学園都市である常世島の生産を司る非常に重要な区域。
食料等の一部は輸入を行っているとは言え、学園都市が独立を保つためには最低限の自給自足は欠かせない。
学園から離れた離島にこの区域が設けられているのは安全面などを考慮しているためである。
離島の西側には巨大な工場や高層式農園が林立し、高度な科学・魔術技術を以て学園都市に必要な様々な物品・食料を生産し続けている。
警備も厳重であり、風紀委員の他、警備ロボットや精霊が放たれ、土地の守護を行っている。
なお、上述の高度な科学・魔術技術により環境に与える影響は最小限に留められている。
離島の東側は西側とはかなり様相が異なる。
のどかな牧草地や小高い山に川が広がり、大農園では昔ながらの農業が行われている。小さな町工場のような工場も存在する。
農業系の部活がここで活動を行っており、非常に牧歌的である。
参加者(0):ROM(1)
Time:18:44:30 更新
ご案内:「風紀委員のある部署」から青霧在さんが去りました。
■青霧在 > 「……あぁ」
暁が言う名。古めかしい響きの通り名を元に記憶を探る。
そしてすぐに思い出した。
顔も本名も知らないが、暁の口にした通り名とやらかしたという話は知っている。
そして、優れた刀匠であることも。
「…分かった。世話になった」
それ以上は知らない。更に聞こうにも、暁は素早く去っていく。
行動が早すぎる。いつもの事だが、決めるのも調べるのも動くのも全てが早い。
せっかち…というより意思決定が自律しており素早い。正直かなり羨ましく思える。
振られた手に振り返し、来た道を通って作業場を出る。
受付の委員に帰る旨を伝え、そのまま駅を目指して歩く。
「武器の扱いか…」
暁は気にするなと言っていたが、自分が武器をかなり無茶に扱っている事は理解していた。
一品物の高価な武器を破壊の起点かつ通り道として利用するなど、どう考えても壊れるか激しく損耗する。
それこそ、壊れない武器でもなければ許されない用途だ。
「…俺の力量不足だな……」
知識と経験、そして技量が必要だ。
それらが足りないから、力押しの手段に頼らざるを得ないのだ。
明日にでも自分の戦闘データを……
「……今から行くか……」
暁を見習って、自分も素早く行動するべきだろう。
思い立ったが吉日なんて言葉もあるぐらいだ。
このまま帰宅する予定だったが、委員会街方面行きの電車へと乗りこんだ。
■暁と呼ばれた少女 > 「ああ?お前なら知ってるだろ」
「当世金屋子媛だよ」
振り返らずに資料を漁りながら応じる。
鍛冶師やら職人の間では知れた名だろう。
そして、やらかした奴としても有名だ。
何をやらかしたかは知らない。
もしかしたらどっかの誰かが流したデマかもしれないが、コイツならば聞いた事がない筈がない。
「アイツはいい刀作るって聞くからな」
「俺も一回ぐらいはそういわれてみてえなぁ」
自虐なんてしていても意味はない。
目標として掲げるのも違う。俺は俺の路を征く、なんてな。
「とりあえずコイツは預かる」
「早速色々試すからお前は今日は帰れ。火傷したいなら見てな」
試作用の安価なインゴットの在庫を確認して取りに向かう。
「気を付けて帰れよ」
鍛冶の路は永く果てしない。これもその路の試練として全力を尽くそう。
適当に手を振ってインゴットを取りに向かった。
■青霧在 > 「いいのか…?」
無茶な扱いをして壊した武器の代わりを用意する。
それも、更に良い物を。
そこまでさせて良い物かと躊躇うが、暁は用意する方向で話を進めている。
「すまない…感謝する」
《聖蛇》を作ってもらった時も同じような経緯だった気がする。
先ほどとは別の意味で頭を下げる。
感謝してもしきれない。
「武器自体は他にもある。呪物の類だけ避けていればなんとかなる筈だ」
暁が口にした不安は問題ない。武器はまだいくつかある。
非実体の悪霊や呪物に対抗出来る武器は《聖蛇》のみだが、既に報告済みだ。
代わりの武器が用意出来るまでその手の任務は回ってこない筈だ。
「アイツ?誰のことだ?」
暁のつぶやきについて尋ねる。
思わず零しただけだったかもしれない。
だが、暁が別の職人をうらやむような発言は初めて聞いた。
ゆえに少し気になってしまった。
■暁と呼ばれた少女 > 「だから謝る所はそこじゃねえって」
「どうせ必要な事だったんだろ。よくあるこった」
大体納得した。
大方、拳法に通じてる奴にでも殴らせたんだろう。
それで無理やり差し込んだ。無茶な使い方だが、剣士でもない青霧が扱う以上、そういう扱いは前提として作った。
とはいえ……
「んなことよりも…困ったな」
「これよりイイモン作るとなると…」
刀剣の類は専門だが、それは刀剣を扱う者に向けてだ。
青霧のような刃を武器としてしか扱わない奴に向けては…
「《聖蛇》はもうダメだ」
「んで、新しいモンは作ってやりたいが……大分時間がかかる」
「それまで不便をかける」
作業場に設置された端末の前に立ち、色々調べながらああでもないこうでもないと模索する。
材料、鍛え方、込める魔力、神通力の類、他の分野の技術。
ありとあらゆる技術を総動員してよりよい物を作ってはやりたい。
だが、《聖蛇》は俺が扱える技術の中でも最高傑作のひとつだった。
それでだめとなると…
「アイツならなぁ…」
溜息と共に一言、小さく羨望のつぶやきが零れていた。
■青霧在 > 「それは……こう、こうした」
流石に数多の武器を鍛えただけあるとでもいうのだろうか。
右腕の肘より先を連なった《聖蛇》に例え、左手の掌底で右肘を強く叩く。
任務の際に、連なった《聖蛇》に強力で集中した力を加える必要があった。
その時の衝撃が響いているのだろう。
「《呪柩》が硬くてな…そうでもしなければダメージを与えられなかった」
「恐らくそれのせい…だと思う」
あの時は皆切羽詰まっていた。
とはいえ、あの時の俺の判断が結果的に貰い物を壊したかもしれないというのは後悔に襲われる。
「すまない…」
■暁と呼ばれた少女 > 「壊した事自体は怒ってねえよ」
「謝るならもっと早く見せに来なかった方だろ」
やっぱりコイツの中の優先度は狂ってやがる。
狂いすぎて俺がここまで言ってる理由が分かってねえ。
価値観が違うとかそういう話じゃない。何度言ってもいまいちしっくり来てない様子だ。
後頭部を掻いていると「ハァ~」とデカい溜息が漏れた。
「邪魔だ」
深々と下げられたままの頭部を押し上げてやる。
こんな頭を下げられたままだとこっちがどう反応すればいいか分からない。
《聖蛇》の入った箱を手にしてその刃の一つをつまみ上げる。
「にしてもひでえ状況だな。その辺の呪物にぶっ刺したぐらいじゃここまで酷くはならねえぞ」
呪詛に汚染された刃を一つ一つ見ていくが、どれもこれも聖気どころか武器としての質まで著しく下がっている。
これじゃ鍛え直そうにもその過程で壊れてしまう。
「鍛え直すのもこれじゃ無理だ」
「というか呪詛もだが…なんだ?どんな衝撃を与えたらこうなる?」
余程酷い扱いをした…いや、そんな話じゃない。
脆い部分を重点的に攻撃でもしなければこうはならない。そういう痕跡がある。
何をしやがったと青霧に視線をやる。
■青霧在 > 「やっぱりそうか」
正直、察していた。
箱の中には《聖蛇》だったもの。
本来清らかな青い光を放つ筈の刃はどれもドス黒い亀裂が走っている。
清められた武器としての面影は既に無い。
触れる程度なら問題ないとは言われたが、それでも使用を続ければ危険だと祭祀局のお墨付きをもらっている。
「せっかく作ってもらったものを…すまない」
「何か出来る事があれば何でもする。本当にすまない事をした」
《聖蛇》が壊れたのは、仕方のない事だ。
そうしなければいけなかった。しかし、それとこれは別だ。
暁がわざわざ用意してくれた武器を破壊した事実は消えない。
その詫びは、必要だろう。
箱を傍の作業台の隅に置き、頭を下げた。
■暁と呼ばれた少女 > 「……ッチィ」
「仕方がねえ。とりあえずさっさと使いもんにならなくなったモンを見せろ」
「《聖蛇》で《呪柩》とやりあったんだろ?どうなってるかは大体予想がつくがよ」
乱暴にだが放してやる。許したわけではない。
前からよく知っている青霧はこういう奴だ。
コイツは分かってる。武器の手入れが自分の命を守る為の行為だと。
だから後回しにするのだ。自分より他人や指令を優先しようと、武器の手入れを蔑ろにする。
そうして死んだ奴は何人も見てきた。そしてコイツもそれで重傷を負った経験があるというのに。
「(バカが)」
青霧が持ってきた小箱を開ける。
その小箱ってのもただの箱じゃない。
マズイ状態のモンを入れておく魔道具だ。
「……こりゃダメだな」
開いた箱の中には十数個の鏃のような刃。
《聖蛇》は鏃のような刃が幾つも連なり剣の形を成す特殊な武器。
名前の通り清められた霊銀の武器で、呪物や悪霊によく効く。
見た目はシンプルだが一品物で強力な武器だ。
だが、状態は最悪だ。
■青霧在 > 「……すまない。忙しかった」
何度聞いても、この怒気には気圧される。
何なら記憶の奥底にある何かが呼び起こされそうにもなる。
それでも、ソレとコレでは根本的な部分が違うように感じ恐怖を覚えない。
何故だろうか。
「期末の諸々やら任務後の治療やら…とにかく色々重なったんだ」
「これでも早めに来た方なんだ……すまない」
理由があるとはいえ、暁の怒りが妥当であることはよく知っている。
ゆえに茶化さない。
とはいえ、一度落ち着いて欲しい。
顔が近くて熱気を感じる。
■暁と呼ばれた少女 > 「青霧青霧青霧青霧青霧ィィィ!!!」
待つ事数分、青霧が入ってきた方向から絶叫が聞こえる。
作業中の委員の何人かが僅かに反応を示すが、即座に各々の作業へと戻っていく。
それでも喧しく甲高いに声と足音は続き、奥の作業場へと近づいていく。
「アオッオッギッリィ~~~~~~???ようやく来やがったなぁぁぁあ!?」
鬼神が顕現したのかと見紛う程の怒気を纏うのは暁と呼ばれた少女。145cm程の背丈の割に大変肉付きの良い少女。
頭と豊満なソレを派手に振りながら椅子で待つ青霧に近づき胸倉を掴む。
「壊したって言って一週間もこれねえってどういう事だァ?!いつも言ってるよなさっさと見せに来いって!!!」
「それともっと見せに来やがれ!預けるだけでもいいって言ってんだろ何でいつもこう遅いんだよテメエは!」
青霧に顔を近づけて暁が怒鳴る。身長差があるゆえ、座っている青霧と視線の高さはほぼ同じ。
それでも、見下ろされているのではと錯覚する程の怒気だ。初対面であれば殆どの人間が怯えるであろう程である。
■青霧在 > いくら周囲の物を動かせる異能を持っていても、それだけでは敵わない相手など幾らでもいる。
まず非実体の相手には歯が立たない。物理的な攻撃手段のみで非実体にダメージを負わせるのは至難の業だ。
また、頑丈過ぎる相手にも攻撃が通じない。
先日制圧した竜人などが正にその例だ。タフな相手に単純な質量攻撃を連発しても消耗戦となるだけで決定打を得られない。
そういった相手には別の手段や道具が必要となる。そしてそういった手段や道具はいくつも保有している。
……
「失礼します。暁はいるか?」
『青霧さんですね~暁いますよ~呼びますね~』
この日、小さな箱を抱えた青霧が訪れたのは風紀委員会の武装や資源を管理する部署の、委員が保有する武具の調整修復などを担う課。
青霧はここを時折訪れる。青霧の保有する武具の大半が風紀などの委員会絡みであり、外部に整備を委託していない為だ。
声をかけられた委員が端末を操作し、『それじゃどうぞ~』と受付より奥を指す。
受付も顔見知りだ。軽い会釈のみで促されるままに奥へ奥へと入っていく。
中では何人もの委員が各々の作業を行っている。
それぞれ担当に応じた作業を行っている事は見れば分かるが、その内容は全く理解出来ない。
これから出会う暁と呼ばれる委員のそれも同様である。
そして奥まで行けばそこは暁の作業場。
やはり散らかっているようにしか見えないが、暁曰く『一目で分かるよう整頓されている』らしい。
そんな中でも、訪問者の為にと空けてあるスペースの椅子に腰かけ、箱を抱えて暁を待つ。
ご案内:「風紀委員のある部署」に青霧在さんが現れました。
ご案内:「大麻・芥子畑」から海藤 宗次さんが去りました。
■海藤 宗次 >
「まあ、そういうことならしゃあないか」
原因を聞く。
まあいずれにしろ細かい専門的な事で生産が少なくなったというのも僅かな範囲だ。
「とりあえずここは覇伝洲じゃあ結構大事な拠点やからしっかり頼むで。
勿論頑張れば頑張った分だけ報酬も増えるんでな~」
この麻薬畑というのは覇伝洲でもかなり重要な拠点である。
にも拘わらず兵隊は少ない。それはこんな農業区に兵隊が多くても怪しまれるからだ。
だから代わりに単体で絶大な戦力を誇る幹部が定期的に見回りに来る。
今回は…というか大抵面倒な仕事なので宗次の担当だ。
「ここはバレなきゃ覇伝洲も安泰やろうて」