2024/06/07 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に風花 優希さんが現れました。
風花 優希 >  
少年が、そのカフェに立ち寄ったのはほんの気まぐれだった。
”ひと仕事”終えた帰り道に、たまたまそのカフェが目に入り、たまたま喉が渇いていたので、ふらりと立ち寄ったのだ。
本当に適当に看板に『オススメ!』と称されたタピオカミルクティーなんかと、ケーキを注文して。
そのまま、目についただけの適当な席に…窓際のカウンターに腰かけて外を眺める。

日は薄く陰り、太陽は傾き、街並みの向こうに赤い夕日が沈もうとしていた。
人通りもこの時間は実に疎らだ。
食事をとるには少し早く、かといって、暇な学生が帰るには遅すぎる。

「……んー」

ぼんやりとしながら、ずずずと手元のストローを吸う。
己には本来不要な摂取ではあるが、これはこれで趣があるのだろうな、と思いながら。

ご案内:「カフェテラス「橘」」に先生 手紙さんが現れました。
先生 手紙 >  
ご注文お決まりでしたら伺いまーす

「じゃ、ブレンドのMで」

お砂糖ミルクはご入用ですかー?

「ブラックでいいでっす」

それでは少々お待ちくださーい。Mブレンドワンおねがいしまーす

お待たせしましたーブレンドのMサイズになりまーす。


ごゆっくりどうぞー。

――とまあお約束のやり取りを店員と交わし、コーヒーカップの載った小さなトレイを片手で持って。じゃあどこに座ろうか……と店内を軽く見渡したところ……

「あの可憐なsilhouetteは――?」

後ろ姿からでもわかる、付き合いのほどはちょっと自分じゃわかんねえ子のソレだった。

「風花ァー。珍しいじゃン、こンなとこで。ティータイムですか」

風花 優希 >  
「んぉ? 誰かと思えば──」

ずいぶんと聞き覚えのある声が聞こえて、視線を向ける。
何かを注文して、受けとったトレイを持って、此方に歩み寄る姿。
そして明確に、自身に声をかけてくるそれは……

「手紙じゃないか、やっほ。
 そういうキミもお茶汲みかい?」

紛れもない、男子寮のルームメイト。
ひらひらと片手をあげて、やほーと軽い挨拶を交わす。

先生 手紙 >  
「おっつおっつ。ま、そンなとこ。風俗街でも見に行くかー……なンて噺の膨らませ方は駄目だな。風紀委員にしょっ引かれるわ」

お茶汲み、と訊かれたのでアゲる前にオチを付けた。トレイを置いて、隣に座る。

「なーんか微妙に時間空いちゃってさ。にしてもホント珍しいね、あんま外だと会わないし」

学年も違うし。こっちもこっちで色々と出歩いているのでルームメイトと一番顔を合わせるのは寮の相部屋の中である。

風花 優希 >  
「せめて私服なり変装なりしてないと一発アウトだな」

くつくつと、そんな冗談に軽く笑う。
別段、興味があるわけでもないが、そうした話題も知識にはあった。
隣に座ったルームメイトに、その顔を向けながら、またタピる。

「学年やら委員が違うし、普段は会わないもんね。
 ま、これもなんかの縁だろう…ケーキいる?」

なんて、手を付ける前だったケーキをずいっと横にやり。

先生 手紙 >  
「おれはイイけど風花を連れてったらそれこそ大ヒンシュクだ」

喉で笑ってコーヒーを一口。嗜好に入っているのだが、いかんせん寮内で同好の志が見つからねえのである。一式あっても「邪魔だ」とか言われかねない。

「それなー。おっありがとう後輩……っていいン?一口も食べてないじゃン」

傾いで聞く。

風花 優希 >  
「どこの誰に顰蹙を喰らうというのか」

心外だなぁ、などと返しつつ。
ずずずっと、ストローを吸い上げる音が響く。

「そりゃぁ、これから食べるとこだったし。
 あと全部は流石にやらん、半分ね、半分」

フォークを軽く動かし、ぐぐっと半分に切って。
そのフォークごとに、切断されたケーキを差し出した。

先生 手紙 >  
「まず他の連中。連れ回すなって怒られる。次に出先。冷やかしすンなって怒られる」

ああいう場所にはを持ってくべきじゃないのさ、と肩を竦めて。
言っとくが容姿に関して褒めてンだよ?とも。

「そういうことなら有難く。ちょっとおフォークを貰ってくるわー」

というわけで一旦離席。店員さんにフォークを貰って戻ってきた。

「じゃ、いっただっきまーす」もぐ。うんおいしい!コーヒーだけでも良かったが、甘味があるとその『喫』はグレードが爆上がりするのだ。

「そいや風花さ、とこコレって知ってる?最近にわかに学園がソワりつつあるンだけど」

風花 優希 >  
「はははは、他の面々はともかく…冷かしって思われるのは心外というか複雑というか」

男子扱いされてないのか?と思わなくもない。
褒めてはいるのだろうが、それはそれとして、だ。

「あぁ、そういうの割と気にするタイプかキミ。
 別にそのままぱくっていってもよかったんだが」

ともあれそれは、そんな軽い揶揄いで軽い八つ当たりで済ましておく事にした。

「とこコレ? なに、何かはやりのゲームか何かかい?」

そして、問われた言葉にそきょとんとした顔でそう返す。
つまりは知らない、と顔で語っていた。

先生 手紙 >  
「でしょ?ついでにおれは遊ぶどころじゃなくなるよね」

どちらにしても得が薄い。代わりにコーヒーは濃いめでお願いしてあったりもする。

「ン。マナーと言うよりリスペクトの方が理由かな。せっかく綺麗に作られて、風花もきれーに割ってくれたンだ。フォークを使うのが相応しいでしょうや」

いいつつ半分をさらに半分に。小さくなったケーキを口に運び……

「……ン」で、コーヒーをまた一口。

「えっとねー。主催誰だっけかな。まァいいか。学園でミスコンとファッションショー合体させたみたいなイベントをやるンだって。ただいまエントリー絶賛受付中ゥー」

風花 優希 >  
「違いない」

遊ぶ以前の問題である。
十中八九、とっ捕まり生活指導だ。

「なるほどそっち、別段使いまわすくらいはよかったんだけどね」

そうした部分を気にしない性質故に。
衛生的にどうかという話も、少年にはあまり関係のないことだった。

「ミスコンやファッションショーねぇ……そういうの、女子の領分じゃないかい?だいたい」

男子が参加するものなのか?という純粋な疑問を返した。

先生 手紙 >  
「そそ。夜遊びは控えろって教えだろうさ」

ずずー。お茶ならぬお珈琲を濁してこの話はおしまいおしまい。

「あァ、そうなン?まァでも大した手間でもないし、寮ではそれでもいいかな。おれも別に気にしないし」

思春期はとっくに終わっているのでねえ!

「そこはそれ、ミスターコンテストも兼ねてるってハナシ。っておれの説明じゃ話が遠くに飛びそうだ。っつーか持ってたンだわ」

はい、と件のイベントのパンフレットを取り出してトレイの横に置く。
「自薦他薦も問わないってさ」

風花 優希 >  
「そゆこと、行儀がどうこう言われると弱いが」

まあ、果たして寮でフォークをシェアする機会があるかと言えば無いのだが。
なにせ寮の部屋で食事をする事だってそうそうないのだから。

「パンフまであるのか…割としっかりとした一大イベントだね」

トレイの横に置かれたパンフを手に取りふむふむと興味本位で眺める。

「へぇ……立候補制ってわけでもないんだな、これ」

先生 手紙 > 「それなー。箸もフォークも足りない事案、寮で想像できねえンだわ」

なのでよそ行きのムーヴはこうしてお外でのみ発揮されるのであった。


「これはおれの予想なンだけど、他薦が多いンじゃねえかなーと思うよ。この学園、見た目の偏差値クッソ高いけどその自覚あるやつ少ないだろうし。もうちょい言えば「我こそは!」を恥ずかしがるタイプが多いと見てる」

このへんの推測が当たっているかどうかは、蓋を開けてみなければわからないのだが。

風花 優希 >  
「自分から手を上げる自信家は…まあ、居ないではないがそうそう居はしないか」

少なくとも自分の知り合いにはあまり心当たりもない。
自分も相応に見た目がいい自覚はあるが、じゃあ立候補するかと言えばNoである。
なによりわりかし、整った容姿持ちがここには多かった。

「しかしつまりはこれ、本人が全くあずかり知らぬところで推薦される事もある…と」

それは、ちょっと不憫なことにならないか?とそんなことを想う。
とはいえ聞く限り、それなりに大きなイベントではありそうだ。
知らぬ存ぜぬの方が珍しいのかもしれないが。

先生 手紙 >  
「それ以外があるとすれば、敢えて賑やかしとしてエントリーして盛り上げる脇役(バイプレイヤー)かな。おれもねェ。出りゃいいのにーって思うのに本人が「いやいや自分なんて!」って子が多くてちょっと残念に思ってるとこ」

「……そういや「勝手に応募されてた」についての要項ないな。他薦の場合は本人合意のうえ、を旨とする一文を加えた方が懸念も減りそう」

そこまで言って。

「……でェ。風花的にはこのイベどう?You、出ちゃう?」

風花 優希 >  
「主催側のサクラとかそういう奴ね、わりと依頼されてる人もいそうだな」

流石にちと穿った見方ではあるが。
まあ、全く盛り上がらないというのは主催も避けたいとこだろうか。

「そこらへん、何も書いてないからな。
 知ってても本人がNo言ってようがコレ、推薦できそうだし」

実際もうされてそうだし、確認する術も正直ない。
まあ、受賞式なりなんなりがあるのかもよく分からないところであるのだが。

「ははは、まさか」

そして当然、Noを彼は返すのであった。
少なくとも見せびらかすような趣味は無かった。

先生 手紙 >  
「風花さァ。割とこういうとこドライっつーか斜に見るとこあンのな」

ちょっとした一面を知ったりした。

「……およ。そうなンだ。身なり気にしてる風だから自信アリ、って踏んでたンだけど読みが外れたな。……あ、いや、ンー」

自分で言ったことが腑に落ちない様子で、カップの中の黒を眺める……

「……望んで見世物になりたくはない、みたいな?」

風花 優希 >  
「そんな斜に構えてるかな?」

尚、当人に自覚は無さそうであった。

「そりゃあまあ、ボクはそれなりに容姿はいいと思ってるけどな、それなりにだし」

際立って顔がいいわけでもなし。

呑みかけのタピオカは、底で黒い粒がごろりと揺れていた。

「街中で見かけた綺麗な花を、花壇に植え替える性質じゃあないってだけさ」