2024/07/31 のログ
ご案内:「小さな祠」におこんさんが現れました。
おこん > 物故者を祀る場所からそこそこ離れた場所に、ちいさな祠がある。
参拝するものもいないその場所に、ぞろぞろと人影が近づいてきていた。

「…ウム。 用意をせい」
人影の中心にいたおこんが声を掛けると、周りにいた人間…
文様を描いた布で顔を隠している者たちがさっと祠に群がり、
手を動かし始める。 あるものは祠を磨き、あるものは酒を、あるものは神饌を用意する。
その様子をおこんはじっと眺めながら、祠の前に立つ。
祠を清めるのとは別の者たちが地面に何かの模様を描くのを眺めながら
おこんは目を閉じる。
ごりごりという地面を擦る音が止んだときには、
おこんを中心に巨大な魔法陣のようなものが描かれていた。

おこん > おこんについてきた連中は魔法陣から退き、おこんの後ろで深く頭を垂れる。
一切振り返ることなく、おこんは祠をまっすぐに見据えた。

ゆっくりと息を吸い込むと、のどが震える。

「既p患処愚臼被を偏れ冥n晒ぅ蛋討問zど負――」
奇妙な音である。現代日本の言語ではない。 そして古語でもない。
そしてあらゆる国の言語でもない…まさに”音”が響き渡る。

おこんが”音”を発するのと同時に、周囲の空気がぴんと張り詰める。
涼しさといってもいい清浄さが周囲に満ちていく。

「瀬gs昧詫逓q沈尚数建詳似粟激ふる――」
おこんのみが知る、今はもうない文化…。
言葉、国、音楽、食べ物、風習、そして命。
地球で、そして常世島を通じてつながる地球ではないどこかで失われたそれらに対しての、
哀悼を、そして安息を願う歌。

「―――… よし。」
数分、あるいは数十分。しばらくの時間がたった後、
おこんは言葉を発した。
すぐに、後ろに控えていた連中が動き出して、魔法陣を消す。

最後に無言で祠に頭を下げると、それらの連中を引き連れておこんは去っていくのであった。

ご案内:「小さな祠」からおこんさんが去りました。