2024/06/30 のログ
風花 優希 >  
「ホントに何してるんだあの子」

スライムにホイホイ血をあげていいものではない。
見せられた写メを眺めつつ、思わずポツリ。
自身のメールにを確認すると、似たような内容のメールが此方にも来ていた。

意思疎通が出来るスライムなのか、あの子の特製ゆえにコミュニケーションが取れているのか…
どちらにせよ、今度会ったら聞こうと思った。

「使ってみたいなら今度教えるよ。
 測定とかもできるけど、まあ実際に使ってみる方が早いし」

極論、魔力さえあれば魔導書を通して魔術は使える。
普通の魔導書であればこうはいかないが、自身であれば、ある程度そういうことが出来る。
先ほどの解析からして、魔力はさほどではないが…無いではないだろう。

残念ながら今ここで再度解析、という事はしなかった為、異様な変化に気が付くことは現状ではなかった。

「あの子、随分と身体が軽いもんだから波にさらわれてね…。
 ……もしかしてだけど、そういうとこもキミが入れ知恵した?」

と、少し目を細めてじとり。
色恋やらそういう類を教えたのはキミなのか、と。

蒼月 まつり >  
「ホント!? やった~!
 じゃあ連絡先とか交換しとこうぜっ」

彼自身、魔力の高まりを自覚しているわけではなさそうだ。
何も知らない顔をしたまま、嬉々としてスマホの画面を電話アプリに切り替えている。
アイコンから背景まで可愛い系で統一されており、とても男子のものとは思えない……

「そういえば、初めて会った日にハグしたけど軽かったなぁ。
 コスメ買いに行った日も風に乗ってふわっと飛んできたし……」

当時を振り返りながら優希の言葉に頷いて。
後者はともかく前者はなかなか過激なスキンシップの気もするが、まつりにとっては友達感覚らしい。
続けて向けられた視線に小さく首を傾げた後、その意図を察して慌てた様子で頭を振った。

「いやいや、それは僕じゃないよ!
 恋って概念も知識としては知ってるみたいだったし、それに―――」

エロ本とか読んだことあるらしいから、とは流石に言えず、口を噤んだ。
それを怪しいと捉えるかどうかは君次第だ。

風花 優希 >  
「うん、いいよ。
 此処であったのも縁だろうしな」

何より共通の友人も居るのだから、断る理由も特にない。
スマホを取り出し、軽く連絡先を交換する。

尚、優希の方は実にシステマチックな、殆ど初期状態と一見変わらぬスマホであった。

「台風の日には外に出せないよな、あの子」

何故に軽いのかは知ってはいるので、風で飛んでたという言葉にも納得する。

そして優希の方も、ハグしていたという事にはそれほど気にをしていなかった。
この子ならそのくらいはするだろうというのと、ハグはまだ一般的なスキンシップだからだ。

「ふぅーん…?
 まあ、本は読んでるからそこらへんはキミじゃなくてもインストールされるか」

ひとまずは、そう納得したらしい。
まあ、事前にその手の本を読んでいた事を知っていたのもあるのだが。

「……ちなみに、キミにはそういう相手は?」

それはそれとして、追及された事へのお返しはしておいた。

蒼月 まつり >  
「ふへへ、今度マトに自慢しちゃお~っと♪
 いやほんと、突風で飛ばされてっちゃいそうで目が離せないよ」

マトならとっくに連絡先も交換済みだろうに、自慢も何もあるのだろうか。
そんな疑問は共通の友人を通じて繋がれた喜びの前では些細な事であった。

「あ、もしかして知ってる……?」

一度は元凶と疑ったこともあったが、それなら入れ知恵がどうとか言えた立場ではないはずだ。
つまり、マトにエロ本を読ませた諸悪の根源は別に存在する―――
そんな事実に気が付いて戦慄を覚えつつ、自分はどうなのかと聞かれれば頬を掻いて。

「僕は今んとこサッパリだな~。
 一応そこそこ変わった趣味持ってるって自覚はあるんだぜ?
 なんと言われようが僕は気にしないけど」

相手がそれを受け入れられないなら恋人なんて無理な話だ。
逆に言えば、そこさえクリアしてしまえば十分なわけだが……
残念ながら良縁にはまだ巡り逢えていないらしい。

「それに僕……ああいや、なんでもない」

溢しかけた言葉を呑み込むように、残ったココアをぐいと飲み干して。

「ふぃ~、ごちそうさま! ありがとね、優希。
 お返しに今度なんか奢るよ」

 

風花 優希 >  
「うん? まあ、あの子も図書委員だし、本も色々借りてるみたいだったしね」

当たり障りのない、普通の本の中からそういう本があったのだろう…と推測を立てる。
……ことで、しれっと叡智な本諸々の事では無い様に思わせる。

一応は、あの子の名誉のために。
半分ほどは追及されない為に。

「ふーん?
 まあ確かに、モテるってかんじともまた違いそうだもんなキミ」

真っ当な女子が彼を気に入るかと言えば…恐らくはNoだろう。
もしかしたら己よりも可愛らしい彼氏、を許容する相手となればやはり限られる。
そういう相手は居ないわけでは無いだろうが、まあ縁がホイホイ来ないだろう。

「それに…?
 …と、お粗末様、奢ってくれるなら是非とも」

蒼月 まつり >  
「あ、ああ! そうなんだ?
 へぇ~図書委員かぁ~知らなかったなぁ~!」

やや早とちりだったと気付き、冷や汗を垂らしながら視線を泳がせた。
この件についてはお互いに言及を避けたいせいか、自然と話題は流れていく。

「可愛いって言われるのは嬉しいけど、可愛くない男に惚れられてもねぇ。
 僕だって、付き合うなら可愛い子がいいしな~」

外見だけで言えば、女子人気よりも男子ウケの方が良くはある。
しかし女の子として見られたいわけでないのは先程も語った通りだ。
モテるモテないよりも自己満足を優先した代償とも言える。

「おかげさまで暑さも引いてきたし、そろそろ部屋に戻るとするよ。
 そのうちマトも誘って三人でどっか遊びに行きたいね。
 ……ああ、お邪魔だったら退散するから安心して!」

立ち上がり、空になった紙コップを自販機横のくず籠に放って。

風花 優希 >  
「本を読むなら丁度いい良いんだよって言ったらそのままね」

つまりは委員を紹介したのは優希であるらしい。
程よい感じで話はそのまま、叡智な本の話題は流されて行った。

「かわいければつまりは良いんだなぁ…。
 まあ、それだけバイタリティがあれば、何時か相手も見つかりそうだけど」

うちのルームメイトと相性よさそうだよなぁ、などと密かに。
先日ともに入浴したあの子と鉢合わせるのは、それはそれで大惨事の予感もしていたが。

「ああ、それもいいかもな。
 三人で遊ぶってのも悪くはないし…お邪魔ってことはないと思うけど」

微妙に言い淀んだが、そう返し。

「ん、それじゃあまたね、かな?」

蒼月 まつり >  
「ま、いい巡り合わせがあればその時ってことで。
 優希がマトのこと、どう思ってるかは分からないけど……
 これからは友達として、力になれる事があったら遠慮なく言ってね!」

これは別に色恋沙汰に限った話ではなく、単純に善意からくるものだ。
その意図が正しく伝わったかどうかはともかく、これからもよろしくね―――と微笑んで。

「うん、またね~っ!」

ぶんぶんと大きく手を振って、自室へと駆けていくのだった。

ご案内:「常世寮/男子寮 ロビー」から蒼月 まつりさんが去りました。
ご案内:「常世寮/男子寮 ロビー」から風花 優希さんが去りました。