2024/11/10 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に霞流 周さんが現れました。
霞流 周 > カフェテラス『橘』――利用する学生や市民も多いこのカフェテラスだが、少女が利用するのはかなり稀だ。
理由は幾つかあるが、一番大きな理由は矢張り二級学生だから、というのが主なもの。
二階席の窓側――それも角に位置するテーブル席が、少女がこのカフェテラスを利用する際のお決まりの席だ。

「…来週末の課題は……まぁ…こんなもの…かな…。」

途切れ途切れの、淡々とした声色で独り言を呟きながらテーブルに広げていた勉強道具一式を片付ける。
代わりに、偶々この前手に入れた擦り切れた古臭い魔導書…にはお世辞にも見えないが。
何せ、メモ帳くらいのサイズで装丁なども比較的新しい。それなりに年季は入っていそうだが。

「………ん。」

挟んでおいた簡素な栞を目印にページを開き、光の無い銀の双眸が文字を追う。
頼んでいたホットコーヒーも少々温くなってしまっているが、構わずに一度カップを手に取り口元に運ぶ。

霞流 周 > コーヒーを一口飲んで、気分を切り替えてからカップを戻して手元の書物に意識を戻す。

「……上手く取り入れられると…いいんだけど…ね…。」

メモ帳的な外見だけでなく、中身も手書き感がありありと分かる文字列が並ぶ。
何処かの誰かが、個人的に纏めた魔術体系…の、一部を書き記した物らしい。
所々、文字が達筆過ぎて読めない上に一部ページが破れていたりと状態が良いとは言えない。
…だが、それで十分。少女にとって必要なのは全体像ではなく断片的な知識。

(…こっちの術式を…これと組み合わせて…後は学園で習った式に…。)

頭の中で、独自の魔術式を少しずつ構築していく作業。地道で先は長いが案外嫌いじゃない。
難解なパズルを解いているような感覚に近いのかもしれない…本物のパズルをした事はないけれど。

「……お金と伝手があれば…もっと…良い書物も買えるんだろう…けどね…。」

残念ながら、金銭的に余裕があるとはとても言い難い。これだけでも手元にあるのは幸いなくらい。

霞流 周 > 独学、学園で習った知識、そして手元にあるような書物媒体から仕入れた知識。
それらを混ぜて、取り込んで、”継ぎ接ぎ”したものが少女が扱う魔術だ。
既に幾つか習得している魔術も、ほぼ独学で誰かに基礎すら教わった記憶も経験も無い。

(…まぁ…それは…刀の扱いも…同じなんだけど…。)

己の傍ら、あまり目立たないように立て掛けた安物の、何の変哲も無い数打ち物の刀。
それを一瞥してから、視線は再度手元の書物へと戻る。…とはいえ、大体必要な知識は仕入れた。

「……禁書庫…も、一度は見てみたいんだけど…ね…。」

ただでさえ、二級学生の身分で肩身が狭いのにそんな所に勝手に侵入でもしたら退学、良くて停学だろうか?
少なくとも問題になるのは間違いないので、半ば諦めてもいるがいずれは…と、いう気持ちも少々。

誰かに相談しようにも、基本的に学園では己の立場も考えてかなり目立たないように立ち回っている。
お陰で、クラスメートの名前や顔すら未だに殆ど覚えきっていない。周囲も少女の印象は薄いだろう。