2024/12/06 のログ
雪景勇成 > 「――アンタが自覚してない、気付いてないだけで案外あるかもしれないぜ…”その時”になって気付くってのも有り得る。」

奪い奪われ、それは落第街でも日常的にある事だ。
だから、理解――と、いうのが正しいのかは分からない。
ただ、奪われ続けるだけで終わりたくないのなら。
奪われる前に奪うか、奪われても奪い返すか。もしくは奪われない確固たるモノを手に入れるか。

「…まぁ、愚痴なんて無いに越した事はねぇしな…。
…じゃあ、当面の目標はソレだな。新しく何かを手に入れる…ってやつで。」

人であれ物であれ、また別の何かであれ。新しく手に入れたいのなら動くしかない。
つまり、だ。

「…だったら、本当に飽き飽きするまでこの島をあちこち巡って…ついでに色んな奴と絡めるといいな。」

まぁ、人であれ物であれ相性とか好悪はあるので、良い出会いもあれば悪い出会いもあるとして。

「…色々見て試してみたらいい。窮屈さに飽き飽きするのはそれからでも遅くないだろうしな。」

オルニス >
「その時になって……かぁ。 やだなぁ、そういうの。」

喪ってから気が付く、とかそういう話なのだとしたら。
もしくは一線を超えられそうになった時とか……今考えても仕方のないことかもしれない。

「いろんな人。 結構見てるつもりなんだけど、時間はいくらあっても足りないね。
 知り合いも指で数えるくらいしかできてないし。
 こっちには来たばっかりだからある程度仕方ないかもしれないけど。」

いつかは、大切と思うような人や、物ができるのだろうか。
この世界に。

「………そういうイサナにはあるの? 手に入れたもの。」

雪景勇成 > 「…良くも悪くも、その時になんなきゃ気付かない、なんてのは珍しくもねぇしな…些細な事でも大事な事でも。
…とはいえ、それを”嫌だ”と思うのも大事なんじゃねーのかね…。」

流されたくない、自分で切り開きたい、手遅れになる前に失う前にどうにかしたい。
そういう気持ちだって自然なものだ。自分だって覚えはあるものだから。

「…個性的な連中ばかり、という意味では他の世界にも負けてねぇ…気はするな。
…何だ、あちこち飛び回ってそうだからもっと顔が広いモンだと思ってた。」

案外知り合いは己も含めて少ないらしい。まぁ、これから色んな出会いがまたあるだろうし。
そういうのは時の運であり、時間を重ねて増えていくものでもあり。

「…あー…偉そうなことを口にした割には、実は大してねぇんだよな…。
打算的な意味でなら、保身の為に風紀に入る代わりに正規学生になって表側を堂々と出歩けるようになった、くらいか。

――こっちに居た頃は、それこそ奪い奪われ、喪って失わせてばかりだったな。」

まぁ碌なもんでもねぇな、と先ほどとは違って苦みまじりの笑みを僅かに浮かべた。

「――あぁ、でも。」

前に或る人物に問い掛けられた事がある。それは願いにも似ていて、別に自分がそうなる必要も無い事なのだけど。

「――”誰か”を助けられる”誰か”に。後悔しない選択を。…そんな感じの事を言われて、ずーっと引っ掛かってる。」

手に入れたものとは言えないが、ずっとモヤモヤとして片隅にあり続けるものだ。

オルニス >
「顔を出すようになって一か月で友達百人できたら苦労しないって。」

ふは、と可笑しそうにすこしだけ噴き出した。
飛んで廻ろうが顔が良かろうが、むしろそういうハードルが高いほど人は遠巻きになりがちで。
故にちゃんとした知り合いとなるような人は数えるくらいしかいなくなる。
それこそこちらから飛び込まなければ。
手に入れようとしなければ手に入らない、それはどこの世界でもどんなものでも大して違いはないのだろう。

「ふぅん……けっこう悪だったんだね? イサナ。
 意外……でもないけど。」

まぁ、ワルだった、というよりは必要だったのだろうと理解はできる。
少なくともそういう世界に生きていた時の自分はそうであったから。

「んー……? 引っかかってる? いい言葉だとは思うけど。 なんで? 」

雪景勇成 > 「…アンタ、社交性高そうだけどガードも固そうだしな…。」

真顔で率直な意見をぶっちゃけつつ。まぁ、それはそれ。
飛ぼうが顔が良かろうが周囲が遠巻きにしようが。
知り合った以上、今回みたいに声は掛けるし話もする。
場合によっては何時かみたいな共闘する場面だってあるかもしれない。
――飛び込む事に怯えていては、何も掴めないし何も変わらないし、何も――…

「…まぁ、多少小綺麗になったくらいで見た目はそんな変わっちゃいねぇしな実際。」

イケメン、というよりどちらかといえば強面…顔立ちは悪くないが…。
まぁ昔ワルでした、と言ったら納得されそうな雰囲気の顔はしてる…実際色々やってきたが。

「あー…疑問とかじゃなくてな。単純に何かずっと頭の片隅に残ってんだよ。
多分、俺自身意識してない部分で印象に残った言葉とかそんな感じなのかもしれねぇな…。」

オルニスもそういうのあるか?と、横目で見つつ問い掛けてみる。
誰かに言われた言葉、または自分に向けたものでは無くても、誰かが発した印象に残っている言葉みたいな。

オルニス > 「どうだろうね? 自分ではあんまり意識してないかも。
 ゆるゆる~ふわふわ~なのはひていしないけど。
 がちがち~ってのはちょっとちがうし。
 ひらりひらり……みたいな?」

つまるところ、つかみどころがなくてつかまりにくいといいたいのかも。

「ふぅん……いわゆる感動した、ってことなのかな。
 いいんじゃない? 残ってる言葉があるなら。
 すくなくとも自分にとって意味のない事ならとっくに忘れてたんだろうしさ。」

イサナは自分のことに関しても不器用なんだな、とおもった。
感じ取ることが苦手なのか、それとも鈍くなっているのか。
どっちにしても彼が風紀委員になったことは彼にとってプラスに働いたのは間違いなさそうだ。
それこそ、鳥かごから出られたように見える。

「わたしには、そういうのはないかな。
 こっちに来てからもそうだし、向こうにいた時もそう。
 印象に残ることなんて、対してなかったかな。」

へへ、とちょっとだけ笑う。
こっちのことは良いのだ、とくるりと回って、少し離れてキミを見る。

「ま、キミの言う通り、そういうのを含めてもう少し探してみるよ。」

雪景勇成 > あぁ…と、何となく腑に落ちたといったように頷いた。
仏頂面な分、言葉の感じと仕草が表情の代わりに出ている。

「――掴み所が無い、そう簡単に掴ませない…みたいな感じか…何か納得した。」

そういう雰囲気、というか空気は少なからず感じていたから…成程、確かに掴もうとしてもするっと擦り抜けるような。

「――感動…じゃあねぇな…上手く言葉に落とし込めんけど、そういうのとは違う。
…まぁ、何かしら俺の中で意味の或るものだから印象に残ってんのはあるかもな…。」

青年はまぁ不器用だ。それに、色々と鈍くなっているのも間違ってはいない。
それは、プラスでもあるがマイナスでもある。鳥篭から出られたとして――その外は巨大な檻だったら?
…ふと、そんな事を考える。世界そのものが檻とか笑えない冗談だ。

「――そうかい。…じゃあ、これから出来るかもしれねぇな。」

今までそういうのが無かったから、これからも無い…なんて事は無い。
良くも悪くもヒトは、感情あるモノは変化とは無縁では中々居られないから。

くるり、と身軽に身を回して少し離れたオルニスを見遣り息を零す。
この自由気儘な掴み所の無い誰かさんに、印象に残る言葉や記憶を叩き込むのは誰になるやら。

「…あぁ。あと、『借り』は忘れてねぇからな…何かあったらいつでも言えよ。」

なんて。まぁ出来る事出来ない事はハッキリあるが。借りはきちんと返す意思があるのは律義なのだろう。

オルニス > 「なにか悩むようなことがあれば、ね。」

早々ないと思うよ、なんてまたクスリと笑う。
日和見というわけでも、ことなかれというわけでもない。
深い、深い諦観にも似た何かが、いつだって自分の前に立ちふさがっている。
それをすり抜けるような人は、現れる兆しは今のところないのだから。

「じゃ、わたしはそろそろ行くよ。
 夜も更けて来たし、そろそろ寮に帰らないとね。」

早く帰らないと叱られる……なんて心にもないことを告げながら、ぺろりと舌を出して。
また自由気ままにふらふらと、表通りを戻ってゆく。
素直に部屋に帰るのかは微妙なところだが。

「いつか返してくれたらいいよ、いつかね。」

返さなくていい、なんてことは言わない。
返したいなら勝手に返せばいい。
それを強要することもないけれど。
借りは借りであって、呪いではないのだから。
ふんふん、と鼻唄を唄いながらまた闇夜に蒼は消えてゆくのでしょう。

雪景勇成 > 「――早々ないって事は僅かでも可能性はあるっつぅ裏返しでもあるけどな…。」

まぁ、この知人の”それ”を擦り抜ける、あるいは超えてくる奴は実際そう簡単には出るまいが。
小さく吐息を漏らす――今日は我ながら溜息が多い日だ。

「…何か寮で大人しくしてるイメージがあまり無いんだけどなアンタ…まぁ、お疲れさん…。」

青年は、もう少し寛いでいくつもりなのか、呑気に煙草の箱を取り出しつつ。
未成年だし風紀なのだが、そんなの知らん、とばかりに堂々と口の端に1本咥えてライターで点火。

「――あぁ、じゃあ勝手に何かの機会に返すとする…じゃあな、オルニス。」

自由を求める渡り鳥は、さて素直に寮に帰るのかどうか。
小さく、気だるげに左手を挙げてその姿を見送りつつ。

男はと言えば、煙草を燻らしながら目を閉じて何か考えている様子ではあったが。

「…んじゃ、ぼちぼち河岸を変えるか…。」

そろそろ、風紀の巡回がこの通りを通る時間だ。見つかると面倒なので、男も壁から背を離して雑踏に紛れる。

ご案内:「落第街大通り」からオルニスさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」から雪景勇成さんが去りました。