2024/07/13 のログ
マト >   
「そうだね、それに――」
「明らかに、捨て身だ、此処を守っている、いや違うな」
「外に出ようとしている何かの、端末みたいな……」

一瞬、相手の正体に思いを巡らせたくなるが、そんな時間があるわけもなし

「はやい…… っ、ぁ」
「ありがとう、 優希!」

現れる氷の柱に優希の仕込みに気づく、が、捨て身の悪魔の回転がその氷柱にぶつかっても止まらないのは自明か

「……」

まだ時間を稼ぐ必要があるが、ペットボトルは先ほど使い、更に詠唱を行えるほどに時間があるかは怪しい

「なら、之だね」

即座に脳内で『本に危険が及ばない為の』方法を考え出し、実行する

「氷槍」

片手を突き出し、自身の手首に向けて術を行使する

ぶつんっ、と乾いた音がしてマトの手首が千切れるが、零れる血は僅かだ
切断と同時に自身の手に異能を行使し固体化、手首の中の自身の血、人の血液ではないそれを密封する

「雪人形」

そして同時に詠唱するのは氷によって人のパーツを作り出す呪文
無詠唱によるそれは本来ならば見た目を形作るだけのものだ

だが、自身の体を異能によって治療できるマトにとっては違う意味を持つ

魔力によって形作られた義手は、マトの異能にとって優秀な『添木』となり、即座に使用可能な手を形作るのだ

「これで、終わりっ!」

そして作り出した自身の手首という即席の『液体』がたっぷりと詰まった触媒を手に取り――
優希の作り出した氷柱に自身の『氷柱』を重ねるように行使する
混ざり増幅された氷柱は突破しようとする悪魔を跳ねのける巨大な壁となり、最後の時間稼ぎに成功するだろうか

風花 優希 >  
「マト…っ!?」

躊躇いもなく、己で作り出した槍で手首を貫くそれに目を見開き声を上げる。
しかして、彼女はその身の本質はゴーレムだ。
”その程度”であるのならば、恐らくは問題も無いのであろう。

事実、雪人形に寄る氷の義足を行使すれば、それはそのままマトの真なる腕へと変じる。
冷静な思考回路は、なるほど欲己の性質を理解しているものだと感嘆する。
もちろんそうではない感情は、言いようもない感覚を味わっていたが。

「…無茶をするな、キミも…っ!」

ともあれ、最後の時間稼ぎは成った。
凍て付く魔法はその効果を完全に発揮して、悪魔の身体をその内から凍らせていく。
断末魔のような叫びを轟かせながら、さながら石像のようにぴたりとそれは動きを止めた。

マト >   
「―― 」

相手が完全に動きを止めるまで、警戒心を切らずに見つめ続けていた
そしてそれが成った時

「……よかった」

ほっ、と胸をなでおろす『優希が傷つかなくてよかった』と

「あはは、之が一番効率的だと思ってさ」
「でも残念、ネイルも落ちちゃったね」

両手の甲を見せるように振ると成程、恐らくは両手に塗っていたであろう薄ピンク色のネイル
それが切った方の手からは綺麗になくなっていた

「他に……はいないみたいだね?こんなのがうろうろしてるなら、確かに危険地帯だ」

ぎゅ、と他に危険が無いかを見回しながら、腕には大事そうにあなた(風花の書)を抱いている
それこそ、次何が来ても身を挺して守ろうとするかのように

風花 優希 >  
「確かに効率的で効果的なんだろうけどねぇ…
 絵面とか、見ている側からすればハラハラどころじゃなかったよ」

腕が切断されるのを見ればそうもなる。
問題なさげに、当たり前のように両手を動かしているのを見てほっと一息ついてしまうのも仕方がない。

「前来た時は、奥の方で群れてたけど…他には今は居なさそうだね。
 また次が来るとも限らないし、さっさとずらかろうか」

ともあれ、ようやく一息ついて、用事も済ませたのなら帰路につく頃合いだろうと。
大事そうに己を抱える姿に苦笑しながら、その手を差し出した。

マト >   
「ごめんって、まぁ実際"痛く"はあったけど――」
「キミが傷つくよりは、さ」

小さく呟きながらその手を取って

「うん、長居してもいい事無さそうだしね」
「流石にちょっと疲れたし、反省会はまた今度やろう、次はもっと余裕を持って対処したいし」

ぎゅ、と少し強めに握りながら

「あー……そうだ、えっと」

帰路に向けて歩き出しながら、少しだけ言い淀む、何というか、遠慮しているような雰囲気だ

風花 優希 >  
「……痛みがあるなら、出来れば次からは違う手段を取ってくれ」

可能であれば、そうして欲しいと素直に告げる。
無論、効果的なやり方であったことは違いなく、事実意味があったのだから強くは言わないが。

「流石に反省会は直ぐにしないよ、疲労もあるだろうし…となに?」

言い淀み、遠慮するような姿に首を傾げて。

マト >   
「咄嗟だったから……次からは考えるよ」
「あ、でも、我慢できない程痛い、って訳じゃなかったからね?」

何故か言い訳じみた事を言いながら手を振って
ぐー、ぱー、と大丈夫とアピールするように広げてみせたり

心配をかけたことに、多少なりとも負い目を感じている、のかもしれない

「その……あれだよ、また、遊びに行かない?って話でさ」
「近いうちに七夕祭りだったかな、そこかしこで始まるみたいじゃないか」
「もし優希が良ければ……」

おずおずと聞いてくるのはそんな何て事も無いお誘いだが
きゅ、と繋いだ手に少し力が籠った気がした

風花 優希 >  
「そういう問題じゃあないって、もう」

はぁ…と息を吐くが、割り切れてはいるらしい。
そこでその件については追及もせずに言葉を止めた。

「うん? あぁ、そう言う感じの話し?
 別にまあ、予定もないし構わないけど」

そして続く言葉には二つ返事。
そこまで思い悩む感じで話すことでもないだろうに、という反応であった。

マト >   
「……」

息を吐く優希から目を逸らす

だって、優希が少しでも傷ついたら嫌だったから、なんて言ったら蒸し返す事になるのは明らかだった

「そっか、いやほらさ、優希もルームメイトとか、いるだろう?タイミングとか大丈夫かなって」
「それにその……」

「……えっと」

「一応さ、デートのお誘い?みたいな、ものだし?」

何故か疑問形になりながらもそう告げる
結局は未だお互いの関係は曖昧なままだというのに
デート、という言葉一つつけるだけで、新たに得た知識が、情緒が、胸を高鳴らせていた

戦った直後で息が上がっているというのもあるのかもしれないけれど

風花 優希 >  
「別にルームメイトから誘われるようなこともないしなぁ」

案外と、それぞれが単独行動する面々なのもあるのだが。
それ以上に、しょっちゅう共に遊びに行くほどの仲ではないのが大きいか。

ただ、実のところ言い淀んでいた理由は悟っていた。
その上で、マトと比較して常なる時は、優希はわりかし冷静なのだ。

「……まあうん、それにデートだっていうのなら、尚更だと思うけど」

マト >   
「そうなの?でも、この前壱は優希に会いに態々図書館まで来てたけど……」

とはいえ、彼もまたマトと優希の方が関係は深いだろう、と言ってはいたのだが

「尚更……」
「な、なおさらかな?僕たち」

尚更だと冷静にいう優希の言葉に対し、マトは頬を赤らめつつも思わず聞き返してしまう
マトも普段は冷静な方であるはずだが、この手の話題になると分かりやすい反応をする事が増えたかもしれない

傍から見ればこんな危険地帯で何をしてるんだと見えなくもないかもしれないが、帰路の途中なのでギリギリセーフと言った所か

風花 優希 >  
「図書館に?
 また妙なとこに会いに来るなぁ…部屋でもいいだろうに」

どうせ同じ部屋なのだし、と純粋に首を傾げていた。

「一応はうん、関係性が深くなったと思ってるからね」

その相手に誘われたのならば、断る筈がないだろうと。
暗に彼はそう言って、歩を進めていく。

「……まぁ、マトがどう思ってるのかはわかんないけどさ」

マト >   
「確か優希の仕事ぶりを見に来たって言ってたかな」
「何というか、凄い語る人だったね、僕の体にも興味津々だったし……」
「面白い人とルームメイトなんだね優希も」

くすり、と少し楽しげに笑いながらも、続く言葉に

「……うん、その」
「そう、言われると……えっとさ」

「僕も、そう思ってなかったら誘ったりしないよ」
「それに、優希がよければもっと」
「うん、もっと、深くなりたいと思ってる僕もいる、かな」

風花 優希 >  
「あぁ、そう言う感じ」

どんな会話を彼としたのやら。
少なくとも愉快な話をしていたであろうことは、想像に難くない。

「……これ以上、なぁ」

思い浮かべる、あの時の光景。
流石に少し、過るものがあるが今はそれを押し込んで。

「じゃあまぁ、とりあえずそのデートは行くってことで」

マト >   
「流石に15分も僕に語る部分があるなんて思わなかったな……」

誤解(ではないのだが)を招きそうな部分を口ずさみつつ
それでも楽しそうな当たり悪い邂逅では無かったのだろう

「うん、そう、そういう事で」

きっと同じ光景を二人は思い浮かべているのだろうが、それを口にすることはせずに

「やった、じゃあ、浴衣も用意しないと♪」
「楽しみにしてるね、優希、僕も目いっぱい用意していくからさ」

何を用意する事があるのか分からないが、それでもやはり、満面の笑みを浮かべるのである

風花 優希 >  
「15分も何を話していたんだ…?」

別の方向性でひっそり少年はルームメイトにドン引きしていた。

「はいはい、ボクも次はちゃんと準備しておくよ。
 …それよりほら、早く行かないと置いてくよ?」

ともあれ、今日のところはそんな約束を交わせば軽く背を向けて。
少し早足に歩き始めた少年は、数歩遅れた彼女にそう告げて、この場を去っていくのであった。

マト >   
「えっとね……」

「あ、ちょっと待ってよ~!」

彼の背中を追いかけるマトは、楽し気に最近の出会いについて語りながら歩くだろう
暫し先の『デート』に向けて想いを馳せながらも
一先ずは無事に終わった封印作業に喜びつつ帰路へと着くのであった

ご案内:「黄泉の穴」から風花 優希さんが去りました。
ご案内:「黄泉の穴」からマトさんが去りました。