2024/11/27 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にルーフラットさんが現れました。
ルーフラット >  
20:30。
落第街にて。

「はぁ……はぁ…!」

僕は今、追い詰められている。
料理店からカネを盗んだのがバレて風紀に追われている。

荒い息を吐きながら違反部活群に逃げ込む。
しつこい連中だ。
でも僕の身のこなしなら狭い場所に入れば……

その時、強烈な光に照らされた。
風紀の車載ライトだ!!

ルーフラット >  
「お前ら、やめ……ッ!!」

逃げようとするも、追いつかれてその場に組み伏せられてしまう。
後ろ手に手錠をかけられる。
カチャリ。
それは絶望の音。

「やめろ、僕を誰だと思ってるんだ!!」
「このルーフラット様に向かってこんな……!!」

暴れるも、手も足も出ない。
完全な拘束だった。

風紀委員 >  
「梶田勝、不法侵入と窃盗の罪で逮捕する」
「20時45分、現逮」

押さえつけたまま冷静に告げる。
今までの罪を鑑みても数年は表を歩けないだろう。
しかし風紀は司法ではない、それを判断するのは己の役割とは違う。

ルーフラット >  
「やめろぉぉぉぉぉこのカスどもがぁぁぁぁ!!」
「僕は特別なんだぞ!!」

力の限り暴れる。
それが無駄な抵抗だと頭のどこかでわかっていても。

「やめろッ! やめろッ! やめろッ! やめろッ!」
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

甲高い声が虚しく響く。
ああ、僕はこんなところで終わってしまうのか。

《常世神》 >  
小男の脳裏に声が響くだろう。
それは神なるモノの声。
どこかから見ていて。
どこにもいない。

そんな存在の声。

『願え』

『願え』

『星などに乞うな、賽銭など投げるな』

『ただ、願え』

ルーフラット >  
「な……なんだ…!? い、いや…」

「僕に力をよこせええええええええええぇぇ!!」

藁にも縋る。
そんな気持ちで僕はその存在に言葉を叩きつけた。

溺れる者はってやつだ。
僕だって混乱してなければ。

《常世神》 >  
『我が名は《常世神(とこよのかみ)》』

『どのような愚かなる願いも叶うだろう』

『お前の声を確かに聞いた』


『力を───』

ルーフラット >  
頭にノイズが走る。
脳が焼けるように熱い!!

「うっ……おおおおおおおおおおおおぉぉ!!」

力任せに手錠を引きちぎり、僕の力点を抑えていた風紀を跳ね飛ばした。

「これは……ハハハハハハハハッ!!」

溢れる力、そうか、これが。

ルーフラット > 「怪力の異能、オーバータイラントだッ!!」
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に柊庵さんが現れました。
柊庵 >  
そこに居合わせたのは、本当に偶然だった。
運び屋の仕事をしている最中だ。出来れば風紀委員とは出会いたくなかった。
だが、たまたま近くで事が起きてしまったらしい。
飛び火はごめんだ。このまま帰ろう。そう考えて、大型トラックのアクセルを踏む直前だった。

「えっ……」

何の轟音が聞こえた。
瞬間、車体前に飛んできた風紀委員。

「何がおきたの……!?」

どう考えても悪党一人捕縛して終わりだって横目で見てたのに、
一体何が起きたんだ。思わず運転席から飛び出してしまった。
それがきっと、不運(バッドラック)の始まり。

「ねぇ、アナタ達大……、……!」

風紀委員の元へ寄ろうとした時、熊鼠(ソイツ)と目が合ってしまった。

ルーフラット >  
目が合う。
いい気分だ、これからは誰にも怯えずに済むんだ!!

「そいつは僕によこせよ女ぁ!!」
「ハハハハハッ!! この新しい力を試すために使ってやる!!」

腹を手で押さえて。

「畜生、お腹が空いたなぁ……」
「燃費が悪い異能なのか……?」

その時、既に常世神への代償は支払われていた。
胃の四分の三を失い、こまめに食事をしないと飢える体になっていた。

だが。今は。

「まぁいいや、風紀どもをぶちのめすいい機会だ」

小男は構わずに一歩前に出た。

柊庵 >  
自分よりも一回り小さいのに妙な威圧感。
さっきまで絶体絶命だった気がするのに、凄く嫌な雰囲気だ。
嗚呼、そうだ。昔ツるんでた連中(半グレ)もそんな感じだっけ。
おどろおどろしい雰囲気に息を呑み、無意識に熊鼠(アイツ)を睨んだ。

「……試す、って……」

聞くまでもない事だ。想像がつく。
渡してしまえば楽なものだ。実際自分には関係ない。
けど、本当に渡しちゃったら……。

「……、……それは、無理

自分に嘘を吐くことになってしまう。
止めとけばいいのに、風紀委員をかばう形で前に出てしまった。

「何だか知らないけど、もういいでしょ?
 この人気を失ってるし、とっとと逃げた方がいいんじゃない……?」

ダメ元の交渉。
なんだかお腹でも空かしてるのかな。
だったら、そっちに負けて帰って欲しい、頼むから。

ルーフラット >  
僕の前に立ちはだかる女。
笑いながら指を振った。

「だーめだめだめ」

力任せに壊された手錠を手に取り。

「僕がどれだけ風紀委員どもにいじめられていたか」

くしゃり、とそれを丸める。
音を立てて金属が歪んでいく。

「これは正当な復讐だ!」

手慰みに手錠だったものを球形に似た金属塊にすると放りだし。

「そいつらをぶっ殺して! 新生ルーフラット様の存在をアピールするのさ!!」

ハハハハハハハッ!!
違反部活の住民が僕の高笑いにあちこちから盗み見の視線を寄越す。

いい気分だ……とても、良い気分だぞ…

柊庵 >  
満足して帰ってくれるはずもなかった。
風紀じゃない自分には事実関係のない事だ。
落第街(ココ)じゃ暴力沙汰なんてよくあることだ。
風紀委員が違反者に酷い目に合わされるってもニュースで聞いた。
いざこざに巻き込まれて面倒になるよりも、余程楽だ。

「そう、それは気分良さそうだね」

そんな考えとは裏腹に、庵は構えた
柊庵は、どうしようもなくお人好しだったのだ。

「────……けど、どうせ"逆恨み"でしょ?でなきゃ、アナタを捕まえにこないもの」

金色の眼光が鋭くなる。
獣めいて妖しく光り、自然と爪が鋭くなった。

「コレ以上やるって言うなら、見過ごせない。
 どうしてもって言うなら、アタシが相手だ。チビスケ(ネズミヤロー)

ルーフラット >  
黙って相手の言い分を聞いていたが。
最後の発言に眉を吊り上げ。
歯を食いしばり、肩をよじって拳をぐるぐると回す。

「だ、れ、が」

そのまま力任せに飛びかかる。

「ネズミ野郎だクソ女ぁぁぁぁぁぁ!!!」

口角泡を飛ばし、異常な興奮状態で常識外れの怪力を振るう!!
掴まれれば命はないだろう!!

柊庵 >  
「……!」

来た!経験上、やっぱりこういうのは血が上りやすい。

「ごめん!」

人を庇って戦えるほど、強くはない。
背後で気を失って風紀委員を思い切り蹴り飛ばした。
余計に痛めつけちゃったけど、このまま巻き込まれるよりマシでしょ。

「ッ……!」

凄い風圧。迫ってくる速さ(スピード)(パワー)の賜物か。
落ち着いて庵。アナタならやれる。全身の血流が妙に流動的な感覚。
過去に積み重ねた武術とそれなりの修羅場を潜った経験が、気持ちを落ち着かせた。

「この……!」

その図体に似合わない剛力に捕まるわけにはいかない。
大きく体幹をずらし、胸元に指先が掠めるようなギリギリの回避運動。
その勢いで全身を大きく回転させ、鋭い爪先から放たれる刺突牽制(ジャブ)

「柊流弐之番……!」

最も動作が短く、咄嗟の牽制と反撃(カウンター)を熟せる型。その名を────。

「『繊月(せんげつ)!』」

糸を徹すようにか細い一撃だが、肌を用意に切り裂ける狂気の爪先────!

ルーフラット >  
引き裂いてやる!!
ボロボロにしてやる!!
殺してやる!!
犯してやる!!
埋めてやる!!

その怒りに染まった視界が。
視界が。
視界が……血に染まった。

「イッ」

空を切る手に血、血、血。
コメカミ辺りを深く切り裂かれ。
服や手を染める血ぃ!! 赤い血ぃ!!

「イギャアアアアアアアアアアアアァァ!?」

頭を抱えて一歩下がる。
たかが裂傷、と思われるだろうか。

痛いもんは痛いんだよ!!

「よくもやったな!! よくもやったな!!」
「よくもやったな!! よくもやったな!!」
「よくもやったな!! よくもやったな!!」

「こ、殺してやる………!!」

両手を乱雑に振り回しながら駆ける。
子供の駄々。
しかし。

人をひき肉にして余りある剛力を込めた。

柊庵 >  
「……ッ……」

爪先が皮膚を切り裂く"嫌な"感触。
人を傷つける行為は、どんな相手でも嫌悪感に苛まれる。
顔をしかめたのは、そんな嫌な気持ちと、もう一つ。

「いった……!嘘でしょ……!?」

胸元が思い切り裂けてる。
指先を掠めただけで、皮膚から血が滲んでる。
とんでもない怪力だと思ったけど、こんなものまともに受けたら────。

「人の事殺そうとしといてよく言うよ……!
 アナタが大人しく引き下がるならアタシだって……!」

こんな嫌なこと(面倒事)しなくて済むのに。
だが吐き捨てた言葉は、目前に迫る力の暴風雨にかき消される。
余りにも乱雑に腕を振り回しているだけなのに、
その加減無い力のせいで風圧だけで紅髪や衣服が大きく靡く。

「やば……!」

まともに受ければミンチだ。
コイツに付き合うと拙い。咄嗟に後退。
暴力の台風との死の追いかけっこだ。まともに付き合ってられない。

「これでもどうぞッ!!」

偶然道中にあった怪しい移動式屋台。
思い切り爪先に引っ掛けて熊鼠目掛けて走らせる!
ちょっとでも勢いを殺せればいいけど、どうだ……?

ルーフラット >  
「僕の邪魔をするからだ!!」
「せっかくの力だ……」
「僕の邪魔をするやつはみーんなみーんなぶっ殺すんだ!!」

何度も血を拭う。
何度も何度も。

瞬間。
屋台が勾配で滑ってこっちに来る!!

「ぶわぁ!!」

屋台がブチ当たって諸共に横転した。
花椒の匂い。中華の屋台か!?

まだ生温かい麻婆豆腐のノコリモノを引っ被って立ち上がる。

「畜生、畜生ッ!!」
「僕を馬鹿にしてるんだな!!」

「殺してやる、殺してやるッ!!」

一度滑って転びそうになりながら、汚れた男は吠えた。
クソっ、何の肉かもわからない中華をブチ撒けやがって!!

柊庵 >  
身勝手で醜悪な叫びだ。
昔よく聞いたことある連中と似ている。
同時に感じるその力への酔いと取れる言動への、嫌悪感。

「人を傷つけるのがそんなに楽しい?
 人を見返したいだけなら、やり方選んだら?
 暴力(そんなもの)は、案外持っていたって役に立たないよ」

そんなもので満たされるのは一時的な欲望だけだ。
よく知ってる。後に残るのは虚無だけだって。
けど、きっと馬の耳なんとやらだ。だから、
今はこんなもの(暴力)を使ってでもこの怪物を止める。

「……ふっ!」

怯んだ隙に躊躇いもなく血の滲む胸元へ左手を突き立てる。
爪が食い込み、噴水のように鮮血が吹き出し、夜空へと躍り出る。
鮮やかな紅自身が意思を持つように蠢き、血生臭さがより濃くなった。
血液を操る自らの異能。妖魔の血の影響か、より瞳が煌々と輝き初めた。

「柊流壱拾之型……!」

両の爪先に纏わせる血流を薙ぎ払い、蛇のように血を張った。
高速で地面を赤く染め上げる紅が、間欠泉(アッパーカット)めいて吹き出す────!

ルーフラット >  
「黙れッ! 黙れッ! 黙れぇッ!!」
「僕は力を得たんだ……見下ろすな、見下すな!!」
「常世神の力で僕は無敵になったんだ!!」

その時、女が胸元にツメを突き立てた。
理由のわからない自傷の後は九割九分異能攻撃が来る。
この街のセオリーだ。

「何を……!!」

次の瞬間、血の水圧に顎を打ち据えられ。
その場に鞠のように転がった。

「いひゃい、いひゃい!!」

砕けた前歯を拾いながら。

「畜生ッ!! そんなのがありならこっちだって…!!」

隣の積みレンガの壁を殴りつけた。
伝播するように衝撃は伝わり。

周囲からレンガが崩れ落ちてくる!!

「ハハハハハハ!! 潰れてしま……ぶえっ」

自分もレンガの下敷きになる。
肉体が強化されてなかったらそれだけで死んでいたかも知れない重量。

バタバタと足掻くことしかできない。

柊庵 >  
剛力が伝播し、周辺のレンガが崩れ落ちた。
文字通り暴力に身を任せた技だ。
下敷きになれば、無事では済まないが、庵は動かない。
正確には、"動けない"。

「フゥーッ……!フゥーッ……!」

血が滾る
身に宿した妖魔の暴力性が、悦楽を感じさせようとしてくる。
ダメだ。呑まれちゃいけない。歯を食いしばり、身を強張らせ抑え込む。
レンガの一部が思い切り頭部に当たり、切れた額から鮮血が滴る。

「──────ゴメン、アナタのお話は聞いてあげたい。
 けど、アナタを今止めないと、きっと目の前の命が失われてしまう」

痛みと引き換えに血抜きされたお陰で、一瞬冷静になれた。
金色の双眸が宿す色は……哀れみだ。
力に溺れる者への、暴力を訴える者への哀れみ。そして……。

「だから、暴力(コレ)でしか解決できないアタシを恨んでいいよ」

自己嫌悪。
何処か冷ややかな金色の光は見下ろすようにも見えてしまう
レンガの雨に押し潰される前に、ぴ、と指先を熊鼠に向ける。
自らの技で自爆(鼠返し)食らっている所にもう一撃。
この技は間欠泉(アッパーカット)を食らわす為の技じゃない。
天高く舞い上がった血液が一塊の結晶となり、ダメ押し──────!

「『十日夜(とおかんや)』」

大きく実った収穫祭。
レンガの上から一直線に結晶落下!

ルーフラット >  
「何が話だ、失われるのはお前の命……」

「いッ!?」

頭上にあるのは赤い月。
いや、違う。
血の結晶。
血晶塊だ。

「やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめ」

そのまま結晶が落ちてきて。
僕は豚のような悲鳴を上げた。
砕け散る血晶の破片が煌めいた。

「クソー、めちゃくちゃやりやがって!!」

そのまま力任せにレンガも何もかも吹き飛ばして立ち上がり。
時間をかけすぎた、風紀の後詰が来る。

「次に会ったらぶち殺してやるからな!!」

そのまま壁を突き破って正面突破しながら落第街大通り方面へ走り去っていった。

柊庵 >  
鮮やかな欠片が乱反射。
本来なら雨みたいに降らせるけど、都合よく一点集中出来た。

「すっごいタフ……」

だからこそ思い切りぶつけたけど、思ったよりも元気だ。
ただ、これ以上は拙い。こっちの抑えが─────……。

「あ……ハァ……」

思ったよりも引き際のいい悪党だったらしい。
こっちにとっても好都合だ。一気に気が抜けた。
いや、抜いちゃいけない。まだ血が、興奮が冷めやらない。
片手で口元を抑えて、踵を返す。

「……何時でも受けて立つから……」

誰かが襲われるくらいなら、時分が相手になってやる。
捨て台詞のように吐き捨てれば、その場を後にした。
後からやってきた風紀委員が事後処理をしていたみたいだが、
風の噂によれば、熊鼠(ルーフラット)の危険度が引き上げられたとか。

「散々な目にあったなぁ……」

赤く染まる視界を拭い去り、今日も落第街の一日が過ぎていく……。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」からルーフラットさんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から柊庵さんが去りました。