2024/07/12 のログ
ご案内:「黄泉の穴」に風花 優希さんが現れました。
ご案内:「黄泉の穴」にマトさんが現れました。
■マト >
「えーと、黄泉の穴……」
「『新世魔術師会』って違反部活の跡地で、今なお沢山の魔導書をはじめとしたアーティファクトが存在する」
「その特性上、優希にとっても回収したいものが数多くある重要な場所」
「但し、当然危険度は高く、深い場所への侵入も封じられている、ようはとっても危険な場所」
ワンピースをひらひらと揺らしながら穴へと向けて歩いてくるのはワンピース姿のマト
ぱん、と予習用のメモを閉じながら少し背伸びして穴を覗き込もうとする
危険度にしては何処か緊張感のない声で共に来た少年に声掛けしながらも、周囲をきょろりと見渡して
「幸い他の客は今のところいないようだね、それで、之からどうするの?」
放っておいても何かが出てきそうな雰囲気はあるけどね、と付け加えつつ
■風花 優希 >
「なぁに、確かにここは危険地帯だけど、危ない橋を渡るわけじゃないさ」
己そのものとも言える『風花の書』を、マトへと預けて。
制服姿の少年はその身一つで彼女を先導する。
「中へ侵入するわけでもない。
回収したいものは幾らでもここにはあるけど、それを手に入れる方がここは危険だ。
だから、『外に出ないように』出口を塞ぐための作業をしに来たのさ」
歩む先は魔力の渦巻く坩堝。
封じられた穴の中でも、どうしても生まれてしまうその隙間。
そうした場所を探るように、彼は解析の魔術を使いながら進んでいた。
■マト >
「成程、つまりは綻びを調べて処置するって事だ」
「ある意味最初に僕らが出会った時に優希がやってた事に近いのかな?」
風花の書をぱらぱらとめくる
魔術的な探知はまだ優希に遠く及ばないマトは、その間に風花の書の内容を改めて頭に詰め込んでいた
「それにしても、この独特な文字列……短歌って言うんだっけ?」
「中々独特な詠唱内容だよね、之、作った人が全部考えたのかな?」
仮契約者であるマトは、ある程度の呪文と、その詠唱を見る事が出来る
有事に彼を『使える』ように、復習とばかりに本を読みこんでいた
「でも、聞いていた通り転移砂漠と比べても雰囲気が異様だね、流石にちょっと気を引き締めないと」
周囲の雰囲気が剣呑なものになるにつれ普段のふわっとした感じは鳴りを潜め、彼なりに周囲に気を張りはじめるだろうか
■風花 優希 > 「そういうこと、やってたこととしては大体同じだね」
違うとすればその対象と、その規模。
そして周囲の環境を含めた危険度の違いか。
「なにせ和製だからねぇ。
記した人のちょっとした遊び心とか、この地での適正だとか色々あったんだろうけど」
大よそその通りだと、彼は返す。
風花の書に記された術式の詠唱の多くは、575…の文字列から成り立っている。
「ともあれ、気をつけすぎるくらいで丁度いい。
結界があっても、外に出てくるのがいるって話だしね…と、早速綻びをみつけたかな」
そんな会話の最中、特に魔力が淀んだ場所で立ち止まる。
皹から漏れ出て濁った魔力が籠ったような、そんな場所だ。
■マト >
「封印作業に付き合うのはこれが初めてだからね、脚を引っ張らないように頑張るよ」
「作り手の遊び心か… 確かに魔術の効果を見ても実践的なものや、便利そうなもの……色々あったね」
それこそこの前見せてくれた雪を降らせるだけの魔法なんてものもあったし、何て呟きながら
「……ん~~、あ、確かに、何かちょっと揺らぎというか……変な感じだ、之が綻びか」
足を止めてじぃ、と優希が立ち止まった場所を見つめると、マトにもそれを感知出来たらしく
マトも同じく足を止め、風花の書を胸に抱いたまま周囲に他に危険がないかきょろりと見回す
「それで、僕はどうすればいい?」
この場に置いて優希は絶対的な先輩である、一先ずは彼に何をすればいいか指示を問うだろう
■風花 優希 >
「戦う為だけの道具じゃあないからな、魔法ってのは」
むしろ普段使いをするなら、身近な魔法の方が数多い。
その中でも風花の書は、その性質上、戦闘向けが多い魔導書なのだが。
「解析とか探知とか、その手のやつを覚えればもっと分かると思うよ。
まぁこれだけ濃いと、使わずとも分かっちゃうかもしれないけど」
少なからずマトが違和を感じているというのなら、つまりはそういう事なのだろうと。
周囲へと警戒は向けつつも、優希は封印作業を進めていく。
「本当なら安全確保をしたいけど、ここだと流石に難しいからな。
折角二人いるんだから、封印と警備に別れよう…どっちが自信ある?」
■マト >
「確かに、生活するうえでは氷を飛ばすより、ただ涼しくなる方が便利そうだしね」
「僕も極端な暑さは苦手だから、その手のものはありがたいし……」
特にこの時期は暑さ対策は欠かせない
汗はあまりかかないが、いやだからこそ暑さをマトは苦手としていた
「その二つなら警備だね、僕自身の異能も防衛向きだし、魔術もまだまだ習いたてだからね」
「封印は経験も物を言いそうだから、一先ずはお手並み拝見、という事で」
少し肩をすくめて見せつつ、警備に回ると言いながらポシェットから幾つかのペットボトルを取り出す
中の水は濁っており、ただの水ではなく、不純物が混じったもののようだった
■風花 優希 >
「北国ならともかく、今の時期は幾らでも冷気は需要があるしな。
それこそ大昔となれば、冷蔵や冷房なんて氷室くらいしかないんだし」
重宝されたもんだよ、なんて軽く笑いながら語る。
「ともあれ、暑いのが苦手ならその辺の魔法は覚えといて損はないさ」
「…ん、ならば警備任せた。
確かに封印回りをするなら、教えるとこからになりそうだ」
ペットボトルを一瞥し、なるほど触媒を準備済みかと静かに思う。
封印作業の為の、より正確な解析をしながら、準備を進める。
■マト >
「転移砂漠を歩いていた時も体が乾いてしょうがなかったからね」
「でもそういう時に飲む水が美味しい、というのも知れたけれど」
「そっか、優希はその頃から『生きて』いるんだしね、僕には想像するしかできないけど……」
彼の語りに僅かに思いを馳せながらも、封印の準備を進める彼の邪魔にならないように近くに陣取って
「最低限、感知は出来るようになっておきたいね、そうすれば場所だけ覚えて知らせたりは出来るだろうし」
マトの異能は液体の固体化である、氷の魔術とは多少性質が似通る部分も多い
その為自身の異能、氷の魔術、そのどちらに置いても便利な触媒となりえる液体……
言ってしまえば泥水の類を持ち歩くようにしているのである
「最近はちょっと、別のものに出来ないか考えてるんだけどね」
ぼそっと呟く理由については、まぁ、彼女なりの考えがあったりするのだが、ともあれ警備の準備は万全のようだ
■風花 優希 >
「お腹が空いた時のご飯が一番おいしい理論だな」
曖昧な返事を返しつつ、封印作業は進んでいく。
結界の綻びの正確な位置を確かめて、見定めれば魔力を整える。
隙間から溢れる魔力に蓋をして、その蓋を固めるように術式を編む。
「基礎的なやつなら、覚えるのはたぶん簡単だよ。
使いこなすまでに慣れが必要だけど……」
其処まで来れば、あとは魔力を込めた手先で結界をなぞっていくだけ。
あくまで修繕作業のようなものらしく、元々ある結界の綻びを埋めているようであった。
「まぁ、泥を持ち運ぶのは流石にちとアレだろうしなぁ…」
今のところは何事もなく、封印は続く。
しかしてここは危険地帯の黄泉の穴。
そんな平穏も、何時まで持つのかは分かったものではない。
■マト >
「覚えるだけじゃなく、反復練習も大事ってやつだね、勉強と同じだ」
なぞる様に封印をしていく優希を見ながら、マトもまた周囲の音や空気に耳を向け、意識を傾ける
「そうなんだよね……実質タダだから使ってるのもあるんだけど」
「最近バイトで少しお金も出来てきたし、一度持ち歩くものを色々試してみてもいいかもって思ってる」
雑談をしながらも警戒は怠らない、とはいえ、気を張りすぎていても途切れた『隙』を狙われる恐れもある
警戒は怠らず、力を入れ過ぎず……そんな塩梅を自分なりに測りながら警戒を続ける
「…… 無事終わりそう、かな?」
■風花 優希 >
「純粋に重いしな、泥。鍛錬にはいいかもだけど」
今更だが、マトは運動して筋力が付いたりするのだろうか?
そんな些細なことが少し気になりながらも、作業を続ける。
「適当に持ち歩ける水っぽい奴を買うだけでも…と、あと少しかな」
封印そのものは順調だ。
あとは補修した術式の最後仕上げをしてしまえば問題ない。
ひとつ問題があるとすれば…ここに近づいて来る、よからぬ気配がある事。
■マト >
「それもあるね、一応、筋力自体は見た目よりはあるみたいなんだけどね、僕」
「優希と腕相撲したら勝てるかも?」
くすくす、と笑いながら
マトが『成長』するかどうかは彼自身も未だよくわかっていないところがある用だが
種族が正しく人造生命体であるならば、成長しない可能性も十分にあるかもしれない
「うーん、化粧水……だとちょっと量も値段も勿体ないね」
「よし、じゃあ後ひと踏ん張り……」
そこまでいって、優希が気づいた気配にマトも気づいたらしい
少しだけ視線を鋭くしながら、気配の方角に目を向けるだろう
「任せて」
それだけいって軽く身を翻し、自ら気配と優希の間に立とうとするだろうか
■風花 優希 >
「ボクは腕力の方は人並みだからなぁ、ホントにやったら負けそうだ」
可能であれば、成長できる存在であってほしい。
己よりも人間味があるのがマトなのだ。
精神だけでなく身体も、いつか変化するときが来ることもあるのではないかと。
「ん、後は仕上げだけ──だから、任せるよ」
そうした時に、優希の方も気配を悟る。
結界の向こう側から、それはゆっくりと近づいて来る。
綻びが塞がれたことで変化した魔力の流れを悟ったのか。
想像上の悪魔のような見た目のそれが、此方へと距離を詰めていた。
■マト >
「ふふ、とはいえ僕は軽いからね、力は兎も角重さはどうしようもないんだけど」
その気持ちをしってかしらずか、マトはすくすくと知識面や情緒面では成長を続けているだろう
それが身体に及ぶかどうかはまだ分からないが……
「分かった、それにしても……何だか本で見たような姿だね」
「おっと、そう言ってる場合でも、ないか!」
先手は悪魔、羽ばたくように動かした翼から複数の暗い色の光弾が放たれる
マトはそれに応対するように一本のペットボトルの中身を異能で土壁に変化させて塞ぎながら
「時間稼ぎ……だけじゃすまなそうだね」
風花の書を開き目を通す、マトの異能は変化先こそ自由度が高いが、攻撃性はさほどではない
異能によって守りを固めている間に魔術による攻撃手段を準備する、シンプルながらもそんなプランを頭に浮かべていた
■風花 優希 >
「どういう理屈で、どういう存在なのかも分からない相手だなこれは」
以前ここに来た時にも見た、悪魔のような姿。
かつてと違って単独であるのが幸いか。
少なくともその気になれば、苦戦するほどの相手ではなさそうだ。
彼女でも対処できるだろうと、最低限の支援をするに留めて様子を伺う。
「物理的に結界の外まで出てこられたら、意味がないからね。
だから、ここまで来られたのなら対処するしかないよ、マト」
攻撃を塞がれた悪魔は、されども驚く様子も見せず、無機質に次の行動に移る。
光球がダメなのならば物理的に壊そうと、腕を振り上げようとして。
■マト >
「意味が無くても、敵なのは確かって事だね!」
「―― 」
とはいえ、マトにとっては実質初めての戦闘である
以前に戦いになりそうな時は早々に和解したため、まともな戦闘にはなっていないのだ
「分かりやすく動いてくれるなら… 助かるよ」
「……氷牙」
悪魔によって振り上げた腕は、光弾によって脆くなっていた土壁を破壊できるだろう
だが、土煙を上げながら壊れた影に既にマトは居らず
代わりに土煙の中から氷の刃が飛び出してくる
「挟み撃ち、だよ! 氷柱!」
対してマトは空中に跳躍しており、悪魔の頭上から氷の柱を生成して落下させる
異能によって生まれた土煙を利用した挟み撃ち、詠唱の無い下位呪文だが、直撃すればダメージにはなるはずだ
■風花 優希 >
「本能のままに…目的に向かって一直線って感じの動作だね」
封印の仕上げを施しながらも、つぶさに戦闘を観察する。
マトにとっては恐らくは、御しやすい相手だ。
事実、一見して戦闘はマトの優位に進んでいる。
土壁を壊されても、既にそこから彼女は離れており、罠とする。
下位の呪文で押し切るならば、十二分すぎる波状攻撃は流石の一言。
ある意味、お手本のような戦闘の流れのようには見える。
だが、仮にも相手は悪魔の姿をした存在。
下位の魔術程度では大きなダメージにはならなかったらしい。
「……なるほど、物理的に強いタイプなのかも」
氷柱が肌を裂き、氷の刃は肌を貫いていた。
だがそれをものともせず、痛覚も感じていないのか真っすぐにそれはマトへと迫る。
■マト >
「怯みもしてない、ねっ!」
着地したマトに向けて一直線に向かう悪魔の剛腕
「僕、基本物理攻撃なんだけど……!」
機敏に身を翻して間一髪攻撃を避けながら、きゅぽっ、とペットボトルを開けて悪魔へと投げつける
本能のまま、投げつけられたものを悪魔は破壊するだろう、自然、その表面に泥水が付着する
「詠唱――」
「北颪 逆巻き踊るは 雪揚羽」
その一瞬の隙にマトが詠唱するのは下級呪文『雪揚羽』
名前の通り雪で出来た揚羽の群れを呼び出す呪文である
之もまた目くらまし、というより時間稼ぎ、本命はこの後
「雪ならぬ――」
マトの狙いは凍結魔術、先ほどぶつけた泥も、舞う氷の揚羽も、悪魔に多量の水分や氷を付着させる事で効果を促進させる狙いがある
とはいえ、詠唱しようとしているのは中位呪文、それも即効性がないものだ
勝負は効果が完全に発揮されるまで攻撃を防ぎきれるか、という形になるだろう
■風花 優希 >
「見た目通り、聖なる何たらとかが一番効くんだろうけど…」
封印作業はどうやら終わりを迎えたらしい。
すっと手を離せば振り向いて、目を細めて悪魔を見やる。
マトの狙い通り、投擲されたペットボトルをその爪で切り払った悪魔は泥水を浴び…
そこに雪揚羽の群れが襲い掛かり、本能的に悪魔の意識はその対処へと割かれる。
「……それでも、持ち得る手札で倒すなら…
そうだね、ひとつ上の術式でないと難しいだろう」
即ち、その試みは結実する。
付着した泥水に、氷の礫、それらが触媒となり凍結が始まる。
自ら…風花の書を通して魔力が流れ、魔術の行使が成されているのを優希は悟る。
なれば使われる魔導書として、その本懐を果たしておくこととしよう。
その術式を制御し、細かな演算を代行してその凍結を速めていく。
■マト >
「少なくとも僕はそういうのとは無縁だしね」
「――霜の真白や 燦々と」
「詠唱完了、後は」
優希の代行により、つつがなく詠唱は完了する、後は文字通り時間との勝負だ
そしてそれを相手が気づかない、というのも甘い考えな訳で
「っ、」
揚羽の目くらましもわずかな時間の事、或いは此方が何かしようとしている事に気づいたか
いや、ただ単に本能的に今最も脅威を感じるものへと行動を切り替えたか
悪魔は明確にマト――正確にはその手にある『風花の書』に目を向け、大きく翼を広げて飛び上がる
凍結していくのも構わず、体に先ほどの光弾を複数纏いながら回転しながら高速で落下し……
「―― !」
マトは咄嗟に横に飛んで避けるが……
「うっそ!?」
思わず声が漏れる、悪魔は地面をガリガリと削りながら向きを変え
地面を擦るようにマトへと、本へと向かってきていた
■風花 優希 >
「……っ、鋭いな…危険を齎したものが何なのか、分かっているのか…!」
術式は確かに行使が完了した。
凍て付き、凍り付いて行く悪魔の表皮。
しかしてそれを危機と悟った悪魔は、それを止める術を即座に悟ったらしい。
既に発動を終えた術者ではなく、その行使の制御を担う魔導書に狙いを定めた。
地面を抉りながらも本へと、マトへと突き進むそれに眉を歪めて。
万が一の為に用意していた術式を、風花の書は起動した。
「並列保存術式、解凍──氷柱」
即ち、迫りくる悪魔を阻むための氷の壁をその場に創り出す。
もとよりそう、魔導書の役目はその詠唱、術式の完全発動までの補助なのだ。
行使までのラグ、詠唱の隙を埋める為に術者ではない魔導書が、その魔術を行使できるのだ。