2024/11/13 のログ
ご案内:「違法パブ「地獄の門」」に霞流 周さんが現れました。
■霞流 周 > 違法パブ【地獄の門】――落第街の情報が集まる場所の一つにして、二級学生が生活の為にここでアルバイトをする事も多い。
件の少女もそんな一人だが、その愛想の無さなど幾つかの理由も有り、店員ではなく『用心棒』として週に数回勤務をしている。
「………。」
パブの隅っこ…目立つようで意外と死角になり易い席の一つに腰を下ろしつつ。
酒を飲みながら馬鹿話や雑談に興じる人、”商売”の話をする人、静かに酒を嗜む人などを茫洋とした瞳で眺めていた。
…と、店のマスターの視線を感じれば、そちらへと視線を向けた。マスターが軽く顎をクイッと向けた先。
何やら揉め事なのか、殺気立ったガタイの良い男たち二人が勢いよく立ち上がっていた。
それを眺めれば、小さく吐息を漏らしてから右手に鞘に納めた刀を携えて、ゆらり…と、音も気配も無くそちらに歩み寄っていく。
■霞流 周 > 「…そこまでに…して下さい…他の方や…店にも迷惑…なので…。」
今にも掴み合いか武器を取り出しての応酬が始まりそうな、そんな一触即発の二人の間に。
スゥ…と、音もなく鞘に納めた刀を突き出して割り込むように視界を妨害しながら。
彼女らしい淡々とした、だが途切れ途切れの独特な喋り方で仲裁をする。
一瞬、鼻白む男達であったが、矛先がこちらに向いたようで何やら捲し立てて凄んでくる。
(……煩いなぁ…。)
一部何を言っているか聞き取れないし…相当に興奮しているのだろう。
ちらり、とマスターを見れば軽く頷かれたので、出来るだけ穏便に済ませる事にする。
「……私はただのアルバイトなので…文句は…責任者の方に…お願いしたいのですが…。」
と、さらりとマスターに矛先を向けてみようとするが…少女の外見で判断したのだろう。今度は下卑た笑みで何やら言ってくる。
…ここまで来るとただの雑音、ノイズの類にしか聞こえなくなってくる。
■霞流 周 > 少女は再び小さく吐息を零し、右手に提げた刀の柄にそっと左手を添えた。
男たちが「あん?やんのかコラ?」とばかりの態度を取るが、少女はその姿勢のまま動かない。
…数秒、そのままの姿勢で少女は佇んでいたが…やがて、徐に刀の柄から左手を離した。
もう”やる事はやった”とばかりに、ゆらり、と男たちに背を向けて先ほどの席へと戻っていく。
『おい、小娘テメェ!虚仮脅しか舐めやがって!!』
男の一人が、馬鹿にされたのかと憤慨して少女の背中に掴みかかろうとする…が。
突然、男たちの衣服だけがズタズタに斬り裂かれた。
それは本当にいきなりで何の前触れもなく…一瞬、静まり返る店内。
「……殺人はここでは御法度ですので…一先ずそれで…お引き取り下さい…。」
背を向けたまま、少女は呟くようにそう口にする。
当然、男たちは一瞬でいきなり全裸になった訳で…ご丁寧に下着までズタズタだ。
流石の男たちも、周囲の視線といきなりの辱めに恐慌したのか、何やら慌てて捨て台詞を吐いてパブを慌ただしく出ていく。
「……まぁ……何時もの事だけど…。」
外見で舐められるのは何度も経験している。そして、少女がした事は異能でも魔術でも何でもない。
ただ、一瞬で衣服を下着も含めてズタズタに斬り裂いただけだ…傷一つあの連中には負わせていない。
マスターに軽く振り向いて視線を向ければ、軽く頷かれたので小さく会釈をしてから先ほどの席に戻る。
■霞流 周 > ゆっくりと先ほどの席に戻り腰を下ろす。テーブルに置いていた、水の入ったコップを手に取り静かに一口。
…見ての通り、今の一連の流れもこのパブでは珍しくもない光景で…少女の何時もの仕事風景だ。
時々、「よっ!凄腕剣士の嬢ちゃん!」などと冷やかされるが…自分は【剣士】ではなく。
「…ただの【刀使い】…なんだけど…なぁ…。」
頑なに、己を【剣士】と認めない…この少女にしては珍しい頑固な部分。
刀を扱うだけで、剣の術理やその他に精通はしていないし関心も無い。
再び、店内を茫洋と見渡す…先ほどの一幕もここでは日常の一部、直ぐに銘々はまた勝手に酒や雑談を楽しんでいる。