2024/11/28 のログ
ご案内:「違法パブ「地獄の門」」に廿楽 紫音さんが現れました。
廿楽 紫音 > 「落第街でもいい酒が飲める場所があるなんてね」

違法パブ。
教職につくものがそんな場所にたむろするのは良い顔をされないだろうが、しかしここは無法の地。
誰かが漏らすなんてこともないだろうと高をくくりながら、入手レートも分らぬ酒を楽しむ青年が一人。

ここは落第街…裏と表の境界線にあるパブ。
知ってからたむろするまでは早かった。何せ立地がいい。
表の夜遊びに飽きた所で、ちょっとアングラでしかし暴力沙汰に巻き込まれにくい比較的安全な酒場は、青年にとっては最高の立地といっていいものだった。

ここでするのはもっぱらナンパと、情報収集。
安全が確保できているということは、安心してやってくる裏の住人も多いということだ。
何せ裏の住人は表立った店で酒を飲むことすらむつかしい連中も多いのだから。

「何か良い情報はないかっと…」

とはいえ今日は今のところ空振り。
酔いつぶれない程度に酒を飲み、ほんのり酔いの回った頭で端末をいじりながら、周りの話に聞き耳を立てる。

…大して面白い話もないなぁ。

「風紀委員の子らが誰それに痛めつけられてるとかは聞こえてくるけど」

なにやら、突然襲い掛かって逆恨みで風紀委員を過剰暴行する輩が最近出てきたとか。
小柄なのに随分力があるだとか、そんな話は聞こえてくるが…別に男は風紀委員に近しい訳でもない。
し、情や倫理観というのもそれほどあるわけでもない。治安維持に勤しんでいる若い子らには悪いが、こんなスラム紛いの街がある以上絶対安心なんて場所ではないし。

何より、少しスリルがあるほうが自分は楽しめるものだから。

「見かけたら近寄らないようにしましょーっと」

そうとだけ思いつつ、しかし落第街巡りはやめる気もないようで。

廿楽 紫音 > 落第街でのこの男の立ち回りは、別に特筆することもなかった。
ただ非日常を堪能できるこの地を散策しては、面白そうな事には野次馬し、面倒そうなことには首を突っ込まない。

そういう火遊び好きもこの地には少なくないようで、悪目立ちは今のところしていない。

まぁ、前に一度財布をスられたときは、多少手荒な真似もしたけれど。

「やーっぱリスクなしで楽しめるのはこのくらいか」

しかし、それも少し飽きが来ていた。
普段の生活にない彩を増やすには、少々リスクを気にしすぎか。

もとより落第街でなら法に触れる、というようなことはあまり気にする必要もない。
多少火傷する程度のリスクはとって然るべき、でもあるか。

そんなことを考えながら、煙草に火をつけ紫煙を吐いて。

「かわいい子ちゃんでもいたら気分もアガるんだけどな」


廿楽 紫音 > そんなことを呟いていれば。

『オイ』

どんっ、と背中を蹴られる感触。なんだなんだ

「あのぉ~どちら様で?」

なんて風に後ろを見てみれば、いつだか見たような気のする顔。

あぁ、なんだ。この間俺の財布盗ろうとした中にいたなぁ、こんな顔。

『どちらさま、だぁ…?
 忘れたとは言わせねぇぞ俺様の顔ァ!!

 テメェのせいでしばらく変なキノコが体中から生えて大変な思いさせられてんだこちとらァ!!!』

つまるところ

「……仕返しって奴?
 あはは、そんな、物騒なねぇ?

 そもそもあれは先に俺の財布盗もうとしたそっちg」

バキッ!

即座に右ストレートだよ、落第街の治安ってやっぱ最悪だわ。

廿楽 紫音 > 生憎として、青年には荒事を軽くしのげるような腕っぷしはなく。
その右ストレートも見事に顔面に直撃する。
ガシャンと音を立てて椅子から転げ落ちるが、生憎ここは落第街のパブ。
”不文律”があっても他生の暴力沙汰で動くようなものはいなかった。

「っ痛ぇ……
 だから、あれはそっちのs」

ドカッ!
今度は腹を蹴られる。さすがは落第街、暴力に躊躇がない。
そんな風に思いながらもしっかりと痛みが走り、うずくまっていれば襟を掴んで引き上げられる。

『おう、ここじゃよそ様に迷惑だよなァ…?
 外行こうぜ、兄ちゃんよ?』

廿楽 紫音 > あぁ、面倒くさい事になってきたぞ。
不文律はこの店の中だけのルールだから外でどうかしようってハラだ。

まぁ、流石に殺されはしないだろうけど。いくら落第街だって殺しとなると話がでかくなるし。

とはいえ軽くリンチくらいにはなりそうだ。それは勘弁願いたい。
ダルいなぁ……やっぱ治安の悪い所は来るもんじゃないかも。
なんて考えながら、しばらくはされるがままにして。

『なんだ情けねぇ、そんな強く小突いちゃいねぇだろォ…?
 よーしよし、悪かった悪かった。飲みなおそうぜ兄弟よ。ここじゃなく別の店でよ?

 それともオレと酒は飲めねぇなんて言わねぇよなぁ…?』

わかりやすく仲のいいフリをするもんだから、ちょっと本気で笑いそうになって「へへぁ」なんて情けない声が出かけた。

「断ったらどうせもっと殴るんじゃないすかぁ…?」

にっこりとした笑みだけを返された。
気が付きゃ近くにはもう数人取り巻きっぽい連中まであつまってきて。

あーあ、こりゃ避けらんないわ。

廿楽 紫音 > そこから先の話?詰まんない話だよ。
囲まれた俺は逃げる事もできずに路地裏に連れてかれて、リンチ。

された、一応。
結果的に俺の懐がまた少し暖かくなって。


何でだって?それは秘密だよ。
だってここはパブ「地獄の門」での話で、路地裏の話はまた別の話。
”ここでできないこと”が起きたってだけの話で。


それに関しちゃ、もしかしたらどっかで話題にでもなるかもしれないけど。

それは俺には関係ない話だ。

ご案内:「違法パブ「地獄の門」」から廿楽 紫音さんが去りました。