2024/07/28 のログ
ご案内:「スラム」にDr.イーリスさんが現れました。
Dr.イーリス > スラムの廃品置き場。
治安の悪いスラム故、そこには不法投棄された廃品が多くある。
ごみの山に映るかもしれない廃品置き場。だが、スラム出身の技術者イーリスにとっては機械部品が得られる貴重な場所だ。

「これなんて、まだまだ使える部品だらけですね」

イーリスは放棄された廃車のボンネットを開けて、そう呟いた。
車としてまともに走れないぐらい痛んでいる。だが、使える部品がまだ全然ある。

イーリスが連れているメカは《試作型メカニカル・サイキッカーMk-Ⅲ》、四本の機械の脚と上部から二本の腕を生やしたタンス型メカ《タンスガーディアン》、カード型メカ、薪ではなく籠を背負っている二宮金次郎似のメカ。目立つものは合計その四機。廃品置き場で色んな機械部品を回収しようとしているため、ちょっと賑やか。

ご案内:「スラム」に蒼い影さんが現れました。
蒼い影 > スラムの廃品置き場。

特に人が寄り付かないような場所にも、たまーに行かされる。
なんでって?なんか…
今すぐ全部処理しないといけない超常危険物があるんだってさ。
ウケる。

空間がブレて、何の前触れもなく蒼い影が、
シュン―――ッと
その場に降り立つ。
妙な程鮮やかな青色の髪を、揺らして。
清掃中、というハチマキをつけて。

「はーい、現場とうちゃーく。はいはい、分かってる分かってるー」
「今日くらいは真面目にやるからさあー」
「前もすっぽかしたあ?責任感?何それー」
「やかましー、切るぞー」

無責任な声で適当に形態を片手に通話しながら、
廃品を漁る少女の姿に近寄っていく。

(うーわ、ガチの廃品回収じゃん…。)

複数のタイプのメカを従えて、豪勢に廃品回収する姿。
多分、あれのリーダーはちっこいひとがたのあの子かな。

「はい、ちょっとごめんねー、キミ」
「ソレ、触んのやめて退こうっか?」
「今すぐゴミ処理しないとまずいんだとさー。」

にこやかに。
意地悪そうで、優しそうな笑顔を。

Dr.イーリス > タンス型メカや二宮金次郎メカもそれぞれ廃品を回収し始めていた。
手際よく廃車の部品を取り外してカート型メカに入れている最中、突如として空間がぶれたのでそちらに目をやる。
転移系統の能力でも発動したのだろう、突然現れる女性。誰かと通話しているようだ。
不法投棄をしにきたわけでもない様子。

「このような所までごみ回収業者の方でございますか。業者の方に言ってもあまり意味のない事かもしれませんが、一見ごみに見えるものでも、使える物は多くあるものでございますよ。有効に扱えば、スラムでの貧困暮らしを乗り越える事もできます」

一旦作業の手を止め、廃車にもたれつつそう告げた。
貴重な資源なので持っていかれたくない。
今はスラムというより、別の場所で暮らしてはいるけど、それでもここの廃品が重要な資源なのはかわらない。

蒼い影 > 「あん?回収業者?私が?!」
「違う、違うよ。」

少女の言葉に、首を傾げた。
何か勘違いされてるな?……なるほど、そういう事ね。
にまーって、ハチマキを指さして。

「……風紀委員会、ゴミ処理係。」
「超常危険物対処班だよ。業者じゃないんだ。」
「あーごめんね。運がなかったなぁ…」

けらけら笑っているけれど。

「そこのゴミの中には」

指、ぴんっ

「分類としては、空間歪曲系、及び記憶処理系の…」
「推定BからS級の超常危険物が多数、紛れ込んでいるんだって。」

なんのこっちゃわからない?
一言で言えば、とにかく危険なものってわけ。
…逆に好奇心煽っちゃわないか心配だけど。
どうやらまだ、"あたり"は引いてないみたいだ、メカは元気に廃品を集めて回ってる。

「下手に触れたらそれだけでアウトになる可能性あり」
「持ち出されて利用されたら凶悪犯罪のタネ」
「貧困暮らしにゃ過ぎたるものだろうさ。」

「空間が捻じ曲がってる可能性が高いから下手に手ぇだすより、」

指、くるんと回して。



「一帯、ぜーんぶ消し飛ばす。ってね」

Dr.イーリス > 風紀委員を名乗るごみ処理係の言葉に、イーリスは瞳を輝かせた。

「それは幸運でございましたね。ここに超常危険物がそんなにも眠っているのでございますか。とても研究のし甲斐があります。是非とも持ち出して解析してみたいです」

よもや、ただの廃品の山と思っていたところに、そのような興味深い超常危険物があろうとは。
回収して、研究すれば、何かしら活用できたり、あるいは新たな技術のヒントを得られるかもしれない。
イーリスは裏社会の住民。凶悪犯罪とか言われても、好奇心と技術向上を願う心が勝ってしまう。

「とても素敵な情報ありがとうございます。しかし、危険となりますとそう下手な動きは出来ませんね。今働かせているメカには、危険物と思しきものを見つければ知らせるよう命令はしていますけどね」

タンスと二宮金次郎がぴたりと止まる。

「消し飛ばす、という判断をするにしても危険物を発見してからでもいいでしょう。風紀委員さんは、どうしてここに危険物が多数紛れ込んでいると判断したのでしょう?」

スマホを取り出し、操作し始める。
色々、解析しているようだ。

蒼い影 > (あー、…やっちまったなこれ。言わなきゃよかった。)

立てた指で頬を抑える。余計な情報を与えてしまったようだ。
目ぇ輝かせてるよ。
こっちはほんのり青白い目を細めて、次の言葉に悩む。

「空間歪曲は隠蔽と転移、記憶処理は起きた事実の上書きとかに使うのかね。
記憶処理に関しては、メカにゃ効かないだろうけどさあ。踏み込んでどうなるかは、分からない。」

っていうか何も違和感なく話してたけど、
今止まったの見たらタンスだのなんかよく分からん人型(二宮金次郎)だの妙な形してるなぁ…?!

「良いかい?
発見してから、って前提が間違い。素人が発見したらアウトなもんだ。
発見した時点でどこかへ飛ばされたら?発見したこと自体を忘れさせられたら?
このエリアに投棄されてるのは悪意あるブツである可能性もある。」

真剣に、授業のように語ったかと思えば。
にまーっと笑って

「―――って、真面目に話したけど、私的にそれはどうでも良くて。」
「やってる感、大事じゃん?やってる感。」
「私末端部署だから。」
「その為に楽にゴミ飛ばしてお仕事ってわけ」
「だから、退いてね。」

妙に緩い空気を纏う。

「あとね、その質問は……守秘義務違反~。」

上手い事解析すれば、妙に空間が歪み、幾重の結界の断片、
なんてものがあるのがわかるかもしれない。
使い方次第じゃ、面白事が出来るだろうけど。
記憶処理に関しては、さあ、どうだろう。直に検知するのちょっと難しいかな?

Dr.イーリス > 相変わらず、未知なる超常危険物の存在に心ときめかせている。

「超常危険物からどういった技術流用が出来るかは、解析してみないと分からない事ですね。記憶処理は、例えば脳に関与する技術なので、ちょっとしたリラックス効果のある音声とか生み出せるかもしれませんよ」

風紀委員さんの出てくる例に悪用的なものが目立つけど、おそらく仕事柄なのだろう。

「よくぞ聞いてくださいました。タンス型メカ《タンスガーディアン》は、入れているものを自動で守る優れたメカなのです。人型のメカは《二宮二号》と言いまして、捨てられてる二宮金次郎像を頑張って改造しました。《二宮二号》は、輸送に便利な優秀なメカです」

どやっとした表情で胸を張ってメカの解説をする発明家。

「ちなみに《二宮一号》は、一年前に制作中重大なミスをして、自爆しました……。近くにいた私も吹っ飛びました」

かつての失敗談を語り、顔が青ざめている。

「発見したらアウト……。もしや、廃品回収している人をピンポイントで狙うトラップでございますか……!? それも高ランクなアイテムをそれ程までに仕掛けるとは、気合の入れようが違いますね。私はこう見えてもしがない技術者なので、仕掛けられているトラップはありがたく思いつついただく事にしましょう」

なんという悪意あるトラップ……!?
それはそれとして、そういった罠も研究材料にはいいものだ。
素人が変に罠に引っ掛からなくてよかった。

「やってる感でございますね。お任せください。ひとまず、あなたは私に説教を続けてください。やってる感が出ます。守秘義務ですか、それは残念です。このような罠を仕掛ける組織があるなら、情報が欲しいと思っていましたが」

そうしている間に、空間の歪みを検知。

「空間の歪み、結界の断片を検知しました。ひとまず、危険物が余計な事をしないようジャミングを施しつつ、周囲の廃品を慎重にどかしていきましょう」

イーリスの手前、虚空にモニターが出現する。イーリスの指が高速で、モニターをタッチ操作し始める。危険物が余計な事をしないようジャミング及び引き続き解析を行っているのだ。ジャミングがどれ程有効かは分からないにしても、取れる対策は取っていく姿勢。
《タンスガーディアン》や《二宮二号》もまた、慎重に廃品をどかし始める。
イーリスとカート型メカ、メカニカル・サイキッカーは、歪みの場所から離れる。

「あなたも危険ですから、少し離れていた方がいいですね」

蒼い影 > 「……ああ、うん。す、凄いね……。特に捨てられてる像なんぞを改造して」
「あんなもん作るのは凄いね…どこからそういう発想が出てくるんだよ。」
「なんで自爆してんだよ」
「なんで吹っ飛んで無事なんだよ」
「なんでまた作ろうと思ったんだよわけわかんないよ!」

どや顔で誇られるが、…なんか、おかしくないか?
天才的発想ではあるけどもさ?!なんという技術力だろう。
ちょっと、ツッコミが、追いつかない…!!

「……あ、あのねぇーーーー……。」
「あーわかったわかった。説教を続ける。」

「そういう"持っていこうとする奴がいるから"」
「さっさとゴミ処理が必要なんだよ」

「ふう。」

「大体ねえ、こんなものを持っていかれて流通されたらどうなると思う?」
「キミが悪用したら?」
「更にはどっかに流通させられたら?」
「ぶっちゃけまあこの街で何しようが良いけど表側に持ってこられたら、ってね」
「まぁ普段連絡してこないようなヤツが今すぐ取り除けという程度には危険物なんだよ」

「罠ってわけじゃなくて、何かの出来損ない、或いは残骸みたいなもんかもしれない」

とりあえず、適当にお説教をしてみる。
本当のところはさっさと消したいんだけどね。
…なんで私こいつの言う事聞いてるんだ?

「罠ならましで。」
「……もっとやばいもの、かもね?」

言うや否や。

ジャミングの範囲外のにあった廃品が…

まるで削り取られるように、消えた。
廃車が綺麗に後部座席と後部トランクだけを残し、前側を持っていかれている。

転移したのだ。
そして、同時に辺りに撒かれるのは、
それが"まるでなかったことに"認知されるような軽度の記憶改竄の異能の波。
私はちょっと特異体質だからそういうの効かないしぶっ壊せるんだけどね。

(あーなるほど。)
(完全に理解した。)
「バレないように、こうやって廃品盗みをしてるわけかぁ。」


「―――んー。やる気はないんだけど」
「こりゃあ、さっさと消し飛ばしといたほうが良いね。」
「悠長に解析だの、廃品回収だのなんてやってたら」
「最悪死ぬかもよ」



「キミこそ、退きなよ。」
「3度目だよ。……良い子だから、分かるね?」

両方の人差し指と親指をぴんっ!と立てて
少女に向ける。

Dr.イーリス > 「元が像ですからね。動かせるようにするのは苦労しましたよ。一年前の私は少し愚かでした……。目から光線を放てるようにしたのに、よもや……目を開ける機能を搭載し忘れるとは……。テスト起動で気づいた時には既に遅かったです……。目から出た光線が閉じた瞼により阻まれ、内部でエネルギーが溜まって自爆……。その反省を活かして、《二宮二号》は、元から空いている鼻からビーム放つ事で改善しました」

恐ろしかった……と、がくがく震えている。
鼻なら、目を開ける機能を忘れた、というミスが起こらないから安全。よかったよかった。

「どこぞの誰かが悪用とかされたら大変なのは理解します。先日も、黄泉の穴でアーティファクトを回収する私を命懸けで止めようとする正義感と使命に溢れた方がいらっしゃいました」

やってる感、と本人は言っていたが、その言葉には一理あるとこくこく頷く。

「危険なプロテクトは、私の方で解析して解除しておきましょう。こう見えても私、危険物の取り扱いには慣れていますからね。流通は、しないとお約束だけはできますね」

説教を勧めた立場だけど、反抗的な言葉を返す不良少女であった。
それはそれとして風紀委員さんの言う事はとても正しい。風紀委員のお仕事を立派にこなしていると言えるのではないだろうか。

「残骸……でございますか。それが高ランクな超常危険物で、尚且つこのような所に捨てられるのは少々不自然ですね」

ジャミングを試みていたわけだが、その効力が及ばない範囲で異常が起きた。
なんと、廃品が消えてしまった。その光景を見て、またイーリスは瞳を輝かせる。

「なんという事でしょう。あの危険物を造り出した人はおそらく天才です。効率的なやり方で廃品を回収する、その発想自体は賞賛に値します」

手をぱちぱちと叩く技術者。

「しかし、発想そのものは悪くないですが、やり方が少々強引です。誰かが巻き込まれた場合の被害をあまり考えてはいないようですね」

ごみ処理係の風紀委員さんへと視線を移す。

「風紀委員さん、世の中、何もかも消し飛ばせばいいというものではございませんよ。一つ間違えれば死人すら出るものです。あの転移を発動させる術式を仕込んだ者達は、あまり手段を選ばない方のようですね」

イーリスはジャミングを解除し、代わりに掌を天に掲げた。その掌には、小さなメカがある。よく見ても分からない、ナノサイズのメカだ。

「いきなり消し飛ばすよりも、逆探知してお相手の正体と居場所を突き止める方が有効だと思いませんか?」

ナノサイズメカは飛行し、一番酷い歪みの一つの近くに止まった。歪みが酷いという事は、おそらく次に起動するのはそいつだろう。後は、歪みがあのナノサイズメカ共々廃品回収するのを待つのみ。

蒼い影 > 「ごめん。」
「言ってることは理解できるのに頭が理解を拒絶している。」
「もはや何を突っ込めばいいかわからん。」
「分からないけど…バカと天才は紙一重って言葉の意味がよく分かる。」
「目から出るビームって誰もが一度は憧れるからね。」
「そうだね……うん……」
(……像に瞼なんぞあるのか……?)

こう見えてこの蒼色、どっちかっていうと周りのイロモノに充てられてマトモ側に位置することが多い。
少女が震えながら解説する言葉を聞きながら、理解に苦しんでいる。
私が思うにこの子、大分イロモノだぞ。
(でも…像を動かそうなどという発想が明らかに常軌を逸してるだろうがあぁぁっ)

言葉には、しないけれど。

「誰かが巻き込まれた場合の被害をあまり考えてはいない―――違うね。」
「考えてやってるんじゃない?」
「案外、ゴミ漁りする人間って多いからさ、ゴミのついでにそいつらも拉致ってるんだろう」

「これの目的……心当たりあるよ。」
「一つは実験。窃盗用ポータルでも作ってるのかな?」
「もう一つは―――違反部活の作成。」
「こういう場所に集まる人間を拉致って、記憶処理で書き換える。」
「ブツを集めてしまえば、それだけでインスタント違反部活の出来上がり。」
「……どう?結構面白い話になって来たね。野次馬するには。」

にやにや笑って授業みたいに話している。
けど多いんだ、違反部活作るバカタレ。しかも…こいつらはかくれんぼがお上手なんだ、皆。


「はぁーーー……、」
「やめろっつってんのにやめないんだ。」
「消すのはすぐなんだけどさ。」
「悪用は、正直どうでも良いんだよ。」
「私は楽に仕事したいだけーっ」

そうやって、語ってるうちに。
少女は何かたくらみを始めた。
逆探知……?!何をするつもりかはわからないけれど。

「あっちょっと?!」
「や、やめてね。」
「仮に逆探知したとして、だ。」
「もし主犯格なんかを見つけたら、」
「報告しなきゃいかんでしょうが。私が!」

うっわ
だっっっる
なにしてくれてんだ!!
……手遅れだ。
また廃品が消えた。恐らくさらわれた先に、ブツが流れ込む。
今放ったナノマシンも例にもれず巻き込まれる。

「その逆探知した先の超常犯罪者(ゴミ)まで掃除するのは誰だと思ってんだよー」
「私は楽に仕事してやってる感だけ出してたいんだよ、勘弁してよ」
「あーぁ……。」
「しかもこれ空間系超常犯罪者が関わってるやつだよ。」

「めんどくせーやつだ。かくれんぼが得意なやつ。」

軽くため息。
今日は楽にゴミだけ消す仕事のつもりだったのになあ…。

「キミね。」
「犯人が見つかったら、責任取ってよねー?」

「ゴミ掃除の。」

ジトッとした目つき。でも笑ってる。
……面白い子だね?なんなら、巻き込んでやろうか。

「因みに……なんで、有効だって思った?」

まるで。
そう。
事の犯人の捕まえることを望むように。

「スラムの貧民が、考える必要があること事じゃないよね?」
「黙ってゴミ集めて逃げる」
「適当に誤魔化して去る」
「キミはそういう事をせず有効な手段とやらを示したわけだ。」

「ふー…」

一息。