2024/12/16 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」に廿楽 紫音さんが現れました。
■廿楽 紫音 > 虹色に反射する虹彩が揺れる。
立ち寄るのは、前回”殺し”の現場を見たのとは別の路地裏。
この辺りは落第街でも比較的危険と言われる場所だ。好き好んでやってくるような連中はいない…のが、普通。
好き好んでこんな場所にやってきた俺は変わり者なのかね。
「ん~」
とはいえ今日は何か起こっているわけでもない。
別段目的意識もなく、なんとなくでスラム紛いのこの場所にやってきたわけだが。
理由があるとすれば…先日見たあの”殺人”だろうか。
殺しに興味がなかったわけじゃない。ただそれは一般人の感覚程度のものだと思っていたが。
存外そんなものではなかったらしく。
「リスクは避けたいんだけどなぁ」
きっとこれも、生まれ持った性分というものか。
アングラを好む。法に触れる事をしたい訳ではないが、その傍にいたい。
あの時ルーフラットと名乗ったお兄さんは、「悪い事は手段」だって言っていたが…自らの手で事を成すことに興味がない自分にとってはどうだろうか。
何かを求めてるのではないか?なんて自問自答。
「どうせ身寄りもない身、なんだよな」
この島にたどり着いたときより前の記憶もない。
自分が何者なのか、なんてことは考えても仕方がないと思っていたけど。
自分がないままで生きてくのは少々、退屈だ。
■廿楽 紫音 > 「俺は悪い事が趣味なのかもなぁ」
いい子でいましょうなんていうのは性に合わない。
ルールを破ると罰があるから、それをしないだけで。
性根ではいい子ちゃんではないのだ。
だからこうして、落第街をぶらついている。
きっとこれは求愛行動に近いものなんだろう。
楽しいものを見せてくれと、アンダーグラウンドを練り歩いている。
金が欲しいでもない。生きるのに苦はない。
でも刺激を求め続けている。心地よくあるために。
「いっそ俺も落ちちゃおうかね」
そうすればできる事は増えるもんだ。
先日の彼のような通過儀礼を経て。
日常という帰る辺を失う代わりに。
そう考えて、違うなと軽く頭を振った。
それは”楽しくない”
厳密には、”楽しさがリスクと釣り合わない”だ。
自分がやって楽しめる事には限度がある。
出来る事にも、当然。
そんなもので満足はできない気がした。
殺人したって死体が増えるだけ。
大きな社会には何も影響なんて与えやしない。
もっと多くの人間を巻き込む事の方が、きっと楽しい。
「ん~……」
なら、何をしてみるか。
自分が捕まって法の下に裁かれたときに、それを甘んじて受け入れられるほどの楽しい事。
どんな手段を取れば、それを得られるだろうか。
■廿楽 紫音 > 「せっかくなら」
そうだな。
せめて一人、二人…まぁ、最低でもそれくらいは必要かな。
これから先自分一人が報いを受け、地獄を見るとして。
それくらいの人生は好きにしてみたい。
大規模じゃなくていい。ちんけで構わない。
それでも一人二人の人生を狂わせて、それを近くで眺めていければ、楽しいと思うんじゃないか。
「人は選びたいな」
誰でもいい訳じゃない。
元々汚れてるものを汚したってたかが知れてるもの。
もっと、綺麗なものを好きにしてみたいな。
前途ある、未来が輝かしいような、そんな子。
処女厨って訳じゃないけど、純潔ほど汚したくなる。
もしくは、それよりも綺麗だと思えるもの、とか。
「うん、よし…
見えてきたな。俺のやりたいこと」
行動に理由を求めて。
思考は一つの帰結をした。
目的が生まれたなら、行動は早い方がいいか。
こっからは研究だ。俺のできることで、俺がやりたいことを実行できるか。
これから始めるネタバレを一切聞いてない新作ゲームを始めて起動するときみたいに、ほんの少しの期待が胸に宿っていた。
まずは……
■廿楽 紫音 > 「ねぇ、そこの君」
近くでしゃがんで、煙草を吸ってる女の子に声をかけて。
にこりと笑って、優しい雰囲気を作って話しかける。
ここらにいる子でこうしてるのは大体、”そういう目的”の子らだから。
今の自分には丁度良かった。
”実験”から始めるとしようか。
何事も、学ぶことから始まるもんだし。
■廿楽 紫音 > 夜の落第街、金を求めて身を売る女と、それを求める男の二人が消えてゆく。
その先に何が起きたかは、ここでは語られまい。
ご案内:「落第街 路地裏」から廿楽 紫音さんが去りました。