2024/07/27 のログ
> 「うぉぉぉ!?」

何かいきなり降り立った青い影に露骨に驚いたように飛び退いて…あ、スマン死体(の破片)蹴飛ばしたかも、許せ。

(え、どっから降りてきたのこのお方!?出入口一つしかねーんだけど?)

明らかに空中から降り立った感じだったが…転移魔法かそういう能力だろうか?
まぁ、それはいい…今はこの青い髪の不審人物…人の事は言えない状況だが…について気になる事がある。

「…いやいや、つーかそのハチマキは何?掃除中?」

え、死体掃除とかそういう仕事?ボランティアの人?そういう話は依頼人から聞いてないんだが!?
ともあれ、敵意や殺気は感じない…いや、そういうのを隠すのが上手いだけという可能性。

何か妖しいというか、ぶっちゃけ胡散臭い笑顔を浮かべる姐さんだな、とか失礼な事を思いつつ。

「まー、こういう芸当が出来る連中が割と居そうなのが困りものだけどな~~…。」

取り敢えず、ここは話を適当に合わせておこう。相手が何者か分からんし。

蒼い影 > 「ああ。コレ?……私ね、風紀委員のゴミ処理係。」
「ちょっと、ここらでゴミを探してたんだ。ちょっと気が早いけど。」
敵情視察(やじうま)ってやつ。」
「私も一個質問に答えたからキミも一個答えようか?こんなとこで何してんのさ。お仲間?」

まるで降ってきたように見えるが、それについて説明する気はないようだ。
それに。
何とも怪しげな、人外染みた笑みを浮かべた青白い瞳は、
より胡散臭い言葉を並べる。
少し理不尽ともいえよう問答。

「そうだね」
「ふふ」

「"今日は違反部活を20個潰した。"―――」

人差し指を両方立てて、笑う。
これは前フリ。
…私がやったわけじゃないよ?

「―――なーんて、そういうヤツは、割と多い。」
「多分、ここもそんな奴らに蹂躙されたんだろうね」

「…じゃあ、さ?」

そこで、次の言葉を切り出す前に。
アジトの天井を、蒼い魔法光で抉り夜空を、
外景を晒させながら…言葉を区切った。

> 「さいですか…。」

ほぅ、風紀委員会の……最悪じゃねぇか!!
何せ元・風紀委員で現在も手配中の犯罪者がこの少年である。
あちらはこちらの素性に勘付いては居ない…いや、わかんねーな、この胡散臭い笑みを見てると。
彼女からの質問に、何時ものおちゃらけた空気で肩を竦めてみせながら。

「いんや、俺はスラムで何でも屋をやってるもんだよ。ちょっとした依頼でここに来ただけ。アンタと鉢合わせしたのは偶然だわな。」

いきなり現れたカラクリは説明無し、そりゃそうか…まぁ何か種はあると思うけど。
そしてやっぱり胡散臭いなぁ、この姐さん…美人ではあるけど。

「…星の数ほど違反組織や部活はあるっちゃあるが、それを潰した数を誇られてもなぁ、って感じだな。」

そもそも、潰れた数だけ何処かで新たに産声を上げるのがこの混沌の街だから。

――さて、それはそれとして、だ。

(…うへぇ、このゴミ処理係の姐さん、多分くっそ強ぇわ…。)

違反組織のアジトの天井を青い光で抉り取り、夜空を晒させる光景を見てそんな感想。
あ、丁度月が見えるじゃん…いい月だなぁ、と俺は現実逃避をしたい気分です。

意図的に言葉を区切った彼女へと顔を戻し、先を促すように紅い双眸が蒼い影を見つめる。

蒼い影 > 「そっか、良かったよかった。」
「……安心していいよ。私が掃除するのは、ゴミだけだ。」
「キミは、違うみたいだからさ。何でも屋は、まぁ。こういうとこだとそうなるよね。」
「ほら、ゴミ以外を掃除する掃除機なんて使いもんにならないでしょ。」

どのような不安を、抱かれているのか。
それは実は分かってはいない。何なら、指名手配である事だって知らない。
ゴミ処理係は末端も末端で、普通共有される情報すら自分から得に行かなければ手に入らないのだから。

「なあんだ、分かってんじゃん。」
「幾つ潰したかとか、それはそんなに大したことじゃないんだ。」
「そんな事より。もっと面白い事実があってさ」

けらけら。

「キミはここの組織の素性がわかる?」
「どんなものか聞いている?」
「ここにいる人間の来歴が、一人でもわかる?」
「……あの天井の向こうに見える違反部活が何かわかる?」
「わっかんないよね。興味もないだろ。私もない。」

これは、少年にとっては全く分かんない、縁もゆかりもないってことを再確認する。
無縁で、無関係で、無関心なものだ、と。

「"今日は違反部活を20個潰した"ってやつは山ほど聞くけど」
「"今日は違反部活を20個作った"ってやつは、あまり聞かないよね。」
「けれど幾つ潰したって無数に湧いてくる。面白いね。」

> 「いやぁ、アンタの言うゴミの”基準”がそもそも俺にゃわっかんねぇからなぁ。」

そもそも、事情を知る風紀の一部から見ればゴミどころか裏切り者のカスみたいなのが俺だが。
まぁ、今は一介の何でも屋としてこの場に立っているし、あちらはどうもこっちの素性は知らないぽい。

(あぶねぇあぶねぇ…ここでドンパチとかいろんな意味で勘弁だしなぁ。)

内心でほっとする。とはいえ、相手が胡散臭い謎の美女な事に変わりはない。
風紀委員とかゴミ処理係がどうのではない。もっと突っ込んだ素性という意味で胡散臭い。

「――聞いてんのは組織の名称と、大まかな構成人数と、あとは幹部とかボスの顔と名前くらいだな。」

彼女が具体的に何を言いたいのかさっぱり分からん俺。首を傾げつつも、確かにその通りだとは思う。が。

「とはいえ、こうしてこの場に足を運んだ以上”縁”は発生してんじゃねーの?
アンタとばったり遭遇したのも縁なら、この死体の連中の末路に出くわしたのも縁って感じで。」

勿論、あくまで依頼でここに足を運んだだけで、それが無ければ組織の存在すら知らず関わる事だって無かっただろう。
そういう意味では謎の美女の言い草は間違いでもないか。

蒼い影 > 「皆がゴミだと言えばゴミなんだ。世知辛いね。
地面に落ちた紙を見て、情報と見るかゴミと見るかは、皆が決めるんだ。私にも、分からないよ。
ある時ゴミになるかもしれないから、何とも言えないなあ…」

どうも嘘くさい言いぶりで視線を斜め上に向けて笑う。
長い物には巻かれる。

「つまり―――」

「外向きの情報しか知らない」

「書類上の情報しか知らない」

「縁は今出来たばかり。私と同じ。」

「……だろ?」

本来、関わる事なんてなかったはず。だから。その意味では縁も否定できよう、か。
だろ?と問う表情は、何とも、何とも破壊的だ。

「…まだ分かんない?こいつら、やけに無味無臭、無個性。」
「幹部も、ボスも、妙にどこにでもいるようなありふれた存在だと思わなかった?」

「ああ、この街がそうだから…っていうんじゃないんだ。」

そっと指を天へ向け―――

「…あっ、答え言おうか?」
「こいつらさあ。」

「"作られた違反部活"なんだよ。向こうに見える建物のヤツもね。」

> 世知辛い、というのは自分がちょくちょく漏らす言葉でもある。
それもあってか、ついつい彼女の言葉に同意しそうになるが。

(…あぶね、胡散臭いだけじゃなくて自分の空気に引き込むのが地味に上手いっぽいなこの姐さん。)

嘘くさい芝居かかった婉曲な言い回し。何を考えてるか分からん胡散臭い笑顔。
まぁ、正直今はこの青い美女の素性云々は一先ず置いておくとしよう。
どうせ探っても煙に巻かれるのが目に見えているし、逆にこちらが探られかねん。

「――何だそりゃ?わざわざそんなの作って何がしたいんだよ。」

はぁ?という顔で。少年は何でも屋だが所詮は三流零細、頭の回転が早い訳じゃない。

(何かのカモフラージュ?実験的なやつ?さっぱりわっかんねーな…昔から頭使うの苦手なんだが。)

「…つーと、俺の依頼人はそれも承知済みでわざわざ俺みたいなのに依頼して調査に出したって可能性もある訳か…きな臭ぇなぁ。」

げんなりした表情で。そういう”縁”は本当に勘弁願いたいが。

蒼い影 > 「何したい―――生活か、金か、栄誉か、快感か、色々あるだろうなあ。」
「結局行きつくところは、普遍的な違反部活と変わりはないと思う。」
「変わりはないけど、普通のソレとはね、効率がまるで違う。」
「考えて見なよ。使い捨てにするったって、この街で違反部活を人を集めて作るには多少なり時間とコストがかかる。壊すより、作る方が万倍手間だ。」

どんなに粗悪な組織だってね。
そこには手間ってもんがある。
まるで講義するような口ぶりで。

「ところが。自分の意思一つで作れるとしたら?」
「自由自在に犯罪組織を形成できるとしたら?」
「そういう異能や魔法があるとしたら?」
「…ここには、ちょっとした超常犯罪者(ゴミ)がのさばってるかもしれないんだ。面白いでしょ。」
「私はそのゴミの観察に来たんだ。ね、敵情視察(やじうま)なんだよ。」

野次馬根性丸出しで、語る。

「キミの依頼人が誰か何か知らないけど。何かの思惑が絡んでるかも。
 キミはたまたま何でも屋だという理由で、便利だから、斥候に使われた。……のかもね。」

悪意はないけれど、非日常から得られる面白さを楽しむような顔色。

「さてと。」
「色々言ったけど、このままじゃ釈然としないだろうし」
「もうちょっと情報を開示しよっか。」
(それと、破壊神(わたし)の事もちょっと知っておいてもらおうかな…?)




「……驚愕と恐怖の用意は良いかな?」

薄青色の領域が、広がる―――

> 「んまぁ、壊すのは簡単だけど作るのは手間が掛かるっつーのはよく聞く話ではあるな。」

何かまるで講義でも受けているような気分になるのは何故だろうか?
学生なんてもう2年近く前にとっくに辞めているんだけども。

「――つまり、組織を創作する異能だか魔術の使い手が画策してるってか?荒唐無稽だがなぁ。」

だが、荒唐無稽が罷り通るのがこの島でこの街だ。秩序があると同時に混沌も寄り添うように存在する。

「んで、視察っつっても得られる手掛かりはあんまし無さそうだが。
目ぼしいモンはねーし、死体の状況もコレだしなぁ。」

んで、俺はやっぱり使い勝手の良い”駒”の扱いか。まぁ、そんな目に遭うのは別に初めてでもない。
むしろ、そういうのに慣れてるせいで最早何時もの事と、変に割り切りつつある。

「…青髪の姐さん?何か妙に楽しそうだけど、俺は変なサプライズは別にいらんよ?」

あ、何かやばい気がする。彼女の警告の言葉を聞くより前に感覚で悟ったらしい。
何だかんだ落第街生まれスラム育ちなだけあって、そういう野生の勘?はそこそこ鋭い。

が、少年にはどうしようもなく青い領域が広がって――

蒼い影 > 「そうそう。そういうやつ。壊す側より、作る側の方がよっぽど厄介だ。
それこそ…普通はそうやって、存在すら疑われるよね。わかるわかる。」

だから、誰も疑問に思わない。
だから、コレがまかり通る。
そして、違反部活を幾つも幾つも潰して、
けど、何もならないってわけだ。

「大丈夫、最初にゴミ以外は掃除しないって言ったよね。」
「キミはちょっと驚くだけで良い。」
「事前に情報があってね…」

青色が広がると、アジトと死屍累々を覆い…

異能影響破壊領域(アビリティディストラクト)

パリン

と。
何かが割れた音がする。
それと同時に、天井が、柱が、死体が、紙屑に変わっていく。
山ほどの紙屑に。
野ざらしになっていく。

「―――紙から"何でも作れる"超常犯罪者。
 紙製企業(ペーパーカンパニー)っていうんだって。まあ、紙ごみだね。」

「まるでお手本のような雑魚と幹部とボス。どっかから適当に写してきたんだろうさ。」

指をくるりと回すと、青色の領域が、消える。

「どう?…驚いた?」

にやり。

> 「むしろ、俺みたいな三流何でも屋を掃除しても何の意味もねぇけどなぁ。」

などと軽口を叩きつつも、内心では冷や冷やだ。一体何が起きるんです?という心境。
あと、俺は驚き役ですかそうですか。もうちょい良い待遇というか役どころを求む!

――そして、薄青い領域が広がった後に、何かガラスか何かが割れるような破砕音が響いて。

「――――は?」

紅い双眸を丸くする。まるで、全てが最初からそうだったかのように紙屑の世界と化した。
正確には、このアジトと穿たれた天井から見える建物もすべて紙屑だ。

「……うへぇ、マジかよ…異能は千差万別だけど、こういうのもあるんだなぁ。」

彼女の能力?魔術?が無ければ全く気が付かなかったかもしれない。
しかし――

「――異能や魔術を破壊する領域を展開する…異能?魔術?分からんけどやっべぇなぁ…。」

素直に驚いた、とばかりに呆れと感心半々の表情で。
少年なんてそもそも異能が【無形(未覚醒)】で何の役にも立たないのに。

「んで、これはつまり”種明かし”と俺を驚かせる為のパフォーマンスって感じかい?
…ったく、そりゃ驚くわこちとら三流何でも屋なんだぜ?」

蒼い影 > 「あっはは」
「驚いたか」
「慄いたか」
「恐れたか」
「うん、パフォーマンス。私は人の承認と恐怖を食って生きてるから。」

それで、満足だよ。とばかりに笑い顔。
驚いてくれたら、恐怖してくれたら、それだけで良い。

「潰しても、潰しても、潰しても、なくならないような」
「無数にある、書類上だけの…まさにペーパーカンパニー。」
「それを紙から作りまくってるんだとさ。」
「一般的なソレとは一線を画すような存在。それが超常犯罪者(ゴミ)……なんだって~。」

詳しい事は知らないけれど。
折角なので巻き込まれついでに、私を恐れてもらおうか。
なんて、傲慢なやつ。

「…で、私はそういうゴミをちょっと掃除して。綺麗にするのが役目。」

ハチマキを指さす。
ゴミ処理班、だからね。

「異能…っていうか、破壊神(わたし)の特権かな。」
「詳しい説明はしないけれど」
「ゴミ掃除係には向いてるでしょ?」
「特にこういう……つまんないまやかしを破るには。」

紙製企業の種は明かすけど。
私の手品の種は明かさないよ。

「…ああ、それと。やっぱり。キミは紙製じゃなかったみたいだね!」
「良かった良かった。」

暗に、この紙ごみは全部掃除してやろうかとでも言っている。

「とにかく」
「……このあたり、"何でもない"ように見えた"超常犯罪"が跋扈してるんだ。」
「面白くない?」
「いつもの光景に溶け込んだ、超常現象。」
「気付かないでいれば、いつまでも気付かない非日常。」

「少し踏み込んだら、そういうのが見えてくるってさ。」

> 「――あーやっぱり人外の類かアンタ。それっぽいなぁとは思ってたけど…。」

とはいえ人外そのものは別に珍しくも何ともない。問題はその種族、というかカテゴリー?みたいな。
少なくとも、異能や魔術を特殊な領域で一瞬で破るなんてかなりアレな種族な気がする。

あと、どうやら俺の役は名演技だったらしい。ハッハッハ!…ちっとも嬉しくねぇわ!!
ちなみに、驚きは普通にしたけど案外肝が据わっているのか恐怖はそんなにしていなかったオチ。
変な所で達観しているというか割り切っているというか、意外とドライ?冷静?らしい。

「…紙の消費量がすげぇ事になってるなそれ…ふーん、超常犯罪者、ねぇ…?」

その手のとんでもないのとは奇跡的にまだ遭遇した事は無いが…いや、そもそも遭遇したくねぇけど。
考えたら目の前の青髪の姐さんも、俺から見たらとんでもないんだけどな。
しかし、昨日の少女の依頼の経緯といい、俺は巻き込まれ属性でもあるんだろうか。

「――特権ってこたぁ種族特性みてぇなもんか…んで、多分アンタは破壊に特化した類だろ?」

彼女の正体もあれこれ分からんけど、僅かな情報や彼女の言動からそう読み取ったのか口にする。
…良かった敵じゃなくて。こっちの素性がバレたら風紀である以上は彼女がこっちを見逃してはくれないだろうし。

「うわぁ、やっぱ俺も疑われてた訳ね…御覧の通り、本当に偶々アンタと鉢合わせしただけのしがない何でも屋だよ。」

呆れたように笑って肩を竦める。紙の能力者といい、この姐さんといい、本当にとんでもないのがゴロゴロ居るな。

蒼い影 > 「そうだね。」
「とはいえ、どっからどこまで人で、どっからどこまで人外か、なんて定義、この島であんまり意味ない。」
「……あら。あんまり恐怖を感じない。なんだあ。つまんない。」

種族柄、それはわかる。手に取るように。
この街の住人だけはあろうか、何とも残念そう。
恐怖の方が食いがいがあるんだから。
破壊神ってのは恐れられてこそ。

「だねえ。どれだけ紙束使ったよって話。ただの紙が…」

ひょいと紙屑を一つ、拾い上げてから、
事も無げに跡形もなく消してしまった。

「あれを作るんだから。」
(私にとっちゃ面白いゴミだけどもね。)

とはいえ、だ。
1人作るのに紙100枚いるとして、そいつらを自在にコントロールすりゃ、後は幾らでも湧くだろう。
全部とは言わないけどさ。
こうやって潰されたやつらのうち、幾つ、紙製なんだろうね?

「種族特性――あーうん、そんなんでいいか。レッドドラゴンが火を噴けるのと同じようなもんだ。」

その問いかけは、否定しないでおこう。
比喩が適切かはともかく、だけれど。体の一部のようなものだ。

「あっはは。そうみたい、疑ってごめんね。」
「さてと。」

けだるげに、歩き出す。

「現物確認完了したし。」
「次は何を敵情視察(やじうま)しよっかなーっと。」
「このゴミを良い感じに掃除しろって言われてるから、適当にサボりながら掃除するつもりでさぁ。」

ほんというと、その気はあんまりないけど。
めんどくさ。

「私はもう行くけれど」
「非日常の中の非日常を覗いたキミは、どうする?」

特に、呼び止められなければ。
きっとそのまま通り過ぎるだろう。

> 「まぁ、俺も別にそういうの気にしないっつーか気にしたらやってけないしなぁ。」

特にスラムとかではみんな生きる事に必死だったり、そんな余裕なんてあんまり無い。
ちなみに、俺は金銭的な意味で余裕があんまり無い!…あれ、今回の依頼の報酬ちゃんと貰えっかなこれ。

「いやいや、恐怖で身が竦んでたら一瞬で死ぬかもしれないじゃん?」

苦笑い気味でそう口にする。これでもそれなりにハードな環境で生まれ育ってはきている。
恐怖を感じないのではなく、恐怖はありつつもそれを制御するのが大事だという話。

少年も何となく紙片を一つ拾い上げるが、彼女の様に跡形もなく消すのではなく、ただ地面にまたひらりと落とす。
それはお互い何の意味も無いただの無意識の所作だろうが、それこそが彼女と少年の明確な違いだ。

さて、こっちの言葉は否定はされないが完全に正解、という訳でもなさそうだ。
割と曖昧に流された感じがするので、当たらずとも遠からずくらいで考えておこう。

(まぁ、この姐さんの種族を仮に知った所でどうにもならんしなぁ。)

仮に戦闘する羽目になったら瞬殺だ瞬殺…もちろん俺がされる側でな!!

「俺?…いやぁ、そもそも非日常がここじゃ日常みたいなもんじゃね?
別に俺は何時も通り変わらねーよ。だって、ただのしがない何でも屋だぜ?」

生憎と、俺は英雄でも極悪人でも主人公属性でも何でもないのだ。
非日常を覗いたから何かが劇的に変化する、なんてこたぁ無い。
それは別の誰かの身に起こる事であろうから。三流は三流でやってくだけさ。

「――あ、そうそう。俺はスラムで何でも屋をやってる【赫】ってんだ。縁があれば依頼もよろしくー。」

と、名乗りと宣伝?だけは去り際の彼女の後姿へと投げかけておこうか。

蒼い影 > 「そうだね。だからそうやって恐怖に染まってすぐに死ぬような奴らばっかりだったら有難い。
 でもそうはいかないんだ。ただの一瞬で恐怖に染めるなんてさ、無理だよね。世知辛いもんだ。」

けらけら。やっぱり、笑ってる。

「……ああ、やっぱり?非日常の中の非日常っても、結局非日常だよね。
 日常に裏返る事もないから。」

変わらない。そうだろうとも。この非日常だって、きっと一部。
多分私との遭遇も、ちょっとしたアクシデントでしかないだろう?

「私も」
「しがないゴミ処理係だからさー」
「ああ、どうもどうも。テラシってんだ。よろしく。」
「何でもやるなら、言いくるめてゴミ処理の斥候に使ってやるかもね。あはは。」

丁度、彼が今日の依頼人にされたことも、似たようなもんだろう。
さて、この依頼に関して彼が報酬を貰えるか、この蒼色が知るところではない。
紙束は山ほどあるけれど、大した金にはならんだろうね…。

「私はーーーええっと、なんだろうね。」

ちょっと考える。特に名乗る必要もないだろうけれど。
折角なら名乗りは返しておこう、と思って。

「まぁいいや、"ゴミ処理係"って言えば伝わるでしょ。」
「じゃあ――失礼するよ。」

そういうと、歩き去った姿がブレて



消えた。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」から蒼い影さんが去りました。
> 「好奇心と恐怖はヒトを殺すってなー。」

人ではなくヒトなのがポイント。人間だけを差した意味合いではないようで。
勿論、俺はどっちも普通に持ち合わせてるけど、それで死んだら意味が無い。
人生リセットボタンとかあれば便利だけど、基本的に命は一個きりしかないのだ。コンティニューなんて無い。

まぁ、身も蓋も無い言い方をしてしまえば本当にアクシデントでしかなく、これもまたある意味で日常なんだろうけど。

(…ただ、”縁”ってのは馬鹿にできねーかんなぁ。
巡り巡って今回の遭遇が何かしらの意味を帯びて来ることだってあるかもしれんじゃん?)

なんて、そこは口にはしないけども。したってあんまし意味無いだろうし。
ゴミ処理係の斥候に関しては「ちゃんと見合った報酬貰えるならやるぞー?」と、軽口を返す。

「おいおい、ゴミ処理係の姐さんとか呼ぶの何か嫌だなぁ。
普通に青髪の姐さんとかの方がまだよくないか?」

ぬーん、と唸りつつも彼女は忽然と一足先に”消えた”。

「……その便利スキル、俺も欲しいわ…。」

こう、クールに立ち去ってみたい。実際は消えてるぽいけど。
さて、紙屑だらけと化した周囲を見渡せば…溜息を一つ。
一先ず、結果報告しないとそもそも報酬も何もあったもんざねぇ。…説明どうすっかなぁ。

「ま、俺の”日常”なんてこんなもんだろ。」

苦笑気味に肩を竦めてから、赤髪の少年もその場を後にするのだ。

当然、消えるなんていうスタイリッシュ立ち去りムーヴは出来ないので普通に徒歩で帰った。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」からさんが去りました。