2024/12/19 のログ
ご案内:「スラム」にイスラさんが現れました。
イスラ >  
「よーしよしよし。おいでおいで♪ いい子だね♪」

薄暗いスラムの路地の一角。
しゃがみ込んで、小さく舌を慣らしながら野良猫と戯れる少年、あるいは少女…の姿。
首輪をしていない黒い猫はその誘いにまるで警戒する様子も見せず、近くに寄り…何かをはむはむと咀嚼していた。

「ふふ、美味しいかな? 結構希少な部位なんだよ」

金色の瞳を薄く細め、よしよしと黒い野良猫の額を優しく撫でる。

スラムには余り似つかわしさのない…心温まる光景に見えないこともなかった。

イスラ >  
「こんなに沢山の食べ物に溢れた恵まれた街なのに、
 猫ちゃんは飢えちゃうんだ。可哀想にね」

くすくすと薄い笑みを零しながら猫を優しく撫でているイスラの眼は、言葉とは裏腹に冷たい輝きを宿していた。

「ほら、もっと欲しい? たくさんあるから、いっぱい食べても大丈夫だよ♡」

どちゃ。
ぼちゃ。
どちゃっ。

何かを懸命に咀嚼してた野良猫の横に、赤黒い、ところどころに白の混ざる"餌"が積み上がる。

猫は、それに驚いたのか逃げてしまった。

「あれ、いらないの? お腹が空いてるんだと思ったのに」

あーあ、逃げちゃった。とくすくす笑みを深めながら、イスラはゆっくりと立ち上がる。

ご案内:「スラム」に紫陽花 剱菊さんが現れました。
紫陽花 剱菊 >  
(うずたか)く、業を積み上げせせら笑う。
宵闇たなびく死臭の香り。更に重ねば血風連(けっぷうれん)

「──────何をしている」

鉄血、罷り越したるは宵の奥。静寂と靡き黒糸と。
剣呑ささくれ、はりつめんとし、いつぞやと金色に移りし男。
剱菊は一つ、言問うた。一瞬即発。険しき眉間。

イスラ >  
Bună seara, e o noapte frumoasă(こんばんは。いい夜だね)♪」

声をかけられた方向へ振り返れば、にこやかに笑みを浮かべる。
白く棚引く長い髪、夜闇を見通し月の光を移す様な黄金色の瞳が薄暗い路地だというのに、その存在を浮き掘る様に映えさせていた。

「何って、お腹を空かせた可哀想な子猫ちゃんがいたから、ごはんをわけてあげたんだ。
 お腹いっぱいになっちゃったのかなあ、どこかへ行っちゃったけど、ね」

血生臭さの漂う中、無邪気にも見える笑顔を見せる幼子…とも思える容貌。
されど慧眼持ちえれば、それがその矮躯…どころではなく人間の器には小さすぎる何かであることを見抜くことは容易だろう。

紫陽花 剱菊 >  
月輪(がちりん)が互いを照らす。
白糸せせらう金色の嘲り。黒糸たなびく(うろ)の剣呑。
尽くを滅した戦人には、如何様な存在かは一目瞭然であった。
然もありなん。臆するには値せず。

「……斯様な死臭を漂わせて良くも(のたま)う。
 悪行を重ねるのであれば、今宵までとする良い」

然るに移ろう人の情に疎かろうと、機敏には敏感であった。
ましてやあらざるべき底より漂い死臭成れば、必定。

「斯様、息を潜めて翁の如し身を潜めるか、
 或いは下りて天道届かぬ牢を選ぶか……」

悪鬼必滅の天誅人。
静寂の中只々言問う。

イスラ >  
「あくぎょう?」

童は首を傾げて見せた。
さも、不思議そうに。

「ボクはご飯の残りを猫ちゃんにあげていただけだよ?
 それが何か悪いことなのかなぁ…ふふ、よくわからないや」

にこり、可愛らしく可憐にも思える笑みだ。

「…それってもしかして人の世に出てくるな…って言ってる?
 それは無理だよ。だってボク達だって食事をしなきゃ死んじゃうんだよ?
 可哀想だと思うでしょ?ねえねえ?ふっ、あははははっ♡」

大仰に。
まるで演目の中にある役者のようにおどけて見せる。