにも見える。視線を向けながら。
…寂しくないわけはない。
想い人はずっと遠く、近く。逢えないのだから。
けれどそれだけではない、空虚さをその横顔からは感じて。
■紫陽花 剱菊 >
曇天彼方に想う。陽炎の如く夢物語。
異邦の彼方、夕刻の来し方行く末。
事の始まり、夕刻の汀に佇み今も待っている。
人心を理解し、刃より人へ。然れど、抜身の刃は未だ健在也。
「……彼女が愛した輩成れば、如何様に刃を振るう。何時か、彼女が戻ってきたその日、彼女が笑えるように。」
故に今も暮れなずむ傍らにいる。
はにかむ顔はえもひれぬ寂しさの色。
「無論、其方が友垣故の必定もある。…何より、私も兄妹がいた。其の空虚は推して知るべし。」
明確、単純な事。
木漏れ陽の如し陽光を一瞥し、片腕差し伸べ双眸見下ろす。
「…行こう。其のままでは体に障る。」
故に刃は佇む。皆の影に。
後は如何様も彼女に付き合おうぞ。
■伊都波 凛霞 >
ああ、やっぱりこの人は…。
此処で生きるには鞘が必要な人。
されどその鞘と成れる彼女は未だ…。
伸ばされた手を取る。
この優しき刃、己もまた寂しさを抱えているにも関わらず。
この広い掌を差し伸べてくれる。
「剱菊さん」
「お腹へっちゃったので、ご飯奢って下さい」
ただ、今は…。
その優しさに甘えておこう。
癒えるかわからない傷が気にならなくなったら、いま一度、改めて。
──彼に、問いかけてみようと思った。
ご案内:「常世公園」から紫陽花 剱菊さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に蘇芳 那由他さんが現れました。
■蘇芳 那由他 > 昼下がりの常世公園。ちょうど木陰に入る位置取りのベンチにて佇む凡庸な容姿の少年が一人。
「……うん、怪我の痛みは大分マシになってきたかな。」
まだ全身あちこち包帯が巻かれているが、怪我そのものは順調に回復中だ。
ただ、矢張り両腕に貰った激酸の怪我が酷かったらしく傷跡は残ってしまいそうとの事。
(…まぁ、痕が残る程度で済んだのは本当に幸いだなぁ。)
それは心底思う。まだ腕を動かす時はぎこちないし、関節を曲げたりすると痛みも走るが。
それでも日常生活に支障が著しく出る程ではない。…あ、お風呂とかシャワーは地獄ですハイ。
■蘇芳 那由他 > まぁ、何というか何時もの凡人の日常が少しずつ戻ってきたと言えるだろう。
ベンチの背凭れに身を深く預けながら、茫洋とした表情で空を見上げる。いーい天気。
「…でも、色々と課題…あー違うか。問題も浮き彫りになったなぁ。」
方向音痴、自衛能力の無さ、この二つは今後の少年の当面の問題だ。
特に前者は、ナビに従った筈が変な所に迷い込む事が多い少年にとって割と大問題。
(…方向音痴って本当に洒落にならないんだなぁ。)
溜息。正直、自分がそうであると自覚するまではここまで酷いとは思わなかった。
■蘇芳 那由他 > ふと、携帯端末が鳴った。電話…じゃないメッセージの方かな。
茫洋と空を見上げて考えに耽っていた意識が引き戻され、ポケットから携帯端末を取り出す。
差出人は――自分のような記憶喪失の凡人の身元引受人になってくれた人から。
風紀委員会に所属している人だけど、勿論仕事についてあれこれ聞いた事は無い。
「…えぇと、何だろう…?…『そろそろ風紀に来ないか?』…いや、大変お世話になってますけどお断りします。」
条件反射みたいに、そこはソッコーで返信をしておいた。表情は何とも言えないもの。
この人は僕がそういう戦闘あれこれに向いていないのを理解してるのかな?
「…って、またか……あれ?」
後見人の人から連続…ではなかった。ラーメン屋を営む友人からのメッセージだ。
■蘇芳 那由他 > さっきのメッセージの時と違って心なしか表情が緩む。友達同士の何気ないやり取りっていいよね…。
MES:大丈夫、思ったより怪我の治り早くて無事に退院したよ。仮退院だけど。
MES:ただ、両腕にちょっと傷跡が残りそうだって。まぁ勲章かなぁ。
MES:困った事…あ、最近流行りの『オモイカネ8』だっけ?最新端末。
MES:あれって今からだと予約でも厳しいかな?ちょっと興味あるんだけど。
なんて、そんな感じの返信をしておくのだ。
■蘇芳 那由他 > 実際興味はある。諸々の機能もだが一番気になるのは最新の【行動支援型AI】だ。
これなら僕の方向音痴をカバーしてくれるかもしれない…!というささやかな期待。
でも、予約とかまだしてないし最新式且つ人気の学生手帳だからなぁ。入手するにしても先になりそうな。
「…あと、多機能過ぎても尻込みしちゃうかもしれない。」
機械音痴でも何でも無いけど、程々にシンプルなのが僕の性に合っていそうな気がする。
■蘇芳 那由他 > そのまま、端末をぽちぽちついでに弄る。常世動物園…行った事ないなぁ、今度行ってみたい。
何かこう、人間偶には無性に動物に癒しを求めたい時があるんだと僕は思います。
「…あ、浩平から返信来た。え~~と…ふんふん?」
>MES:マジかよ……その傷消せねーのか?
>MES:まぁ本人が気にしないならいいんだ
>MES:オモイカネ8はだいぶ入手競争が苛烈だぜ~?
>MES:今度、入手作戦会議しようぜ!
MES:皮膚整形?とか治療のあれこれでマシにはなるみたい。
MES:ただ、僕としてはまぁ戒めというか反省も込めて残してもいいかなって。
MES:あ、それは助かる。あと、怪我が完治したらラーメン食べに行きます。
「…と。うーん、浩平に変な心配かけちゃったかな…反省。」
とはいえ、怪我で入院した時点で既にアレか。友達が殆どいない少年はこういう友人の有難さが目に染みる。
■蘇芳 那由他 > 考えたら、僕の友達って現在は浩平くらいしか居ないのでは?と。…椎苗さんは雇用主だし。
そうなると、僕の第三の問題は友達が少ない!という事になるんだろうか。
「…少し前にあった、風紀委員会が主宰した懇親会、出れたら良かったんだけどなぁ。」
丁度その時は【紅き屍骸】との戦闘の後で入院したばっかりだったので行けなかったのだ。
ああいう、知己や新たな友を増やせそうなイベントを逃したのは痛い。
(急募:友達の作り方…なんてね。)
心のネットワークに投稿したい気持ちだ。…僕は何をアホやってるんだろう?と、ふと我に返って薄く苦笑い。
携帯端末は一度ポケットに戻しつつ、再び空を見上げる。ほんと、いーい天気だ。
■蘇芳 那由他 > 「…最新型の携帯手帳、ラーメン、友達作り、方向音痴解消、自衛能力の向上…うーん。」
欲しいもの、行きたい場所、やりたい事、それなりにあるんだなぁ、と。
まだ自分が本当にやりたい事、なりたいものが何かはサッパリなんだけれど。
(何もせずにダラダラするよりは、明確に何か方針や指針がある方が良いかなって。)
そうじゃないと、自分みたいな凡人は多分楽な方に流れて行こうとするかもしれないし。
空を見上げていた視線を下へと戻す。それなりに見慣れた公園の有り触れた光景。
■蘇芳 那由他 > この有り触れた光景を見続けていたいから。
世界にも、この島にも、人の心にも、何にだって表と裏がある。
けれど、それでもこんな何の変哲もない光景が僕は安心する。
――だって、それしか覚えていないんだから。
ご案内:「常世公園」に能守重高さんが現れました。
■蘇芳 那由他 > 「……うわぁ、何かポエマーな痛い人みたいだな…僕。」
そんな、何となく脳裏に浮かべた事を後悔して片手で顔を覆う。恥ずかしい。
まぁ、こういう有り触れた日常の一コマみたいなのが大事だって事だ、うん。
失った過去に未練なんて無いけれど、ぽっかり穴が開いたような空虚さはずっと残るんだろう。
だけど、立ち止まり後ろを振り向くだけじゃ前に進めない。
先へ先へ、次へ次へ、凡人でも歩く事は出来る。だから地道に一歩一歩。
過去が無いなら、それを超える今を生きればいいんじゃないかな?って。
「…でも、友達はやっぱりもっと欲しいよなぁ。」
なんて。ベンチからゆっくりと立ち上がり伸びを一つ。体中あちこちバキバキいってる。
やっぱり一週間弱とはいえ入院生活であんまり動けなかったせいかもしれない。
■能守重高 > ふらりと昼下がりの常世公園に立ち寄った女子生徒。
片手には何かの取扱説明書を持ちふらりと公園に立ち寄った程度。
時々首を傾げており 頭の上に?マークが浮かんでいそうなくらいに分かっていない深刻な顔をしていた。
公園には男性がいた、怪我をしているらしく包帯巻の姿が痛々しい。
育ての親から送られたとあるものの取扱説明書をもう一度眺め、
「わからない」
分かりやすい説明書はないものかとまた紙を眺める。
■蘇芳 那由他 > そろそろ帰ろうとした矢先、偶々視線が新たに公園にやってきた人物に向けられる。
――黒髪赤目。それはまだいいけれど…和装だった。純和装の人なんてあまり見ないから僅かに目を丸くして。
(…って、あまりじろじろみたら失礼だし帰ろう。)
そう思って、そのまま歩き出そうとした矢先だった。
「わからない」という女性の呟きに、足が止まり。
「…あの、すいません。何かお困りごとですか?」
と、つい話し掛けてしまう。その程度には物怖じしないしお人よしだった。
■能守重高 > 地図のようで地図ではないとあるものの取扱説明書を眺めて
首を傾げていたら声がかけられたのでばっと顔を上げた。
「…難しい。あ、え、ちょっとこの取扱説明書が難しすぎて理解が追い付かないんです」
和装にしても丈が短い実に動きやすい服装である。
風紀委員なのに委員としての制服を着る事が少なくこうして私服で、いや休日だから私服だった。
広げられたその紙を折り目に沿って折りたたんでから
丁寧に男性へと恭しく差し出すその取扱説明書の名称名は『オモイカネ8 取扱説明書』
ものすごく困ったように男性を見つめてすがる様に見つめてしまった。
■蘇芳 那由他 > 「…取り扱い説明書……成程。」
どうやら何かの説明書の説明内容が難しくて四苦八苦、といった所か。
視線がちらり、と恭しく差し出された取扱説明書へと向けられる。『オモイカネ8 取扱説明書』……え?オモイカネ8?
(さっき浩平とも少しメッセージで話したけど、まさかここ実物(の説明書)を見る事になるとは。)
少年はそもそもまだ予約すらしていないし、確実に入手する伝手なども無い。
取り敢えず、説明書は一度会釈しつつ受け取れば、中身をざっと確認する。
「……基本的な所はそこまで難しくはなさそうですけど…。」
ただ、読み進めていくと確かに色々な機能説明や注意点などがズラリ。
学習サポート機能、行動支援AI、改造による拡張性…などなど。
(…うん、確かに一発で全部理解は無理かも)
なんて思いながら、一通り説明書に目を通してから女性へと視線を戻し。
「…えーと、それで何処の辺りが分からないんでしょうか?
僕もあまり難しい所は上手く説明する自信はありませんが。」
従来の学生手帳【タジマモリ】の延長戦上にある機能なら、多分ある程度は説明も可能だとは思うが。
■能守重高 > とある説明書を男性が手に取ってもらえれば手を下ろす。
それを眺めて理解と把握をしてもらおうと女は待った。待機である。
従来の学生手帳『タジマモリ』でさえ全てを理解し使いこなすまで人の三倍かかる女であった。
覚えるまでが時間かかるのであって理解し覚えるとそこからは早かった。
ただ、機能説明で躓き標準の『タジマモリ』で詰まった女である。
最新機種の『オモイカネ8』は使いこなす自信はなかった。
(学習サポート機能、行動支援AI…?AIとは?? 拡張って何ですか。風紀委員会に持ち込めば何か足されそう。)
説明書はくまなく眺めた女は言葉そのものは分かった風でも個別では理解は追いついていない。
男性から問われたのでわずかに考えてから徐に説経書のとある部分を指さし
「ええと、改造による拡張性は。あ、委員会に属しているのですが
所属する委員会に持ち込めばされる意味なのでしょうか」
基礎的な事ではなく基本設定後に設定する必要がありそうな改造による拡張について
簡単な説明をお願いをするような質問を投げかけて姿勢正しく見上げた。
■蘇芳 那由他 > 少年は決して説明上手という訳ではない。そもそも博識でも何でもないからだ。
とはいえ、基本的な機能くらいなら普通に説明するくらいは出来る。
そして、彼女の問い掛けに若干の沈黙。理由は単純だ。
(…どうしよう。そもそも改造とか拡張性の事なんて僕は全く考えてなかったんだけど。)
実物を手に入れて、扱いに慣れてきたらとその辺りは考えていたのでこれは不味い。
勿論、説明書に書かれてはいるがこれを分かり易く、噛み砕いてとなると骨が折れそうだ。
「…えーと、貴女が所属している委員会にもよりますが、多分委員会ごとに個別の専用アプリケーションがあったりするんだと思います。
で、それをインストールするだけでなくその機能を最大限に生かすための機能拡張の為の改造もあるみたいで。
電子機器に強い方は、多分自分の手で改造を施していると思われます。
もし、自分では無理だとなったら、貴女が仰る様に所属先の委員会に相談してみるのもいいかと。
もしくは、管理している生活委員会か製造元に問い合わせて確認するのもありかもしれません。」
と、説明してみるがこれでいいんだろうか?人様に説明とか殆ど無い経験なので自信が無い。
■能守重高 > 基礎的な設定はどうにか済ませている。『タジマモリ』は理解していたから難なく進めることが出来た。
問題は『オモイカネ8』は最新機種の物体だった。
説明書の応用部分で躓いてしまったので聞く事で解決するのではと希望を抱いた。
一寸の間の沈黙が公園のその他音にかき消されそう。
「あ、『タジマモリ』には風紀のアプリが入っていました。
その時は全く端末に疎かったので委員会で設定をやってもらっていました。
今は電子端末に強いかと問われると弱い方なので下手に弄ると壊しそう。
ああ、感謝致します、分からないまま弄ってまた壊したのかと咎められお叱りを受けるところでした!」
説明を受けやはり基本設定で止めてよかったと思った女であった。
電子機器には弱い女だった、けれども学生手帳を使いこなそうと
努力はしようとしたが何度か壊して持ち込み依頼をした女であった。
今回もそうなる前に説明を受ける事が叶い嬉しそうに感謝のお辞儀をした。
■蘇芳 那由他 > (風紀のアプリ?…って事はこの人は風紀委員会の人かな?)
自分の【タジマモリ】…今まさに使っている奴だが風紀のアプリなんて勿論入っていない。
そもそも、あまりアプリを入れないタイプなのでほぼノーマル仕様に近い。
まぁ、僕の学生手帳周りは別にどうでもいいとして。
「あぁ、いえいえ…僕はまだその機種を持っていないので、説明書があるとはいえどう説明したものかと。
取り敢えず、風紀委員会?の方にご相談して最適な拡張をして貰うのがいいかと。」
良かった、自分みたいなのでも何とかなった…!と、内心でほっと一息。
やっぱりそう遠くない内に友人と相談してオモイカネ8に切り替えようかな、と思う少年。
感謝のお辞儀をされれば、軽く両手を振っていえいえ、と控えめに。
「取り敢えず僕に出来る手助けはそのくらいですが、微力ながらお力になれたなら幸いです。」
まぁ、凡人に出来るのはこのくらいと相場が決まっている。良い事が出来た、と前向きに捉えよう。
■能守重高 > 風紀とは言ったが風紀委員のあの赤い服を着ていない、
全くの私服で風紀と口にしてしまったが特に質問もされなければ
疑問も解決叶ったので先ほどとは違い安堵の表情になった。
『タジマモリ』は一度理解が追い付いた後は風紀委員会で使われる
専門アプリを幾つかのアプリや通訳アプリなどを入れて貰っていた。
(解決叶った!とてもうれしい。そこだけ解決しなかったし!)
「今入手困難でしたね、最新機種。私の場合は親がおりまして。
謎の伝手で送られて え、どうするという具合でした。
あとで時間を作って委員会に持ち込もうと思います。」
解決が適い嬉しそうに小さく跳ねたがすぐに姿勢を正し、
ああ、忘れていましたと思いついたように自己紹介をお礼のおまけに名乗りたい。
「大変な手助け感謝致します、私 風紀委員会所属の『式神魔女』の名を頂く、能守重高(たかもりしげたか)と申します。
この度の出会いに感謝を致しまする!」
口上述べた後、綺麗な会釈も添えて挨拶をしよう。
■蘇芳 那由他 > 風紀委員会といえばあの紅い制服だ。少年も当然よく見掛けている。
今の彼女はどうやら私服のようだが、風紀のアプリと口にしていたならそうなのだろう。
「みたいですね…予約しても抽選とかそんな感じらしいですが。」
そういう伝手がある人が羨ましい!と、思ったけどそこは口には出さない。
まぁ、風紀委員会の人は色々と大変だし最新式の学生手帳の導入はむしろ自然だろうなって。
ともあれ、名乗られれば少年も軽く居住まいを正して会釈を律義に返して。
「あ、これはご丁寧に…。僕は学園の1年生の蘇芳那由他と言います。ナユタで構いません。
えーと、能守…先輩?でしょうか。よろしくお願い致します。」
風紀委員会には二つ名的なものを持つ人も居るらしいとは聞いていたが、この人もそうなのか。
凡人、内心で凄いなぁと呑気に感心しながら名乗りを返しておこう。
彼女の口上に、そこまで持ち上げないでも…と、思いつつ。
「ともあれ、一先ず懸念が解決したようで何よりです能守先輩。
…と、すいません。そろそろ夕飯の買い出し行かないといけないので僕は引き揚げますね。」
そろそろ帰宅して商店街のスーパーに向かわなければ。何せ特売セールの時間が迫っている…!
■能守重高 > 風紀委員で止めていたのは臨時とはいえ一部で過激派と言われる
風紀委員会『特務広報部』であった。風紀委員でもいろいろな部署があるのに
そこにいるのは名乗るのも妙と思って委員会どまりにしていた、詰問されていれば考えたかもしれないが今は。
「私は戸惑いましたがゆっくりと端末をものにしなければ」
(風紀委員でも特務広報部はちょっと過激ですとは言えない リーダーは苦労なくものにしていそう。)
「1年!不味い私の方が上でしたか! 3年ですすみません、でも言葉遣いは咎めませんので!
ナユタさん。覚えました。あ、私の事は呼び捨てでも一向にかまいませんので。
能守とか…先輩呼びは新鮮味を覚えます。ええとっても」
(これは新鮮味がありますね って大変です もうそんな時間でしたか!!)
「あ、大変です、私としたことが! ではここでお別れと致しましょう。
お気をつけて!! またいずれ会えれば幸いです」
その場で会釈をして彼と別れた後はまっすぐ家に帰っていったと思われる!
ご案内:「常世公園」から能守重高さんが去りました。
■蘇芳 那由他 > 一般学生である少年には、風紀の詳細もだが当然【特務広報部】とやらも全く知らない。
少年の後見人でもある風紀の人物なら当然のごとく知っているかもしれないが。
それは少年には関わりの無い事であり、彼も積極的に知るつもりもなく。
「え、えーと…その、流石に先輩をいきなり呼び捨てはハードルが、ですね?」
同性の友人を呼び捨てにするのだってそれなりの勇気が必要だったのだ。
異性の、しかも先輩を呼び捨てとか僕にはハードルが高すぎます!
なので、多分そこは中々無理な模様。どうしても敬称ないし敬語は付いてしまう。
「はい、能守先輩もお疲れさまでした。」
軽く会釈をまた一度してから、彼女が去るのを見送りつつ少年も公園を後にする。
…ちなみに、特売セールはぎりぎり間に合った。
今日の特売は『横綱餃子(でかいサイズの餃子)』でした。
ご案内:「常世公園」から蘇芳 那由他さんが去りました。