2024/06/08 のログ
先生 手紙 >  
「おれが思うよりは、って言っとくよ」

タピったりケーキを半分分けてくれる愛嬌とは別のところで、そうして覚めた部分があるのだと。そっと分析などしている。

「ふっは。持つ者の無自覚は八つ目の大罪――に据えるのはちとサリエリ的か。おれから見ても十分、や十二分は整ったつくりをしてるよ、君はさ」

個人の感想です。ただこの主観はそこそこの票数を得られるくらいにはマジョリティであろうとも思っていた。

「……その反応からすると他薦もしない、って感じかー。やー風花出たら盛り上がりそうだけどなー」

これは本心。序列を決める――美を武器とした花々のバトルロイヤル――ことのないコンテストだ。誰であろうが参加したら一人分の賑わいが発生する。その一点で残念だなあとも思った。

風花 優希 >  
「自覚はあるよ? 相対的に周りを見て平均値だなと思ってるだけで」

純粋に周囲のレベルが高いだけなのだ。
さりとて、十二分に整っていると褒められても、そこまで心も揺れないのだが。
慣れているだとか、そういうものとは別の要因で。

「ボクが出る所縁もないし、理由もないしな。
 他薦するのも同じ理由で無し…推薦して欲しい~なぁんて、頼まれたら別だけどね」

そんな奇特な相手がいるとは思わないが。
つまるところ、頼まれたら推薦してしまう位には拘りもなさげであった。

先生 手紙 >  
「ねえー。やっぱりこの学園レベル高くねえ?もはや顔面偏差値だけで島外の芸能科高校追い抜けるでしょもうコレ」

風花優希の絶対評価ではなく相対評価がこれである。興味の在る無しはさておき、事前候補者が抱くであろうハードルは、運営が思ったそれより高く見積もられている可能性が大いにあるなァ。

「ン~~~……」

カップを両手で持って、暫く悩んでいる。どうしたもんかこれ。

風花 優希 >  
「島内にくる面接やら書類選考で顔が基準の一つなのかもしれない」

そんな事実は恐らくない。
無いったら無い筈なのである。

「イベントの花になるよりは、その賑わいの中に適当に混ざるくらいでちょうどいいのさ」

気楽でね、と言いつつストローを吸い上げる。
ごろりとしたタピオカ玉が、一個、また一個と減っていく。

先生 手紙 >  
「ヤだよそんな審査。異能と美貌間違えてンじゃん」

――言いつつも、そのアプローチで論文書いたらちょっとウケそうだなーとか思ったり。

「あーおれと同じタイプかァ。おれもねェ、スポットライト当てる側が楽しいのよな」

言って。

……おれが推すから風花出ない?

という言葉はコーヒーの苦みと一緒に飲み込んだ。楽しくなるであろう祭りだったとしても、無理に連れ出すのはそれこそ野暮だ。

「ところで全ッ然ハナシ変わるンだけど、ソレって美味いの?」

まさかのタピオカ未履修勢であった。

風花 優希 >  
「顔がいいと書類選考通りやすいって統計自体はあるらしいしね」

有意な統計データであったかはさておいて、無意識化のそれまでは否定できないと胡乱なことを口にしつつ。

「だろう?
 まあ、ボクは純粋に観客になるくらいがいいってかんじだけど」

背景の通行人でよいのだと、そんなことをのたまって。

「味はそこまでしないよ?
 こう、何となく食感を愉しむかんじ」

先生 手紙 >  
「まんま芸能科の項目で笑っちゃった」真顔。

……魔性、という言葉がある。『魔』を宿したモノは、おそろしくも――どうしようもなく惹き付ける存在だ。この奇妙な同居人もその類だろう。

「あァ。おれはワリと宙ぶらりんだからさ。風花的に「この子は押せる…!」みたいな子に心当たりとか無いン?」

味がしないのか。ブームの絶頂は過ぎたと言って差し支えないタピオカを飲む少年の雑感には、ふぅン、と肩透かしを食らったような感じで相槌を打った。

風花 優希 >  
「面接だって顔がいいとウケがいいし、そんなもんだよ」

選ぶのは結局人間だしな、と実も蓋もないことを言う。
しかしてある種の真理ではあるのだろう。

「うーん、……パッと浮かばないな。
 あんまり何ていうのかな、拘り?好み?的なのもないし」

きっと、本質的に興味がないことなのだろう。
美醜の区別はつくが、だからといって”どうでもいい”のだ、恐らくは。

からからと、ストローを揺らして弄ぶ。
底にたまっていた黒い粒は、すっかりなくなってしまった。

先生 手紙 >  
「――ま、それはそう。先天的にせよ後天的にせよ、ツラの良さってのは持ち得る『力』でもあるからなァ」

第一印象が内面になる事の方が珍しい。ニンゲンの殆どが先ず見て、それから聞くのだから。

「ふぅン。そっかそっか。や、ケーキまで分けて貰っといて興味ねえ話振って悪かった……っつーかケーキ半分残ってンじゃん。タピもう無ェじゃン。話に付き合ってもらったのとケーキ代で何か飲み物奢るよ」

クっとコーヒーを飲み干した。冷めきった最後の一口はあんまり好みじゃなかったりする。

風花 優希 >  
「別にいいのに、気にしなくて」

それはどちらに対しての言葉だったのか。
話を振った事か、ケーキを分けた事か。

残ったケーキを漸く摘まみ、少年の口の中に綺麗なスポンジが消えていく。

「ん、ボクも今飲んだばっかだし、ツケってことでいいよ、覚えてたら」

そうして食べるのも終わってしまえば、腹ごしらえには十二分。
喉もとうの昔に潤ってしまっている。
時間もいい頃合いだし、ここらで解散かな?と。
何方とでもなく、カウンター席から足を降ろして立ち上がる。

先生 手紙 >  
「ヒト付き合いだよ、これも、ただの」

軽い冗談を混ぜて席を立つ。

「物忘れとかしそうにねえけどなァ風花は。ンじゃ次があったらってことにしよう」

結構話し込んだっぽい。コーヒー一杯とケーキ半分。食堂で晩飯を食うにはいい腹の減り具合のヒューマンだった。

風花 優希 >  
「なるほど、それは違いない」

少なくとも、薄情なのよりは良い。

「どうだろな、うっかりする事くらいはあるかもだぞ?

 ん、それじゃあまたね。
 いやまあ、直ぐに部屋で顔は合わせるだろうけど」

先生 手紙 >  

「ふっは。それも違いない」

気易い付き合いのルームメイトだ。部屋で「さっきぶりー」などと他愛のなさすぎる会話をしたり、するのだろう――

ご案内:「カフェテラス「橘」」から先生 手紙さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から風花 優希さんが去りました。