2025/06/17 のログ
■東山 正治 >
「そんな可愛い顔してるとつい意地悪したくもなるんだがなぁ~」
そう言われたら乗るタイプ。そう、意地の悪い男なのだ。
くつくつと喉を鳴らして笑っては、それこそわざとらしく肩を竦めて見せた。
「……そういう問題じゃあ……まあいいけど。
それよりマシ、っていうのはわかるけど出るわけ?似合わないね」
女児っぽい悲鳴というか、雌っぽい声というべきか。
少なくとも東山はそれらを否定する。事実とは異なろうと、認めはしない。
それを認めること自体は、自らの根底の否定に他ならないからだ。
どことなく乾ききった表情、胡乱な視線がちゃぷちゃぷ泳ぐ実を追う。
「今じゃ小人とか妖精も珍しくないのにな。
変に体も若返っちまったのが余計に後を引いているというか、災難だな」
身体だけであれば、そういう種族はごまんといる。
だが、この先祖返りは人間基準でも若返り、幼くなっている。
精神はともかく、肉体の若さを大人が良しとしない訳だ。
難儀な問題とは思いながら、引っ付く実の頭をさり気なく撫でた。
犬を撫でる感覚と同じものだ。
「どーかな、若いから体力有り余ってるんじゃない?」
なんてちょっと皮肉っぽく返してやった。
実と比べて、固く鍛えられた体は前よりやや衰えを感じる。
但し、固く、生傷もある体は無理をし続けて軋んでいるのはよく分かる。
何よりも、今の女児の体よりも何よりも雄としてしっかりとしていた。
■宇賀野 実 > 「ええ~~? せーじさんってば姪っ子にそういうこと言うんだあ~?」
口に手を当てて声を上げる。
周りの人たちの空気が『なんだ姪とおじさんなのか…』というぬるいものになったのを感じてキラリと瞳を輝かせた。
これが知略というものである。
「すごいよ、さっきのよりももっとこう…なんか、出ますよ?
お”お”んお”んみたいな感じのが!!」
国営放送のマスコットキャラクターみたいなだいぶユニークな喘ぎ…鳴き声を披露する。
どうだ、といわんばかりのドヤ顔だった。
「そうなんですよねえ~。 変わるならちゃんとしてほしいなー。
あ”あー。 撫でられてるー。」
不意に相手の手が動いて、自分の頭の上に載せられる。
大きな手が頭を撫でてるのが心地よくて、そのまま体を寄せて、
終わるまで大人しくした。
「体力は…有り余ってますね! でも消耗も早いかも。
せーじさんは? バリバリ男って感じがしますけどどうですか!」
硬そうな胸板とか、傷のある雄々しい肉体とか、大きな手とか。
羨ましく…そして甘えたくなってしまう相手の体を確認しながら、
何度も頷いて見せた。 これが”おとこ”のボディ!!
■東山 正治 >
「姪じゃないです」
でもこの男はそんな知略を真っ向から否定する。真顔で。
そんなことよりも自らの戸籍に旧友が追加されるのが嫌らしい。
まぁでも、そう言う割には小動物も甘やかすようにしてる姿に説得力ないのだが…。
「出すな出すな出すな!おい、また変な目で見られんだろうが!!」
絶妙な濁声であるがそんな可愛い女児姿で言われると変な目で見られる。
そりゃもうさ、と手慣れた手つきで口を塞ぎましたとも。
大きな手が、小さな口元を覆い隠して軽くチャックだ。
周りの視線が妙に痛々しい…そんな目で俺を見るな。
「体力はあるけど消費が早いのも子どもっぽいなぁ。
……俺?まぁ、体力はあるけど無理してる方ではあるかな」
委員会と教師の二足草鞋。
どれだけ働いても働いても仕事は減らない。
自身をすり減らすのが目的だからそれ自体に問題に一切はない。
体を寄せてくる小さなもふもふのほっぺも軽く撫でた。愛玩動物扱いだ。
■宇賀野 実 > 「はーい。姪じゃないでーす。」
撫でてもらっている間は大人しくすることにした。気持ちいいし。
周りの視線が困惑色に染まるなか、すっかり東山先生に体を預けるのだった。
「んむーんおーんむぬんむむむ」
手を口で塞がれたのが楽しくてそのまま声を出す。
もちろんなにかいいたいわけじゃなくて、手の感覚と口の感覚が面白いから遊んでるだけだった。
周りの視線は完全に『仲良しさんだね…』みたいな生ぬるいものになっていた。
仲良しさんなので何も問題はないだろう。
口から手が離れたところで、相手の言葉に唸る。
「わーって動き倒して、力尽きてバタリみたいな感じ。
せーじさんは全然体力あるしー、ガタイいいしー。
人を撫でるのもうまいしー。 もっとしてー。」
頭の次はほっぺたを撫でてもらって目を細める。
もっといっぱい触ってほしいとばかりに、
自分からほっぺたを手にぐりぐり押し付けた。
東山先生に触れるチャンスなんて、飲み会の時に
同じ焼鳥に手を伸ばしてしまったときぐらいしかないし。
■東山 正治 >
温い暖かさの中でも、東山の思考は冷えていた。
ある種の職業病。頭空っぽにして馬鹿にはなれない。
どうせなら、こういうゆるゆるとした雰囲気になれたらな、と思わなくもない。
「いつもしてあげてるでしょうよ。
そういう実ちゃんは、随分と甘え上手になったなぁ」
おじさん同士のだる絡みはよくあったけど、それがこうなるらしい。
まだきっと子どもがじゃれているようなものだ、可愛いものだ。
それ以上のことなどもうきっと、訪れるはずもない。
寧ろ、起こしてはいけないものだ。考えるだけで憂鬱になる。
気づけば表情も少し険しい。本人が気づくわけもない。
「まぁ、別に俺だけに甘えてくれるのはいいんだけどね。
……で、そろそろ上がる?俺はもうちょっと浸かりたいんだけどね」
■宇賀野 実 > 「んぐあー。 俺は…甘え乗ずうに…なってる!!」
指摘に素直に応じるしかなかった。 撫でてもらった上に
甘えている現状、全く抗弁できないのであった。
「でも嬉しいなー。 ベタベタ触り合いたいってんじゃないけど、
せーじさんがこうやって触ってくれる距離にいるのは嬉しいかも。
わかります?」
自分がこの姿になる前だって、別に仲はよかったけれど、
ここまでのことはなかった。 そう考えたら、この姿だって…
すこしでも相手が満足な気持ちになってくれれば良かったのだけれど。
「せーじさん、顔!!! 姪を叱るおじさんの顔になってますよ!」
自分の眉間にシワを作って手で伸ばすジェスチャー。
多分この人はいろんなことを考えすぎてるのだ。
それぐらい自分だってわかる。
「えっ、そうなの? じゃあもっと甘えようかな~。
せーじさんがそう言ってくれたから甘えタイム続行しましょうよ。
俺もまだいる!」
相手の提案に元気よく答える。 とはいえ、小さな身体は暖まるのも早く…。
しばらくしたらのぼせてギブアップしてしまうのでありました。
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