居住区に鎮座する神社。この常世島が学園都市になる遥か以前、神代の時代の創建であると伝える。
大国主神(日本書紀では大己貴神)との国造りの最中に常世国に去った少彦名神が降り立った場所とされる。
祭神は「常世坐少名御神(とこよにいますすくなみかみ)」、「田道間守命」である。海に面して建てられた流造(ながれづくり)の社殿である。
本殿後方には巨大な岩が安置されている。この岩こそが御神体であると伝えられる。
境内には小さな鎮守の森があり、境内はそれなりに広く、学生たちの憩いの場にもなっている。
毎月15日は月次祭が斎行される。また、正月や例祭の日には屋台なども出て賑わう。神職や巫女も学園側が募集している。
鳥居、手水舎、拝殿、本殿などが基本的な施設となる。
参加者(0):ROM(3)
Time:08:26:40 更新
ご案内:「常世神社」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「常世神社」から伊那美かんなさんが去りました。
■伊那美かんな > 耳元にささやかれた 何か に驚いたように目を見開き、
環奈の普段の生気の薄い肌に、さっと赤みが広がる。
返す言葉も、風に溶けてゆき。
■橘壱 > ……寒空の風が、ゆるりと二人の背中をすり抜けていくのだろう。
■橘壱 >
「……それまで、じゃなくてそこから、でしょ?」
まるでこっちのことを手玉に取るように言ってくる。
何が"全部"じゃない、だ。まるで"お見通し"みたいな顔じゃないか。
流石にちょっとむすっと頬を膨らませて抗議の視線。
それに、それをゴールにする予定だってない。
いつまでも、どこまでもずっと進む予定なんだ、こっちは。
それこそきっと、彼女と一緒に。
「あ、証……さ、流石に今何も持ってないし……」
しまったな、結構突発的だったからそう言われると弱い。
どうしよう、と考えていると彼女が思い切り飛びついてきた。
「わっ!?か、環菜ちゃん!?」
びっくりと目を丸くしつつもぎゅ、と抱きとめた。
この子の真っ直ぐな好意には、チャンプの自分もたじたじだ。
「……証は、今度"特別な日"にプレゼントするよ。
すっかり寒くなってきたし、帰ろうか。一緒に住む場所も考えないとね……」
ふぅ、と脱力するように苦笑を浮かべればあやすように後頭部を撫でた。
羽ばたく先の空を、二人で行くのも悪くはない。
今はそっと、身を寄せたまま───────……。
■伊那美かんな > 「わあ。」
予想しつつもあり、
予想外でもあった答えにちょっとだけ驚くような声が出る。
照れて、真っ赤で、なんだか葛藤する壱くんの様子に
つい顔がにんまりとにやけてしまうけれど。
安直にその胸に飛び込むのもちょっと難しいなーとかなりつつ。
満面の笑みを浮かべて、とてもうれしそうに。
「ありがとう。約束だね。
それまでは追いかけるよ。」
言わないけれど、その先もきっと保証された約束になるだろう。
ただすぐに、少し、影るように目線をそらして。
「でも・・・うん、ちょっとだけわがままなんだけれどね。
そーゆーのなら何か証が欲しいなって思っちゃうな。」
いわゆる 婚約 ということになるのだろうか。
指輪とは言わずとも何か欲しいなと思ってはしまう。
何か形に残るものを―――
「でもやっぱりちぃくん好きー!」
結局その胸に抱き着くように飛び込んだ。
■橘壱 >
「まぁ、そう、か。そうだね……」
本はといえば、返事を滞ってる自分にも問題はある。
他人と一緒に、ともに歩もうと考えたことがなかった。
そう考えさせたのは、他でもない彼女だ。
彼女のおかげで考えも少しずつ変わり、
いつしか背中を付いてくるだけの少女に振り返るようになってきた。
「えっと……」
そう迫ったのは自分なんだ。
それこそずっと、誤魔化すことなんて出来やしない。
正直に言うと、まだちょっと迷いがある。
視線をそらして、思案顔を隠すように口元を片手で覆う。
「あの、さ……」
上ずった声。
やばい、意識しただけで顔が熱い。
きっと今、耳元まで真っ赤になってる。
「……、……卒業、したらその……」
「……式、あげてもいい……」
つまり、そういうことなんだ。
■伊那美かんな > 「あ、ご飯食べたいね。
そうそうおみくじも… お見通しだぁ。」
言葉にしなかったことを見透かされて。
もしくはそんなにわかりやすく社務所のほうを見ていただろうか。
・・・そうかもしれない。
「うん、そうだよ。
びっくりした。うーん…。」
ごまかすような答えにしかならないようでもあり。
だからと言ってきちんと返せる答えでもない。
いろいろと根本的なところが整理されていないというのもあって。
「もちろん付いていくよ。環奈から心変わりすることもないと思う。
でもほら、ごまかすような言い方になっちゃうけれど――」
多分に誤魔化しも含むが。
「永遠を誓うのって結婚するときじゃないかな。」
■橘壱 >
とは言っても、そこまで離れた位置ではない。
売店の裏。休憩スペースも兼ねた場所に付けば足を止めた。
「おみくじは帰りにでも引いていこうか。
その後は一緒にご飯でも食べて、ね?」
少し不安にさせてしまったかな、とも思った。
だから振り返るといつものようにはにかんだ笑顔で、そっと頭を撫でる。
「僕の答えは、前も変わってないよ?
それに、約束したでしょ。確かに僕は止まる気はないけど、
環菜ちゃんを置いてったりはしないよ。それとも、環菜ちゃんは、
常世島追いかけてきてくれたのに、将来は追いかけてくれないのかな?」
敢えて今の今まで、直接的な答えは口に出さなかった。
ただそれでも、彼女の気持ちには答えるようになったし、
何かあれば彼女を追いかける約束だってした。
一緒に住もうと言ったのも、同情とかじゃない。
彼女と一緒にいたいと思ったからの、本心だ。
だからこそ、敢えて意地悪い言い方をした。
子どもあやすように頭を撫でながら、見下ろし碧の双眸は優しい色をしていた。
■伊那美かんな > あれ、と思う。
お祈りを終えて、あとはおみくじでも引いて帰るのかなと思っていた。
それがいまは、手を引かれてどこかへと連れていかれる。
声をかけて参拝道に戻ってもいいけれど…
手順にも順番にもこだわる、というわけでもないからおみくじのことを一旦は忘れる。
「あ、うん。」
こういうときの壱くんはきっと、何か真面目なことを言うときだ――
「少し風が冷たいから、気を付けてね。
長くなりそうなら、部屋でも―――」
■橘壱 >
鈴を鳴らし、環菜は本殿の前で祈る。
何を祈るかはわからない。透視なんて力はない。
ただ、その後姿を見ているだけでも十分だ。
「(……まぁ、誰かのために捨てるって言うなら……)」
事実、人の為なら矜持を曲げたって良い。
けれど、そうじゃないならこのスタンスはやめない。
環菜が戻ってくると同時に、不意にまた手を引いた。
「待ってないよ。……環菜ちゃん、ちょっと歩こうか」
ほんの少し、何か言いたげな顔をしていた。
有無を言わせず歩いていく先は、徐々に人ごみから外れて言ってる気もする。
■伊那美かんな > 「あ、調子戻った?
そうだよ。うん、がんばるね。」
付いていけるかはともかく。努力の返事をかえす。
願いはかなった、ちぃくんに会えた―――
じゃあ、この先は?
ちらりと掠めた思考をそっと押し込める。
体重をかるく、掛けるように加減しながら。
そんなことに思考を割いていたらあっというまに祈りの場に。
「意外と早かったねえ。
じゃあかんなが鈴を鳴らすね!」
壱くんが祈るかどうかにかかわらず、大きな鈴の縄を揺らして
からんからん
と音が響く。
作法にのっとり、二礼二拍手。きちんとお祈りはそれはそれとしてちゃんとして。
少しだけ環奈の時間に浸ってから、
「お待たせ。
またせちゃった?」
壱くんのほうを振り返った。
■橘壱 >
「それは言いすぎだよ。
けど、凄いのは事実だからね。
環菜ちゃんも、ちゃんと付いてきてよね」
様々な異能者や能力者がひしめく島でも、
非異能者である壱がそう言ってのけてしまう。
別に彼女の前だからってカッコつけたわけじゃない。
誰にも負けない自信があるから言ったんだ。
吹っ切れたかつての世界王者、幼い頃から変わらない自信と実力。
そう言い切る姿こそ、幼い記憶となんら変わりなかった。
「人誑しって……本心だよ、まったく」
結構散々言われてることだっていうのに、言ってくれる。
確かに誰にでも心配はするかもしれない。
けど、その中で一層"特別"なつもりなのに。
困ったような顔をして歩いていけば、気づけば本殿の前まで来ていた。
「記念に、ってワケじゃないけどね。
……つゆ知らず?とは、違うか。さて、神様の御前だよ」
そう言って本殿の向こうを見据える壱。
もちろん、初めから祈る気なんてない。
あの日から一度だって、神頼みの予定はない。
それはこれからもだ。道は常に、自らの手で勝ち取るものだ。
■伊那美かんな > 「うーん、なんでもはわからないかな。
だってかんなの十倍はちぃくんはすごいからね!」
かんなにとって壱くんは幼いころも今も何歩も前を進む存在だ。
実際にも会話だけならなんとかなっても、橘壱という人物のすべてを
わかるとはとてもいえない。
もちろん、そのなかにはそれを信じている、ということも含まれるけれど。
心配、の言葉に口元がにやけるように微笑んで。
「うん、もちろんうれしいよ。
それにそういう人たらしなところもちぃくんっぽい。」
たぶんほかの女の子にも同じ心配をしてるんだろうなあ、って
特にさ、の強調の部分から思ってしまいながら。
「ううん。
行事ごとをきっかけに一緒に過ごせるのっていいよね。
バレンタインやクリスマスとかも、その本質はあんまり気にされてないでしょ。」
それほど環奈自身も、初詣!とするつもりはもともと積極的には無くて
壱くんに誘われたから来た、という部分が大きかった。
「なんだっけ…言い訳… ツユ… なんかそういう言葉で。
とりあえず都合がいいから使っちゃおうくらいの。」
なんだったかな、と頭をひねりながら
いいよね、それくらいが普通だよ。と応えた。
■橘壱 >
「……そりゃ、まぁ、緊張くらいするよ」
その理由までは口にこそ出さなかった。
もしかしたら察せられるかもしれないけれど、
そこは一応"お互い様"ということだ。
「何でも僕のことはお見通しだったりする?
……心配位はするよ、その、幼馴染相手なら特にさ」
彼女といると、自分の考えの半分は知られているような気分だ。
十年の空白も意味もないほどに、自分のことを把握しているように思える。
その程度で不快に感じるとは、不気味には思わない。
それが"熱意"なら、なおのこと。
「うわっ……」
まぁ、それはそれとして男の子。
おっきな柔らかいものが引っ付けば顔も赤くなるし声も出る。
そのまま手は離さないように、ゆっくりと歩き始める。
ある程度日がたったとはいえ、境内にはちらほら参拝客が見える。
家族やカップル。そういった人々の姿も垣間見えた。
「そ、そっか。そうだよね、そういうものだし。
……僕は、付き添いの予定、だったかな?環菜ちゃんの。
僕は神様に祈ったりはしないから、こういう日を環菜ちゃんと過ごしたかった、ってのが理由」
「……ヘンな理由で呼び出しちゃったよね。ゴメン」
なんて、苦笑い。