2024/06/29 のログ
■イヴ >
「ぶー。ちゃんと上手に出来るのにな~」
ちょっとだけ拗ねたような言葉。
でもそれならそれで、嫌がることはしたくない子狐。
お次は髪。自分のものに比べると短くて泡の量感がちょっと難しい。
「髪の毛短かったら、ボクももっと男の子っぽくなるのかなぁ…」
わしゃわしゃ、子供の手で少しだけ強めにわしゃわしゃするので多分丁度よい。
「でもボクの髪の毛がさらさらで好きーってみんなが言ってくれるからなかなか切れないんだよね~」
自分の髪と比べたら全然早く終わっちゃったけど、いいのかな?と思いつつ。
シャワーヘッドの角度をちょこちょこと変えながら背中も流して。
「よーし!きれい!おふろはいろー♪ 優希くんっ」
お互いに身体がきれーになったところで、はやくはやくと急かすように見たこともないでっかい湯船を指さしていた。
■風花 優希 >
聞き訳がいい子でよかった、とホッとする。
これでグイグイ来られていたら危うかった。
なにが、とは言わないが。
「んー、髪型次第だけど…キミだとそれでも可愛らしくなりそうだなぁ」
なにせ、容姿が既に整っているから。
まあ、今の長さの髪の毛のせいで余計女の子っぽいというのは間違いないが。
「ボクとしても、そのままで良いと思うよ?
後ろで束ねたりするだけでも、大分違うだろうし」
とはいえ、一応は男の子っぽくみられたい気持ちは感じられたので、そんな提案は交えてみる。
優希の髪はわりかしさっくり洗い終わり、これで湯汲の準備は万端だろう。
「だね、しっかりあったまりに行こうかな」
泡を流し終えたのを確かめてから、少し遅れて少年も湯船へと向かう。
■イヴ >
人の嫌がることはしたくない子狐。
聞き分けはとっても良いし素直である。
それはそれとしてぐいぐいいっちゃうタイミングもあるのだけど。
「ボクの髪が長いとママやおねーちゃん達がすごく楽しそうに結ったりしてくれるんだー。
だからついつい、切らずに伸ばしてたらこんなになっちゃった」
長い髪を手入れするのも、編み込んだり髪型をアレンジしたりするのも。
きっと身内が楽しそうにあってくれていたのだろう狐の家庭内事情である。
「えへへ、そう?
じゃあもうちょっと大人になるまでこれでいよー♡」
そのままで良いと思うと言われると無邪気な笑みを浮かべて。
ざぷーん、っと男の子らしく大胆にお風呂IN。
今は殆ど貸し切りだから大丈夫!人がいたらさすがにそっと入ります。
「こんなにお風呂がおっきーと泳いだりもできちゃいそうだねえ。
お友達いっぱいで入ったら楽しいんだろうな~♡」
優希くんが湯船に浸かればナチュラルに寄ってくる子狐。
■風花 優希 >
「あぁ~…周りが女の子ばっかりだったんだ?」
なるほど納得。
目の前の彼が何故に可愛らしいのかの一端を伺い知れた感じがあった。
女の子ばかりの中で育ち、着飾られていればこうもなろうと。
それにしても整った容姿を持っているのも違いはないが。
「うん、一度切ったら伸ばすのも大変だしねぇ」
一先ず今は思ったままの言葉を返し、お風呂の中へ。
こちらはちゃぷりと、わりかし静かに入浴した。
どぽんと波を立てて入浴する彼には、苦笑を浮かべながらだが。
「広いとはいえ、泳ぐのもほどほどにね?プールじゃないし。
……でもまあ、二人では居るには確かに勿体ないなぁ、ここ」
近くに寄る彼に視線を向けつつ、優希は背中を風呂の淵に預けるようにしてリラックス体勢。
少し物思いに耽るような、わりかし無防備なリラックスした仕草でもあった。
「他の面々も居れば、もっと賑やかなお風呂になるのは違いない」
■イヴ >
「うん。たまに遊びに来るお兄さんがいたけど」
女の子ばかりの園で可愛がられて育ったらしい。
愛が溢れていたのだろうとっても素直な子に育ちはしたけれども。
「えへへー。怒られちゃうもんね♪
今は優希くんと二人っきりだから、だいじょーぶ♡」
二人きり、の言い方が妙に艶めかしい。
「そうだね!今度は橘くん達とも一緒に入りたいな~」
かぽーん。
二人並んでゆっくりのんびりゆったりの時間。
子狐もリラックスムードでぼへーっとした表情を浮かべている。
「ぁふぅ… 気持ちイイ…、とろけそぉ…♡」
■風花 優希 >
「親戚のお兄さんとか?」
それだと男らしさとかを学ぶ機会もあまりなかったのだろうなぁ、と。
聞き間違いで無ければ、父親も居なさそうではあった。
「……なんかハートが飛んでる気がするんだよなぁ」
それはそれとして、どうにも艶やかな物言いに思わず零す。
ほぼほぼ確実に彼の家族のせいなのだろうが…そうだとしても魔性の一族だろう、恐らく。
実にゆったりとリラックスしたその顔が、艶めかしいのも気のせいではあるまい。
今は一旦、目を閉じて湯船につかり、気にしないでおくことにした。
ただでさえ、少し前の海でのあれこれのせいで思考凍結が緩まっている感じがある。
「そうだねぇ…つい長風呂してしまいそうだ」
そう、平常心で普通に、今はお風呂を愉しむのだ。
■イヴ >
「うーん。ママのお友達だったと思う。
ゲームが得意で遊びにくるといっぱい遊んでくれるんだー」
とっても子供らしい感想。
性格や趣味なんかはしっかり男の子なのだけど見た目との剥離がスゴい。
そして先に聞いた言葉の通り、父親はいない。
母とママがいる…という特殊な環境である。
「ハート? いっぱい飛ばす?」
くすっ、と笑みを零す。
しっかり言葉の意味も理解していそうな子狐。
一転悪戯な少女めいた笑顔を見せるのだ。
気にしないように努める少年にそぉ~っと肩をくっつけてみたりするのである。
「にゅふふ、長風呂~♪ 湯気だった子とかも可愛くてえっちだよね♪」
そして飽くまでも無邪気にそんなコトを宣うのだ。
■風花 優希 >
なるほど、やはり男の気配がない家なのだろう。
たまにでも男の人が遊びに来るだけいいのかもしれないが。
……実に家庭環境が気にもなるが、下手に暴くと何やら危うい気配もするのだった。
「ああうん、分かってないんならいいんだけどさ」
天然なのか、計算なのか。
素なのだとは思うのだが、その仕草は心臓に悪い。
妙に少女っぽい仕草を見せるから尚更に、性質が悪いのである。
とはいえ、流石に年下の男の子だと分かっているのであれば、その辺りの整理は出来る。
肩を寄せるのもまあ純粋に、甘えたい盛りなのだろうと……
「ぶっ…!」
思うとしたところに飛んできた変化球が肺に直撃した。
「…どういう意味で言ってるのそれ?」
■イヴ >
ぶっと吹き出した様子に小首を傾げる子狐。
「え? 可愛くない?
こう、白い肌がうっすらーと桜色になっちゃって、えっちだよ?」
ちょうど今の優希くんみたいに、と続きそうな勢いである。
どうしたのかな、と。大きな赤い目を丸くしてその顔をじーっと見つめてはいるが。
「もちろん女の子が、だけどー♪
あっでも優希くんも顔立ちは女の子っぽくてカワイイよね!好み!」
■風花 優希 >
「それ、誉め言葉かもだけど普段使いしちゃダメなやつだからね!」
情緒教育とかどうなってるんだ、と心底思う。
この歳で本当の意味でそう思ってるのだったら、色々と危うい。
倫理観とか、常識とかそういうものが。
丸々とした瞳で見つめられると、実に気まずくなるのも当然だ。
「……まあ、うん、女の子はそうかもだし…
ボクも確かに容姿はそっちよりかもだけどさぁ……」
そうみられるのは、複雑というか何とも言えなくなるのだ。
「可愛らしさで言ったらお互い様だろうに」
なので、軽い反撃だけはしておいた。
効果があるかは怪しい所であるが。
■イヴ >
「そうなの!?」
がーん!とショックを受けたらしい子狐。
そんな…まさか…かわいい、えっち、は常套句だったというのに…。
ママもよくそうやって褒めてくれていたから普通なのだと思っていた。
きっとそゆことも勉強しなきゃってことでママはボクを常世に送ってくれたに違いない
「…もっと色々教えてもらわなきゃ!」
むん。と決意を新たにする子狐。
こう、倫理観の違いとか、常識の違いとか。
と、決意に満ちた眉をしていたのだけど。
「…えへへー、可愛い…?」
てれてれもじもじ。
軽い反撃に頬を染めてもじもじしていた。
男の子っぽいくせに少女じみた仕草をしたりもする妙な生物である。
■風花 優希 >
「そうだよ」
当たり前のように言っているあたり、家族間では普通に誉め言葉だったのだろうか…。
どんな家族だ、と本当に気になってしょうがないし、聞くのも怖くなってきた。
「うん、いろいろ勉強しようね…ほんとに」
そうした常識を学ぶために今、この島に来て居るとしたら親としては真っ当だとは信じたい。
まあ、少なくとも独り立ちをしてもらうための予行練習くらいの意味合いはある筈だ。
そうでないと困る。いや、困ったところで何も起こりはしないのだが。
「あぁううん、かわいいのは本当、下見てなかったら男だとは思わないしな」
…そして、意外と照れたことには驚いた。
その反応が実にまた、少女然としているのには言いたいこともあったが。
「まあ、ここにはかわいい子は、わりかし多いけどね」
■イヴ >
「そんなー」
へにょん、と狐耳が垂れる。
でもそうなのだとしたら、しっかり学んでいかないといけない。
普段使ってはいけない言葉…というコトは、人を傷つけることもあるということ。
マアの教えは『女の子は鳴かせても泣かせるな』である。
一度女の子を我儘で泣かせてしまって、言い訳をした時はおしっこ漏らすぐらい怖く怒られた。
普段優しくてダダ甘のママのあの顔は今もトラウマ。
「可愛いって言われるのは嬉しいなーって思うよ?
でも将来的には筋肉もりもりマッチョマンの男らしい男の人になりたい」
むん、と細腕をぐっと折り曲げて見せる。
力こぶはまったくというほど盛り上がらない。
多分同じ年頃の女の子のほうがパワーある。
「可愛い子がいっぱいいるのは嬉しいな~♡
おっぱいもおっきかったらもっとステキ♪」
にこー、と見せる笑顔は悪気は一切見えない…。
ころころと表情が変わるし、言葉一つで一喜一憂。
疲れないのは、きっとお子様だから…。
■風花 優希 >
一先ず反省というか、実に哀しそうな顔をしていたので学びにはなったらしい。
子供だから今は赦されている言葉だが、もうちょっと成長すればそうも行かない類のものだ。
矯正…矯正?出来てるかは分からないが、注意してくれるに越したことはない。
「ま、これから気を付ければいいさ」
ちょっとだけ耳が垂れるほどのそれには悪い気もしたが、今後の為である。
これでも先輩なのだ、名実ともに。
「……でも、流石に今のそれからゴリマッチョな男子になるのは想像がつかないな」
不可能とは言わないあたりは気遣いなのか、可能性を信じているのか。
少なくとも今のままなら無理だろうなぁという認識には違いはないが。
「あぁ…そういうのが好きなんだねイヴは…。
……分からなくもないけどさ」
そうして、続く言葉の最後の方は、密やかに。
思わず零れた本音なのか、冗談なのか。
■イヴ >
「うん、気をつける!
…でも普段使っちゃいけないってことは、どういう時になら使ってイイの?」
素直にこくん、と頷き。
これまた素直に疑問を問いかける。
普段、の基準の作成に迷っているらしい。
「なれるなれる♪
ママもお姉ちゃん達もきっとなれるよって言ってるもん♪」
優しい、とても優しい世界で育ってきた子狐であった。
種族的にはまだまだ、それこそ人とは比べ物にならないほどの時間が先にある。
…もしかしたら、それに至る未来もあるのかも。
ほっそりした腕やぺらぺらの胸板から見ると、難しいと思ってしまうのは当然であるが。
「うん!わ、優希くんも好きなんだね!
じゃあ今度一緒にあそぼー♡」
冗談なのか本音なのかはともかく、本音と受け取るのがこの子狐。
あろうことか。
「ボクのママ、おっぱいでっかいし可愛いし、優希くんみたいな子が大好きなんだー♡」
爆弾発言まで残して。
■風花 優希 >
「……あー……ちゃんとこう、お互いに好き合ってる子とか?」
たぶん、きっとそうである。
ある意味で常識的な、曖昧な回答であった。
「そうだなぁ、未来だけは無限大だしね」
まだまだ彼も子供。これから鍛えて行けばそれこそ筋肉だって付くだろう。
信じるだけならばただだろうし、単に今は鍛えてないというのもあるだろう。
まあムキムキになっても彼はむさくるしくはならなさそうではあるが。
「遊ぶ???」
そんな他愛のなかった会話は、まさかの返答でその内容も吹き飛んだ。
遊ぶとは果たしてどういう意味なのか、全く分からないそれに思わず反復した。
「……そうなんだぁ~」
そうして続く言葉には、なんか色々と納得してしまったのだ。
やっぱり、家族関連は藪蛇だったのだと。
■イヴ >
なるほど!お互いのことが好きーってなってたら言っていいのだと。
子狐はシンプルにそう理解した!
そして未来の無限大を肯定してくれるおおらかなルームメイトにきらきらとした視線を送る。
へしょげていたのに言葉一つですぐさま元気だ。子供らしい。
「そう、遊ぼー♡
お互いが同意の上ならいいんだーってママも言ってた!
むしろカラダにもイイコトだってー♡
ね♡ ボクは優希くんのこと好きだし優希もボクのこと嫌いじゃないでしょ?」
にこにこにこにこ。
好き合ってるならそういう物言いをしてもいいらしい。太鼓判
ちゃぷんと肩までお湯を跳ねさせてわくわくしている子狐であったが…。
■風花 優希 >
とりあえず自分の説明は納得してもらえたらしい。
単純なのか、あるいは疑うという事を其処までしないだけなのか。
いや、信頼されているのだと、そう思う事にしておいた。
何よりも今はそう…
今はニッコニコの彼の言葉に同返したものかに頭を巡らせるのに必死だからだ。
「気のせいじゃないなら、遊ぶの意味が真っ当じゃないんだけども~…?」
一旦は、そう尋ねる。
怪しい言い回しなだけで、わりかし普通の遊びな可能性もある為だ。
…流れからしてちょっと期待できないので、気休めなのだが。
「嫌いではないけどもいや、そのぉ」
■イヴ >
疑わないし信頼もしている。
性善説を真直ぐ歩くま白いキャンパスのようですらある。
ただしその裏面はきっとピンクの絵の具が、母狐によってべったりと塗りたくられているのだけれど。
「え…?」
こてん、何度目かの首かしげ。
「でも人間さんもみんなやってるって聞いたよ?
どっちも嫌いじゃなくて気持ちよくって身体にもイイのに、何も悪いコトないでしょ?」
何が真っ当じゃないんだろう…。
誰も傷つかず満足できる遊び。好きな相手をより近く感じられてとっても温かい時間。
「……もしかして人間さんはえっちはきらい?」
まさかそんな。
およめさんの神姫だって、彼女はお狐さんではないけど嫌がるようなことはなかったし、むしろ好き好きーっていっぱいしてくれたのに。
■風花 優希 >
「誰しもがやってる事じゃないとオモウナー」
嘘ではない、嘘では。やってない人もいる、相手がいなくて。
生理現象でもあるので、広義ならみんなやってるというのも嘘ではないのだが。
だが、今そんな答えを純粋無垢な彼の前で返せばどうなるかは火を見るより明白…!
いい感じにやんわりと距離を置く方向に優希は舵を切った。
「うん、嫌いじゃないとは思うけどもね?
なんというかこう、普通は相手を選ぶものだからね?」
それはつまりは、ぐいぐいこれ以上来られると弱いという事でもあるのだが。
彼を悲しませず…明確な拒否もせずに言いくるめるなら今がだいぶ限界だった。
■イヴ >
「……なるほど」
耳ぴこん。
相手を選ぶのが普通、らしい。
でも子狐も相手を選んでいないわけじゃない。
苦手な人としよう!とは思わないし。
「でもボクもママもお互いに好意がないとしないよ…?
うーん、そこは同じじゃないのかな…むー、わかんない…」
むつかしー。と顔半分をお湯にしずめてぶくぶくぶく。
熱いのですぐにざぱ、と顔をあげてしまうあたり根性はない。
「わかんないから、これからも優希くんに色々教えてもらおー……」
そう話す子狐の頬は朱が差し、艶めかしい。
視線もなんだからとろんとなってしまっている。
「ね、いいよね…?」
ずい、と顔と顔を鼻がくっつきそうなくらいに近づけて──……
そのまま、優希の細い肩へ、だいぶ。
「ありぇ~……ふらふらすゆ……」
のぼせていた。
■風花 優希 >
「好きにも色々あるんだよ?」
などと、それらしいことを言ってみる。
実際に優希自身がそれど何処までしっかりと理解しているかは、怪しい部分もあるが。
少なくとも、常識的な範囲でそこまでする『好意の差異』がある事は伝えておいた。
「…まぁ、教えるのはいいんだけど…もぉ……」
だが、やはりまだ彼にはよくわからない部分らしい。
彼の親もだいぶこう、ピンク色な方向での好意が混ざっていそうなので尚更だろう。
恐らくは普通の人よりも、そういった部分が曖昧なのだ。
それはそれとして、それで迫られる側としては返答に悩んでしまうのだ。
「ちょっ、なんでくっつい……あ、あぁ~……危ないから、もう上がろうか?」
……今回は不幸中の幸いか、彼がのぼせたことで、そこで止まってくれたのだが。
一先ずは今は、彼をお風呂から上げて冷やすことにしよう…一応は、肩を貸して。
■イヴ >
『好きにも色々ある』
好きなものは好き、好意は相手を喜ばせるもの。
なぜなら自分が好意を向けられると、とても嬉しい気持ちになっていたし。
これまで漫勉なく子狐に向けられた好意は愛に満ちていたから。
そう思っていたから、子狐もそれはもう方々に好意を沸かせていた。
それらの違いなんて考えたこともなかったから。
……と、難しいことを考えるにはちょっと熱湯に浸かりすぎた。
元々華奢なもやしっ子。銭湯の熱量に長時間は、ノックアウトである。
「ふみゃあ~…ごめんねぇ…優希くぅん~~」
申し訳なさげな子狐の声が大浴場に小さくエコー。
肩を貸してもらえれば大変軽い彼のこと、そうそうは苦も無く更衣室まで運ばれて、
しばしの間扇風機の前で横になって目を回していることとなった。
なんとなく、前途多難。今後絶対何かトラブルがありそう。
そんな印象を抱かせるには十分な交流の機会だった…かもしれない。
■風花 優希 >
「気にしなくていいよ、案外とよわよわな事をボクも失念してたし」
そこまで丈夫な子ではないことを、今更ながらに思い出す。
ちょいと色々長話をし過ぎたかと、肩を抱えてお湯上り。
彼を扇風機の前まで連れて行き…密やかに冷ややかな冷気を(風邪を引かない程度に)魔術で送る。
あとは適当に飲み物なんかを取ってきて、彼に飲ませる事だろう。
……色々とあったが、ともあれルームメイトとの日常の一コマはこうして過ぎて行った。
キット恐らく、今後も似たような何かが起こるのだろうなと予感しながらも。
ご案内:「常世寮/男子寮 大浴場」からイヴさんが去りました。
ご案内:「常世寮/男子寮 大浴場」から風花 優希さんが去りました。
ご案内:「常世寮/男子寮 ロビー」に蒼月 まつりさんが現れました。
ご案内:「常世寮/男子寮 ロビー」に風花 優希さんが現れました。
■蒼月 まつり >
ロビーに設けられた談話スペースの一角、自販機の前で唸っている生徒の姿があった。
長い青髪を二つに結い、男子寮にありながら女子制服を身に纏う姿は異彩を放っているが、列記とした男子生徒である。
「あちゃ~、小銭 切らしちゃってたや。
こんな日に限って釣銭切れなんて……補充しといてくれよ、もぉ~!」
この自販機は飲料が紙コップに注がれて提供されるタイプの機種で、主に談話スペースの利用者が買っていくものだ。
値段も缶やペットボトルと比べて割安……なのだが。
細かいお釣りの出やすい性質上、こういった機種は頻繁に釣銭切れを起こす。
たまたま紙幣しか持ち合わせが無かったらしい彼は、こうして唇を尖らせて不平不満を垂れているというわけだ。
「しょうがない、ちょっと多いけど缶にするかぁ……」
無いものねだりをしても仕方がないと割り切って、隣の自販機に視線を向けた。
とはいえ、何事にもちょうどいい量というものがある。
炭酸って気分でもないしなぁ……と、気怠そうに缶ジュースのラインナップを眺めるばかりだ。
■風花 優希 >
図書委員の仕事を終わらせ、一息ついて。
後で部屋で軽く嗜む程度の飲み物とお菓子を買い物袋に詰め込んで。
清廉な雰囲気を持つ少年は、男子寮のロビーをそのまま進んで部屋に戻ろうとしていた。
「うん…?」
念の為に、寮の夕食の時間やメニューは何だったかな、と掲示板のところで足を止めて。
そこでふと、視界の端にこの男子寮には似つかわしくない『女子生徒』らしき姿が見えた。
「誰かの彼女とか友達かな…?」
談話スペースの自販機前で、なんだか困っていそうな少女?に、そうぽつり。
何となしにじぃっと、視線を向けて観察してしまっていた。
■蒼月 まつり >
「うぅ~ん……おりょ?」
しばらく唸っていると、不意に視線を感じて顔を上げた。
そして自分の方を見ている人物に気が付き、何か用事かな? と小さく首を傾げたのも束の間。
ぴこん! と頭の上で電球が灯る音が鳴った。
「あっ、ねぇねぇ! そこの君!
小銭持ってたり……ああいや、喉渇いてない?」
初対面の相手に小銭をせびるのも忍びない。
それより良い案を思い付いて、ちょいちょいと手招きをする。
■風花 優希 >
「あー、もしかして小銭が足りなかった感じかな?」
どうやら気が付かれてしまったらしい。
無意識にやってしまったな、と軽く反省しながらも軽く片手を上げて軽く挨拶。
とてとてと、彼女?の傍まで歩を進めて。
「ここのやつ、夕方ごろにはおつりが出てこなくなるからねぇ。
ボクはほら、これ買って来たばっかりだからさ、ジュースくらいなら奢るよ」
ひらひらと、買い物袋を揺らしながら、財布を取り出し自販機の前へと。
■蒼月 まつり >
「あはは、バレちゃったか~。
やっぱ使う人が多いと釣銭切れも早いんだねぇ」
気恥ずかしそうに頬をぽりぽりと掻いて苦笑い。
見られていたことに対してはあまり気にしていないようだ。
そこそこに目立っていた自覚はあったのかもしれない。
「お札はあるから、適当に缶の方で買って崩そうと思ったんだけど……いいの?」
我ながらナイスアイデアだと思ったのだが、一手遅かったようだ。
結局おごってもらう流れになり、申し訳なさそうに上目遣いで見つめる。
近くに寄ると、制服の襟元から見える首筋など、ところどころ男の子らしい身体つきをしているのが分かるだろう。
声の高さや立ち振る舞いは快活な少女のようでもあり、初見で判断するのは難しいところだ。
■風花 優希 >
「最近は暑くなってきたし尚更だね」
人気な飲み物も、いくらかは赤くなって売り切れ表示だ。
自販機の前に立ち、ああそう言えば聞いてなかったなと振り返る。
「いいよ、お金に困ったりもしてないし。
流石に困ってる女の子に奢らせるのもちょっとね…で、何がのみたい?」
そうして当たり前のように少年はそう返す。
相手の事を、完全に何かしらの理由でここに来た女子だと思ったまま。
或いは事前に解析魔術でもしておけば見抜けたかもしれないが、
流石にこんな日常の、ごくごく普通の男子寮のロビーでそんなことはしなかった。
■蒼月 まつり >
「ほんとにね。学校から寮まで歩いてくるだけでもう汗だくだく!
メイクも髪のセットも崩れちゃっても~サイアク!」
無防備に開いた襟元に指を引っかけて、ぱたぱたと空気を送る。
空調の効いたロビーでしばらく涼もうという算段だったのだ。
言うほど化粧が荒れているようには見えないが、拘る身としては厳しいのだろう。
「ありがと~助かる! んっとねぇ……って、ああ。
僕、こんな格好してるけど男子寮に住んでる男子だよ。
1年の蒼月 まつり。よろしくね!」
女の子だと思われていたことに気付いて小さく笑みを溢した。
それから、にぱっと無邪気な笑顔で名前を名乗る。
■風花 優希 >
なるほど、中々に身だしなみには気を使っているらしい。
だいぶオシャレに気を回してる女の子なのだな、と思っていたのだが…
「えっ」
さらりと、男子寮に住んでいるだとか、男子だとかが聞こえた気がした。
思わず反射的な声が漏れて、少し目を細めて見つめてしまう。
…確かに女子にしては、すこし角ばった部分も在りはするが…
「男子?え、ホントに?」
流石に少し疑ってしまった。
ルームメイトという前例があるが、彼方は割と素がそれっぽい感じであるが…
こちらは明確に、自分の意志で女性らしい容姿に整えているようだったためだ。
■蒼月 まつり >
「へへ、可愛いでしょ~!
そう見えるように毎日メイク頑張ってるからね!」
声は高めだが胸はぺったんこだし、喉仏も少し浮いている。
それと短いスカートの裾から覗く太腿とニーソックスのコントラストとが両立し、認識のバグを引き起こしていた。
「なんなら確かめてみる?
顔以外なら好きなとこ触ってくれてもいいよ!」
両腕を拡げてウェルカムの構え。
いくら性別カミングアウト済みとはいえ、少女のような見た目でそれをされると些か……アレな絵面である。
■風花 優希 >
「あー……うん、なるほど、そういうタイプかぁ」
まだ二次性徴前、なのだろうか。
或いはその影響が、あまり出てない体質なのか。
どちらにせよ、『よくよく見なければ分からない』程度には、一見して女の子。
だというのに自信満々に自身を男だというのだから、大したものだと。
「今、触って確かめると、どう見てもボクが不審者になるからやめとく」
ともあれ、両腕を広げる彼には苦笑しながら、一旦はそう言って断っておく。
ただ、解析の魔術だけは一応…念のために軽く使って確認しておくことにした。
「……まさかガッツリ女装してる子まで居るとは思わなかったけどね。
で、ええと飲み物、どれがいい?」
■蒼月 まつり >
「あははっ、恥ずかしがらなくてもいいのに~」
単に照れているのだと解釈したのか、おかしそうに笑って。
魔術を用いて解析してみれば、彼が純度100%の人間の男であると判るだろう。
異能は所持しているが、これといって肉体に影響を及ぼしている様子はない。
つまり、外的要因だとか、種族や出自に関わる特性などではなく、趣味で女装しているのだ。
「男に生まれちゃうとさ、可愛さって期間限定だろ?
だから楽しめる内に楽しまなくちゃな~って思ったんだ。
あっ、ココアのショートでよろしく」
ショート、つまり量の少なくて安い方を指差して。
■風花 優希 >
「いや、傍から見たら完全に女子に遠慮なく触れる男になっちゃうから、ボクが」
改めて軽く解析をかけて分かる結果からしても、やはり自主的に女装しているのだろう。
それも恐らくは趣味として、何らかの已むに已まれぬ事情があるといった様子もない。
まあとはいえ、そんな子も居るだろう、という範疇。
ちょっと変わった男の子、と考えるくらいでいいだろうと今は納得する。
「ん、ココアのショートね」
小銭を自販機に入れ、注文の品をぽちりと。
カコンと出てきた紙コップに、ココアが注がれ、淹れおわったそれを「どうぞ」と手渡す。
「しかしまた、独特な考え方だね。
確かに可愛いのは小さい頃の裡だけどさ…アレかい?可愛いのが好きなのかな?」
■蒼月 まつり >
「あ~……まぁ、知らない人が見たらそう見えなくもない、かも?」
とぼけたように首を傾げてみせる。
見え方にいくらか自覚があって、からかっているようだ。
「ありがと~!」
しばらくして差し出されたココア(当然アイスである)を嬉しそうに受け取って、紙コップを両手で持って一口。
口の周りにヒゲのような跡を残しながら、ぷは~と息を吐いた。
「うん、可愛いものはなんでも好きだよ。
カッコいいのが嫌いってワケじゃないけど……
どっちの方が好きかと聞かれたら、迷わず可愛いを選ぶね」
迷いなくそう断じてみせた。
なんの後ろめたさも感じていないからこそ堂々としていられるのだろう。
「君はどう? これだけは譲れない、ってものとかある?
……そういえば、恩人なのに名前も聞いてなかったや」
■風花 優希 >
「そもそも確かめようとして触る場所がほら、アレでしょ」
確実に判別するなら一か所しかない、それをやると確実にお縄である。
別の意味合いでも危ういので、流石にやらないのだった。
ともあれ、ココアを渡せば財布を仕舞い。
自身も少し喉が渇いたのもあって、買い物袋からペットボトルを取り出して蓋を開けた。
何故だか、炎天下の中でしばらく時間がたっているだろうに、それはキンキンに冷えていたが。
「ふーむ、なるほどな。
つまりは好きなものを好きなようにやってるってわけだ」
こくりと此方も飲み物(ミルクティー)を呷りつつ、彼の事をそう称する。
自身が可愛いと思うものを、自分のモノにする為に恐らく彼はやっているだけなのだろう。
そしてソレに自信もあると来て居る。
個人的には、変わり者ではあるが好ましいタイプの人種であった。
「いいね、そういうのは好きだよボク。
ボク個人に、譲れないものがあるかと言えばまあぁ、ちょっと答えるのは難しいが…って」
ああ、そう言えば名を名乗り返して無かったなと頭を軽く掻いて。
「風花 優希、ボクもこの男子寮が住まいだよ、よろしく」
そう言って片手を差し出した。
■蒼月 まつり >
「スカートの中に手を潜り込ませてる光景になるね~」
本人らにその気が無くとも危険な構図だ。
触らぬ神に祟りなし―――もとい、触らぬナニに祟りなし。
これを回避したのは英断と言わざるを得ない。
「そういうこと!
だから、別に女の子として見られたいわけじゃないんだ。
可愛いって言われるのはもちろん嬉しいけどね」
そこに特別な理由なんて無くて、ただ着たいものを着ているだけ。
誤解やトラブルを生むのは本意ではないので、性別を偽ったりもしないのだ。
ちょっと過剰なくらい氷の入った紙コップを小さく揺らしながら、そう言って小さく笑う。
「え~気になるじゃん。
まぁ無理に教えてとは言わないけどさぁ……って、ユキ?」
握手に応じようとして、聞こえた名前に目を丸くした。
■風花 優希 >
「うん、アウトなやつだよね」
これで相手が普通の男子の格好ならまだ、ちょっとした悪戯で済んだかもしれない。
それはそれで、なんというかアレな光景とも言えるのだが。
「あぁ、可愛く見られたくはあるけど、男だって自負はあると」
矛盾しているようで、一切の矛盾はない。
少しばかり可愛らしさを求める中で、女性的な姿になるだけなのだろう。
…どちらにせよ、勘違いは一度は招くしちょいとしたイベントは発生しそうだが。
「譲れないって言えるほどのモノじゃないというかなぁ、拘りはないし。
…っとうん?ああ、優希だけども…どうかした?」
目を丸くする彼の様子にキョトンとする。
聞き覚えでもあっただろうか、と想いはするが、自信はそこまで名が知れてるわけでもなし。
なにかしら妙なうわさが広がってたりするのだろうか…と考えはするのだが。
■蒼月 まつり >
「そゆこと~。
ま、僕自身は可愛ければ男でも女でもそれ以外でもイケるけど……」
ぼそっ。
「ああいや……聞いたことある名前だなって。
ひょっとして、マトって子と友達だったりしない?」
お互い呆けた面を晒したあと、人差し指を立てて友人の名を挙げる。
もし聞いた通りの人物なら、この名前に心当たりがあるはずだ。
■風花 優希 >
「うん???」
今、さらりと何か爆弾発言が聞こえた気がした。
先日のお風呂の時もそうだったが、なんだか範囲が広い子が、なんでこうここには多いのだろう。
聞こえなかったふりをしようにも、魔導書故に聞き漏らさなかった言葉に密かに思う。
「あぁ…マトなら友達…だけども。
もしかしてあの子から、ボクの事とか聞いてたりした?」
そして思わぬ名前が彼から出て、今度は此方が瞳を丸めた。
少しその名を呼ぶときに言い淀みつつも、知り合いだとそう返す。
■蒼月 まつり >
「やっぱり!
男子寮にいるのは知ってたけど、君が優希かぁ……!」
予想的中とばかりに、ぱぁっと表情が明るくなった。
まるで憧れていた有名人に対面したかのような喜びようである。
しれっと流された発言については、触れられなければ蒸し返しもしないが。
「マトは僕の友達でもあるからね。よく話してたよ。
なんでも、魔術の先生なんだって?
もっと大人っぽいかと勝手に思ってたけど、意外と……
あ、ちなみにマトにメイクを教えたのは僕なんだぜ」
楽しそうにコロコロと表情を変えながら、どこか含みのある笑みを浮かべて。
■風花 優希 >
やはりマトに色々と聞いていたらしい。
己の事を他者に話すとなれば、その相手も限られる。
なので、彼女が話したというのにはそれなりに納得する。
仮にも契約をした相手、そして友人だ。
自分の名前がその会話の中で、出て来てもあの子ならば何もおかしくはない。
「うん、先生というか、まだ基礎的なことを教えるくらいだけどね。
……そしてそうかぁ、メイクとかおしゃれとか仕込んだのがキミかぁ…納得だ」
それよりも、驚くとしたら彼女の口にしていた『ファッションを教えてくれた友達』が目の前の彼である事か。
正直な所、女友達と思っていたが、まさか男友達とは思いもよらなかった。
……まあ、彼を男友達としてよいかはさておいて。
「かなり垢ぬけてたからな、服とかも。
相談でもされたのかい?」
■蒼月 まつり >
「マトって何でも興味持ってくれるから、教え甲斐あるよね。
僕みたいな普通の人間でも魔術って使えるものなのかな?」
興味津々なのは まつり自身も同じなようで。
場所を自販機の前から手近なソファに移し、腰を据えて話し込む構えだ。
あなたが急ぎでなければ、並んで座るよう促すことだろう。
「ふふん、一段と可愛くなってただろ~?
頼み事を聞いてもらったお礼にコスメを教えてあげるって話になってさ。
そしたら見せたい相手がいるって言うから、張り切っちゃった!」
マトに伝授したメイクは素材の良さを活かしたナチュラル寄りのもの。
対するまつりは濃いめの化粧で男っぽさを感じさせにくいようにしている。
その人に適したメイクアップを施すことにかけて、男子寮では最も優れていると言っても過言ではない。
自慢げに語りながら、おもむろに肩ごと顔を寄せてきて―――
「…………で、どうだった? 海デート♡」
内緒話のような声のトーンで、そう問いかけた。
■風花 優希 >
「あの子は色々と無垢なとこあるからねぇ…。
って、キミも興味ありな感じかな? ある程度の素養があれば使えると思うけど」
少なからず魔力があれば扱える、と。
何処か興味ありげな彼にそう返す。
実際に確かめたい、と言われたならそれくらいは協力するのも野暮ではなかった。
「あー、どおりで…気合入ってたもんな。
海で転んで、化粧が落ちちゃったのもちょっと残念がってたし」
と、其処までなら知人の話題に寄る世間話だったのだが…
「ぶっ…!
いや、まあデートと言えばデートだったけどさ…っ」」
まさかのワードに思わず噴き出した。
「そんなに大したことは無かった…よ?」
■蒼月 まつり >
「ちょっと危なっかしいとこもあるけどね。
この前なんてスライムみたいなやつに血をあげたとか言ってたし……」
見てよコレ、なんて言いながら彼女から送られてきたメールの添付画像を表示してみせる。
何やら黒くてぷにっとした生き物……? の写真のようだ。
人によっては愛嬌のある姿をしていると言えるかもしれないが……
「え、マジ? 使ってみたいな~!
素養ってどうやったら分かるんだろ。測定とかある感じ?」
魔力なんてものに縁のない生活をしてきたため、いまいち想像がつかない。
ただ、もしここで改めて解析の魔術を使って視てみるのであれば―――
どういうわけか、先刻はあまり感じられなかった魔力をうっすらと感じ取ることができるだろう。
それは魔力に限った話ではなく、どうも全体的に能力が向上しているようだ。
原理は不明だが、この変化を自発的に高められるなら素養は十分と言えるかもしれない。
「あちゃ~……大変だったね。
それだけ気に入ってもらえたっていうのは嬉しくもあるけどさ」
一応メイクを教える時も水濡れに弱いことは説明したが、ハプニングはどうしようもない。
しかし、こうして言葉を交わした感じ化粧の有無で態度を変えるような人物とは思えないし……
掴みがバッチリなら作戦は成功したと言えるだろう。
「えぇ~? ホントかなぁ~?
マトってば、好きな子に喜んでもらいたいって張り切ってたしな~」
この"好き"は恋愛感情と決まったわけではないのだが、まるっきり脈ナシとも思えなかった。
優希の反応もなんだか満更ではなさそうだし、ひょっとしてひょっとするのだろうか?
軽いカマかけも兼ねて、茶化すようにじぃっと彼の顔を見る。