2024/07/10 のログ
風花 優希 >  
「それこそ、隣の芝生は何とやらってことだよ」

己には無いものだからこそ、ロマンというものに魅せられる。
共感こそできないが、己は俯瞰して理解をする。

それは言うなれば、煌びやかな物語を覗き見るものの見方だ。

「誰しもが初めから、頂点ではない…ってやつだね。
 その中でその頂点へ一度は到ったなら、また次があるさ。
 ボクには応援くらいしかできないけどね」

だからこそ、素直に称賛するしエールを送れる。
己に程遠いからこそ、其処に事情や立場を持ち込まなくていいのだ。

「人の話を聞かない程に薄情ではないつもりだよ。
 単に受け身ってだけでもあるけど…まあ、それはさておいて」

「ああ、自ずから打ち込めるものがあるのは、素直に見ていて眩しいからね」

橘壱 >  
「そういう話が上手いのも、図書委員だからか?」

落とし所として巡り巡ってそう言われるとすとんと腑に落ちてきた。
偏見ではあるからこそからかうように言っては肩を竦めた。

「……、……眩しい、ね……。」

何も無い自分が、そんなに輝いて見えるものか。
初めて……いや、言われたことがある
それこそ輝かしき現役時代。世界チャンピオンとしての栄光を手にしていたあの時だ。
その道の誰もが羨望や畏怖、嫉妬の目で見ていたギラついた雰囲気。
ただ、そんな激しさとは違う、彼の物言いは穏やかだ。

今の自分でさえ、そう思わせるものがあるのだろうか。
実感はない。ただ、そんなギラついた世界の一番とはまた違う何かが見えかけた気がする。
タブレット端末を操作し、ホログラムを消せば椅子から立ち上がった。

「いや、応援してくれるルームメイトがいるだけで充分だ。
 ……夜遅くまで話し込んで悪かったな。少しは気が晴れたよ。」

気づけば表情も何処か穏やかになっていた。
結構長く話したせいで、随分と夜も更けてきた。

「そろそろ寝るか。あんまり遅くまで起きてると、イヴに布団占領されそうだし。
 ……今日は悪いな、風花。お陰で、少しは気が晴れた。……まぁ、だから、なんだ。」

根っこは陰キャでコミュ障のオタク。
気恥ずかしさに言葉をつまらせながら、目を逸らした。

「……今度、まぁ、その。奢ってやるから、飯でも食いに行かない、か?」

ルームメイトだからこそそういう誘いの初めてを使ってみたが、流石にまずかったか。
言った傍から内心ちょっと感情がぐるりと渦巻いた。
どうだ、とおずおずと様子を窺っている。

風花 優希 >  
「ははは、もしかしたらそうかもね」

別段、意識しているわけでもない。
ただ自然とそう返せたのは、重ねた知識ゆえであるのは違いない。
だから笑いながら、軽やかにそう返して。

「それならよかった。
 ……と、そうだな、あんま盛り上がると邪魔しちゃうしね」

部屋の壁に建てかけられた時計を一瞥。
次に先客が眠っているベッドを一瞥。

さすがに今から盛り上がるには、少々酷な時間帯。
電気も消してしまうべき頃合いだ。

「それじゃあボクも寝るとして……
 別に気にしなくてもいい事だけど、お誘いならば大歓迎だ」

橘壱 >  
「……あ、ああ。ならまぁ、とりあえず予定が空いたら……。」

内心ちょっとぐっとガッツポーズ。案外簡単じゃないか。
だがちょっとどもったのは反省点かもしれない。もうちょっとスマートに誘うべきだった。

「それじゃあ、おやすみだな。
 ……言っておくが、お前まで布団に入ってくるなよ?」

なんて、冗談一つ言えば一足先に布団に入……ろうとして、一旦ルームメイトをどける事になったのは言うまでもない。
今日もまた、四人で一緒に夢の中。見る夢は違えども、少なくとも今日の寝顔は穏やかなものにはなっただろう。

風花 優希 >  
「おっけー、適当に予定空いたら連絡入れといてよ」

こっちはわりかし時間に余裕があるしね、などと軽く返して。
スマホをひらひらと振りながらの二つ返事。

「わはは、流石にないない。
 常識は知ってる方だしね……おやすみ」

眠りの挨拶には笑いながらそう返して、軽く手を上げ自らの寝床へと。

何時もとほんの少しだけ違った夜は、いつもと変わらず最後には更けていくのだった。

ご案内:「常世寮/男子寮 部屋」から風花 優希さんが去りました。
ご案内:「常世寮/男子寮 部屋」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「常世寮/男子寮 部屋」にイヴさんが現れました。
イヴ >  
むくり。
もぞもぞ。

ふと、目が覚めてしまった子狐。
部屋の中はシーリングライトが薄暗く照らしているだけ。

「んぅー…」

ごしごし、と目をこすりながら、ぽてぽて足音と余り立てずに…Go to といれ。

トイレの水を流す音までも大きく聞こえる、深夜。
うっかり目が覚めてしまった子狐はまあまだねぼけまなこです。

冷蔵庫を開けて、冷えた麦茶をコップに注いで、ぐいっと一杯。

イヴ >  
そして、再び。
もぞりもぞりと、二段ベッドの布団の上へと戻ってゆく。

小さな身体をくるんと丸めて、割とすぎに寝息が聞こえてくる…。
ただし、それは自分が寝ていたお布団ではなく…。

甘えるように寄り添って、今宵潜り込んだのは誰のお布団だったのか。

ご案内:「常世寮/男子寮 部屋」からイヴさんが去りました。