2025/06/16 のログ
ご案内:「常世島スパ洞天《桃源リゾート》 温泉エリア「蟠桃仙泉」」に東山 正治さんが現れました。
ご案内:「常世島スパ洞天《桃源リゾート》 温泉エリア「蟠桃仙泉」」に宇賀野 実さんが現れました。
■東山 正治 >
常世島スパ洞天《桃源リゾート》蟠桃仙泉エリア。
この複合施設の温泉施設の一つであり、有り体に言えばスパ銭とも言える場所だ。
各種エリアでも似たような決まりだが、今や性別どころか人種さえグローバルだ。
水着一枚隔てた裸の付き合いというのは公共の場において珍しくはない。
「……俺が言うのも何だけどさぁ、よく選んだなここ」
湯気の立ち上る大風呂エリアに踏み込む東山は皮肉めいて吐き捨てた。
旧友と訪れた同施設のプールでそれはもう"色々"あったからだ。
決していい思い出はない。苦い笑みを浮かべたまま、小さな旧友を横目で見やる。
「ま、別に友人の誘いを断る気はないから受けたけどな。
……一応男湯なんだよね、ここ。マジでそういうの着てくるの?」
■宇賀野 実 > 「っしゃあ!!!入るぞー!!」
気合を入れまくって大風呂エリアに踏み込んだが、
一緒に来てくれた人にいきなり突っ込まれた。
相手を見上げながら、にこにこと嬉しそうに相好を崩しながら答えた。
「いや、俺もパンイチでって言ったんですけど、
受付の人が『ちょっと風体的にそれはまずくて…』って聞かなくて。
成人男性ですけどっていったら、『それならなおさら見た目に配慮してください』って…。
あんまりゴネるのもなんだなーって思って。」
白いワンピース風水着である。鼠径部部分にフリル、そして全体にリボンをあしらった水着は、
明らかに女児用のそれであった。
「それより、せーじさん早くお風呂入って上がって飲みましょうよ!!」
ぴょこぴょこ飛び跳ねるとポニーテールが揺れる。
はたから見れば、引率者と甘えている女児のペアだ。
通りがかる他のお客さんも微笑ましげに様子を眺めていた。
たぶん、幼い女の子を連れてきたおじさんとかお父さんとか、
東山先生はそういったものとして見られているのだろう。
「いやー、しかしでっかいお風呂は久しぶりだなー。
俺一人だと最近ここ入れてくれないんですよね。」
保護者がいないとだめって言われる。 それは言わないでおいたけど、
とりあえず東山先生の横にぴったりついて、一緒に歩くことにした。
■東山 正治 >
「くっ…はは…風体ね?ならしょうがねえか」
思わず吹き出してしまった。
確かに見た目だけで言えば立派な女児。
施設側のことも配慮すれば寧ろ混浴に行くべきなのかもしれない。
とは言え、性別は(今は)立派な男の子。何も間違いはない。
「正治ね。そう慌てないの、まずはかけ湯な。体温めような」
そうあだ名で呼ばれるのをこうして訂正するやり取りも最早手慣れったものだ。
まるで、というより見たまんま子どものようにはしゃぐ実を制しつつ、桶でかけ湯を救い足元から。
今となっては"おじん臭い"とも言われそうだが、そういうものだ。
勿論隣の旧友にもしっかりとかけてあげる。見た目はまさに父の娘。
「……まぁ、年齢はともかく見た目だけなら保護者同伴って言われそうだしな」
どうせそんな理由だろうなぁ、と思いつつとりあえず手を引いていくことにする。
大きく、固く、無骨な男の手が柔らかな女児の手を暖かく包み込む。
とりあえずは大風呂だ。何にせよゆっくり浸かることにしよう。
丁度よい温く、長風呂出来そうな温度だ。ゆっくりと足から、沈んでいく。
「あ~……」
あ、おっさんの声だ!おっさんの声が漏れている。
■宇賀野 実 > 「ほら、入院してたら患者衣着るようなもんですからね。 こればっかりはね。」
うんうん、と相手の言葉に鷹揚に頷く。
どんどんと違和感が失われて、こういった服も着こなせるようになっていることに
ちょっとは危機感があるが、他に着られるものも合うものもないのだ。
「えっへっへー。 このかけ湯ってのがね、いいよね…ん”おお!」
名前を訂正されるとますますもって嬉しそうな表情になる。
このやりとりは、自分がどうなっても変わらない、彼と自分だけのものだ。
嬉しさのあまり、お湯を自分の体にかける手に勢いがつきすぎた。
ばしゃあと自分の身体にお湯をぶちまけて変な声が出た。
「いや~、やっぱり女児だけだとだめなんだなー。おじさんがいてくれないとね。」
嘯きながら、自分の小さな手でぎゅっと相手の手を握り返す。
相手の手は変わってなくて大きい。
こうして握ることなんて多分初めてだけれど、信頼感があった。
相手に合わせるようにしてそろそろと大きな浴槽に体を沈めていく。
「お”う”う”……」
唸り方はおっさんだけど、声は女児だった。
「せーじさんも同じ声出してる。 足を伸ばせるお風呂は気持ちがいいもんなー。」
一度入ってしまえば、これほどくつろげる場所もない。
すっかり脱力してご満悦の表情だった。
■東山 正治 >
「そんなひらひらふわふわの病院着あってたまるかよ」
確かに病状と言う意味ではその通りだ。
商魂戦略に加えて、見た目にも縛られる。
ある意味グローバルな時代にそぐわぬ縛られ方だ。
やや呆れ気味に肩を竦める。
「……、……俺が言えたことじゃないんだけどさ。
その姿でその、おっさんなんだけどおっさんらしい声を出すのはこう……」
あんまり良くはない。思わず顔をしかめるほどにこう、まずい。
絵面的にあんまりいい声ではない。というか視線が痛い。
まるで、こっちがなにかしたみたいじゃないか。こっちは何もしてないぞ。
おい、こっちを見るな。思わずそのへんの客に睨みかけてしまった。
「まぁ、何にせよ中身はともかく見た目で結構言われるのはやってられんわな」
見た目は女児、中身は同じおじさん。
難儀さ、窮屈さはいかんともしがたいものだ。
脱力する小さな体と自然にひっつきあう状態に。
柔らかな子どもの体と比べて固く、傷だらけの大人の雄の体。
「ウルセェな、俺はいいの。疲れてるから」
暴論である。
■宇賀野 実 > 「例え話ですうー! せーじさん意地悪するんだあー。」
言葉でじゃれ合っていても、なにしろ大浴場の魅力には抗いがたい。
すっかり気の抜けた様子でのんびりしながら、相手の言葉に顔を向けた。
「えっ、でも『きゃー!』とか『んんっ…!』みたいな声よりは良くないですか?
その……ね? 変な声上げてる子どもがおるなあ!で済む範囲っていうか。」
相手の言いたいことはわかるし、視線がちょろちょろ向いているのはわかる。
こちらをちょっと見てる人に笑顔で手を振ると慌てて顔を背けるあたり、丸わかりだ。
「そういうことなんですよ。 まあでもとりあえずの判断として、見た目は大事だから…。
その”とりあえず”の判断基準となる見た目がこうなのがよくないんだわなー。」
こまったなー、とのんびりした調子で続けながら、ちゃぷちゃぷとお湯を移動する。
自分のちっちゃいからだと相手の体がひっつく。 でかい大人の身体だ。
自分もこうだったはずなのになー。 ちょっとだけ嫉妬。
「俺だって疲れてるんですけどー。 声出ちゃうんですけどー。
せーじさんに比べたら俺おじさんじゃないけどそれなりにおじさんの自負があるんですけどー。」
暴論にダル絡み…半分ぐらい子どもめいた屁理屈だが、それはそれ。
お湯をすいすい移動するけれど決して離れることはせず、
時々東山先生の腕につかまって方向転換したりして遊び始める始末だった。
大浴場といえば、泳げるぐらい広いのが嬉しい。泳ぐわけじゃないけど、
こうやって熱いお湯の中を動くという感覚はほかでは得られないのだ。