2025/01/01 のログ
ご案内:「万妖邸 庭」に霞流 周さんが現れました。
霞流 周 > 新しい年を迎えたけれど、少女の日常やその意識に変化も改革も特に無く。
暇さえあれば、最近は例の汚染区域に出向いてひたすら汚染された動植物を斬っていた。
年末年始は、流石にゆっくりしたい気持ちも多少なりあったので…今は新たな住居であるここで寛いでいる。

「……ここの生活も…少しは…慣れてきた…かな…。」

自室には、ちょくちょく通りすがりなのか何なのか怪異が紛れ込んでくるが――斬って対処している。
意思疎通が出来るタイプは、取り敢えず斬るより対話を優先して部屋を去って貰っている。

今は、自室を出て日本庭園風の趣のある『万妖邸』の庭先に足を運んで来た所。
…確かに日本庭園風ではあるが、場所が場所だけにまるで妖怪屋敷のそれだ。

「…あっちの大池は…伝説上の魚とか…怪異が…潜んでると聞いた…けど…。」

ここからだと距離が多少あるので、そちらの方をぼんやり眺めるに留めて。
…遠くには、明らかに異様な雰囲気の漂う井戸や…祠の姿もあちこち見える。

(所々の祠みたいなのは…何か禍々しい気配がする…から…怪異か何か封じてるのかな…?)

怪異退治のスペシャリストでも、祭祀局の関係者でもないが…何となく、肌感覚で朧気に分かる。

霞流 周 > 新年の挨拶――とかも、そういえば全く縁が無かったので忘れていた。
某管理人さんとか、現時点で唯一の友人とか…後者はそもそも、連絡先を渡しただけだが。
あと一人、知り合った異世界の死神さんが居るが…彼女は無事に保護されて生活を送れているだろうか?

「…こういうの…今まで全然無かったから…慣れないかな…。」

ぽつり、と呟きながら庭に出た足先は、一先ず無駄に広いその敷地を適当に歩き回る。
その歩行は独特で、ゆっくり歩いているだけに見えて霧か霞のように掴み所が無い歩み。
大した速度ではない筈なのに、気が付けば遠目に見ていた大池の傍までやって来ていた。

「………。」

無言で池を覗き込んでみる――深さは分からない。そもそも透明度は高くない。
ここで釣りをしている人も見掛けた事があるが、大丈夫なのだろうか…?
…その人の身の安全…ではなく。怪異や伝説上の魚類と釣り上げた時のトラブルが、という意味合い。

「……まぁ…流石にいきなり…襲われる事は無い…と、思いたいけど…。」

呟いて、池を覗き込んでいた顔を戻した刹那。派手な水音と共に、”何か”が飛び出してきた。
ソレは、そのまま少女の頭を齧る…否、喰い千切らんと不意打ちを仕掛けたようだが。

「―――…あ。」

次の瞬間には、襲い掛かった何かの方が細切れになっていた。
何かしらの超常的な力ではなく、純粋に少女が無意識の条件反射で斬っただけ。
やってから我に返る。完全に己の意識の外での自動的な反撃。だからこそ機械的で寸止めや峰打ちは出来ない。

「…どうしよう…これ…怒られたり…しないかな…?」

管理人さんの誰かに後で一応報告だけしておこう。管理の人達に後ろめたい隠し事や誤魔化しはしたくない。
無数の肉片と化した、何かは…多分怪異か魚類かもしれないが…そのまま池にバラバラと落ちて沈んでいった。
…多分、他の怪異だか魚類の餌になるのだと思うけれど、正直分からない。

霞流 周 > この、無意識の反撃…自動的・機械的なソレこそが少女が正規学生に敢えてならない理由の一つ。
…自分では意識していないそれを直しようもなく、例えば学生の誰かと小競り合いになったとして。
…ちょっとした喧嘩や手合わせのレベルでも相手を無意識に斬殺しかねない。
二級学生の立場に甘んじていれば、周囲から距離を取られたり避けられる事で余計な危険性やトラブルが減る。

(…まぁ…そういう人にも…ちょっかいを出して来る人も…一部はいるけど…。)

そういう時は、たださっさと逃げてやり過ごす事にしている。学生生活くらいは平穏に過ごしたい。
…だからといって、少女の倫理観や死生観には殺人への忌避はあっても躊躇は無い。

(…ここで…余計なトラブルは…起こしたくない…けど…。)

管理人さん達や他の住人、あと基本無害な怪異さん達に迷惑を掛けるのは避けたい。
その程度の良識や感覚くらいは流石にあるつもりだ。大池から離れつつそう思う。

「…意識的な…取捨選択が出来れば…いいんだけど…。」

そもそも、無意識の自動反撃は防衛本能や今までの経験からおそらく来るものであろう、と。
少女自身は、特に身に付けたつもりもないので…自然とそうなってしまったのだろうな、と思う。

霞流 周 > かといって、この無意識の自動反撃にかなり助けられているのも事実だ。
今すぐにどうこう出来る課題でもないので、結論は今は先送りにするしかなく。

「……取り敢えず…部屋に…戻ろう…かな…。」

庭から邸内へと、また独特の歩き方で戻りながらふと万妖邸を見上げる。
…また、屋上の高さ変わってるなぁ…と、ここでは別に不思議ではない事らしいが、ぼんやり思いつつ。

無私透徹の少女は、霧のように霞のように不明瞭な足取りで庭を後にする。

ご案内:「万妖邸 庭」から霞流 周さんが去りました。