2024/08/16 のログ
竜胆 襲 >  
きらきら。
陽光の中で煌めいて見える笑顔は思春期の男子にはよく刺さる。
それを意図せず計算なくやっている女子は昨今では希少kまおしれない。

「これだけ人がいると、ボートなんかは危ないのかもですね。
 ふふ、それじゃあ行きましょう。冷たくてとっても気持ちよさそうです」

パラソルの下に風に飛ばされないように麦わら帽子を置いて、下半身を隠していたフレアスカートを払い落とす。
白いビキニはスタイルがよくないと着けられないという都市伝説がある。
それを全く意に介さない、年齢不相応なプロポーションのビキニ姿は中々刺激的である。

本人はそれを意識してもいないのだろう、彼に続いて波打ち際へ。

「ひゃ……あ、結構冷たいですね…きもちいい……」

照りつける太陽と裏腹に海の水は冷たく心地よい。

「砂浜にはあまりいないんじゃないでしょうか…。
 でもイルカが海水浴場に侵入した…なんてニュースも見た気がしますね…」

口元に指をあてて、そういえば…とそんなことを思いだしていた。

「もしイルカさんがいたらぜひ一緒に写真を撮りたいです!」

とんでもないことを言いだす女。

水仙 倫太郎 >  
「…………。」

白いビキニにもっちり素肌。
何より女子高生とは思えないそのプロポーション。
マジで凄い(語彙力消失)正直これはだいぶやってますよ(何を)
そりゃもう思わずまじまじと見た。心のなかでガッツポーズしてる。
うちの彼女がデカすぎる件について、第一巻発売未定。

「へへ、いいだろ?海。年々暑くなってるっぽいし、余計にいい。
 ……えー?でもたまに流れてくるぜ?此の常世とかなら色々いそ……あ」

「ほら、いたぞ。……なんだコレ?なまこ???」

やはり暑い夏は涼しい海でリフレッシュ。
山もいいけど、最近はちょっと山に行くには洒落にならない暑さだ。
涼しげな海に浸かる彼女をみて親指立てれば足元に転がる何かを拾い上げる。
手のひらサイズの黒い何か。うねり滑るそれは正しくそう、なまこである。
確かに生物何だけどこういうのじゃないんだよなぁ……。
男心的には微妙な感じ。ちょっと口元がへの字になった。

「確かにそういうのはあったけど、そんなイルカが都合よくいるわけ……」

イルカ >  
「キューン」


\ザバーン!/

水仙 倫太郎 >  
「って、いたー!?!?!?」

海の向こう。海水浴場の深い沖側で飛び跳ねたそれ。
ねずみ色のフォルムにそれなりの体躯。間違いない、イルカだ。

竜胆 襲 >  
「み、見すぎです」

視線に気づいて、思わず腕で隠す所作。
それが余計になんというか圧縮させることになるのは、やってる当人は気づかない。

「──それはお魚さんではないのでは…って、え……」

甲高い鳴き声と、遠くでの水しぶき。

いたー!!
と叫ぶ彼。

「この島の海ですから色々いそうだとは思いましたけど…まさか本当に?」

きらきら。
黄金色の眼がきらきらしている。
イルカは可愛い。
可愛いし、毛がないので動物アレルギーにも安心だ。

学生の夏の思い出に『イルカといっしょに遊んだ』なんて加わったら、一生の思い出ではないか。

「あ…でも、危ないですよね。野生でしょうし…」

近づかないほうがいいですよね…と、リアル思考。

水仙 倫太郎 >  
「あ、お、おぉ……わ、わり……!」

指摘されるとすぐ目をそらすも、ちらりと二度見。
この辺はきっと彼氏特権。恋人の体なんだし見るくらいも……。
なんて邪な邪念は彼女の喜びにかき消された。

「音声認識かよ……いや、わかんねぇ。
 確かに野生動物は気性が荒いっつーけど……。」

可愛い見た目とは裏腹に結構どついたしてくる。
何から噛まれたりって人的被害をもあったりはする。
見た目が可愛くでも、どんな動物でも野生。
下手に手を出すと怪我をするのは変わりない。

「……でも、なんか寄ってくるぞ?」

なんか背びれと思わしき面影が近寄ってくる。
色的にさっきのイルカで間違いはなさそうだ。
だけど…なんだ?顎に指添えシンキングフェイス。

「……なんか……」

……デカくね???

実際イルカ >  
そう、実際デカい。此処は常世島。
生態系だって凄いことになってるぜ。
トコヨグンタイイルカと呼ばれるイルカだ。
群れで暮らす彼等の特徴は何と言ってもそのデカさ。
でけぇ、めっちゃでけぇ。全長7mクラスの小さいクジラレベルだ。
何よりも巨大な個体は30mクラスにもなるのだ。
その気性は実際穏やかでのんびりやさん。
でっけぇイルカのキュートな瞳が二人のカップルを見ている。

水仙 倫太郎 >  
「デッッッッッッカ!?!?」

想像以上にでかいわ、なんだこれ。クジラか?
そんな生態系なんて詳しくない少年は口あんぐりびっくり。
こんなでかいの目の前に来たらビビるわ。他の客もキャーキャー声をあげている。
けど、襲ってくる気配もないしなんだか優しい目をしている。

「……なんか、触っても良さそうな雰囲気出てるぜ。襲?」

竜胆 襲 >  
「……怪異じゃ?」

あまりに大きすぎるイルカ。
一瞬だけど目がマジ彼女。

でも無害そうな雰囲気と、この島生態系に納得せざるをえない。

「…これだけ大きいと突撃されただけでけが人がでそうですね」

これがトコヨグンタイイルカ…。

「さ、さすがに触る勇気は……」

しかしつぶらな瞳でこちらを見ているトコヨグンタイイルカ…。

…倫太郎くんもいるし多分平気、というのが襲を後押しした。

その大きな鼻先にそっと触れてみようと手を伸ばす……。

水仙 倫太郎 >  
「ま、待て待て!多分そういう生物だから大丈夫だって!!」

怪異ではない、そういう生物なだけ。どうどう。
デカすぎるだけだと思う。事実なんかもう背中に人乗ってるよ。
なんかそういうアトラクションみたいでキャッキャッされてる。
デカいイルカもなんか心地よさそうに目を細めている。

「結構人懐っこい奴みたいだし、いけるだろ。
 ほら、一緒に写真取ってやるから大丈夫だって。」

何よりいざって時は自分がいる。
彼女の背中を後押しして、カメラを構えた。
今の時代、完全防水のカメラまであるんだからありがたい。

イルカなのか? >  
ぺたっ。ひんやり。
妙な手触りでひんやりしている。
いいもしれぬひんやりねっとり感。
気持ち悪くはないし寧ろちょっと癖になる手触りだ。
少し生物を噛んでいれば、此のヌメヌメが表皮を守っている役割を果たしているのがわかる。
でかい割に意外と良く出来た生物だ。鼻先に触れられても微動だにしない。
寧ろなんかめっちゃたむろられても気にしない。もう一個のボートだよこれ。

竜胆 襲 >  
「わ……ひんやりしてます。
 すごいですね、全然暴れたりしない……」

わー…と感嘆の声をあげながら、イルカを撫でる襲。
…巨大イルカと戯れる女子…は絵になるのだろうか。
ともあれあまりにもおとなしいイルカ。シャッターチャンスはそこかしこに。

このまま名前をつけられてこの砂浜のアイドルになるんじゃなかろうかという勢いで人が寄る。
家族連れも、カップルも。
ずっと撫でているのも申し訳ないと思ったのか、ある程度触れてから、倫太郎のもとへと戻って来る。

「倫太郎くんは撫でなくてもいいんですか?」

もしかしたらめったにないチャンスかもしれないが。
既に子供達の格好の的になってしまっているグンタイイルカ。

なんとも平和な光景である。

水仙 倫太郎 >  
大きさの割に暴れる気配もない。
まるで童話みたいな存在だが、そういうのが現実にいる。
そして、それを当たり前と思えるような世代の歳だ。
驚きこそすれど、それ以上のことはない。
中々、どうして。絵になるなぁ、これ。

「そのままそのまま……。」

ぱしゃり、ぱしゃり。
隙あらばシャッターを切っていく。
思い出が一枚、また一枚と増えていくのが喜ばしい。
青春の一枚がこうして増えていく。
彼女との日常が形になっていくのが、自然と喜ばしい。
自然と口角もあがり、カメラをおろして彼女に微笑んでいた。

「あ、俺?そーだなぁ……お、じゃあ襲もこっち。ほら、隣でよ。」

彼女を釣れる形でグンタイイルカによれば二人で鼻先で触れる形。

「はい、ピース。」

ぱしゃり。自撮り式のツーショットだ。

竜胆 襲 >  
シャッターに収められた襲は、どれも満面の笑み。
動物好きな彼女だが、動物アレルギーであるためにこうやって増えあえる動物は貴重だ。
毛のない動物なら大丈夫だけれど、可愛い動物は大体モフモフしている。
その中でイルカは可愛い上につるつるしているのだから、まさに最適なのだった。

無邪気に笑う襲の写真がいくつも収められ、最後には二人でツーショット。
無理のない、肩肘張らない自然な笑みを浮かべた彼女と二人で、思い出の一枚が記念に収められる。

少しだけ名残惜しそうにイルカに手を振って、二人でその場から離れると。
すぐにも家族連れやカップルが入れ代わり立ち代わりとちょっといたイベントスポットになってしまった。

「ふぅ…少しはしゃぎすぎちゃいましたね。
 向こうの岩陰で少し休みませんか?倫太郎くん」

指差す先には少し大きく、波に削られた形の大きな岩。
えぐられた形の岩陰は確かに少し涼しそうにも見える。

水仙 倫太郎 >  
その場から離れる時もグンタイイルカは大層大人しくしていた。
ていうか、なんなら途中で寝てる。ぐっすりしている。
大きく天敵の少ない動物だからこその余裕なのかもしれない。

「(俺もあれくらいどっしり構えるべきか……?)」

自分で行っちゃ何だが彼女のことであっちらこっちら。
男ならやはりどっしり構えていた方がカッコいいのかもしれない。
何より彼女にとってもそういう落ち着き、安心感。
そういうのがあれば結構いい感じに惚れ直してくれるんじゃないか。
そんな事をあのデカさから学んだ……気もする。

そんなこんなで落ち着いてきた矢先、指されたのは岩陰。
いい感じに波にえぐられたらしい。自然の力は凄い。
丁度いい感じの影になってて確かに涼しそうに見える。

「そうだな。ちょっと休むか。」

がたい通り体力は結構有り余ってる方。
でも彼女に合わせるのが男の役割。
にっこり笑顔で頷けば一緒に岩陰へ。
先程の喧騒から外れたせいか静かで、さざ波の音がよく聞こえる。
吹き抜ける海風がやけに涼しく、気持ちを落ち着かせた。

「ふぅ、確かにこりゃいいな。襲、大丈夫か?
 あんまり疲れてるならそろそろ帰るけどよ……。」

隣り合わせ。硬い体を引っ付かせたままちらりと彼女を見やった。

竜胆 襲 >  
岩陰は思った通り、直射日光が差さないだけで随分涼しい。
打ち寄せる波や飛沫が熱を奪っているのもあるのだろう。冷房いらずだ。

そんな岩陰で二人、身を寄せて休む。
広いわけでもなく互いの肌が密着する距離感…。

「んーん…まだ帰るのは勿体ないです。
 せっかく倫太郎くんといっしょに海に来たんですから」

太陽の下、火照った身体が少しずつ冷えていく心地よい感覚。
友人の言われたとおりに日焼け対策はしてきたけど、少しくらいは焼けてしまうかもしれない。
そんなことを考えていると、ふと…。

「倫太郎くん、身体熱いですね?
 日焼け止めとか…ちゃんと塗ってきましたか?」

水仙 倫太郎 >  
「へへ、そうか。俺も同じ気持ちだ。」

せっかく二人できたんだから、時間は長いほうがいい。
まぁ、一日の大体は二人でいる気はするけどそれでも、だ。
特別な時間はどれだけ一緒にいたって許される。
寧ろ彼女からそう言ってくれるからこそ余計に嬉しい。
ちょっとこそばゆいけど、嬉しいものだ。

「日焼け止め?一応、まぁ……けどこれ焼けるかな?
 何かマジで日差しつえーから焼けたかも……。」

男倫太郎、結構オシャレに気を使う男。
スキンケアだって欠かしてないつもりだがこれはちょっと暑すぎる。
言われると確かに、と思いながら自身の腕を撫でた。
初めてあった時よりも随分と太くなった。
彼女を支えるため、守るための腕だ。
ぐ、と握りこぶしを作っては広げてはぽんぽん、と彼女の頭を撫でる。

「けど、そしたら焼けた俺もかっこよくね?
 日焼けしてる襲もちょっとみてたいけど……肌弱いっけ?」

ぷに。ちょっとイタズラついでにほっぺ突いてみた。

竜胆 襲 >  
「はい。ですからもう少しのんびりしましょう」

波を攫う海風は冷たく気持ちがいい。
長い時間をかけて海水に削られた岩肌はつるんとしていて滑らかで、何も敷かなくても座っていられる。
休憩には丁度いい場所…。

「ちゃんと塗ってるなら大丈夫だと思います、けど。
 今日の日差しだと凄く焼けちゃいそうです」

痛くならないといいですけど、と。
時分よりも遥かに広い背中や肩を肌越しに感じて、やや心配だったようだ。

「……そうですね、想像してみるとかっこいいかもしれません。
 でも、ヒリヒリして痛そうなのではそっちは心配ですね」

頭を撫でられ、くすくすと笑う。

「私は、肌は普通だと思います、けど…。
 ほら、焼けちゃうと日焼け跡なんかができちゃって…それは少しいやかな、と…」

世の中にはそれにときめく男子も大勢いるが、女子としてはあまりよく思わないようであった。

「あ、もう。急につつかないでください」

ほっぺをつつく指から逃げるように、四つん這いで移動。
端から見ているとなんだこいつらいちゃつきやがって、てなもんである。

しかし、そんな時にそれは起こった。

「?」

岩陰の反対側から何かが聞こえる。
女の人の声?のような?男の人の声も混じってる?
もしかして自分達以外にも誰かがいるのかな、と。
岩陰の、更に奥まった辺りをそっと覗き込む襲…。

「ッ!?!?!?」

バッ!!!
そんな勢いで覗き込んだ顔を戻す。

「…り、倫太郎くん。そ、そろそろ戻りましょうか…」

ぼそぼそと小声で、真っ赤な顔。
彼女は何を見たのだろうか。

海辺、岩陰、人の目につかない。
導き出される答えは───。

水仙 倫太郎 >  
そう、こうしてのんびりしてるだけでも幸せだ。
いっそ二人きりでずっと、なんて言ってもいられない。
だからこういう一時には、平和を二人で過ごすのが幸せだ。

「まぁ焼けたら焼けたでいいんじゃね?
 それこそ夏の風物詩みたいな、さ。」

ちょっと二人で日焼けするのもカップルっぽくていいかもしれない。
けど確かにちょっと痛むのは勘弁かも。まぁそれも一つのお楽しみか。
なんだかんだこうやって楽しんでくれている。
今日のデートも精巧と行ってもいいかもしれない。

「日焼け跡もまぁそれはそれで……えー、いいじゃねぇか。」

ちょっとエッチだなー、と思いつつニヤニヤ。
何イチャついてんだって感じだがカップルの特権だ。
やいのやいのとその後をゆーっくり追っていったその時
物凄い勢いで彼女が反転してきた。勢いにちょっとビックリ。

「お、おう。どうした?なんかあったか?」

明らかに普通ではない雰囲気だ。
声もちょっとか細いし、明らかに尋常ではないものを見た。
先ずしたのは純粋な心配だった。
両肩に手を起き、じ、と顔を覗き込む。
別に何か悪いものを見た感じじゃなさそうだ。
強いて言えば体が熱い気もする。
日差しで答えた暑さじゃない。これはもっと別の……。

スルーすることだって出来たかもしれないが、身体強化系異能。
それも、本人の意思関係なく上下するタイプ。
彼女を心配する気持ちが、聴力を強化してしまった
……岩陰の向こう側。聞こえてくる男女の声。
それ以外には何か水っぽく、艷やかで、そして───────……。

「……ッ!?」

目を見開き、一気に頬が赤くなった。
此処は暑い夏の海。あらゆる情の波打ち際。
彼女が何を見てきたのか、理解してしまった。
自然と両手に添えた片手に力が籠る。
ドクン、ドクン、と胸が高鳴る。
彼女を覗き込む視線が、熱っぽくなる。
……今、此の場では誰も見ていない。この体格差、彼女だって逃がしはしない。
そう、欲に溺れたっていい。そういう場所だ。

「……襲……。」

彼女名を、呼んだ。
顔を近づけ、その体を逃さないように岩肌に押し付けた。
夏の海、男女でやることなんて決まっている。
二人きりの夏に、一歩踏み込んで……。

一般通過グンタイイルカ >  
「キューン」


\ザバーン!!/

水仙 倫太郎 >  
「おわーっ!?!?」

あーっと、まさに水を差すとはこの事。
多分別の個体でしょう。たまたま通りかかったトコヨグンタイイルカの余波。
泳いだ波が思い切り倫太郎"だけ"にかぶさった!
もうぐっしょりな上に頭の上から海藻とかカニとかが乗っている。
チョキチョキ。なんかちっちゃいカニがもう頭の上で我が物顔だよ。

竜胆 襲 >  
「っ…!? り、りんたろ───」

岩肌に押しつけられる、身体。
逞しい両腕。私を、自分を守るために強くなった、彼の腕。
顔は、真っ赤になったまま。
"アテ"られてしまった、その気持ちがわからないわけじゃない。

だから、そっと眼を瞑って。
大丈夫、彼になら。
きっと自分の全てを預けたって、受け止めてもらえる。
心配なんて、なにもない…。

だから、眼を閉じて。
夏の衝動に身を任せたっていい筈。
若気の至り?夏の魔物…?
言い訳なんていくらdめお用意が出来る──。

でも、聞こえてきたのはイルカの鳴き声と、波を被った倫太郎の悲鳴。

「───」

さしもの襲も黄金色の眼をまん丸にして、彼を見ていた。

「───ぷっ」

流石に、といったところか、吹き出してしまう。

「あは、あははっ。…もう、しまらないですね、倫太郎くん」

珍しく、声を出して笑ってしまうのだった。

水仙 倫太郎 >  
目をぱちくりしてぶるると首を振った。
さながら犬。ずぶ濡れの塩水を振り払いはぁー、と溜息。
文字通り頭も冷えた。カニも海にぼっとんだ。
コレで良かったのかなんだったのか、わからない。
けれどしまらない、カッコ悪いのは確かだ。

「くっ……い、いや、これはまぁ……くぅ~~~……!!」

この得も知れない気持ち、なんと言おうか。
笑われるのはいい。だが、この、もったいない感。
頭抑えて首を振りながらげんなりだ。
だけど、彼女が笑ってくれたならそれでいい。
だから、その笑顔に免じてはにかんだ笑みを浮かべて頷いた。

「まぁ、今回は水差されちまったな。……そろそろ帰るか。」

流れるままに行くもんじゃない。
男ならちゃんと自分の気持ちでいかないと。
多分、そういうことにしておこう。
彼女の手を取って、思い出を沢山胸に帰路に付くだろう。

竜胆 襲 >  
なんだろう。
今日は最初から最後まで、ずっと笑っていれた気がした。
少しびっくりすることもあったけど──。

お互いに、潮風で、あるいは海水で。
少ししょっぱくなっての帰路。

もともと、そんなに距離はないと思っていたけど、
お互いに成長して…気づけば出来ていた性別という距離感。
今後、それがより縮まるとするなら、それは、そういうことで…。

「うん、帰りましょう──。 ええと…」

「とっても、楽しかったですよ!」

取られた手をきゅっと、強く握り返して。
手を繋いで、心音が高鳴っていたのは、きっと色々あったから、だけじゃなくて。
お互いの距離感が、より近くなったことを、感じさせていた。

夏もいよいよ、折り返し。
この島に来て初めての夏は、初めての思い出に彩られていた──。

ご案内:「【期間限定】海水浴場」から竜胆 襲さんが去りました。
ご案内:「【期間限定】海水浴場」から水仙 倫太郎さんが去りました。