2024/07/07 のログ
武知 一実 >  
「いっそ一思いにザーッと雨でも降ってくれねえもんかねェ……」

午後の天気は、とスマホを取り出して天気予報アプリを立ち上げる。
……うん、雨の予報は出てない。午後も引き続きファッキンホットな土曜日をお楽しみください、だとさ。

「ううう……これなら訓練施設でも行って自主練してりゃ良かったか……?」

どうせ汗をかくんなら、空調設備の整った屋内の方がまだマシってもんだ。
けれどもオレはこうして公園に居る。だってスニーカー買いに行きたかったんだもん。

「今から行……く気にはならねェな……」

常世公園(ここ)から公共交通機関を乗り継いで訓練施設までの、なるべく涼しいルートを思い描く。
ダメだ、どうしても日向を歩く必要が出て来る。
……くそっ、こういう時に移動に便利な異能だったら……!とか、今まで何度考えたか分らん。

武知 一実 >  
「まあいつまでも公園に居る訳にも行かんしな……」

いずれ日は傾き、そうすれば今の木陰も動いてしまう。
どのみち陽の下には出なきゃならないのなら、早い内に行動した方が良い……だろう、多分。
……であれば後はオレが覚悟を決めるだけ、だ。
スマホをボディバッグにしまうと、頭上に広がる枝葉越しに太陽を見上げる。

「……オレぁ敗けねえからな、絶対に」

ひとまず最寄りのバーガーショップまで。
オレが暑さに音を上げるのか、それとも無事にバーガー食うか。
根競べと行こうじゃねェの……! と、無理やり己を奮い立たせてオレは公園のベンチを後にしたのだった。

ご案内:「常世公園」から武知 一実さんが去りました。
ご案内:「常世公園」にコミンさんが現れました。
コミン > 夕刻の常世公園は夕立に見舞われていた。

「ひゃああああああっ!!」

――いや、その雨量は夕立と呼ぶには生ぬるい。まさしくゲリラ豪雨と呼ぶべき代物。
滝壺と錯覚するようなドザアアアアッという轟音、煙る視界は10mも効かない。
その中を、茶色のメイド服の少女が慌ただしく駆けていく。雨宿りできそうな東屋へと向かって。

「あ、雨が降る予報は確かに出てましたけどっ!
 こんないきなり、こんなドシャ降りになるのは予想外なんですが!」

飛び込むように東屋の屋根の下へとたどり着くコミン。しかしすでに全身びしょびしょの濡れ鼠だ。
厚手の綿で織られた彼女の衣装はたっぷりと水を含み、重々しく身体に張り付いている。
試しに白のエプロンドレスの裾を両手で握ってみると、ぼたぼたと生暖かい水が大量に染み出してくる。

「うっへー……不快すぎますよぉ。
 こんなカッコで家に戻ったら床もびしょびしょになるし……まいったね」

壁のない東屋。風通しはいいが、吹き込んでくる風もまた生ぬるく湿っていて、服を乾かすには不向き。
それでも雨晒しのままよりはずっとマシだ。ベンチにどかっと腰を下ろして。

「あ゛~~……今すぐにでもクーラーの効いた部屋に飛び込みてぇ……」

妖精らしからぬ独り言をもらす。空調の快適さを覚えた現代妖精なのでもう自然には還れない。
ついうっかり大きく脚も開いちゃって、ぐったりと背もたれに肩をあずける。

コミン > 凄まじい雨量を誇った夕立だったが、積乱雲が偏西風に乗って去ってしまえば消え失せるのも早い。
雨脚が弱まったな…と思ってから数分ですっかり周囲は無音に変わり、夕日が差し始める。
もっとも、蒸し暑い空気、ぬかるんだ地面は据え置きであるが。

「はー……大変な目にあったのです。
 今日は夜からバイトですし、いそいで帰って乾いた服に着替えないと……あっそのまえにお風呂入りましょうかね?」

いまだ湿り気の取れないメイド服に苦慮しつつも、のそのそと東屋から這い出てくるコミン。
東の空に滞留する黒い雲を忌々しく睨みつけつつ、自分の棲家のある異邦人街へと足を向ける。

「折りたたみ傘、持ち歩くべきですかねぇ。でも僕のカバン、すでにパンパンで入れられる場所が……」

ご案内:「常世公園」からコミンさんが去りました。