2024/08/31 のログ
■フィスティア > この状況で笑顔を見せる余裕があるのは羨ましくすら思います。
こちらは必死です。そんな余裕はありません。
「ッ…どうでしょうか……!」
指揮について指摘されてしまうと…嫌な記憶を思い出してしまいます。
忘れてはいけない、私の罪科…いえ、そんなことを考えている余裕はありません。
彼もそんなつもりで言ったのではないでしょう。ですが、その言葉は私に一瞬の隙を生みました。
落された何か…それは――
「…しま――」
私が動けないでいると、盾の騎士さんが全身を私とそれの間に潜り込んできました。
その背中に苦々しい記憶を再度思い出すと同時に、全身に鈍い痛みが走りました。
それ…爆発物が、爆ぜたのです。
騎士さんが守ってくれたとはいえ、完全に防ぎきれなかった爆風は騎士さんごと私を吹き飛ばし、5mほど吹き飛ばされます。
「ぅ…ぐぅ…」
意識はあります。身体も痛いだけで動かない事はありません。
ですが、細剣は落してしまいました。痺れていた手で握り続ける事は出来なかったようです。
なんとかオモイカネを握っている右手も…爆撃の痛みで手が開きません。
騎士さんは…ありがとうございます。そしてごめんなさい。
槍の騎士さんも爆風でやられています。弓の騎士さんは生き残っていますが、一人では…
「騎士…さん…」
なんとか一人だけ騎士さんを呼び出します。
盾と片手剣の騎士さんです。
私の前で私を守ってもらいながら、その間にふらふらと立ち上がります。
弓の騎士さんには矢を向け続けてもらいます。射はしません。隙が生まれますから。
彼は距離を離していきます。追撃…はしません。無理です。この状況では捕縛は諦めるべきかもしれません。
「…海藤…そうじさん…
次…出会ったら……その時は、捕まえますから……!」
弱弱しいかもしれません。ですが、私は睨みます。
あなたは私が捕まえてみせます。次の誰かを殺させない為に…!
■海藤 宗次 >
「この場はまず撤退が優先や。第一目標の取引は成功した。バレずにやれちゅうんは無理やったが…まあ、これは後でリカバリーせなアカンな。」
物陰の近くに下がる。
彼女を皮切りに情報は伝達するというのにリカバリーなど今更できるのだろうか?
しかし宗次は強がりではなく気味悪い笑みを意味深に浮かべるだけだ。
「フィスティアちゃんだったか。本体はまあ、それなりってとこやったが…詰将棋でもしてるかのような立ち回りと駒の使い方は上手かったで。俺も見習わなあかんなそれは」
彼女の戦闘スタイルを分析する。
頭数で有利にし、守って、一瞬の隙に勝ちを狙う。
総じて優秀。隙が無く優等生だ。これは突き崩すのは容易ではない。特にこのようなこちらが急ぐ状況では彼女は無類の厄介さを誇るだろう。
「お優しい、捕まえるだけか。…ほなこちらは遠慮なく次はやらせて貰うで」
鼻で笑う。
彼女が守りに徹するスタイルはこれが理由か。
まあ分かったとて何かしらの搦手がなければ難しいが。
彼女が護衛を呼ぶ前に物陰に隠れる。
追いかける頃にはいなくなっている、マンホールが開いて複雑な形の下水を通って逃げたのだろう。
■フィスティア > 「お褒めいただき、ありがとうございます」
お褒めの言葉こそいただきましたが…それは、お世辞のようなものとでもいうのでしょうか。
こちらが有利な状況で、彼の攻めが分かりやすかったからこその結果です。
最初に脳天を撃たれていたら…ぞっとします。
「しっかり反省していただかないといけませんから…」
爆発物と銃器を持った相手です。
ここからの不意打ちも考えられます。
…とはいえ、剣も取りこぼすようなこの身では不意打ちされても何もできないでしょう。
なんて不安は無事外れて、彼は逃げてしまいました。
一瞬追う選択肢もよぎりましたが、諦めて回復を待つことにします。
一分程経って、ようやくオモイカネを操作できるぐらいには痛みが引きました。
風紀委員会の増援を呼んでから、彼の逃げて行った先を見ると、マンホールの蓋が開いていました。
どうにもここから逃げたようです。
その後、到着した風紀委員の皆さんにより、私の報告を基に周辺の調査が行われました。
最終的に海藤さんは見つかりませんでしたし、渡された腕章も行方不明の生徒のものと一致することが判明しました。
そして私もお叱りを受けました。事件の発覚や犯人の特定といった功績を除いても…単独での勝手な行動はやはり良くなかったようです。
…海藤さん。私はあなたを許しません。もう二度と、誰も殺させないためにも。
私はあなたを捕まえます。
ご案内:「落第街 路地裏」から海藤 宗次さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」からフィスティアさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」にギフタ―さんが現れました。
■ギフタ― >
「逸材、という言葉を諸君は御存知だろうか?」
薄暗い路地の奥
男は語り始める
「優れた才能を持った者を指すのだが、ある意味での天才に近い者の事だ。
違いは天才は既に完成形である事。逸材とは伸びしろが存在しているという事。」
普段の仰々しい話し方ではなく穏やかな語り掛けるような声
それを聞く者の姿は見えない
されど男は言葉を紡ぐ
「この街、通称落第街は色々な事情を持つ者が住んでいる。
そして私が一番惹かれたのはこの街そのものが玉石混交の宝物庫だと感じた。
だから私は諸君に与えた、力を…過去の諸君では超えられなかった壁を超える切っ掛けを。」
■ギフタ― >
「結果は諸君も知る所。
ギフトを受け取った者達は元気にこの街を活気づけてくれた。
だが、その中でも諸君はただ壁を超えるだけでは収まらなかった。」
パチ、パチ、パチ
短い拍手が鈍く響く
「諸君が見せた成長、私は高く評価する。
私に迎合する必要はない。
私に仕える必要もない。
ただ思うままに君達の好きな様にこの街を彩ってくれれば私は嬉しい。」
一礼
そして周囲に漂う異様な気配はどれも霧散する
改めて、この場所には怪人ギフタ―ただ1人
■ギフタ― > 「さぁ、お待たせした観客の皆様。
今宵より始まるのは群像劇ではなく個々人の織り成す英雄譚。
深淵に魅入られ深淵を愛した者達の反英雄譚、どうぞお楽しみあれ。」
第二幕の始まり始まり
ご案内:「落第街 路地裏」からギフタ―さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」にマリア さんが現れました。
ご案内:「落第街 路地裏」からマリア さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」にマリアさんが現れました。
■マリア > 「悪い魔人さんたち!
貴方達のの好きにはさせない!」
鈴を転がすような声
ステッキには光が集まり収束される
少女の言う魔人達、風紀委員達と争っていた不良達全員にステッキを向ける
突然現れそんな事を言いだした少女に向けられる視線は困惑ばかり
しかしそれは次の瞬間に全く別のものに変わる事になる
ご案内:「落第街 路地裏」に橘壱さんが現れました。
■マリア > 「スターライト…スプラッシュ!」
張りつめた風船が弾ける様に収束した光が弾ける
細かく別れた光はそれぞれが物を、人を破壊する弾丸となって飛来する
少女から一番近い場所にいた風紀委員と不良の内2人は文字通りハチの巣状に穴が開いてほぼ即死
他の者達も重傷軽傷合わせればほぼ全員が傷を負う結果に
「悪い魔人さんがこんなに沢山…でも私負けない!
バトンも頑張って!」
そう言ってまたステッキに白い光が集まる
またアレが来る
異能を準備する者、所持していた武器を構える者
落第街で慣れている者はすぐに臨戦態勢を取る
ただ、全員が勇気をもって異常に立ち向かえるわけではない
様々な反応を見せる中少女は敵にステッキを向ける
「逃げるなんて!
でも魔人さん達は逃がしたりしないんだから!
スターライト、レーザー!」
真っ直ぐに放たれた光は線上の障害物を貫きながら逃げ出した風紀委員の青年へと迫る
初めての風紀委員としての仕事でハズレを引いてしまっただけの真面目な青年
そんな彼を光線は庇おうとし別の風紀委員ごとまとめて貫いた
■橘壱 >
落第街上空、雲を駆け抜ける青い閃光が一つ。
現在落第街の一部の区域にて風紀委員が交戦中、至急応援をされたし。
此の伝令を受けて、鋼鉄の機人は高速で駆け抜ける。
非異能者であれど、早急に現場に駆けつける事が出来るのは科学の力だ。
全身のバーニア制御をしながら、操縦士の少年はモニターに目を向ける。
『……強大な魔力反応?…!何の光だ……!?』
鉄仮面の奥、モニターに映し出される膨大な魔力係数。
既に戦闘は始まっていると聞いたが、明らかに過剰な力だ。
違反者の中に、強大な力の持ち主がいたのか。わからない。
少なくとも、"捕縛"するにあたっては不必要な力だ。
焦燥感に奥歯を噛み締め、最大戦速。
重厚な音と土煙を上げ、路地裏へと降り立った鋼の両足。
全身から百年を排熱し、水色の一つ目が光り輝いた。
だが、モニターに映したのは無情な現実。
違反者も風紀委員も、皆一応に血の海に伏している。
『間に合わなかったか……生存者は……?』
心がざわつく。息を呑み、顔をしかめた。
だが、動揺を表には出さない。敵はきっと直ぐ傍にいる。
風紀委員、違反者、双方に生存者がいないか生体レーダーを巡らせる一方
一つ目はその魔法少女を見据えていた。
此の惨劇の中、唯一立っているであろう、その人物に。
『……キミは何者だ?まさかとは思うが、キミがやったのか……?』
沈んだ声音が、少女に問いかける。
■マリア > 逃げ出した敵への追撃は十分
死んでても生きててもすぐには動けない
改めて目の前の魔人さんの相手…の前に新たな乱入者
機械仕掛けの不思議な存在
「私?私はマリア、魔法少女マリアよ!
貴女は…魔人さんなのかしら?中身が見えないから分からないわ。どうしましょう…」
お顔が見えない機械仕掛けの人
魔人さんの仲間?でもそうじゃなかったら?
魔法少女が守るべき人間に怪我を負わせちゃったら大変
もしかしたら!とマリアは悩む顔をやめてニッコリ笑う
「私のお手伝いに来てくれたのかしら?
それなら一緒に魔人さん達をやっつけましょ!」
敵ばかりのこの街でもしかしたらやっと味方と出会えたかもしれない
少女の胸は期待で満たされている
■橘壱 >
負傷者多数。"当たり所が悪い"のもいたようだ。
だが、全滅でないだけ最悪よりはマシだ。
生体レーダーに映された情報を元に即座に判断、実行。
バックパックの下部からコロコロと落ちて来る無数の球体。
地面に転がるとぽん、と手脚が生えてきて負傷者に向かっていく。
簡易的な構造だが高度な自律AIによる緊急医療用小型ロボだ。
持ち運びは当然、弊社の得意分野である医療行為も行える。
此の携帯性と高性能さがウリであり
特に医師が出向けないような現場や複数人の患者がいるのに重宝する。
モニターに乱反射する少年の表情は彼女には見えない。
だが、恐ろしく複雑なしかめっ面。視線も何処か手厳しい。
『……僕は風紀委員所属の橘壱だ。
マリア、何故こんな状況で笑っていられるんだ?』
小型医療ロボが早速作業に入る。
負傷者の傷口の縫合、止血、輸血行為。
また、見た目に似合わぬ馬力による搬送作業。
そんな忙しない最中、まるで残されて向き合う二人。
こんな凄惨な、人が死んで傷ついての現場で、何故笑える。
酷く沈んでいて、自らの気持ちを抑えつけるように声音は低い。
『魔人……じゃないかな。機械は扱うけど、ただの人間。
此の世界の若者じゃ恐らく少ない方の、非異能者の子どもだよ。』
『そんなことよりも』
一つ目が強く光り輝く。
『質問に答えて欲しい。この有り様は、キミがやったのか?』
■マリア > 狙った訳ではない、今回は偶々
数が多かったのでとりあえず減らす事から始めた
そのおかげで助かる命もある
「風紀委員?何かしら…グループの名前?」
マリアはそんな名前を知らない
考えてみても思いつかない
笑っているのはやっと仲間を見つけられたからと思っているから
けれどコロコロと零れ落ちた球体たちが治療をしているのを見れば悲し気に眉を下げる
「そんな…貴方も魔人さんの仲間なのね…
折角お仲間を見つけたと思ったのに……
ありがとうバトン、そうだよね。」
涙が溢れそうになる
手に持ったステッキに話しかける様子だがステッキからは音も何もしていない
ただ1人で質問して1人で納得したように見えるそれは出来の悪い一人芝居の様
けれど悲壮感に打ちひしがれそうだった少女はもう居ない
そこには自分の使命に燃える一人の魔法少女
「魔人さんの味方なら貴方も敵ですね!
私負けません!スターライト……」
杖に白い光が収束し始める
意識のある者はそれを見て小さな悲鳴を漏らす
少女の口からは何も語られていない
けれども状況が少女の犯行だと指示している
「スプラッシュ!!」
パン、と弾けた光は放射状に光の粒を飛ばす
光に当たればどうなるか、治療を受ける者と転がった2人を見ればよく分かる
機械の装甲なら人より重傷を負う事は無い筈、それが無い者達を除いて
■橘壱 >
放たれた放射状の光は、機人に届く前に展開された光の壁に弾かれた。
電磁エネルギーによるパルスシールド。
このAFは並み居る超常に立ち向かう為の鎧だ。
その戦闘用とかくたれば、シールドの強度・効果の汎用性も高い。
魔術製の高いエネルギーとて、このように遮断してみせた。
その蒼白の装甲には、届かない。
『(……魔力出力は高い。ふざけた格好だけど、本物だぞ……!)』
機体の出力をシールドに回したからこそ何事無く振る舞えたが
いざ戦闘が始まればそうは行かないだろう。
測定機に表示された魔力出力の高さ。少年は相手を侮らない。
此れが本気でないとすれば、とんでもない魔力だ。
オタク的にもこんな物騒な魔法少女は勘弁だ。
交戦の意思が見えるが、"まだだ"。
手を開き、掌を見せつけ待ての姿勢。
一旦此方に敵意がないことを示しているのだ。
『待ってくれ。僕としては、可能な限りキミと戦いたいとは思わない。
まず、順序立てて説明しよう。まず、此方に敵意自体は存在しない。』
ハッキリ言えば言いたいことも沢山ある。
だが、風紀委員は殺戮組織ではない。
暫定的である犯人とは言え、みだりに傷つけたりはしない。
まず、一つの可能性。出来の悪い一人芝居はおいておいて
彼女は、ただただ単純に物を知らないだけなのではないか、と。
『風紀委員は、まぁ、そうだな。平和を守るグループだよ。
僕はそこに所属していて、キミが"誤って"撃ってしまった人もそこに含まれている。』
『その魔人……というのを、悪い人と僕は解釈した。
僕らは確かに、そういった人と敵対することもある。
日夜魔人と戦っている点では、キミと同じだ。マリア。』
『そういう意味では味方同士とも言えるが、キミは無差別に攻撃してしまった。
勿論、そのことについてキミを責める気は毛頭ない。それよりも……そう。』
『@例え魔人相手でも、むやみに傷つけちゃいけないんだ@;;』
『そういう風にこの島……いや、街は平和を保っている。
もどかしい話だけど、一度捕まえて更生させるのが目的だ。
ただ倒して、やっつけるだけが目的じゃない。そうだろう?』
『悪い魔人が、反省してキミの仲間になるならそれはいいことにならないか?』
なるべく簡潔に、相手の目線、言動を合わせて説明する。
非異能者であれど、人間の範疇では頭も回る方だ。
もし、彼女が対話可能であれば、一つの目処が立つ。
だが、問題はあの"一人芝居"。
『(話を聞かないタイプだったら……最も厄介だな……。)』
■マリア > 不思議な光に防がれてしまった
今まではそんな事が無かったのに、強敵の予感
「むっ、やりますね…ただの魔人さんじゃないみたい!
でも私は負けない!諦めたりもしません!」
ステッキが白く輝く
敵対の意志は無いと聞こえてはいる
風紀委員と言うグループについて
自分が行った内容について
彼が話す一般論に耳を傾け…
「魔人さんを倒してやっつけるのが私の役目です!
風紀委員さんは魔人さんと一緒に居たのでやっぱり風紀委員さんも魔人さんの仲間なんですね!」
対話とは近しい価値観と常識を持った者同士で通用する
価値観も常識も違う相手に理を説いた所でそれに意味は無い
寧ろ風紀委員という単語そのものが魔人と同列に扱われる始末
少女は前に跳び、ステッキから伸びた光が剣を形作る
「スターライトソード!」
振り上げ、けさきり光に防がれてしまった
今まではそんな事が無かったのに、強敵の予感
「むっ、やりますね…ただの魔人さんじゃないみたい!
でも私は負けない!諦めたりもしません!」
ステッキが白く輝く
敵対の意志は無いと聞こえてはいる
風紀委員と言うグループについて
自分が行った内容について
彼が話す一般論に耳を傾け…
「魔人さんを倒してやっつけるのが私の役目です!
風紀委員さんは魔人さんと一緒に居たのでやっぱり風紀委員さんも魔人さんの仲間なんですね!」
対話とは近しい価値観と常識を持った者同士で通用する
価値観も常識も違う相手に理を説いた所でそれに意味は無い
寧ろ風紀委員という単語そのものが魔人と同列に扱われる始末
少女は前に跳び、ステッキから伸びた光が剣を形作る
「スターライトソード!」
振り上げ、袈裟斬りに振り下ろす
熱光線をその場に留めた実態のない剣、触れれば文字通り焼き切れてしまう
■橘壱 >
どうやら、悪い方の予感があたってしまったらしい。
先程の一人芝居といい、妙に入り浸った世界観。
薬でもやってるんじゃないかってくらい、周りが見えていない。
思わずモニターの前で、深い溜め息が漏れた。
『……此方Fluegel。死傷者多数。
すぐに救護ヘリの応援を求む。此方は早急に現行犯の対処する。』
簡単に和平っていうのは作れないらしい。
応援要請はした。怪我人の対応はソッチで任せよう。
迫りくる光剣には寧ろ、全身のバーニアを吹かせて前進。
全面に展開したパルスシールドで受け止めれば
干渉余波によりバチバチと周囲の空気がプラズマ化し弾けて光る。
乱反射するモニターの奥で、少年は鋭く魔法少女を睨んだ。
『此処には怪我人がいるんだ……ちょっと"場所"を移すぞ!!』
声を張り上げ、バーニアの炎が燃え上がる。
対魔術用防御兵装の役割もあるとはいえ、出力の差。
鍔迫り合いは此方が不利。うだうだしてたら真っ二つだ。
だからこそ、敢えて前に前進する。
電磁パルスを盾にしたタックル。
バーニアの出力を活かした推進力で弾き飛ばす。
二次被害を出さないために、先ずは場所を移すことが先決だ。
■マリア > マリアにはシンプルな世界が見えている
目の前のやっつけるべき敵達と自分、ただそれだけが
「きれぇ…魔人さんなのにとっても綺麗です!」
弾けるプラズマの光に目を輝かせる
攻撃を防がれた悔しさよりもそちらの方に意識が向いている
演出を楽しむ視聴者の様に
「あ!他の魔人さん達を逃がす気ですね!」
させません!と声をあげれば少女の背に蝶の様な白い羽の様なモノが現れる
羽に見えるそれは魔力の噴出
生身の体にジェットエンジンを着けた様なモノ
後方へ退がらされながらも次第にその勢いは衰え、やがては拮抗する
■橘壱 >
少女の背中に表れた白い羽。
魔法少女ものの演出で見たようなものだが、推力を維持する魔法らしい。
初めは押し出していたものの、やがて拮抗し向かい合う。
二人の間に走るプラズマの一方で、ジリジリとパルスシールドに刃は食い込んでいく。
このままでは、間違いなくジリ貧だ。
『予定よりは大分近いが……仕方ない。
悪いけど、キミとこのまま付き合うつもりはない。』
しかし、少年は極めて冷静だ。
拮抗したまま、バックパックの再度から飛び出す細腕。
サブアームから迸るのは青白い稲妻、電気ショック!
暴徒鎮圧用のスタンアーム。機械の強みだ。
両手をではない、背部からにより不意打ち。
通常の人間なら、食らうだけで卒倒レベルの威力ではあるが、さて。
■マリア > シールドを裂くまでもう間もなく
勢いは拮抗しこのままいける
そんな中で相手が見せた妙な動き、機械ならではの不意打ち
「っ…!バトンお願い!」
今まさに剣としてシールドを切り裂かんとするステッキ
それに呼びかけるだけでは何も起こる筈はない
だが、結果は違った
純粋な物理的装備であるサブアームは稲妻を迸らせながら
少女に触れる前にピタリとその場に固定される
何かに掴まれた、抑えられたというよりもそこに固定されたという違和感のある止まり方
バトンと呼ばれるステッキに本当に意思がありそれが何かしたのか?それは分からない
ただお互いに埒が明けようとしているのは間違いない
「伸びて!!」
少女の言葉と共にシールド半ばまで食いついた光の剣の長さが伸びる
真ん中とはいかないが青年の顔の部分へと光が迫る
■橘壱 >
『(止まった……!?そういう魔術か……!)』
不意打ちで放った電流だが、止められた。
ストップモーション。どういう理屈はかはわからない。
得てしてそういうものだ、魔法、魔術。
摩訶不思議の奇蹟を起こすもの。
それも領域が高まれば"でたらめ"とも言える。
小手先だけの技術では簡単にはいかないらしい。
シールドを貫き、一つ目の目前────!
『……!』
そこに焦りも恐怖もない。
小手先の子供だましが通じないなら、真っ向勝負だ。
シールド解除と同時に、更に前進。
頭部を光剣が掠めるようにギリギリの回避運動。
同時に、両手の甲から展開する鎮圧用の電磁棒。
迸る電撃は十二分。その意識を刈り取らんと更に相手を押し出すために突き出す!
■マリア > 「あれっ!?」
シールドが消えて光の剣は半ば空を切る形で機甲を撫でる
表面を焼き切るものの中までは到達しない
「きゃっ!!」
押しあてられるスタンロッド
少女の体には十分すぎる程の電流を一撃で流し込まれる
意識を刈り取り少女は倒れる
青年は落第街での脅威を一つ摘み取る事となる
そうなる筈だった
■マリア > 「ば…とん…!おね…がいっ…!」
少女の意識はまだあった
そして声をかけるのは何も声を返さないステッキ
ふわりと少女の体が浮かぶ肉体運動によるものではなく文字通り吊り下げられた様に
そしてステッキからは未だ光が剣を形作りひとりでに少女の手に収まる
「どんなに、相手が強くても…魔法少女は…諦めたり、しません!」
まだ言葉がうまくつながらない
しかし少女の体は自然に、滑らかな動きで青年の鎧に横一閃の一撃を繰り出す
■橘壱 >
機体損傷。装甲は切り裂いたが本体までは達していない。
レーザーブレードの出力に匹敵する鋭さだ。
踏み込みの判断をやられたら顔をイカれてたな。
突き出した一撃、迸る電流。手応えはあった。
だが、倒れない。驚きはしない。そういう奴もいる。
特に相手が能力者なら、不思議じゃない。
見開いた碧の双眸は、モニターに逐一表示される情報を見逃しはしない。
バーニアを細かく駆動させ、姿勢制御。電磁棒を構え直す。
『……キミの背景がどんなものかは知らない。
だけど、こんな虐殺行為は表でも裏でも許してはおけないんだ。』
風紀委員として、人として、それだけは野放しにできない。
確実に電流が利いてはいるようだが、その体は倒れない。
しきりに気にするあのステッキ。……やってみる価値はある。
展開した光剣を手に、魔法少女が迫る。機人は動かない。
『僕からキミに言ってやれるのは一つだけだ。』
光の刃が鋼に迫る。
その瞳、その視線、言動、"驚異的な集中力"が目覚ましく世界を魅せる。
現実ではそうはならない。だが、迫る気配は確実にスローモーション。
如何なる状況でも冷静沈着さを失わない、驚異的集中力がなせるゾーン。
『─────魔法少女マリア、お前を逮捕する。』
横一閃、光刃が装甲表面に達した。
同時に両腕が加速。サブバーニアを使った急速加速による突き上げ。
狙いはそのステッキ。クロス状に電磁棒を振り上げ、弾き飛ばす算段だ。
確実に、そして狙いを外さないために、攻撃を受ける瞬間を狙ったカウンターアクション。
失敗すればコッチが重傷。此処一番の一撃──────!
■マリア > 動きは単純、胸目掛けての横一閃
いかに動きに無駄がなくともただそれだけ
それゆえに対処する方法も数多く存在する
「バトン!お願い!」
そして、青年が行ったカウンターという行為
それは悪手と言えた
青年が感じるであろう既視感
先程も似た様な状況だった
バーニアで急速に動くはずの腕はその勢いがステッキを捉える直前に急停止する
サブアームの不意打ちの時と同じ、抑える、防ぐではなく途端に停止し固定される
妨害を受けるはずだったステッキはそのまま振り抜かれた