2024/08/27 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」にメアさんが現れました。
メア > とことこ、小さな足音
先生に言われたその場所
かつて一度出会い、戦った相手と再び相まみえる

「こんばんは……」

和服姿の女性
以前見たのと同じ姿で彼女は居た
久し振りの再開ではあるけれど、以前とは色々と変わっていることもある

「ポーラ…先生……」

ポーラ・スー >  
「――あら?」

 見知らぬ(・・・・)少女が振り向いた先に佇んでいた。
 ただ、それでも知っている事はある。

「うーん――そうそう、メアちゃんだわ!
 ふふっ、あったことが無いのに名前を憶えててくれるなんて嬉しいわ」

 そう、両手を合わせて嬉しそうに笑う。
 そこにいつかのような(・・・・・・・)狂気は滲んでいない。
 しかし――彼女(・・)でない事は確信できるだろう。

「こんなところまで、どうしたのかしら?
 ここはあんまり、あなたみたいな子が来る場所じゃないわ――なんて、先生としては、言わなくちゃいけないのかしらね」

 そう言いながら、目を細めてくすくすと笑った。
 

メア > 「調べた…から……」

分かってしまう
目の前の存在は彼女ではない
それらしいナニカ、ポーラ・スーなのだろう

「今更……今日は、色々…聞きに来た……」

ただ生徒と教師として話をしたいなら学園でのチャンスは幾らでもある
勿論、そんな事を望んではいない

こんな場所で2人きりで会える場所を見計らっただけの理由

「教えて、もらう……あの人と…お前の、こと……」

お前、教師に向けるべき言葉ではない
さりとてメアにはお前としか形容できない

正体不明の未知の存在を、それ以外に形容する事が出来ない

ポーラ・スー >  
「あら――?」

 少女の言葉に、女な不思議そうな顔をして――

■■■■■■(・・・・・・)

 明らかにこの世界の音ではない、音を発する。
 だが、それを少女が正しく聞き取れない事は直ぐに理解した。

「ふぅん――でも、関係者にあなたの名前を見た事はないし。
 ――ああ、そういう事(・・・・・)?」

 と、明言せずに訊き返す。
 それと同時に、自分の右耳を指先でトントンと叩いた。
 誰かに聞かれているという意味だと伝わるかどうか。

■■■■■(・・・・・)?』

 ゆっくりと唇だけを動かして、とある人物の名前を訊ねた。
 

メア > 「っ……」

耳障りな音
それが単語なのか何かの接続詞なのかすら分からない
ただそれが言葉だという事は前回の経験で理解している

「どういう……」

そう言う事とは、と言い切る前に耳を叩く素振り
何かの合図?耳……

盗聴なんじゃないの?
そんな声が頭の中で

「………」

唇の動き、何かの名前を聞かれた気がする
分からない事だらけだったが、こくりと頷く

賭けにも近いが情報が足りない今、こうする他ない

ポーラ・スー >  
「――そうなのね」

 それだけ呟くと、女は微笑みながら人差し指を己の唇に当てて。

「――報告。
 計画の漏洩。
 ■■の一時返還と隠滅許可を申請」

 表情と全くかみ合わない、無感情な平坦な声で言う。
 そして、即座に帰ってくる『緊急対応』の許可。

『全力で身を護ってね』

 微笑みながら、女はまた唇の動きだけで少女に伝える。
 少女が意図を掴むかはわからないが、今は(・・)それしかできない。
 そして――女の胸に『鼓動』が戻る。

Numquam tui a lacrimis.(枯れぬ嘆きの涙)

 女の手にいつかの刀が現れ、その刀身が抜かれる。
 その色は、雷光を纏うように、白く輝きながら火花を散らしていた。

Ad oratio extergimus lacrimis.(祈りはきっと報われる)――」

 そして、完全に刀が抜かれた瞬間。
 路地裏の空間はすさまじい雷光に包まれ、雷鳴と共に大気を震わせた。
 もし、少女が以前のように守りを固めていなかったのなら、全身を焼き尽くすほどの電流が襲う事だろう。
 

メア > 「あ……」

どうも、誤ったらしい
無感情な声にメアの瞳は黒く濁る

「くそっ!」

全力で守れ?言われなくともそうさせてもらう!
光と音の波に呑まれる

時間にして数秒、以前と違い明確にこちらを排除しようとする攻撃にメアは笑う

「随分と必死じゃない?
そんなに慌ててどうしたのさ、何かまずいことでもあったぁ?」

黒い球状の膜が足元に溶けていく

口を大きく開き笑う少女の表情は先程とは別人の様

「こんな可愛い子供に即攻撃とかいかれるねぇ、しかもちゃんと殺す気と来たもんだ。」

ポーラ・スー >  
「――あら?
 急に言葉遣いが変わったわね。
 うーん、もしかして多重人格とかなのかしら」

 そう言って、少女の態度にもからからと笑いつつ。
 右耳から何かを取り出して、投げ捨てた。

「ごめんなさいね、盗み聞きされたらお互いに都合が悪いでしょう?
 それに、相応の力(・・・・)を使って見せないと、ごまかしがきかないも――の?」

 かくん、と。
 女の膝がおれる。
 そのまま、まるで全身から力が抜けたかのように、その場にへたり込んだ。

「――はぁ。
 監視が途切れたらすぐにこれだもの。
 こわがりさんの大人は、困っちゃうわね?」

 そう、口元に袖を当ててくすくす、楽しげに笑う。
 女の胸から再び『鼓動』が消える。
 あらゆる面での急激な身体負荷の影響で、貧血のような症状が現れていた。

「――さて、と。
 これでしばらくは、お話しできるわ。
 といっても、お節介さんがやってくるまで、だけどね?」

 そう言ってから、少女へと手の平を向け。
 ご質問どうぞ、と言うかのように、微笑んだ。 
 

メア > 「あんたにだけは言われたくないんだけど?」

多重人格どころか急に機械みたいに襲ってきた奴に言われたくはない
何かを捨てた、耳からという事はインカムの様な何か?

突然崩れ落ちる様には思わず警戒する
しかし追撃の類も無く、見ていても二手目が来る様子は無い

「…監視、ねぇ。
ならとっとと聞かせてもらうけど、あんたは今誰なんだ?
さっきの計画やら変な攻撃についても教えてもらおうか。」

お節介と聞いて周囲を警戒しながら質問を始める
恐らくそこまで多くの時間はない

ポーラ・スー >  
「ああ――そう、あなただったのね?」

 くすくすと笑って、両手の袖をひらひらと揺らした。

「そんなに焦らないで?
 困ったお節介さんはくるけれど、そんなにすぐには来れないわ。
 だって、うっかり近づいて感電したら大変でしょう?」

 もし少女が背後の路地を振り向けば、そこにはいまだに、爆ぜるような火花が散っているだろう。
 この不自然な空間を覆うように、触れれば即死しかねない電流が這いまわっていた。

「少なくともわたしの力が枯れるまでは、やってこないわ。
 だから、お話しならちゃんとしましょう?」

 そう言って、少女を手招きする。

「まずは、そうねえ――わたしはポーラ・スー。
 初等教育の教員で、生活委員。
 あ、よぶなら『あーちゃん』って呼んで頂戴ね?」

 両手を合わせて、お願い、と上目遣いで要求する。

「それとごめんなさいね。
 前に会った時(・・・・・・)の事は覚えてないの。
 いち、にの、ぽかん! って消されちゃったのよ。
 だから、わたしも気になるわ。
 あなたは、その時、どれだけの事を知ったのかしら」

 そう、穏やかな調子で、やはりどこか楽しそうに訊き返した。
 

メア > 「何が?」

あなただった、と言われても思い当たる節が殆ど無い
以前ここで戦い、彼女を垣間見た
ただそれだけ

「…なんてもん子供に向けんだよ、防いでなかったらローストビーフじゃん。」

ぞっとしない話
初手に即死級の攻撃をするなんて

手招きされ、しぶしぶ近付く
警戒していたい所だが、歩み寄りも大事ではある

「ポーラ・スーで『あーちゃん』ねぇ。ほんとに頭がこんがらがってきたよ。

聞いたのは主に三つ、多分あーちゃんの名前。それと教授、後は計画の名前だけ。
調べたけど何の成果も無し、単語を知って意味はスカスカだよ。」

何で楽しそうなんだと見下ろす
知っていることを話したが、改めて自分が得ている情報なんて欠片も良い所

ポーラ・スー >  
「だって、それくらいしないとダメだったのよ。
 これでも一番防ぎやすい手段を選んだの、だから許してくれないかしら?
 高圧電流と電磁波なら、大抵の監視は誤魔化せるから、ね?」

 だめ? と小首を傾げて子供の用に許しを請う。
 事実、それだけしなければ、女への監視を一時的に誤魔化す事は不可能だったのだ。
 GPSと盗聴器、脳内のマイクロチップ、そして衛星による監視――いずれもを一度に無効化できるのは先ほどの技しかなかったのである。
 ――などと、そこまでつぶさには説明しないが。

「あらあらあらあら――」

 そして、少女がなにを聞いたのか知れば、目を丸くして困った顔をした。

「まあまあまあ――めあちゃん、それはとてもよくないわ。
 一つだって、知ってる事を悟られちゃだめよ?
 その時はきっと――」

 そう言って、右手の爪先で、左の手首をすっとなぞった。
 それは言外に死を示すジェスチャーであり――

「――あなたに関わる全ての人に危険が及んでしまうわ。
 それは、わたしもめあちゃんも、望んでいない、そうでしょう?」

 そう、人差し指を立てて、ナイショよ、と囁く。
 

メア > 「あぁもう分かったから、別に殺されかけるのはこれで二度目だし良いよもう。
そんな事よりさっきの話だ。」

必要だったしアドバイスもあったので、もう気にしない
それにしてもあれだけやらないと監視が緩まないなんて何が後ろに居るのやら

「良くないわって…悟られるって誰にだよ。」

悟られたら周囲の人間纏めて死とはとんでもない厄ネタだった
眠り際になんて事を教えてくれたんだと頭をかく

「別に言いふらす様な真似はしてない、そこまで厄介な話しだとは思ってなかったけどさ。
それで?どうせ知ったんだから他にも教えてくれるかな。

今現在あーちゃんに起こっている事、後ろに何が居るのか。
後はまぁこの前クズ鉄にしたあの妙な刀の事とか。」

ポーラ・スー >  
「ふふっ、そう言ってくれると思ったわ!
 やっぱり美少女は優しいのねっ」

 ぱちん、と手を叩いて嬉しそうにする。
 呆れられても仕方ないような、子供じみた反応だ。

「――クライン教授、よ。
 彼女に知られたら、計画の邪魔になる物は全て消されてしまう。
 人も物も、動物も怪異も、何であっても関係ないわ。
 彼女はそれが出来てしまうの。
 だから気を付けて、蛇はいつでも暗がりに潜んでいるから」

 そう、少しだけ心配するような視線を少女に向けて、素直に答える。
 脳内のマイクロチップが焼き切れているおかげで、言語野への支配が無くなり、少女に伝わる言葉で会話ができるようになっていた。

「クライン教授による、アルカディア計画(プロジェクト)
 簡単に言うなら――そうねえ」

 少し悩んでから、しかし、はっきりと答えた。

「この混沌とした世界に、唯一絶対の神を生み出す計画よ。
 人も怪異も、神性を持つような存在も、あらゆるものを凌駕して支配する、絶対存在。
 その鍵になるのがわたしであり、アルカディアであり、『あーちゃん』なの」

 女が口にしたのは荒唐無稽な計画だった。
 それは到底、成功しえないと、多くの者が断言するだろう。
 しかし。

「そしてその前身にあったのが、星骸(せいがい)計画。
 異界に存在した絶対神の亡骸を利用して、人工的に神を創造する計画。
 『あーちゃん』は、星骸(せいがい)計画の被験者で――わたしはその結末。
 でも見ての通りわたしは神様じゃないし、星骸(せいがい)計画は失敗した――はずだったのよ」

 そう言って、女は自分の首に触れた。
 そこには、不自然なほど大きな手術痕が刻まれている。

「クライン教授は星骸(せいがい)計画を諦めなかったわ。
 そして最も星骸(せいがい)との適合率が高かった『あーちゃん』の身体を、星骸(せいがい)と置換したの。
 首から上だけを残してね?」

 女が語るのは、一つ残らず狂気の沙汰。
 そして、己の身体が正真正銘、神の亡骸へ首を挿げ替えた物と語りながらも。
 女のおかしそうな、面白そうな、微笑みは途絶えなかった。
 

メア > 「美少女は認めるけどブスが優しくないみたいな事言うなよな。
前に言ってた奴だっけたしか、何でも消せるってそう言う異能?」

組織としての力としてであれば怪異とまで言うのはおかしく感じる
あれは物によってはどれだけ権力が有った所で通用しない
強力な異能持ち…その可能性が高いか

「はッ、絶対神とか。
そんなバケモン作ろうとするサイコ女とそのカギがあんた自身だって?」

なら何か、目の前の彼女は現人神と言った所か
馬鹿も休み休みと言い切れないのはこの世界がそう変わってしまったからだろう
神、その存在はおとぎ話ではなくなっている

「ちょっと待て、絶対の神の亡骸なんて何で存在してるんだよ。
しかもそれを創ってどう制御する?
やってる事がめちゃくちゃじゃないか。」

絶対神がなぜ死んでいた?
あらゆるものを凌駕する神なんて生み出して支配されたいのか?
アルカディア計画、そして星骸計画
どちらも根底からいかれていると呟く

「異界の神の首から下を何となく合った人間に置き換える。
そして今は試運転をしてるって事?」

何が楽しいんだと言いたげな表情を浮かべる
仮にいま語られた事が全て真実なら何一つ面白い要素なんてない

ポーラ・スー >  
「うーん、教授が持ってるのは純然たる科学技術よ。
 神性や怪異すら滅ぼせる、とっても怖い、科学兵器」

 それは異能や魔術が台頭し、異邦人や怪異が跋扈するようになった世界では軽視されがちな技術。

「対神兵器、黒杭(こっくい)
 とある博士が、偶然『造り出してしまった』、最悪の兵器よ」

 そう、なにかを懐かしむように話す。
 その語り口から、その兵器が唯一ではなく、量産可能な物である事が感じ取れるだろう。

「ふふっ、ほら、聞けば聞くほど困っちゃうでしょう?
 だからほんとうはこんなこと、知らない方がいいに決まってるのよ」

 くすくす、と少女の反応を見て笑う。
 悪気があるわけでなく、純粋に、その反応が面白いのだろう。

「そうねえ、めあちゃんは賢いから、順番が分かれば整理できちゃうかしら」

 そう言ってから、女は指を一つ立てる。

「神性を科学的に研究していた、とある博士が、本当に偶然に、黒杭を作ってしまった」

 二つ目の指を立てる。

「偶然、とある異界に繋がる安定した門が産まれてしまって、そこには唯一絶対とされていた神様が存在していた」

 三つ目の指。

「星骸を手に入れた博士は、人類を再定義するための計画を始動させるけれど、最悪の形で失敗してしまい、博士もまた人ではなくなってしまった」

 そして四つ目。

「博士の助手は、博士の計画を引き継ぎ、拡大させてしまった。
 そしてその計画は形を変えながら、今も、少しずつ、確実に進んでいる」

 そして手の平を広げて、自分の胸に当てた。

「わたしも全部を知ってるわけじゃないけど、どうやって制御するのかは――ね?」

 少女の言った通り、まさに研究中であり試運転中、と言えるだろう。
 ただ。

「なんであれ、教授は本気よ。
 わたしがその証拠――わたしの力は、星骸に宿った正真正銘、神様の権能そのものよ」

 

メア > 「それはもうほぼ異能だよ…」

とんでもないことを言い出した
科学技術と言えるのかそれは…そっちの方が怪異である

「偶然神に仕える兵器を生み出すとかどうなってんだよ。
もうそいつが邪神だよ、知ってしまったからもう遅いけどね!」

兵器と言うからには銃と同じで誰でも使える量産可能な物なのだろう
ある意味では、世界の終わりに駆け足している事になるかもしれないそんな代物

「あーなるほどなるほど、絶対神がやられるなよチクショウ。」

偶々できた兵器でもって偶々行けた異界の神を素材にしたと
しかもその諸悪の根源は残念ながらご存命である

今の所悪いニュースと悪いニュースが重なって最悪のニュースになっている

「それで?
あーちゃんとその頭がどこぞの饅頭みたいになった異界の神様はこのまま世界がバケモン博士の玩具箱にされて良いと思ってるの?」

とりわけ一番重要な事を尋ねる
聞いてしまった以上、何とかしたい
何とか出来る出来ないではない、手遅れになる前に抗いたい

そんなバカげた計画の協力者は居るのかと

ポーラ・スー >  
「進み過ぎた科学技術は、魔術や異能と見分けがつかない――なんて、昔、似たような言葉があったわ」

 事実、異能や魔術を用いていないとは言え――あの兵器は明らかに尋常の物ではないのは確かだった。

「研究者は好奇心には抗えない物、だそうよ?
 博士が本当にそんなものを作りたかったのかは、もうわからないけど」

 そう言った時、ほんの少しだけ女は寂しそうに目を細めた。

「――ふふっ、めあちゃんは、わたしに何かができると思うのかしら?」

 そう、可笑しそうに笑ってから、今度は困ったように息を吐いた。

「クライン教授に協力する人は、少なくないわ。
 ねえ、めあちゃん。
 今この世界に、超常を受け入れられない人達がどれだけいると思う?」

 この異能や魔術を始め、超常の存在が大多数の島にいると忘れがちになってしまう事。
 それは――なにがあろうとそれらを受け入れられない人間がいて、それらを徹底的に排除したいと考える人間がいるという事。

「ただ、教授の研究はまだ未完成もいいところなの。
 だからわたしみたいな『失敗作』が出来てしまったのよ。
 もし彼女の計画を妨害するのなら、必ず起きる『失敗』を待つのがいいと思うわ。
 その時だけは、あの教授にも隙が出来るはずだもの」

 女はそう答える。
 だがそれは――その『失敗』に伴う被害を許容するという事でもあった。
 

メア > 「それを本当に実現させてるのは初めて聞いたよ。

好奇心?そんなので世界大崩壊のピンチを呼び寄せられたらたまんないよ。」

好奇心は猫を殺すらしいが今時だと世界もついでに巻き込むらしい
当初どんな高尚な目的だったとしても今聞いた限りは迷惑甚だしい

「今、こうやって計画の邪魔には付き合ってくれてるじゃん。」

何もできないなんて言わせない
諦めた上でこうして話しているのかもしれないが、少なくともメアと僕は諦めていない

「そりゃ、ごまんと居るだろうね。
この島の中ですら異能の有る無しだけでもどれだけ歪みが産まれる事か。

ならこういう事?
何もせずただ指をくわえてバケモン教授がしくじるのを運試しみたいに待てと。」

好機を窺う、別に悪い手ではない
それが最善手なのかもしれない
ただ、それが気に入るかは別問題

「やなこった。
失敗が起きるのを待つより起こさせる方が効率的じゃないか。
それとも第二第三の『失敗作』が出来上がるのも仕方ないと受け入れるのか?

あの時助けを求めたあんたがそれを言うのか?」

諦められない
何とかしたい
手を伸ばしたい

だからあの時助けを求めたんじゃなかったのか

ポーラ・スー >  
「――ああ、本当にそうなのね」

 あの時助けを求めた――その記憶は女には存在しない。
 けれど『■■■■■』が少女にキーワードを伝えたのはどうしてだったのか。
 少女を巻き込まないためか――それとも。

「――わたしにできるのは、今みたいな、ちょっとした小細工だけよ。
 もし、わたしが制御下から少しでも離れたと思われたら、わたしは即座に処分されちゃうもの。
 それこそ、タイムラグもなく、一瞬で死んじゃうわ。
 わたし、死ぬのは嫌なの、絶対に嫌なの、本当に、嫌で嫌で嫌で――」

 自分の死を意識する事が一つの切っ掛けになっているのか。
 女はタガが外れたように、嫌だと繰り返し続ける。
 その目が徐々に虚ろに、狂気の色を滲ませはじめる。
 だが――唐突に、その目に正気の色が戻った。

「――『第二方舟(セカンドアーク)』」

 ポツリ、と。
 零れた言葉は、間違いなく何かの名前だった。
 それは研究区に存在する、ある研究施設の名前。
 正式な申請を通して存在するその施設を知る事は、それほど難しくないだろう。

「――――」

 そして、その言葉を残して、女はまるで廃人になったかのように、呆然と宙を焦点の定まらない目で見上げたまま静止してしまった。
 

メア > 「死ぬのが嫌なんて、誰でもそうだよ。」

だから、こんないつ殺されるかもわからない状態をどうにかしたいんだ
またおかしくなり始めた…時間切れかと思わず舌打ち

「は?セカンドアーク?」

何だそれはと聞き返す前に静止した
何もない場所を見つめたまま

制御下に戻ったと言った方が正しいのだろう
化け物教授とその一派達に

「せいぜい笑ってろクソ教授、子供の我儘と執念舐めんなよ。」

彼女の視線の先に向けて中指を突き立てる
電流が収まっていればこの場所から離れる様に逃げ出そうとするだろう
そうでなければ、敵となる相手の顔でも拝んでみようか

ポーラ・スー >  
 ――女が何の反応も示さなくなって、少しの後、周囲の電流は徐々に弱まっていくだろう。
 それこそ、少女であれば然程の苦も無く抜け出せる程度に。

「――しにたくない」

 去ろうとした少女の耳に、虚ろな声が聞こえるかもしれない。
 それは確かに誰もが思う事なのかもしれなかったが。
 この『骸』にとっては、歪だが切実な願望でもあった。

 少女が速やかに立ち去れば、それと入れ違うように、重武装の一団がやってくる事だろう。
 そして『骸』は回収され――再び狂気の深淵へと沈んでいく事になるのだった。
 

ご案内:「落第街 路地裏」からメアさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」からポーラ・スーさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」にハインケルさんが現れました。
ご案内:「落第街 路地裏」に紅き疾風ノ狂犬さんが現れました。
ハインケル >  
「今日はアイツラいないだろうな…」

最近この当たりを跋扈している白黒の仮面の連中。
組織の動向が確定しないうちはなるべく関わりたくないところではある。

ポケットから増血剤入りのキャンディを取り出し、口に頬張ばってのお散歩。

「まぁかかってきたらもう容赦しないけど…」

あくまでも、見回りも兼ねて。襲ってくるなら組織としての駆逐ではなく個人としての正当防衛だ。
その足はのんびりと、とある場所へと向かってゆく。

紅き疾風ノ狂犬 > 向かった先は、
やけに静かな場所だった。
仮面の連中もあまり
立ち寄ってはいないような場所。

封鎖区域。
何て呼ばれているかもしれない。

そこにいるのは
紅色の死者の群れ。
見回りをするには目に余ろう、
この街に蔓延る病

大きな感染源と言えよう存在が
風刃を散らして
そこに佇む



紅い犬

二足で立つ獣―――その点は貴殿に似ているやもしれぬが、
怪異は言葉を持たぬ

貴殿がその場へあと1つ
踏み込んでくれば

遠隔より
容赦なく不意を打つ心算ッ

DATA >  
紅き疾風ノ狂犬
風を纏う猛獣。
非常に素早く、非常に獰猛で、非常に危険。
今までの多くの紅き屍骸と違って、足が速いうえに追いかけてくるので、
鉢合わせした場合、逃走すら困難である可能性が高い。
発見された封鎖区域:エリア■■■には近寄らない事。

ハインケル >  
「───」

(パキン)

口の中のキャンディを噛み砕き、スティックを吐き捨てる。

識っている。
識ってはいた、が。
落第街(ここ)では怪異の発生も跋扈も事件も、あって然りのエリア。
情報を組織で共有こそすれ、静観。
まぁいざ接触することがあったら───。

それはその時に考えよう、そう思っていた。

「此処が例のエリアだったかぁ…。
 もしもしワンちゃん?言葉はわかるカナ?」

服の余った袖をひらひらと振って見せながら、にこやかに少女は歩み寄ってゆく──。

紅き疾風ノ狂犬 > 言葉は、
通じない。

"この"怪異は言葉を持たない。

だが。

言葉の代わりに伝えよう。
殺意に乗せて伝えよう。

びゅおう
ふ―――ッッ!!

歩み寄る貴殿の
四肢を切り裂かんとする

烈風の刃が

"背後"から

巻き起こるッッ
初手不意打ちッッ!!



"伝える言葉はたったの2文字"

そう―――

紅き疾風ノ狂犬 >  


           死ね。


 

ハインケル >  
手を振ってみた。
言葉もかけてみた。
返答は如何に?

それは実に雄弁に語られる、風の刃。

「っと───!」

人間の反射神経では無惨に切り裂かれていたところ。
生憎とそれを凌駕する"怪物"である少女は跳ねる様にその場を横跳びに離脱する。
──それでも、その刃は少女の服の一部を掻き裂き、覗く白肌に朱の一線を残す。

「…ご挨拶だなぁ。これ、結構なお気になんだけど」

ズレた帽子を目深く被り直し、鋭く覗く紅い視線が、自分を襲ったモノを見据える──。

「面白いね。殺してみなよ」

これは私事。急に襲われたから喧嘩を買った───それだけだ。
笑みに釣り上がった口の端から鋭い牙を覗かせる様は、臨戦態勢の肉食獣にも似る──。

紅き疾風ノ狂犬 > 不意打ちは、
4発とも避けられた
だが掠った。

血が出た。
浅いながら傷を作れた。

怪異は"確信"する。

"こいつは傷つけることが可能である"

そして、
怪異は"確認"する。

"その傷を以って不完全でも感染へ導けるか?"

紅が染みる筋から、
殺害欲が流れるやもしれぬ。

さりとてそれは"意思の強さ"の身を以て抵抗も削除も容易なもの。
重要なのは、可能性なのだからな。


向かい合う獣同士。


戦いの合図。

紅き狂犬がうなりをあげる―――ッッッ!!!
拳を握るッッッ

それと同時に

明転する紅色の障壁
戦闘時にのみ纏う"物理攻撃"への障壁
それが煌めいたッ




"殺してみなよ"―――?

紅き疾風ノ狂犬 > ―――ありがたい。
実にありがたいではないかッッッ

ならば死ね
今すぐ死ね
ここで死ねェッ!!!

紅き疾風ノ狂犬 > 互いに認識しあった以上、
最早不意を打つ必要などない

轟轟たる音を伴う
風刃の球塊を咆哮と共に放つッッッ

巻き込まれた木々も瓦礫も
ミキサーにかけられてジュース同然ッ

砕けて死ぬが良いッッッ!!!

ハインケル >  
…お? 昂ってるな…。
相手が、じゃない。いや相手も昂ってはいそうだが。
自分が、だ。
それは自然に漏れ出た笑みも然り。

「ははッ!」

少女の帽子のつばから覗く紅い瞳の瞳孔が変化する。
黄金の、三日月を思わせる様な鋭いものへと。
差し向けられた風刃の破壊球、…同時に短く哂った少女は。

その球体へと強烈に己の脚を叩きつけた。
横薙ぎ、球体の回転とは逆のベクトルを持つ蹴り。
そんなか細い脚でと侮るなかれ、
神話の時代に決して切れぬと謂われた鎖を容易く引き千切って見せた魔狼の剛脚。
全く逆回転の力を叩きつけ、風刃をそよ風へと変えてみせよう。

「いいね。いい殺意。久々だね───堪んない!」

感染の影響か、元々の抑えられていた気性か。
あるいは両方か。

「あっはは、ははははははっっ!!!」

狂笑。
帽子をその場に置き去りに綺羅びやかな黄金の髪を棚引かせ、地を蹴る。
風よりも疾く、荒々しく。嵐が巻き起こす突風が如く肉薄する少女は、常人のモノとは思わぬ、その拳足を振るう。
頭?腕?脚?当たればどこでもいい、どこに当たろうと『壊せる』そう信じて疑わない、ただの暴撃。
そこから感じられるものは、人が恐れる魔性を得た、神をも喰らう野生そのもの───。

紅き疾風ノ狂犬 > その脚力―――ッッッ
なんたる威力かッッッ!!!

風刃の塊を
ただ一撃にて微風へと変えるッッッ

それ即ち―――

"かの刃と同じか、それ以上の力量を示された"事を、意味する!


その脚で振るわれる暴の一撃。
仮に当たれば

"今度はこちらがジュースになる"だろう…!

が、

しかし―――!!!

バリィーーーーーッッ!!!
紅色が明転する

物理攻撃への圧倒的な防御力を誇る、障壁。
ビルの崩落にすら傷一つ負わぬ、
万を超える銃弾すら弾く、
対物理障壁

しかし、

しかし、だ。

その威力を前に
纏った壁がガラスのように砕け散る

丁度その一撃を

神すら喰らう猛獣の一撃を

全て抑え込んで、
役目を果たして散ったのだった。

威力の余波にて後退る狂犬。
幸い傷一つ負っていないが、もう、後がない。



怪異は"確信"する。

"こいつはヤバい"

怪異は"確認"する。

"だが一手、一手でも入れられぬか?"


後退り、劣勢を察してなおも余りある殺害欲を隠さぬ。

"隙があれば付け入ろう"

あらゆる手段を以って殺傷を諦めぬ

あくまでも、隙が無いなら?

"ならば砕ける覚悟を以って殺しを試みよう"

何故なら怪異は貴殿と"戦い"がしたいのではない。





"殺し"たいのだ。

ハインケル >  
「……っふ、ははは。あれ、もう来ないの?」

砕けた紅の残滓、…今日は妙に口が饒舌に滑る。
久しぶりに"噛みつかれて"興奮してるのか。

自分が暴れれば多大な痕跡が残るから。

それ故に組織に身を置いて以降、冷静に努めた。
それがたった一撃で戦闘態勢を引き出された──久しいことだ。
今は、その久々の感覚が愉しくて仕方がない。
理性に抑えられた"暴"
本来の性分は、破壊を悦とする魔獣。

「相手が悪かったね。───"犬"が"狼"に敵うかよ♡」

ポケットからキャンディを取り出し、口へと咥える。
来ないならこっちから行こうか?と、悠然と己を襲った怪異へと、歩みを進める──。

紅き疾風ノ狂犬 > 犬と狼。

なるほど
格の違いは先の一撃にて明白となった

だが

このまま終わるか?
襲われて情けなく散るか?

殺しすらろくに成し得ぬままに

負け犬として果てるのか?

紅き疾風ノ狂犬 >  
―――否





断 じ て 否 ァ ッッ!!

紅き疾風ノ狂犬 > 風を伴い宙へ舞い上がる紅色の狂犬ッッ!!
天空にて次々と開く"風の窓"
それら全てが烈風を巻き起こして
大地に注ぐ蹂躙の風を成す

広域攻撃

本日の天候は晴れ後紅嵐
紅い烈風が吹き荒び
地へと叩き付ける

脚一本では防げまいッッ!!
脚一本では届くまいッッ!!

狼よ
怪異の殺意を思い知れ―――ッッ


さあ

傷つけ
砕けよ

死ねッ

死ね…死ね…死ね死ね死ね死ね死ね…死ね!!

持たぬ言葉の代わりに、

風刃一つ一つに乗せて"死ね"との意思を伝えよう!!