常世学園も学園都市という一つの都市であるために、闇の部分も生まれていった。
その代表がこの落第街であり、このスラムであった。
落第街の路地に形成された貧民街では、学園都市から見捨てられた落第生が二級学生、不法入島者などが集合住宅やバラックに居住している。
ここはそう言った場所であり、そういう境遇の人間が何かの事件や実験に巻き込まれたところで、よほどのことがない限り表に出ることはない。
参加者(0):ROM(1)
Time:02:20:03 更新
ご案内:「スラム」から龍 翠蓮さんが去りました。
ご案内:「スラム」からイスラさんが去りました。
■イスラ >
「こちらこそ。またね♪」
優雅に歩き去る背を見送る金眼。
その口元は、くすりと笑みに歪む。
「他にももう7つ」
「あの子自身がボクのモノになれば、自ずと手に入るかな?
なんて、ちょっと強欲かな? 常世渋谷か……」
くるりと踵を返す。
此処も飽きてきたと思ったけどまだまだ出会いはあるらしい。
互い、真反対の方向へと歩き去ってゆく。
"ヘンな出会い”に僅か、感謝をしつつ。
■龍 翠蓮 >
「――これは、ワタシの手掛けた中でも「最高級」の品。
何しろ「材料」が滅多に手に入りませぬので、その分手間と時間をかけて手掛けました。」
手にした孔雀のカメオに、口付けるかのような仕草。
その刹那、まるで溶けるように孔雀のカメオはその姿を消す。
「他にももう7つ、同じ格の品がございますが…何しろ手間暇かけて作り出したもの。
生半可なお客様にはお見せすら出来ません。
……ですが、お嬢様であれば、あるいは。」
その言葉と共に、満面の笑み。
閉じられた扉を開くに値する者を目にした、歓喜の混じる笑顔。
「是非とも御満足頂ければ良いのですが…これはワタシも、力を入れてお迎えしなくてはいけませんね。
では、またいずれ――今度は、ワタシのアトリエでお会いできる事を、楽しみに。
またお会いする日をお待ちしております、宵闇のお嬢様。」
最後に、まるで上客を前にしたかのような恭しい一礼を。
そうして、白いチャイナドレスの女は荒れた広場を優雅に歩き去っていく。
白い髪を、風に靡かせながら。
■イスラ >
「それはそうだね♪
ご飯を食べるだけで罪なんて言われたら生きにくくてしょうがない♪」
まるで手品のような女の所作にはぱちぱちと小さな拍手。
「美しくて、ぞくぞくしちゃうようなアクセサリだ♡
君のアトリエにはそんなモノがいっぱいあるのかな?」
それはそれは、実に興味がある。
さて、常世渋谷の…裏、か。
「それは楽しみだね♡
美しいお嬢さんのとっておきのおもてなしなんて、
否応なく疼いてしかたなくなっちゃうじゃないか♪」
立ち上がる女を見やり、吸血鬼はにこにこと笑みを讃えたまま。
「今日のところはお別れかな? 面白い問答だったよ♡
今度はキミのアトリエとやらに遊びにいかせてもらおうかな♪」
■龍 翠蓮 >
「これは心外。ワタシとしては自分に正直であるつもりなのですが。」
失礼な言葉に対しても、寧ろ愉快そうに扇で隠した口元からは上品な笑い声。
「宗教家のように語るなら、この世に罪なきモノなどおりませぬよ。
如何なるモノとて、生きていく上で何かを奪っておりますから。
無論、ワタシも例外なく。」
ぱちん、と黄金の扇を閉じると、白いチャイナドレスの女は徐にその手に力を込める。
ぐ、と扇が折れた――ように見えるのも束の間。
その手の中には、黄金の台座に、黄金の宝石が嵌め込まれたブローチのようなアクセサリ。
丁寧な細工で孔雀が彫り込まれた宝石は…確かに美しいが、それ以上に、
まっとうな神経を持つならば「おぞましい」と感じる何かが脈動しているようにも思える。
それこそ、「罪」が形となったかのように。
「興味はございますれども…この街では、聊か無粋に過ぎましょう。
もし、お嬢様の気が向きましたら、常世渋谷の「裏」にお越しくださいませ。
其処に、ワタシのアトリエがございますので。」
そう告げると、白いチャイナドレスの女は手にしたカメオを握り締め、ゆらりとベンチから立ち上がる。
優美と言える所作で以て、小さく一礼。
「――ご来訪頂けましたら、ワタシの出来る限りでおもてなし致しましょう。」
■イスラ >
「変人で、変態?」
なんて失礼な言葉を口にしつつも、笑み。
「それってボクが罪深いってコトかぁ…。
おかしいね、想うがままに過ごしているだけなんだけどなあ」
笑みは崩さず。
そして金の瞳が楽しげに輝いている。
「ヤダなぁ、美人のお姉さんがボクに興味津々?
でもそこはもう少し色艶のあるお誘いのほうが嬉しいんだけど。
どちらかといえば女の子ははしたないほうが好みかな♡」
どこまでが冗談かわからぬことを口にしつつ。
■龍 翠蓮 >
「変人であるとは自覚しておりますので。」
くすり、と小さく微笑む。
「ええ、ワタシが語るはヒトの持つ罪。
ですが――その概念が「ヒト」以外は適用されないものか、と言われれば…否を語るしかありますまい。
特に、人外であろうが、ヒトの作った枠組みの中で生きようとする者ならば、尚の事。」
再び、くるりと煙管を回転させ――直後、まるで手品か、あるいは「形そのもの」が変わるように、
黄金の煙管は黄金の扇へと姿を変える。
ばらりと開けば、見事な透かし彫りのされた端正な姿の扇に。
「罪なるは力…そして、力は「カタチ」となる。
ただ美しいだけの美では、出せない形――。
罪という「歪み」、あるいは「力」は…そんな「美しい」だけの美に収まらぬものを孕む。
其処に宿る美は、お行儀のよい美術品にない「力」を持つモノ。」
広げた扇で、口元を隠しながら。
「――そういう意味では、お嬢様は大層お美しい。
…其処に宿るモノを、引き摺り出したくなってしまう程に。
悪い癖です。はしたないと思わないでくださいませな。」
■イスラ >
「ははぁ、さてはキミ、ヘンなヤツだな?」
満面の笑みを浮かべ称賛?の言葉を口にする女。
なかなかの熱量を感じる。この熱は冷え切った自分にはないものだ。
「落ち着いた?」
にこりと笑みを浮かべ、今少し、近くへ寄って。
「いいや? キミがそう定める罪もまた、正しいものだよ。
罪に限らず、世の中の全ては個々の存在を通して玉虫色に輝くもの──。
一律の秩序の為に、基準と法が用意されているだけに過ぎないだけで、人も獣も怪物も、本質は同じことさ♪」
「ただ、君の言う罪は、人の持つ罪だね♪
それを力に置き換えると漏れなく非秩序が背中に這い寄ってくる。
つまらないどころか上等の奇劇じゃあなかろうか?」
■龍 翠蓮 >
「――――――」
少しの沈黙を置き、
「……素晴らしい!!」
満面の笑顔で紡がれるは、ただ一言にして至上の賛美。
「法に服わず、神に服わず、只、己の意思のみを以て、己が罪を定める!
嗚呼――――素晴らしきまでの「傲慢」!!」
僅かに頬が上気し、三日月を浮かべる口からは熱を帯びた呼吸。
それほどまでに、その答えが己の求めるモノ通り…あるいはそれ以上だったのか、
白いチャイナドレスの女は黄金の煙管を握り締め、暫し昂る。
そうして息を吐き直し、向き直れば、
「……失礼。
ここ暫くの間、これ程に素晴らしき「罪」に対する答えを聞いてはおりませんでしたので。
少しばかり、はしたない真似をお見せしました。」
コホンと小さく咳払い。そして、白いチャイナドレスの女は改めて口を開く。
「――ワタシは、形はどうあれ「罪」は「力」であると、考えております。
最も、お嬢様の語る「罪」とは聊か概念が異なりましょうが。
暴食…強欲…嫉妬…あるいは、傲慢。
そう、「罪」としての名を与えられたモノ程、最も原始的で、強い力を持つモノである、と。
――つまらぬ考えと、お思いになりますか、宵闇のお嬢様?」
■イスラ >
「それを聞いてどうするのか。
は、ボクが答えたら教えてくれるんだよねー?」
くすくすと笑みを悪戯に深めながら、それじゃあいいよ、と。
「罪とは何ぞや」
「裁かれるもの?
──否、それには法が必要だ。それでは"新たな罪"は裁かれない」
「赦されぬモノ?
それも、否。罪を赦すも赦さないも各々の裁量。礎となる法が赦す罪だって在る。
全てをお許しになる、なんてカミサマすらこの世界には存在する」
「ボクが考える罪は、そうだね…」
「──己の意思に、自らが背くこと」
「それはボク自身という存在への冒涜に他ならない。これ以上のない罪だ。
だから、罪深きモノが誘蛾の如くその煙に誘われるのなら…ボク達の出会いはたまたまだね♪」
それもまた良し。
ヴァンパイアと名乗った少女?は実に楽しげに、そう答えた。
■龍 翠蓮 >
「成程、創作者。」
手を叩く代わり、手にした黄金の煙管を軽く空いている手に打ち付ける。
また少し、ふわりと強さを増す甘い香り。
吸血鬼が語る言葉と再度の問い掛けには、再び黄金の煙管を手元でくるくると回し――
止めると同時に、ぴ、とその先端を吸血鬼へと向ける。
「無論、」
出される言葉は、雄弁に。
「お嬢様の想う罪をこそ。
場によって決まるものは、移ろいやすい。
ヒトが、あるいはヒト以外でも、己の心に感じるモノこそが、その人となりを語るモノ。
お嬢様の心に背かぬ、率直なお答えを、ワタシは望むモノです。」
■イスラ >
「欲しくなるかどうかはまた別かな? 芸術は瞳に収めるだけでも価値がある。
どちらかといえばボクは創る側でね♪ インスピレーションを求めているのさ♪」
故に、アトリエと聞けば興味も湧く。
もちろん、本当に心惹かれる様なものがあれば、糸目をつける性格でもない。
「ふむ」
問い返される言葉。
口元に手をあて、じ…と目の前の女を見る。
「罪とは何か。答えは二つあるね。
ボクが想う罪。そしてボク達のいるこの空間における罪だ。
当然、その答えはまるで違う。君の求めている答えはどちらかな。
無論、後者であってもそれはボクという存在をフィルターとして通したもの…俯瞰的な答えにもそこには差異がある」
「どっちだい? それとも両方なんて、ほしがりさんだったりするのかな?」
■龍 翠蓮 >
「おやおや、やはり退屈は長命種という存在についてまわる宿痾という奴なのでしょうか?」
退屈を敵と宣う目の前の吸血鬼に、白いチャイナドレスの女は少しばかり苦笑するような雰囲気。
その瞳は笑みの形に閉じられ、まるで姿を見せない。
「個人経営のしがないアトリエでございますよ。
お嬢様のお目に適うような代物がありますかどうか。」
謙遜するような、しかし何処か不敵なものを含むような声。
続く質問には、また軽く紫煙をくゆらせつつ、口を開く。
「その規模を答える前に。
私の言葉に興味を示して下さったお嬢様には問わねばなりますまい。
罪とは何ぞや?
裁かれるべきモノ? 赦されぬモノ? それとも――――」
それ以外に、何かがあるのか。そう問いかけるような。
まるで禅問答の如きやり取り。
■イスラ >
「いいんだよ?呼んでくれても♪
退屈は、ボク達の一番の敵だからね。毎分毎秒、何か起こってくれるほうが本当は望ましい」
胸元に手をあて、謳い上げる様に、仰々しく。
「東洋の名前かな。漢字は形状に趣があるけど覚えるのが大変だ。
──へぇ、アトリエ。それはちょっと気になるね。ボクも芸術を愛して止まない性分なんだ」
にこにこと笑みを浮かべ、続く言葉は…より興味を惹かれた様に。
「罪深いモノ……。 それって、人間の基準? それとも世界?」